2022.10.31

すべての作品でHP Z Workstationをフル活用する映像プロダクション

株式会社マリモレコーズ

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コンピューターは仕事の中枢

「ぼくらの仕事はコンピューターあってのものなのです。そもそもマリモレコーズでは業務のことをデジタルワークフローと呼んでいて、すべてをコンピューターのクロックを中心に進めています」と語る江夏氏。マリモレコーズが考えているのは、人間の感覚で物事を考え、進めるアナログ的なプロセスではなく、コンピューター上で行なうデジタル処理を中心に仕事を進めるスタンスだ。「ですから、このプロダクションのクロックが止まれば仕事も止まる。だからデジタルワークフローの中で最も大切なのはコンピューターだという考え方です」(江夏氏)。

マリモレコーズに入社した新人が最初にやることは、与えられたコンピューターの筐体を開け、中にあるパーツの種類やどこに何が収まっているかを確認する作業なのだという。「自分の仕事が止まるのをコンピューターのせいにして欲しくないので、正しく仕組みやスペックを理解してもらいたいのです」と江夏氏。

先日もある新入社員の仕事の手が止まり、不機嫌そうな顔をしてパソコンが止まってしまったと報告してきたのだという。「ぼくが原因を調べてみたところ、OSのゴミ箱の中に数百GBのデータが溜まったままになっていました」と笑いながら語る江夏氏。新入社員は使わなくなったデータをゴミ箱に捨てるところまでは知っていたが、ゴミ箱を空にしなければデータが溜まり続けるということまでは知らなかったのだ。「その仕組みを説明してあげて、きちんとした手順でゴミ箱を空にする方法を教えました。今後彼は同じ失敗はしないはずです」と江夏氏はいう。

マリモレコーズの社員は全員、同じように自分が扱うコンピューターや映像機器、カメラなどあらゆるデバイスについてこのようにしてその仕組みまで詳しく覚えていく。「入社2年目の女の子でも今ではテキパキとスイッチャーにケーブルを繋いでいきます。仕組みをしることで、そこで何ができるのか理解し、そのうえで自分のクリエイティビティが発揮できるようになるのです」と江夏氏はうれしそうに語る。

第12世代インテル® Core™ プロセッサー搭載のHP Z2 mini G9 Workstation

最新モデルHP Z2 mini G9を江夏氏が試す!

HP Workstationのヘビーユーザーでもある江夏氏だが、今回は最新モデルとなる第12世代インテル® Core™ プロセッサー搭載のHP Z2 mini G9 Workstationをレビューしてもらったので詳細を伺いたいと思う。

ストレスなく編集できることが大切という 江夏氏

Z2 miniシリーズは掌に乗ってしまうほどの超小型筐体にワークステーションクラスのパフォーマンスを詰め込んだエントリークラスの製品になる。「前モデルのZ2 mini G5は発売されてからすぐに導入しました。あの工業的なデザインがとても好きで、今でも映像チェックやオフィス用途をメインに使っています」という江夏氏。

「今回試したのは最新のZ2 mini G9ですが、見た目のデザインも良いですし、最新の第12世代インテル® Core™ プロセッサーやデスクトップ用のNVIDIA RTX A2000が搭載されるなどパフォーマンスもかなり向上していますよね。せっかくの機会でしたから、8Kの映像編集に使えるか試してみました」と江夏氏。

今回、江夏氏がレビューした環境は編集ツールにAdobe Premium Proを、素材はマリモレコーズが手掛けたFUJIFILMの最新カメラX-H2のプロモーションビデオになる。「もちろん、編集が終わっているデータを読み込んだものですが、最初に感じる印象は、動画を動かす、止める、任意の場所までコマを移動させるといった基本動作に一切の遅延を感じないところです」と江夏氏。ストレスのない操作環境が実現できることはそのまま作品のクリエイティビティにも影響するのだ。

