2022.06.10

オンラインセミナー配信レポート
軟包装業界の世界的ゲームチェンジャーePac 創業者・経営幹部特別インタビュー

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 軟包装業界に彗星のごとく現れ、驚異的な成長を続けるePac社。その創業の歴史はまだ6年と浅いものの、デジタル印刷を活用した「短納期・小ロット・高品質」なパッケージの提供を強みとして、すでにその売上高は100億円を超えている。ePacが保有するHP Indigo20000/25Kデジタル印刷機は、合計76台にのぼり、現在同社はアメリカ各地から欧州、アジア市場へと進出を広げ、異なる国や地域に適合したビジネスを展開している。今回の特別インタビューでは、ePacの創業者と経営幹部が、同社の価値観や成功の裏に秘められたビジネスのノウハウを惜しみなく語り尽くす。驚異的なビジネス成長の秘訣が、いま明らかに!

ゲスト

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Co-Founder & COO
Virag Patel
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CIO
Parag Patel
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Managing Director, International
Strategies
Sanjit Menezes

1. ePacの事業紹介

 ePac Flexible Packaging(以下、ePac)の共同創設者であり、同社のCOO(最高執行責任者)であるVirag Patel氏は、同社の事業について次のように紹介した。

スタートアップからグローバル企業へ

 「ePac は、2016年にアメリカ、ウイスコンシン州のマディソンに設立しました。私自身は軟包装業界に23年携わってきましたが、従来のグラビア印刷機などを持たないデジタル印刷機のコンバーターとして、ゼロからのスタートでした。中小や個人のブランドを主な対象として、小ロットから中ロットのジョブを中心に高品質な軟包装を提供しています。開業して半年もすると大勢のお客様から注文が入り、会社の規模を拡大させることを考え始めました。

 創業から6年、ePacは業界初のグローバルデジタル印刷会社として成長し、現在は世界20拠点以上でビジネスを展開しています。工場のコンセプトは「シンプルである」ということ。世界中のどのePacの工場を訪れても、外観や雰囲気、規模、標準設備は同じです。標準化によって、急成長する市場にも迅速に対応でき、どこにいても同じものを繰り返し生産できるのです。スターバックスを思い浮かべてください。世界中どこにいても同じ品質のコーヒーが手に入ります。私たちが目指しているのも同じこと。アジア太平洋地域では、韓国のソウルとオーストラリアのメルボルンでビジネスを開始したばかりですが、アジア市場全体に魅力を感じています。

ePacのバリュー

 ePacが大切にしている価値は「お客様」「地域社会」「サステナビリティ」という3本柱です。まずお客様ですが、ePacは、小さなブランドが大規模ブランドと市場で対等に戦えるように支援したいと考えています。よって、当社の研究開発などのあらゆる活動は、中小企業のお客様にフォーカスを当てています。2つ目は地域社会ですが、地元を拠点とするローカルビジネスにサービスを提供しサポートすると共に、地域に生産拠点を構えることで仕事を創出し、地域社会に活力をもたらします。3つ目は、製造拠点の環境負荷の低減、つまりサステナブルな環境です。デジタル印刷機は、版不要、低VOC、適切な廃棄物管理など、環境面での利点が多くあります。地域社会にとって廃棄物の影響は大きいため、環境への影響を最小限に抑えて、サステナブルなソリューションを提供する、それが私たちの使命です。

