2023.10.31
関西テレビ放送株式会社
実証実験は「カンテレTen6XRラボ(以降、XRラボ)」を拠点に進められている。「本来はドームシアター向けに作りますが、ここでのXRの試写には110インチスクリーンを3面使い、それぞれ4Kプロジェクターで映像が投影される12K映像に加えてドルビーアトモスによる、臨場感のあるサウンドを使います。これによって、より現実に近い体験ができるようになるのです」と小形氏は概要を説明する。
カンテレTen6XRラボ協力会社シャガデリックの音響スタジオ。ここでXRコンテンツの3Dサウンドが作られる
そして、編集はもちろんこれらの投影システムをコントロールしているのもHPワークステーションとなる。「バーチャルツーリズムだけでなく、私たちのテレビ局の編集にはAvid社のメディアコンポーザーをよく使うので、推奨環境であるHPワークステーションは各所でたくさん使われています。今回、私たちのところでは最新のインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー搭載のHP Z8 G5 Workstationで試したところ、これまでのワークステーションと比較してもかなり快適な環境が構築できました」と小形氏。
今回、実証実験の拠点となるXRラボに導入されたのはHP Z8 G5 Workstationとなる。プロセッサーにインテル® Xeon® Gold 6442Y プロセッサーをデュアルで搭載、メインメモリは64GB、グラフィックスにはNVIDIA RTX A6000を2枚で運用している。「今まではワークステーションのスペックの関係で解像度を落として映像化したものもありましたが、今回のワークステーションでは、これまでできなかった8Kを複数枚使ったコンテンツ制作まで楽に対応できます。久しぶりに『Blackmagicdesign DaVinci Resolve』の8KテストでオールOKが出たのを見ました」と導入の手応えを語る小形氏。
ドームシアター向けのコンテンツを作るには360度カメラによる撮影が必要だが、その編集には強力なスペックが必要になる。HP Z8 G5は見事に期待に応えているという。「こういったコンテンツの編集には高性能なGPUばかりに目が行きますが、実際にはCPUパワーも相当必要になります。GPUはCPUを含むプラットフォームがなければ完全には動作しないので、パフォーマンスの全体の底上げには高性能なCPUが欠かせません。その点、デュアルで動いているインテル® Xeon® Gold 6442Y プロセッサーは、エンコードやレンダリングなどの直接的な演算処理はもちろんですが、ワークステーション全体の底上げに大きく役立っていると思います」と小形氏は語る。
CPUが高速だと、とにかく様々な場面で短縮効果があるという小形氏。「作業環境だけでなく、オペレーターの労働環境の効率化にはとても効いていると思います。特に時間が掛かる作業の短縮は、編集や作業に携わる人材にとって歓迎すべきことでしょう」と小形氏は言葉を続ける。
HP Z8 G5 Workstationを操作する小形氏
実は最上位モデルのHP Z8 Fury G5の投入も考慮しているという小形氏。「超高解像度コンテンツの編集をしてくれているオペレーターのことを考えると、できるだけ最先端のスペックを提供してあげたいと思っています」と小形氏。コンピューターにかける費用よりも、コンテンツのクオリティを第一に考える同氏らしい思想だ。
「通常の商業映像の世界からみればオーバースペックになりますが、XRの世界には多くの業界が期待をしています。必然的に求められる品質も8Kオーバーになりますから、スペックはいくらあっても足りないぐらいだと思います」と同氏は言い切る。
現在、試作段階のXRコンテンツを見ると、広い視野角をカバーする臨場感あふれる映像と、波の音や船のエンジン音、登場人物の声などがまるでその場で発せられているような感覚に陥る。面白いのはこれらのコンテンツを視聴中に隣の人とおしゃべりができることだ。これはVRにはない魅力で、観光地について得られた情報について楽しく情報を共有するといったシーンが普通に起こり得るのだ。「XRを使うと人間の視野角、認識範囲をカバーするコンテンツが作れます。将来、日本中のドームシアターでこれを体験した人々は、本当にその場にいるような感覚を共有していただけるはずです」と小形氏は語る。
「今、XRコンテンツには自治体や観光業者の方々が興味を示してくれています。コロナ禍の影響で、多くの人々が外出できなかったときに、旅行に対する関心をなくさないようにブランドとしてのツーリズムを確立するためにXRが一役かえるのではないかという期待がありました。コロナ禍が収まり、時代は良い方向へ動き出しましたが、ヨーロッパでおきた戦争の影響もあって、業界的にはまだまだ本調子ではありません。そんな中でもバーチャルツーリズムという観光の新しい映像体験ができれば、みなさんがいつでも旅行に対する楽しみを抱ける豊かな人生が送れるのだと思います」と小形氏は未来を語る。今後は日本中にあるプラネタリウムを使った映像ショーなどを実施するなどで、社会実装を目指すという関西テレビ。HPは今後も同社をサポートしていく。
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記事事項は2023年9月現在のものです。
HP Z8 G5 Workstation(ハードウェア構成)
インテル® Xeon® Gold 6442Y プロセッサー(2.6GHz 最大4.0GHz / 24コア / 60MB / 4800MHz)1st
インテル® Xeon® Gold 6442Y プロセッサー(2.6GHz 最大4.0GHz / 24コア / 60MB / 4800MHz)2nd
64GB DDR5 SDRAM(4800MHz / ECC / Registered / 16GBx4)デュアルプロセッサー用
1TB HP Z Turbo Drive(システムドライブ)
1TB SATA HDD
スタンダードフロントIO
グラフィックス:NVIDIA RTX A6000 x2
DVDライター(スリムライン)
USB 320Kキーボード(日本語版109Aキーボード)
USB 128 レーザーマウス
Windows 11 Pro Workstationsライセンス