豊富なインターフェイスを使いドライブや 周辺機器などを追加することも容易

「編集ソフトの挙動が重いと仕事になりません。ちょっとでも不足がありそうな場合はプロキシに書き出さなければならず、編集にひと手間増えてしまいます。8Kのデータは巨大ですが、それをネイティブのまま編集できるZ2 mini G9は効率が良いワークステーションといえます」と江夏氏は語る。

そんな同氏は動画を編集する際には3つのポイントがあるという。「ひとつは応答性です。いまもまさに触れた部分になりますが、ワークステーションのレスポンスが悪ければ苦労することになります。映像データはそもそもパッケージ化されているのでこれをデコードするのがグラフィックスです。Z2 mini G9はNVIDIA RTX A2000を搭載しているので、ほとんどの編集で良好な応答性を発揮してくれるはずです」と江夏氏。

また、応答性をよくするのはグラフィックスだけではないという。「ディスクスピードが速くないと、ここもボトルネックになってしまいます。ハードディスクもよく使われますが、こちらにしても5,400回転のものか、7,200回転のものかでアクセススピードが変わります。Z2 mini G9はM.2 SSDを採用しているのでハードディスクのレベルとは大きく違う超高速アクセスが可能なドライブが搭載されています。ですから、巨大なデータを読み込んでも応答性がいい。ワークステーションを選ぶときはディスクにも気を配るべきです」(江夏氏)

もうひとつのポイントは筐体の外部にあるという江夏氏。「豊富なインターフェイスはぼくらのような映像クリエイターには必須です。USB Type-C、Type-Aどちらも揃っているZ2 mini G9はその点でも優れています」。

例えば、実際の編集作業の場合、仕事はデータを受け取ることからはじまる。「2台のカメラでロール3まで撮影すれば、6枚のSDカードにデータが記録されます。これを1枚ずつワークステーションに取り込もうとすれば、かなりの時間が掛かりますよね。僕の場合は3つぐらいのリーダーを接続して一度に3枚のSDカードから取り込んでしまいます」と江夏氏は業務効率について語る。

「また、それだけでなく、僕はワークステーションの記憶領域は3つに分けたほうが良いと考えています。一つはOSやアプリケーションが入るシステムドライブ、それに編集ソフトウェアが使うキャッシュドライブ、最後にデータドライブです」と江夏氏。拡張性が高いタワー型筐体であれば物理的に3つのドライブを使い分けることも可能だが、筐体のスペースが限られるZ2 mini G9の場合は複数の物理ドライブを搭載することが難しい。

「ですから、外付けSSDドライブなどを有効活用するのです。特にシステムとキャッシュは必ず切り分けておかないと、あっという間にドライブのフィールドが乱雑になってしまいます。そこはパーティションで切り分けても良いですが、その場合はデータフィールドを外部に持つなど、効率のよいドライブ運用をすべきだと思います」と江夏氏はアドバイスを送る。

「もう一つ、インターフェイスでチェックしてほしいのは有線LANポートです。最近はデータのやり取りはすべてクラウド経由で行われます。クライアントから素材が届くのも、僕らが完成したデータを納品するのにもクラウドサービスを使います。そこを無線LANにしてしまうと、データのやり取りが遅くて仕方がない。ですから、有線LANポートは僕らの仕事には必須のインターフェイスなのです。Z2 mini G9はこれらのポート類がすべてそろっている。十分仕事に耐えられるワークステーションだということです」(江夏氏)

最後のポイントはメインメモリだという江夏氏。「編集が完了したデータはレンダリングしなくてはいけません。非常に負荷の高いこの作業をなるべく安定した状態で最後まで出力するかはメインメモリに大きく関わってきます」。

今回、レビューで使ったZ2 mini G9には64GBのメインメモリが搭載されている。「これだけあればかなり安心です。僕が最低ラインだと考えているのは32GBです。なので、このZ2 mini G9はバックグラウンドでレンダリングやそれ以外の業務をマルチタスクで進められるほどのスペックといえます」と江夏氏は語る。

8Kで制作されたFUJIFILM X-H2のプロモーションムービー

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