小さなブランドの成長を支える

 お客様について少し掘り下げてお話します。私たちのお客様は、地元に根差した小さなブランドが多いのですが、彼らはこだわりの自然食品や、革新的な商品を世の中に送り出そうと奮闘しています。起業したばかりの名もない小さな企業の商品でも、優れたパッケージがあれば、店舗の棚で大手ブランドの商品とも競争できます。もちろん、ePacが大企業に協力しないということではありません。ただ、規模の小さいお客様にも対等な競争力を与えたい。今あらゆる都市で、何千もの若い起業家がチャンスを模索しています。企業の成長を支援することにはやりがいがあり、私たちは、お客様の商品が「道の駅」のような小さな販売所から始まり、「コストコ」のような大手ホールセールに並ぶまでの成長過程を誇りに感じています。実際に、最小単位の発注から始まり、わずかな期間で大きく成長し、上場を果たしたお客様もいらっしゃいます。

 ePacの共同創設者3名は大手コンバーターの出身ですが、そこでは利益が最も重視されていました。大手企業に挑むための戦略は、最適化と革新です。例えば、欧米では、フレキソ印刷の納期は、6〜12週間が一般的です。アジアではもっと短いという違いはありますが、当社はロール納品で5日、製袋加工であれば15日で納品しています。Amazonは、以前はオンラインで注文してから配送までに1週間かかっていましたが、それが3日になり、1日になり、今や4時間、1時間と短縮が進んでいます。当社がやろうとしていることも同じ考えで、商品をお届けできる時間を可能な限り短縮できるように動き続けています。それによって、お客様がより成功に近づけると考えているからです。

ターゲットセグメント

 特定の市場にはとらわれずにサービスを提供しています。果物、ナッツ、ソース、栄養補助食品、乳製品、ペットフード、園芸など、商品ジャンルは幅広く、お客様はePacのサービスを求めて自然発生的にやってきます。

 お客様の課題は様々ですが、これまで中小企業の大きな負担となっていた版代やデザイン変更のコスト、在庫のコスト、最小発注量の多さに対処することで、中小企業の成長を阻害していた問題点をクリアできたと感じています。さらに、デジタル印刷では、可変印刷はもちろん、ターゲット市場への高度なカスタマイズなど様々な挑戦ができます。パッケージへの迅速な対応や、気軽なテストマーケティングができなければ、イノベーションの低下につながります。

 デジタル印刷の見込み顧客数は無限大です。当社は毎年多くの新規顧客を獲得しており、現在、アクティブな顧客数は6000社近くになりました。リード生成は、主にマーケティングと口コミで、インスタグラムなどの特定なツールで日々手法を進化させています。受注率は55%、つまり見積依頼の半分以上が成約に至っています。さらに、リピート率は67%と高い数値を維持しています。

ePacの提供製品

 シュリンクスリーブやラベルなどはありませんが、軟包装ではスタンド袋、三方シール袋、平袋、スティック袋など、フラットボトム(角底袋)以外は全て提供しています。急成長しているのは、環境に優しいフィルム素材を使用したパッケージです。昨今はお客様からリサイクル可能な材料を指定されることが多いのですが、そのような素材は印刷機にも優しいという特徴があります。再生材は人気が高く、また、堆肥化可能な製品も対応可能です。

経営の秘訣

 経営の秘訣は、ビジネスモデルのシンプルさです。作業を複雑にしないこと。ワークフローで完全に自動化することにより、工場の労働力に過度に依存することなく、少ないリソースで印刷機を稼働できます。適時適量印刷を行うため、無駄はほとんどありません。フレキソやグラビアなど従来型の印刷ビジネスとコスト構造を比較すると、高い利益率を確保できています。そして、新たな地域へ事業を拡大するにあたっては、地域市場のニーズを理解している各地の強力なパートナーを探し、地元のニーズに対応すること。新しいトレンドに迅速に適応すること。印刷機やソフトウェアは常に最新のバージョンに保つこと。これらが世界的成長の背景にある当社の考え方です」

2.事例紹介

 次に、ePacが実際に手掛けた商品のサンプルを交えて事例紹介が行われた。ここでは、その中からいくつかピックアップしてみたい。

Skratch LABS

 コロラド州ボルダーに本社のある栄養補助食品会社。スキーやハイキングの文化が背景にあり、地元で愛される企業。当時、商品のパッケージは、既成の袋にラベルを貼ることで対応していたが、リブランディングを実施し、新パッケージに一新。プロフェッショナルなパッケージができたことで、成長への一歩を踏み出し、北米の市場ほぼ全域に商品が展開された。商品の外観が変わったことで注目されるようになり、インスタグラムを通じて拡散。「この商品はどこで買えるの?」というコメントをもとに市場拡大を実施し成長へつなげた。

