2024.02.29

最新ワークステーションで始める産業用メタバースとデジタルコラボレーション

今こそ次の挑戦に向けた環境整備を

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エンジニアリングチェーンの各プロセスを分断する壁をなくし、さらなる3Dデータ活用、バーチャル空間でのモノづくりを推進するにはどのような環境が求められるのか。将来の産業用メタバース活用を視野に最適解を提示する。

※本記事はMONOistにて掲載されたものです。

製品開発の高度化や複雑化により、エンジニアリングチェーン全体にかかる負荷はより一層大きくなっている。このような状況を打破すべく多くの企業がデジタル化を進めてきた。だがそのほとんどがプロセスごとの個別最適にとどまっており、サイロ化を引き起こしている。このままでは部門を横断した連携に支障を来し、意思決定の遅れを招いてしまう。今多くの企業で求められているイノベーションの創出もかなわないだろう。

エンジニアリングチェーンを強化するにはサイロ化された状況から脱却し、企画、設計、生産準備、製造といった各プロセスの連携、情報共有が不可欠だ。さらに、高度化が進む製品開発に対応するには3Dデータ活用の促進、バーチャル空間での可視化やシミュレーションにも取り組まなければならない。いわゆる産業用デジタルツイン/産業用メタバースの実現だ。

そう聞いた途端、「時期尚早だ」「うちでは無理だ」と思われるかもしれないが、実はそうでもない。前提となる複数プロセスを横断したデータの融合/集成(データアグリゲーション)をより低コスト、より軽い負担、より身近な方法で実現する環境が整ってきたからだ。ならば1日も早くそこに踏み出すことが、自社の競争優位性の確保につながるはずだ。

前世代比で約2倍の性能向上を果たした「NVIDIA RTX 6000 Ada 世代」

データアグリゲーションがより容易に可能になった背景の筆頭に挙げられるのがGPUの進化だ。エンジニアリングチェーンのほとんどのプロセスとその後に連なるデジタルワークフローは今や“3Dありき”で行われており、そのパフォーマンスを大きく左右するのがGPUに他ならない。

そうした中、NVIDIAが2022年秋に発表した新アーキテクチャが「NVIDIA Ada Lovelace」だ。このアーキテクチャを搭載しているGPUは、コストパフォーマンスを重視した「NVIDIA RTX 4000 SFF Ada 世代」、ミドルレンジ/ハイエンドの「NVIDIA RTX 4000 Ada 世代」「NVIDIA RTX 4500 Ada 世代」「NVIDIA RTX 5000 Ada 世代」、そして最上位の「NVIDIA RTX 6000 Ada 世代」へと広がっている。

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★図1 NVIDIA RTX Ada世代GPUシリーズについて 提供:エヌビディア

注目すべきは、最高クラスのパフォーマンスを発揮するNVIDIA RTX 6000 Ada 世代だ。エヌビディア エンタープライズマーケティング シニアマネージャーの田中秀明氏は「NVIDIA RTX 6000 Ada 世代は卓越した電力効率、プロフェッショナルグラフィックス、AI(人工知能)、コンピュートパフォーマンスを実現する設計が施されています。48GBの広帯域GDDR6メモリを搭載し、前世代のNVIDIA RTX A6000の約2倍のパフォーマンスを提供します」と語る。

エヌビディア エンタープライズマーケティング シニアマネージャー 田中 秀明 氏

この性能向上によって、NVIDIA RTX 6000 Ada 世代は大規模な3D CAD、CG、AIモデルの作成からCAEによるシミュレーション、複雑なシーンのフォトリアリスティックかつインタラクティブなレイトレーシング、地震探査、8K映像のデコード/エンコード処理、深層学習まで、あらゆる用途の設計開発やコンテンツ制作を高度化する。

NVIDIA RTX Ada世代GPUシリーズの重要なポイントは、サーバ向けではなく“ワークステーション向け”に設計されている点だ。サーバ導入となればコストが跳ね上がり、経営層まで含めた社内稟議(りんぎ)を通さなければならない。当然調達までに長い期間を要することになる。サーバの運用管理は情報システム部門の管轄となるため、気軽に拡張したり構成を変更したりできない。

「ワークステーションであれば事業部門の裁量で導入可能で、主導権を持って運用できます。最先端のGPUパフォーマンスの理想的なダウンサイジングが可能になります」(エヌビディア シニアソリューションアーキテクトの柿澤修氏)

エヌビディア シニアソリューションアーキテクト 柿澤 修 氏

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