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2024.07.18

NPUによるローカルAIがもたらすパーソナルコンピューターの再定義

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クラウドを使ったAIサービスが多くの現場に浸透しつつある今、もうひとつのAI活用の方法としてオンデバイスでのAI活用が注目されています。そのためにもAI PCにはAI処理に最適化されたNPU(Neural network Processing Unit)が求められるようになってきています。ここでは、そのトレンドについて考えてみることにしましょう。

フリーランスライター:山田 祥平

パソコンローカルのAI処理を担うNPU

NPUはNeural network Processing Unitの頭文字をとったものです。パソコン内部での演算処理を担うユニットとしては中央演算処理装置として知られるCPU(Central Processing Unit)、そしてグラフィックス演算処理装置として知られるGPU(Graphics Processing Unit)に次ぐ、第3の演算処理装置として、今後、パソコン内で頻繁に行われるであろうAI演算を低消費電力で高速に処理することを目指します。

消費電力を無視すれば従来重宝されてきたGPUもAI処理に重要な役割を果たします。処理能力だけに注目すれば、最新のNPUを超える性能を持たせることも容易です。なぜならGPUはグラフィックス処理のみならず、GPGPU(General-purpose computing on graphics processing units)に使われるからです。そして、それはGPUによるグラフィックス処理以外の汎用計算、つまり、AI処理にほかならないのです。

このコラムの掲載日直近では、2024年6月にMicrosoftが発表したパソコンの新たなカテゴリであるCopilot+ PCは、40TOPS超のNPU搭載を要件にしています。TOPSはTera Operations per Secondの頭文字で、1秒間あたりの演算処理回数が何兆回かを示します。たとえば40TOPSなら40兆回/秒の演算ができます。演算回数をテラで数える新しい当たり前です。

Microsoftが発表したWindowsパソコンの新しいハードウェアカテゴリであるCopilot+ PCは、40TOPS超の処理能力を持つNPUを統合していることを要件のひとつにしています。TOPSはNPUだけではなく、GPUによっても稼げる指標ですが、大電力を消費しつつも高性能なGPUでシステム全体が大きなTOPSを実現できていても、Copilot+ PCとしては認められません。

バッテリ運用されることが多いノートパソコンにおいて、消費電力を抑えて実用的なバッテリ駆動時間を確保しつつ、効果的なAI処理を行うことを目指す方向性がこうしたところに見てとれます。

当面は、クラウドサービスとしてのAI処理と、パソコンのローカルNPUを使ったAI処理を適材適所で使い分けるハイブリッド運用のAI PCがビジネスの現場で使われていくことになるでしょう。

クラウドAIサービスと併走するローカルAIのハイブリッド活用

AIをオンデバイスで処理できるようになることで、エンドユーザーはスピード、コスト、プライバシーといった制限から解放されます。さらに、企業などのビジネスの現場では、組織から従業員に貸与される管理されたパソコンにおいて、その組織が保有する機密情報をAIに学習させても、その機密が外部に流出する心配がありません。また、AIの出した回答が、第三者の知的財産を侵害していることに気がつかず、ずっと後になってから指摘されるといった懸念もありません。これらの点をもっとも重要であると考える組織も多いはずです。

オンデバイスAIなら、機密情報を含むデータは閉じられた組織管理下のパソコンローカルでのみ処理されるため、情報が漏洩する心配もなければ、その情報を別のAIが学習してしまうこともありません。AI処理をパソコンローカルで処理することには、こうしたメリットもあるわけです。

その一方で、クラウドサービスとして提供されてきたAI処理が、すべてローカルAIに置き換わっていくわけではありません。クラウドサービスもスピード、コスト、プライバシーを最優先に考えています。 この先、当面は、クラウドとローカルのハイブリッドAI運用の時代が続くことになりそうです。AIのビジネス活用では、何をクラウドAIに担わせ、何をローカルAIに委ねるかの見極めが重要です。また、そのためのハードウェアについても、電力を重視するのか、性能を重視するのか、価格を重視するのかといったことを考慮して選択する必要があります。