Riley’s Organic

 商品にこだわりのある創業3年半程の小さなスタートアップのブランド。オーガニックのドライフルーツやナッツなどを販売するが、軟包装の環境対応に不満を感じていた。PE(ポリエチレン)でリサイクル対応パッケージを作成すると、オーガニック食材を中心に取り扱う人気のスーパーマーケットWhole Foodsで取り扱われるように。当初はリンゴとマンゴーの2種類のみの展開だったが、現在は16 SKUまでに成長した。

Stryve

 同じブランドの同じ製品を、納入先でマットと光沢(スポットニス加工)の2種類にパッケージを分けている。標準パッケージはマットで、テキサス州の各小売店で販売。コストコが商品に注目したが、同社に納品するためにはスポットニス加工が必要だった為、別仕様で作成。袋の裏側はシースルーの窓を設け、中身が見えるような工夫が施されている。

Sock Fancy

 靴下用では珍しいソフトタッチのパッケージ。靴下のサブスクリプションとしてオンラインで販売。個性的なデザインや目を惹く季節限定パッケージを求めていたが、版代がネックとなっていた。通常は茶色のダンボール包装で配送していたが、クリスマスキャンペーンで150もの可変データを取り入れたモザイクデザインに挑戦。アルミのような素材が透けてキラキラと輝くメタリックなデザインを実現している。メタリックインキではなく、独自の方法としてメタルカラーの背景を加えて加工している。

3. アジア市場について

 2019年のカナダとイギリスへの海外進出を皮切りに、海外拠点を次々と展開しているePac。2020年にインドネシア、2021年に韓国とオーストラリアに拠点を開きアジア市場にも乗り出した。アジアと欧米市場の違いについて、HPアジアパシフィックでIndigoの軟包装分野を担当するCindyは次のように話した。

 「アジアと欧米には多くの違いがあります。アジアの場合、グラビア印刷の納期は欧米諸国よりもかなり短いのが特徴です。アジアには世界最大ともいえる軟包装市場があり、その規模は世界の約50%に相当します。また、日本、インド、中国など、国単位で巨大な単一市場も存在します。しかし大きな市場があることは、そのままデジタル印刷分野で獲得できる市場の大きさを意味するわけではありません。軟包装のデジタル印刷事業は、ゼロから立ち上げる新規ビジネスに近いのです。獲得できる市場規模は、次の3点に左右されるでしょう。

 まず1点目は、デジタル印刷における技術革新の速さです。そして、2点目は、従来型の印刷機やビジネスモデルでは満たせない潜在的な顧客ニーズを掘り起こせるかどうか。最後は、ePacのような革新的なコンバーターが、ローカル市場に適合した戦略でどう成長できるか、この3点が、軟包装のデジタル印刷事業が大きく成長できるかどうかの鍵になると考えます」

 Virag Patel氏は、「市場の違いについてもう1つ言えることは、アジアでは軟包装市場への参入障壁が低いということです。500万ドル、1千万ドルするような高額な印刷機を購入しなくても、アジアでは小さな機械や設備で市場に参入できる。障壁が低いということは、小規模な企業が多数参入していることを意味します。

 少ない設備投資での参入は、時には品質が犠牲になります。デジタル印刷機は、高い印刷品質を提供できるので、その点優位に立てるでしょう。しかし、小回りの利く生産設備では切り替えも簡単な為、グラビア印刷のリードタイムが短いという特徴もあります。北米では12週間という納期が、アジアではその半分かそれ以下の場合もあり、これは競争する上でのデメリットとなります。

