消火から救命まで、現場映像を司令へ

福田：火事があると消火の最前線では、隊員は腕に貼ったガムテープに現場の情報を書いては指揮隊に戻って報告し、時間を惜しむようにまた現場に急行するということもあったとか。

パックン：かなりアナログな事実ですが、以前はそうであったと。

福田：Zao-Xがあれば消火の現場から離れなくて済むし、リアルタイムの映像は指揮隊や消防本部の司令室と共有でき、適切な判断を下すことができるなど消火のみならず人命救助にも大きく貢献できそうですね。

パックン：映像を中継できるメリットは、報道や消防、医療など現場で起きていることに対して正しい判断ができる。処置や処理のアドバイスも受けながら迅速な活動に繋げることができることですよね。その社会性の高さもHPさんが関与する意義にも繋がっていますよね。

小俣：弊社の製品が、医療や防災に携わるためには、システムの信頼性が重要です。ハード面での優先順位は最初は認知度や価格ですが、特に人命にかかわる業界では、トラブルが少ないことが最優先されます。HPの開発部門は米国ですが、日本進出は1963年で日本の社会をよく理解したサービスと信頼性を追求し評価されてきました。

HPは医療系施殿でも高い製品評価

パックン：今回、Zao-Xの中継のデモを見て、いま一度気になったことはシステム自体の高い機能性です。高画質で途切れない中継を実現するためにソリトンシステムズさんの独自性やこだわリは何でしょう？

福田：当社では独自のプロトコルを開発して使っています。モバイル回線はどうしても電波の揺らぎが大きく、その状況に合わせてロードバランスを行っていますが、そこが当社技術の独自性です。

パックン：今後、さらに製品力を極めていく点があるとすれば？

福田：すでに、0.1 秒未満の超短遅延伝送を実現していますが、もっと遅延を短くすることでしょうか。映像を見ながら遠隔で操作をする際、例えば手術をするとか運転をするとかというケースでは、より正確な判断と操作が行えるようになります。当社では既に自動運転の実験も行っていますし、医療機関や医学系大学などの医療現場では若い医師の指導を経験豊富な医師が中継映像を見ながら遠隔で行っていたり、数多くの実証実験に参画しています。

パックン：遠隔操作に関するHPさんの関わりはどうなんでしょう？

小俣：やはリシステムを支える製品の信頼性確保への貢献ですね。防塵や耐衝撃性、耐振動、湿度対策等、信頼性を確保するために実施している多くの検証をクリアし製品化していますし、完成後のトラブルが圧倒的に少ないというのは、その証左だと自負しています。また、今回のZ4G5に搭載されたインテル®Xeon®W-2400プロセッサーは、第3世代インテル・ディープ・ラーニング・ブースト、ECCメモリーおよびRASテクノロジーなどが最適設計され、プロフェッショナルユースに対応しています。常に進化と安定性を実現し、ワークステーション分野では日本国内においても15年連続シェアNo.1※の実績を誇っています。
※2008～2022年、出典： IDC's Worldwide Quarterly Workstation Tracker Shared by Company, 2022 Q4

福田：我々がHPさんとパートナーシップを築けているのも、トラブル知らずの製品力があるからこそです。

パックン：現場が求める高精細映像の裏付けを理解できるお話です。

救急対応に中継システムを活用する実証実験も

パックン：おしまいに医師不足による「医療難民」問題も各地で散見される中、救急救命の現場や医療機関における映像中継システムが果たす役割や未来図はどのようなものになりますか？

福田：消防関連でいうと、災害が発生したら全国どこでも現場の状況をリアルタイムに中継でき、その映像を共有することで迅速な対策を講じることができます。救急車による要救助者の救急搬送時には、患者の容態をZaoウェアラブルなどで伝送し、受け入れ先の病院に伝えることで準備の時間を短縮することもできます。

パックン：遅延が短い高画質の画像だから、医師は病気、怪我の状態把握が正確かつ迅速に行え、人命救助にも大いに貢献できると・・・。

福田：医師不足が叫ばれる現在は、急患の搬送先決定も時間を要しています。Zao-Xから伝送される高精細の4K映像で、患者様の容態を確認できれば、地域の医療機関が連携して適切な搬送先を決定できます。

パックン：遠隔地の医師が手術ロボットを操作して、遠隔手術支援をするといったことも可能になるんですね。

福田：もちろん可能ですし「遠隔手術支援」や手技のアドバイスをリアルタイムでできる「内視鏡中継」も実証実験は始まっています。

パックン：中継システムを核とした消防、救命、救急医療の革命は既に始まっていることを実感！今日はあリがとうございました。