クラウドとローカルの使い分け、さらに、ローカルGPUとNPUの使い分けについても考える必要があります。このあたりはソフトウェアとハードウェアの両輪で環境を整えなければなりません。素晴らしいハードウェアが調達できても、それをうまく活用できるAIソフトウェアがなければ宝の持ち腐れになってしまいます。また、素晴らしいAI処理ができるソフトウェアがあっても、それがNPUを使ってくれずGPU性能のみに依存するものであれば投資対効果は薄れます。GPUとNPUを状況に応じてうまく使い分け、求めている結果を素早く得られるのが理想です。

いずれにしてもこれからのパソコン利用は、どのような現場であってもAIを避けては成り立ちません。AIに仕事を奪われる可能性を危惧する議論もありますが、AIを使う側に立てばいいだけのことです。人間にとってコンピューター的な存在は、望む結果を出してくれる道具です。その望む結果がそもそもわからないというのでは話になりません。仕事がよくわかっていなければ、優れたコンピューターも役に立ってはくれません。従来型のコンピューター利用ではそこがポイントでした。仕事のロジックをわかっている人が、自分の欲しい結果を、できる限り少ない手間暇で得るための道具がコンピューターだったともいえるでしょう。

でも、AIなら、何が役にたつかのヒントも提示してくれます。それをどう展開できるかが、これからのコンピューター利用の新しい当たり前になったのです。

2025年に向けたパソコン再定義

モバイル運用を前提としたパソコンで、電力効率の高いAI処理をパソコンローカルで実現するという点では、Microsoftが新たなカテゴリとして定義するCopilot+ PCはバランスのとれたAIコンピューティング環境だといえます。

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Copilot+ PC準拠のHP EliteBook Ultra G1q AI PCにプリインストールされるAI Companion

Copilot+ PCと認められるためには、Microsoftが承認したリストに、そのSoCが登録されている必要があります。2024年夏の時点で、このリストにあるのは、Qualcomm® Snapdragon® X シリーズのプロセッサーだけですが、秋以降には、IntelやAMDからも対応SoCが発売されることが発表済みです。

これによって、2024年から2025年にかけてのビジネス向けモバイルノートパソコンのラインアップは大幅に刷新されることになるでしょう。まさに再定義です。

また、Intelはデスクトップ向けにもAI用のNPUを統合した製品を提供することを発表しています。詳細が明らかになるのは少し先になりそうですが、とにかくこの秋から来年にかけては、いろんなことが立て続けに起こります。パソコンの業界全体の動きを注意深く観察し、トレンドを把握するように心がけましょう。今、お読みいただいているこのHP Tech & Device TVでも関連コンテンツを豊富にご用意する予定です。

HPは、ビジネスに Windows 11 Pro をお勧めします。

Windows 11 は、AIを活用するための理想的なプラットフォームを提供し、作業の迅速化や創造性の向上をサポートします。ユーザーは、 Windows 11 のCopilotや様々な機能を活用することで、アプリケーションやドキュメントを横断してワークフローを効率化し、生産性を高めることができます。

組織において Windows 11 を導入することで、セキュリティが強化され、生産性とコラボレーションが向上し、より直感的でパーソナライズされた体験が可能になります。セキュリティインシデントの削減、ワークフローとコラボレーションの加速、セキュリティチームとITチームの生産性向上などが期待できる Windows 11 へのアップグレードは、長期的に経済的な選択です。旧 Windows OSをご利用の場合は、AIの力を活用しビジネスをさらに前進させるために、Windows 11 の導入をご検討ください。

※このコンテンツには日本HPの公式見解を示さないものが一部含まれます。また、日本HPのサポート範囲に含まれない内容や、日本HPが推奨する使い方ではないケースが含まれている可能性があります。また、コンテンツ中の固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標ですが、必ずしも「™」や「®」といった商標表示が付記されていません。

※2024年7月18日時点の情報です。内容は変更となる場合があります。

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Windows 11 Pro+HP ビジネスPC

ハイブリッドなワークプレイス向けに設計された Windows 11 Pro は、さらに効率的、シームレス、安全に働くために必要なビジネス機能と管理機能を搭載しております。HPのビジネスPCに搭載しているHP独自機能はWindows 11で強化された機能を補完し、利便性と生産性を高めます。

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