 当社がアジア市場で競争するには、納期を一貫して5日(ロール納品)〜15日(製袋加工)にすること。そして高い水準の印刷品質を提供することです。他社の既存サンプルと比較すれば、デジタル印刷の個性豊かな美しいパッケージは目を引くはずです。HP Indigoデジタル印刷機なら、『あのパッケージが欲しい』と飛びつくような軟包装を実現でき、それは市場のレベルを引き上げることになるでしょう。

 さらに、アジア市場の成長率もポイントです。欧米では、包装業界の成長率は年3.5〜4%で推移していますが、アジアはもっと高い。それにより、ニッチな市場も見つけやすくなります。

 インドネシアのように、島々の間で独特の文化や習慣を持つ地域もあります。地域特有の好みや独自に存在するブランドは、デジタル印刷事業にとっても優位な条件となります。それはインドや韓国でも同じ傾向があり、地域レベルのカスタマイゼーションや、細かい表示やデザインの違いに対応できることがビジネス機会となるのです」と語った。

市場の変化と今後の展望

 Virag Patel氏は、市場の変化について次のように話した。

 「ここ何年かで、労働市場の大きな変化を感じています。人材不足は業界にとっては大きな課題ですが、ePacにとっては逆に有利です。なぜなら、ePacはテクノロジードリブンの未来型工場だからです。クリーンルーム環境、温度管理された室内、オープンフロアのオフィス、従業員の教育などは、人材も惹きつけますが、同時に労働力の依存度も低い。あらゆるポイントで自動化が進む当社は、人海戦術とは無縁です。

 市場の観点からは、最低注文数量が下がり続けている状況があります。原材料の調達が安定しない、顧客の需要が読めないなどの理由で、ブランドオーナーは自分たちが販売できる分だけを調達し、過剰な在庫を持たないという考え方が広がり、ジャストインタイムの概念も普及してきています。

 次に来るのは、誰もが個々に高度なカスタマイゼーションを求めるOne to Oneの個人市場だと考えています。オンライン化が進み、消費者は、リアルの小売店とは異なる体験として、便利で入手しやすいブランドを探すようになりました。そして、選択する際には、カスタマイズ度が高い商品をより好む傾向があります。このOne to Oneの流れはデジタル印刷にとって有利だといえます」

テクノロジーへの投資

 オンラインツールの活用も、同社にとって重要な戦略だ。ePacのCIO(最高情報責任者)であるParag Patel氏は次のように話した。

 「オンラインでの受注は、より効率的な生産につながるため、営業戦略上メリットが大きいと考えます。私はePacの前は、Eコマース事業に従事していたので、高度に自動化された手法でサービスを提供していました。しかし、軟包装業界は、全てが手動でデジタル化されていませんでした。見積も、表計算ソフトに入力して手動で作成し、何日か後に提出する。私がePacで最初に作ったのは、100以上の商品のカスタマイズも15秒で見積もりを送信できるツールでした。自動化や効率化を実現するテクノロジーに投資することは、より優れた顧客体験の向上につながります

 意志決定の一部も自動化しました。お客様がパッケージに特定の機能や材料を求めている場合、数多い選択肢の中から最適なパッケージの提案をすることで、簡単に購入できるようになります。ePacはテクノロジー主導のAPIファーストの会社です。これは、小さなソリューションの「パーツ」を作り上げ、それらを組み合わせて統合し、素早く実装することを意味します。うまくいかなければすぐに変更する。迅速な対応と継続的な進化が重要なのです。

 ePacは、HP、Microsoft、Eskoとの提携により、エンド・ツー・エンドのソリューションを構築していますが、この業界では大変珍しいことです。そして、私たちは、継続的に進化する最新のプラットフォームを構築しています。多国間の異なる言語に対応し、請求書、出荷ラベルなど、全て社内で構築してサポートできます。

 アメリカでは、大ロットの大量注文を受けると、例えば3拠点など、複数の工場にジョブを分割して対応しています。カラーキャリブレーションなど高度な機能があるので、生産のリードタイムを短縮しながら、拠点を越えて同じ品質のパッケージを製造できます。このように、当社の成長には、多くのテクノロジーの利活用が背後にあるといえます」

