2024.03.13

リモートソリューション「HP Anyware」が医療DXに与えるインパクトとは?

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あらゆる業界で進められている「DX」。医療業界においても同様で、規模を問わず、すべての機関でICTの有効な利活用について試行錯誤が続けられている。中でも、リモートソリューションは医療現場における働き方改革や業務効率化に直結するため多くの注目を集めている。ここでは、医療DXを語る上でキーマンとなるMICTコンサルティング株式会社の代表取締役 大西 大輔氏と、HPの最新リモートソリューション「HP Anyware」の担当者となる、高田氏に取材してきた内容をお伝えしたいと思う。

取材:中山一弘

MICTコンサルティング株式会社の代表取締役 大西 大輔氏

株式会社 日本HP リモートコンピューティング営業部 APJ Software Sales 高田 歩氏

課題のある中でも進める必要がある医療DX

MICTコンサルティング株式会社の大西 大輔氏(以降、大西氏)は、医療DXを主なテーマに年間100本以上の講演をこなす、医療業界のデジタル改革をけん引し続けている人物だ。「2023年、2024年でいうと依頼されるセミナーの内容は医療DXが急増しています。それだけ医療業界のすべての組織で注目されているということでしょう」と大西氏は語る。

DXには様々な側面があるが、もっとも身近なICT機器としてパーソナルコンピューターがある。「医療は特殊で、大前提として使用するソフトウェアとハードウェアが一体となって提供されるという部分があります。また、PCやワークステーションはエンドユーザーである医師や職員らに紐づいているわけではなく、例えば診療室に紐づいていて、A先生も使うし、B先生も使うといった具合です。ですから、そもそもの課題として、ソフトウェアの仕様が変わるようなアップデートや設定変更などを誰かがしてしまうと、その場所を使う全員が困るという側面があるのです」と大西氏は現状を語る。単純にDX推進という名目でハードウェアの入れ替えやソフトウェアの機能追加、入れ替えなどが簡単にはできないことが医療現場での大きな課題のひとつになっているのだ。

今回のテーマになっているリモートソリューションについて大西氏に尋ねると「2015年ぐらいから遠隔医療、遠隔診療というものが話題になるようになったのが始まりです。具体的な活用方法としては、遠隔地にある医療機関同士の画像やカルテの共有がスタートだといえるでしょう。ただし、リモートソリューションの利活用が始まった当初は日本国内のインターネット環境も都市部と地方ではずいぶん事情が違っていたので不安定なこともありました。しかし、今はその課題は解消されているので、これからが期待されている分野だと思います」と大西氏は語る。

また、実際にリモートソリューションを活用しようとすると、セキュリティへの課題も残るという。「実際の利用に関しては、現在医療機関を狙っている脅威が増加傾向にあるため、インターネット経由での情報のやり取りに関してセンシティブになっていることも確かです。とはいえ、リモートソリューションもそうですが、クラウド環境の利活用など、インターネットサービスは、これから必須とされる状況になるでしょうから、早めに解決しなければなりません」と大西氏。HPには「HP Wolf Security」や「HP Sure Click Enterprise」といった最新のAIによる先読み検知や、仮想空間に悪意を封じ込めるような先進的なセキュリティソリューションがあるため、それらとの相性も良いように感じる。

HPの最新リモートソリューション「HP Anyware」

「『HP Anyware』はソフトウェアによってHPワークステーションへリモートアクセスするソリューションです。どのような端末からでもリモートアクセスすることが可能で、画面転送により制御されているため、操作する側の端末にはデータが残らない仕組みになっています。画像においても4K・60フレーム/秒という高速転送ができるので、精密なレントゲン写真や医療画像の利用にも適しています」と解説するのは高田氏だ。画像が不鮮明になるなど、品質が変わって見えるようなリモートソリューションは誤診につながる危険性もあるため適してない。しかし、HP Anywareならやり取りできるデータの品質にはまったく問題がない。

「私が考えるところでは、ポイントは3つあると思っています。リモートアクセスツールを導入いただくと、まずはお医者さんがいろんな場所から診療できるようになりますので、柔軟な診療時間の提供ができる、というのが1つです。次に、インフルエンザやコロナなどの感染症が続いている中、熱が出ているのにわざわざ病院に診療を受けにこなくてもよくなるというメリットがあると思います。患者を診る医師らにとっても遠隔でデータをみながらでも診察することができるので、感染症の拡大を抑えるという意味でも効果があるのではないかと考えています。そして最後のポイントとしては、セキュリティが挙げられます。端末側にデータを一切持ってくることができませんので、ファイルをコピーするだとか、患者さんの個人情報などを自分の端末に持ってくることはできません。あるいは持ち出してパソコンをなくしてしまったという場合も、端末側には一切データが残っていないというところで、セキュリティ面でも貢献できると思っています。」と高田氏は、HP Anywareによるメリットを説明する。

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