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2024.04.24

インテル® Core™ Ultraプロセッサーの登場により、真のAIモバイルワークステーションが生まれる――インテル×日本HPが語るAI元年のハードウェア事情

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生成AIの活用がビジネストレンドとして注目を集めている現在、AI開発環境の整備は優先度の高いミッションといえる。学習や推論に膨大なCPU/GPUリソースを必要とするAI開発には、データセンターに構築した高性能サーバーや、クラウドサービスが提供するコンピューティングリソースを用いることが多いが、近年では開発者に近い場所に環境を用意したいというニーズが増大。ローカル環境でのAI活用に有効的なワークステーションへの注目が高まっている。さらにセキュティソフトやコラボレーションツールなど、汎用的なアプリケーションのバックグラウンドでも当たり前のようにAI技術が使われるようになったことで、幅広い業務シーンを視野に入れたモバイルワークステーションの需要も拡大している状況だ。

本稿では、今後のビジネスにおいて主流になっていくであろう「AIワークステーション」に着目。AI専用エンジン搭載の最新プロセッサー「インテル® Core™ Ultra プロセッサー」を展開し、モバイル向けAIワークステーションの市場拡大を図るインテルの岡本 航児 氏、佐近 清志 氏と、インテル® Core™ Ultra プロセッサーを採用したワークステーション最新モデルを発表した日本HPの大橋 秀樹 氏に、AI活用におけるモバイルワークステーション(及びデスクトップワークステーション)の役割と重要性について語ってもらった。

※本記事はTECH+にて掲載されたものです。

対談者
インテル株式会社
営業本部 岡本 航児 氏
インテル株式会社
セールス & マーケティンググループ ビジネスクライアント・テクニカル・セールススペシャリスト 佐近 清志 氏
株式会社 日本HP
エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 本部長 大橋 秀樹 氏

AI専用エンジン「NPU」を搭載したインテル® Core™ Ultra プロセッサーが、モバイル領域でのAI活用を促進

インテル株式会社 営業本部 岡本 航児 氏

岡本氏:インテルでは日本HPさんのワークステーション向けのプロセッサーとしてインテル® Xeon® W-3400シリーズ、W-2400シリーズなどを提供していますが、今回、新たにモバイルワークステーション向けとして「インテル® Core™ Ultra プロセッサー」(以下Core Ultra)の提供を開始しました。AI専用エンジンとなる「NPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)」を搭載しており、インテル史上最高水準の電力効率を実現しており、さらにインテル® Arc™ グラフィックスを採用したことで、従来のインテル® Iris® xe グラフィックスと比較してGPUのパフォーマンスは約2倍に向上しています。これにより、スリムでパワフルなAIモバイルワークステーションを実現できるようになりました。

大橋氏:日本HPでもモバイルワークステーションの「HP ZBook」シリーズ全ラインナップにCore Ultraを搭載した「HP ZBook G11」シリーズを発表しました。薄型軽量とパフォーマンスを両立した「ZBook Firefly」、BIMや3D CAD向けメインストリーム「ZBook Power」、クリエイター向けの「ZBook Studio」そして高性能・拡張性を追及した「ZBook Fury」全製品がAIワークステーションとして生まれ変わりました。

岡本氏:実はCore Ultraではアーキテクチャを根本的に見直しており、インテルでは40年に一度の大変革と謳っています。というのも、従来のPコア、Eコアが搭載されたコンピューティング・タイルやGPUタイル、IOタイルに加えてSoCタイルを実装しました。ここには、より低消費電力のEコアとNPUが搭載されており、バッテリーライフの改善に貢献しています。たとえば、Web会議ツールを動かした際の消費電力は、第13世 インテル® Core™ プロセッサーと比較して最大36%削減されるという調査結果も出ています。

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佐近氏:現在のPCは、何も作業していないときでも多くのタスクがバックグラウンドで実行されています。その際にコンピューティング・タイルを動かしてしまうと、アイドリング時のバッテリー消費が大きくなってしまう。