パートナーシップ戦略

 次に、パートナーシップ戦略について、ePacで国際ビジネス戦略を統括するSanjit Menezes氏が次のように述べた。

 「ePacの成長は、現地市場の理解を支えるビジネスパートナーがあってこそのものです。新規市場に参入する際に重視するのは、当社の考え方や方向性と一致するビジネスパートナーと提携すること。中小企業の成長を助け、地域社会を支援するといった目的を共有できるパートナーでなければなりません。進出する市場はゼロから作り上げていく。それは挑戦であり、意欲も必要とします。

 我々のビジネスモデルやフットプリントは非常にシンプルです。しかし、それらをシンプルにすることは実は簡単なことではありません。シンプルにするまでの過程に、多くの学びや気づきがありました。当社がパートナーを組む時は、真の提携を意味します。現地の知識とデジタル印刷ビジネスの専門知識を結びつけることが良好なパートナーシップにつながります。

 コロナ禍では、仕事を失った人も多く、新しくビジネスを始めようとしている起業家が大勢います。言い換えれば、未踏のビジネスがたくさんある。ePacのビジネスは、そういった方々の手助けができる、私たちはそう信じています」

 ePacが世界の軟包装業界に巻き起こす旋風は誰にも止めることはできない。あらゆるものをシンプルにすることで、拠点展開や意思決定に無駄がなく、そのスピード感と進化は目を見張るものがある。注目すべきは、その成長の要因が、価格やスピードだけではないことだ。彼らは単に軟包装という商品を提供しているのではなく、小さな企業でも大企業と対等に戦うことのできる力を「ソリューション」として提供している。それを可能にしているのはテクノロジーという強力なバックボーンだ。彼らの築いた現在の地位は、これまでの常識に固執していては決して辿りつくことのなかった高みである。しかし創業してまだ6年、ePacの成長はこれからが本番だ。テクノロジーと柔軟性を武器に、世界中に更なる存在感を広げていくことは間違いない。

ePac Flexible Packaging

コーポレートサイト

Q & Aセッション

Q:デジタル印刷に適したパッケージの受注方法について教えてください

A: 当社は多くを標準化しています。HP Indigoデジタル印刷機で2つのウェブ幅に絞り込んで対応。従来型の印刷だとウェブ幅は何百にもなり得ますが、ePacは最初にルールを決めることで、対応範囲を限定したのです。技術チームと長い時間をかけてパッケージについて検討しました。提供するパッケージの組み合わせパターンは約100通りありますが、対応素材は25種類ほど。素材の形状と加工方法を組み合わせてプロパティを作成します。様々なバリエーションから、お客様が理解しやすい選択肢を1〜2つ用意し、容易な意思決定へと導きます。

Q:流通管理について教えてください

A: 当社の流通施設に材料を販売するサプライヤー企業は世界中にあります。週に1度、これらの施設から当社の製造拠点に材料を分配します。様々な製品の在庫を確認し、需要予想に基づいて出荷するので、管理する在庫は少なくて済みます。当社の工場は小さいので敏捷さが大切。各工場単位では多くの在庫を持たず、サプライチェーン全体で在庫を管理しています。

Q:色再現精度や一貫性についての顧客の反応は?

A:カラープロファイルの管理により、どのHP Indigoデジタル印刷機でも同じものを製造できるため、色の一貫性などのカラーマネジメントではデジタル印刷が有利です。ブランド固有の色やテーマカラーなどでも問題を感じたことはありません。色品質は他社と同等もしくはそれ以上のものを提供できており、色合わせや色品質が苦情になったことは一度もありません。

Q:ePacの成長をどのように考えている?

A:当社は毎年倍増して成長しており、それは工場の増加や工場内の拡張によるもの。単一工場のモデルではなく、拡張は異なる地域にサービスを広げることです。これが当社のビジネスモデルの重要な部分で、異なる地域社会にサービスを提供することが成長につながっています。

Q:どのように従来型印刷などに顧客を奪われないようにしている?

