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2024.05.20

AIのビジネス実装が始まり現場で何が起こっているのか?

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フリーランスライター:三浦 優子

2022年11月のChatGPT公開を機に、急速に浸透しつつある生成AIですが、その登場からはまだ約1年半しか経過していません。それでも2023年時点ではお試し感覚で利用していた企業も、本格的な業務利用に取り組むケースも増えてきました。

Copilot for Microsoft 365など、業務に利用できるソリューションを多数投入している日本マイクロソフトは、導入企業を公表し、各社がAIをどんな業務に利用しているのか、導入によってどんな効果をあげているのかなどを積極的にアピールしています。早期導入企業はどんな用途で生成AIを活用しているのか、さらにAI導入にはどんなコツがいるのでしょうか?

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企業内では「AIを使う」と「AIを創る」が進む
出典:2024年3月18日開催、日本マイクロソフト記者会見資料より

グローバルで5万3000社を超えた導入企業

2024年に入り、日本マイクロソフトはAIに関する説明会でMicrosoft Copilotの新機能と共に早期導入企業を紹介しました。2024年3月時点で、グローバルでは5万3,000社以上の企業が導入。日本企業でも、東京都や大阪府などの自治体、三菱UFJグループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループといった金融業、ソフトバンク、NTT西日本、電通などの通信業やサービス業、トヨタ、NEC、パナソニックッホールディングスといった製造業、弁護士ドットコム、メルカリなどのスタートアップと業種を問わず多くの企業がAIを導入しています。

実は導入企業5万3,000社のうち3分の1がマイクロソフトにとって新規顧客となっているそうで、AIに関心が高い企業が多いことがわかります。

マイクロソフトでは、企業が「生成AIを使う」ために評価/検証を行うことと、独自データを活用した自社にカスタム化された「AIを創る」ことが同時に行われていると分析しています。生成AIの評価/検証の先には、ビジネス実装があり、それによって生産性の向上、新たな価値創造への模索が進むと同社は見ています。

AIを創るフェーズでは、AIプラットフォームを整備するために、開発環境の拡充や大規模言語モデル(LLM)に外部情報検索を組み合わせるRAG(Retrieval-Augmented Generation)が行われるようになってきました。さらにその先には、独自LLM開発、より複雑なAIユースケースの実装など、より自社にマッチしたAI活用が行える世界を実現することが目標となります。Copilotシリーズは、「AIを使う」、「AIを創る」の両面でその機能を強化、新しいソリューションとして提供され、さらに先行して導入する企業が試行錯誤を続けているのが2024年の現状といえるのではないでしょうか。

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マイクロソフトのAzure AIを導入したグローバル企業
出典:2024年3月18日開催、日本マイクロソフト記者会見資料より

導入企業は用途を模索中

AIを使うというフェーズでは、どんなことが行われているのでしょうか。AIを導入した企業は、どんな用途にAIを活用しているのでしょうか?マイクロソフトが「こんな用途でAIは活用できる」と紹介していた代表的な用途は次のようなものです。

  • 議事録を自動作成
  • 契約書のチェック
  • 社内データベースを活用したAI Chat Botの作成

早期導入企業も最初の活用に上記であげた用途で利用する例が多いようです。

日本ビジネスシステムズはCopilotのデフォルト機能に加え、プロンプト作成を工夫することで精度やわかりやすさを向上した議事録の作成、契約書チェックやマーケティング等の契約書チェックに利用していると発表しました。利用の結果、法務部門の契約書チェックと再鑑定にCopilot for Microsoft 365を利用したところ、従来は15分かかっていたチェック時間を5分に短縮することに成功したそうです。 このように当初から想定されていた用途については、実際の業務においても従来よりも作業時間を減らすことに成功したケースが出てきました。しかし、導入による効果が出てきている一方で、Copilotが企業内のどんな業務に活用できるのかについては、「2023年のCopilot発表時点からあまり変化がないのではないか?」という意見も聞こえてきます。「この用途なら使ってみたいと思わせる用途が少ない」という声もあるようです。

こうした実感は企業側にもあるようで、日本ビジネスシステムズではより適した用途はないかを探るために、社内でCopilotハッカソンまで実施しました。社内でもっと適した用途はないかと模索を続けているそうです。実際にAIを活用したことで得た経験、社内の困りごとをかけあわせることで、新しい用途を見つけ出すための試行錯誤が行われています。

これこそ生成AIを活用した新しい用途だといえるような決定打は、まだ登場していないのが実情といったところでしょうか。先行導入企業が様々な用途を試す中で、今後は、導入効果が高い用途、これまで思ってもいなかったような新しい用途が見つかっていくのではないでしょうか。先行導入している企業がどんな使い方をして成功しているのか、動向をチェックしておく必要がありそうです。

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主な生成AIのユースケース
出典:2024年3月18日開催、日本マイクロソフト記者会見資料より

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