そのためCore Ultraでは、SoCタイルに載ったEコアがまず動作し、処理し切れない場合にコンピューティング・タイルのEコアが立ち上がり、さらにPコア、GPUが立ち上がるという設計になっており、全体的なバッテリー消費の最適化を図っています。

岡本氏:もちろん、AI処理においてもNPUを用いることで省電力化が図られています。とはいえ、AI処理はNPUだけで行うわけではなく、負荷の高い処理はGPU、データの準備や分析にはCPU、バックグラウンドで走っている処理はNPUでというように、得意な領域に応じて使い分けられているのが特徴です。これまでCPUやGPUで行っていた処理を低消費電力のNPUで肩代わりすれば、バッテリー消費を改善できるだけでなく、CPU、GPUリソースを他の処理に割り当てられるというメリットが生まれます。

大橋氏:実際、生成AIなどの利用についても、NPUは大きく影響を与えると思います。日本HPでは、“Stable Diffusion”、“Premiere Pro”、“Audacity”の3つの生成AI機能を持つソフトを実機で検証を行いました。そして、そのすべてのソフトにおいて目に見えて処理速度などに変化があり、たとえばStable Diffusionを使った検証では、NPUを用いるとCPUの負荷が軽減され、処理時間は約3.5倍早くなるという結果も得られました。NPUの効果が省電力化だけではないことが見て取れます。

実際の検証動画

・Stable Diffusion

・Premiere Pro

・Audacity

インテル® OpenVINO™ ツールキットで、開発者に対しNPU対応アプリへの変換を支援

大橋氏:AIの単純なマトリクス計算やパターン認識、過去データの検索など、NPUの得意とする領域に対するニーズは高まっている印象を受けます。

佐近氏:そうですね。やはりレンダリングなど高い処理性能を求める領域はGPUに任せるのが効率的ですが、テキスト変換などNPUが得意な処理は増えてきていると思います。

岡本氏:コラボレーションツールのスマートフレーミングやアイ・トラッキング、背景ぼかし、音声ノイズ除去をはじめ、生産性を上げるツールやセキュリティ対策ソフト、コンテンツ制作など、NPUが効果を発揮するAI活用は確かに増えています。もちろんアプリがNPUに対応していることが前提なので、現状ではまだ限られた範囲での利用となりますが、これからNPUに対応したアプリは爆発的に増えていくでしょう。その意味でも、今はまさに「AI元年」といえるのではないでしょうか。

佐近氏:現在、既存のAIワークロードというのはNPUに対応できていないため、ISVのエンジニアはNPUに対応するためアプリを書き換える必要があります。それを支援するコンソーシアムとして、インテルでは「AI PC アクセラレーション・プログラム」を展開しました。現在、100以上のISVパートナーが参画し、年内に300以上のAIを用いた新機能がリリースされる予定です。現在では、業務アプリを含め、アプリ全体の7割程度がAI技術を利用しているとまで言われており、モバイル用途でのAI活用も当たり前になってきました。しかし、このままでは従来のノートPC、モバイルワークステーションではバッテリー問題が深刻化することは間違いなく、そこで超省電力設計のNPUが活きてきます。

インテルではAIモデルをNPUを含むインテルプロセッサー対応に変換できるツールとして「インテル® OpenVINO™ ツールキット」(以下、OpenVINO)を無償提供しています。このOpenVINOを使えば、開発者はCPUやNPUなどのプロセッサの違いを意識する必要がなくなるため、Core UltraのNPUの活用も簡単に行えるようになります。同じコードがNPUを搭載しないシステムでも実行できるため、コード管理の複雑さを解消することも可能です。

大橋氏:OpenVINOを用いることで、アプリケーションベンダーは次のバージョン、次のアップデートからアプリのAI処理をNPUにオフロードしていけるわけですね。

佐近氏:そうですね。AI PC アクセラレーション・プログラムのコミュニティでは開発者をサポートしており、NPUに対応したAI機能の実装ハードルは下がっていると思います。我々としても、「AI Everywhere」というコンセプトの実現はもちろん、インテルのCPUアーキテクチャと命令セットに最適化する形でプログラムを書き換えていただけるというメリットがあります。

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