A:リピート率は67%(小ロットから大ロットまで)と高い数値を実現しています。小規模ブランドは、独自の製造設備を所有していない会社も多く、ビジネス規模が拡大したら、それに応じて共同生産者を通して広げていきます。例えば、100万フィートのパッケージの発注があれば、私たちは納入先近くの複数の工場にジョブを分散させて、共同生産者に迅速に届けます。これは当社の近隣拠点製造モデルだからこそ可能なことで、これまでにお客様が従来型製造モデル(アナログ印刷での製造)に移行する二―ズを見たことはありません。

お客様の多くは、印刷のデザインを毎回変えています。特に食品業界では小さな変更が頻繁に発生するものです。食品製造方法や加工方法は日々進化し、材料も変われば栄養情報も変わります。材料の変更などは2〜4週間といった短い期間で迅速に対応しなければなりません。また、商品の受注量の変化に応じてパッケージの発注量も調整できるので、より臨機応変に対応できます。お客様は、市場や顧客の求めているものを短期間でトライアンドエラーしながら実験できるのです。食品以外でもこの傾向は見られますが、従来型のパッケージ製造ではこういった対応は難しいでしょう。

Q:ePacのサービスが最も適している分野は?

A:多品種少量でSKUが複雑なものは有利だと思います。一般的にはスパイス、ナッツ、食品関連などは、複雑なものが多いです。例えば同じナッツでも、生のもの、炒ってあるもの、皮つき、味付けなど多岐にわたります。栄養補助食品なども同じトレンドがあり、サプリ市場も複雑化しています。特定用途のサプリなど、様々なターゲットに細かく絞ったニーズがあるからです。ビタミン剤やサプリメントは従来小さなボトルに入っているものが多く見られましたが、最近ではパウチに入れるケースが増えています。時代の変化によって、マスク、ウエットティッシュなどにもトレンドがあり、コロナ禍の移動制約で航空会社でも様々な変化が見られます。消費者の希望に合わせて進化を続けることが重要です。

Q:平均のロットサイズは?

A:ロットの平均は地域や市場によって異なり、平均の割り出しは難しいです。アメリカ国内でも、コロラド州ボルダーとアトランタの平均ロットは全く違います。お客様によって異なりますが、製造面において小口注文と大口注文で大きな違いはないので、ePacとしては気にしていません。ロットの大きさに関わらず、柔軟にお客様の利益になるものは何でも対応します。

印刷機はできるだけ長く稼働させていますが、同じ原反で複数のお客様の印刷を実行するなど、計画に基づき最適化させています。商品の組み合わせは100種類あっても、多くはごく少数の選択肢に絞られるため、同じフィルムで多くのお客様にパッケージを提供できています。

Q:ePac Connectについて教えてください

A:全てのパッケージに固有のシリアル化されたQRコードを印刷できるソリューションです。消費者エンゲージメントはもちろん、パッケージ追跡、真贋判定などのセキュリティ強化に役立ち、特にヨーロッパで需要が多く見られます。例えば、パッケージに固有のコードが必要とされる薬品会社などに採用されています。これまでは、パッケージとは別にインクジェットなどで固有のラベルを印刷して貼るなどの作業が必要でしたが、それが不要になります。

Q:AmazonやAlibabaなどを通してePacのパッケージをオンライン販売する予定は?

A:例えば、150mm×250mmなどの既定の袋をこのようなオンラインチャネルで販売する予定はありません。それは当社にとってあまり意味がないからです。私たちにとっては、お客様の成功を助けることが重要であり、オンライン戦略が価格競争を意味するわけではありません。消費財として単に袋を売っているのではなく、お客様と関わり、付加価値をつけて最適なソリューションを提供しており、袋以上のものを顧客に提供していると自負しています。

HP デジタル印刷機
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