放送局と手がけた映像伝送システム

パックン：日本は今年も地震や豪雨災害が頻発しています。コロナの終息はまだだし、酷暑もあり全国の消防機関は日々救急救命活動に追われています。防災や減災視点、救急要請など有事の際に、現場対応力を高める通信システムの重要性は一層高まっています。

パトリック・ハーラン（パックン）
アメリカコロラド州出身のお笑い芸人。ハーバード大学比較宗教学部卒業後に来日。1997年に吉田眞とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。流暢な日本話を生かしDJやMC、ナレーターもこなし、「報道1930」（BS-TBS）などの情報、報道番組にも幅広く出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師も務める。

福田：当社が開発したSmart-telecaster Zao-Xは、モバイルの回線を使って、撮影した現場の映像や音声を伝送できるシステムです。元々当社は20年以上、映像伝送の事業を行ってきて、テレビ業界もお客様です。当時は大型の中継車両を使って放送していましたが、もっと機動力のある中継システムができないものか、という放送局の要請に応えることが本機の開発の出発点でした。現在は、モバイル回線を使って中継することは普通になってきています。ニュースなど報道番組を見ると、災害や事件、事故があれば、現地に記者が赴いて放送していますが、あの現場にはもはや中継車は待機していません。

パックン：確かにそうだ！モバイル回線というのはケータイの電波？

福田：そうです。Zao-Xにはスマホに入っているものと同じSIMを4枚入れることができます。複数のケータイが内蔵されているのと同じです。

パックン：通信時に電波が届きにくかったり、途切れたり、ノイズが入ったリしても左右されにくいと。それは凄い！

福田：全国どこに行っても、映像の伝送が途切れる心配がないんです。

株式会社ソリトンシステムズ 映像コミュニケーション営業部 プロモーションGr 福田 氏

高負荷の処理に耐えトラブルレスだから選ばれる HP

パックン：HPさんとソリトンシステムズさんはどの段階からの協働関係なんでしょう。

小俣：当社は「OEM（組込み）」という分野での参画で、Zao-Xの映像伝送システムの一部として関わっています。存在としては黒子でしょうか。

パックン：今日は表に出てきてくれてありがとうございます（笑）さて、その「OEM」というのは、何を指しているのでしょう？

小俣：映像を受信する側のハードウェア部分を担当させてもらってます。ソリトンさんの受信側ソフトウェアで、現場から伝送されてくるデータを適切に処理しモニターにキレイに表示させること、そこにトラブルを発生させないことがミッションですね。Zao-Xのシステムにおいては、画像処理の重要な役目を担わさせていただいていることが自負です。

パックン：そもそも、ソリトンシステムズさんの映像伝送システムに採用されたきっかけは？

小俣：ソリトンシステムズさんには10年以上も前から弊社のワークステーションを使っていただき、トラブルが少ないという信頼性への評価もあってお付き合いをいただき今に至っています。

株式会社 日本HP クライアントビジネス本部 バリュービジネス部 小俣 氏

G7や大規模マラソン大会などでのセキュリティに貢献

パックン：放送局から始まったZaoシリーズですが、活躍の場がどんどん広がっていると聞きました。

福田：マルチメディアインターフェイスの普及により、テレビ局で使う本格カメラだけではなく、家庭用ビデオカメラなどコンシューマ製品とも繋がるようになって、いろんな業界において映像伝送の事業も広がっていきました。

パックン：なるほど。中継する現場はテレビ以外にもあるじゃないかと。

福田：一例が、消防機関であり、警察でも使われるようになリました。

パックン：警察での用途はどんな目的で？

福田：警備とか、警護ですよね。G7やG20など重要な国際会議があると会場の周辺警備で使われセキュリティ確保に貢献しています。

パックン：防犯カメラを設置する必要もないし、持参した会場ですぐ使えるという機動力は便利だし、使い勝手の良さは見事です。

福田：中継画面は司令部と共有できることも大きなメリット。あと大規模なイベント、例えばマラソン大会でもランニングポリスがZaoウェアラブルを装着して警備、セキュリティ確保にあたっています。

パックン：確かにポリスは走ってたけど、完走したんですか？ （笑）

福田：10km毎に走者が交代したと聞きました。

パックン：と、いうことは揺れとか振動にもきっと強いんでしょうね。そして、活躍の場の広がりといえば、気になるのは消防機関です。