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2022.07.25

3Rとは?意味やサーキュラーエコノミーとの違い、企業の取り組み事例をご紹介

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3Rという言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、サーキュラーエコノミーという言葉も知っていて、これらの違いを正確に認識している人は少ないです。3Rは90年代からある言葉ですが、近年注目されているサーキュラーエコノミーとも密接に関わる言葉なのです。本記事では3Rの概要と優先順位、サーキュラーエコノミーとの関係や、企業の取り組み事例について解説します。

1. 3Rとは

3Rとはリデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の頭文字Rを取った造語で、環境負荷や廃棄物の低減のキーワードとされています。それぞれのRの意味を以下に解説します。

①3Rとは?

(1)リデュース(Reduce)

リデュース(Reduce)は製品を作るときの資源とゴミの削減を指す言葉です。これには製品のメンテナンス体制の充実などによる製品ライフサイクルの長期化も含まれます。

何かの製品を作るときは必ずゴミが出ます。なぜなら原材料を100%製品に変換するのは困難だからです。たとえばガラスやプラスティック、紙、ゴムなどを原料として工業製品を作った後には、大量のガラスくずや廃プラスティック、紙くず、ゴムくずなどが出ます。これらは産業廃棄物として処理される過程で環境に負荷をかけます。

これらを減らすためにできるだけ少ない原材料の投入で同一の品質の製品が作れるようにするのがリデュースです。また、製品をできるだけ長持ちするように作り、捨てるサイクルを長くするのもリデュースと言えます。

(2)リユース(Reuse)

製品の再利用をリユース(Reuse)と言います。物を捨てずに繰り返し使ったり、使い終わった消耗品をメーカーが回収して再利用することも含まれる概念です。リサイクルと混同する方も多いですが、リサイクルは廃棄物から再利用できる部位を取り出して再加工して使うことを言います。リユースは使用済みの製品をそのまま繰り返し使う点で異なります。

まだ使える不用品を買い取って販売するリサイクルショップという小売業は本来リサイクルではなく、リユースなのです。大がかりな加工装置などが必要なく、手軽にはじめられるため、一般消費者でも実践しやすい3Rのひとつと言えます。

(3)リサイクル(Recycle)

廃棄物から再利用できる部品や材料などを抽出して再加工し、資源として再利用することをリサイクル(Recycle)と言います。たとえば古紙からトイレットペーパーを作ったり、空き缶から自動車部品などを作ったりすることもリサイクルです。

リサイクルにはケミカルリサイクル、サーマルリサイクル、マテリアルリサイクルの3つがあります。それぞれの違いは以下の通りです。

  • ケミカルリサイクル:廃棄物を化学的に処理して他の物質に変え、再利用する
  • サーマルリサイクル:廃棄物を燃やしそのときに発生する熱をエネルギーとして利用する
  • マテリアルリサイクル:廃棄物を材料として再加工し、別の製品として再利用する

ただし、欧米諸国を中心とした海外の多くの国でサーマルリサイクルはリサイクルと認めない傾向にあります。サーマルリサイクルは廃棄物を燃やす過程において有害物質を出す可能性があることや、燃やした後の灰などの残留物は再利用できない事に加えて、そもそも廃棄物を再利用してはいないからです。

②3Rには優先順位がある

3Rは並列した存在ではなく、優先順位があります。1.リデュース、2, リユース、3.リサイクルの順に優先して実施すべきとされています。この優先順位の理由は、環境に与える負荷や消費するエネルギーが少ない順番からきています。

リデュースは生産時のゴミと資源の使用量を減らし、最も環境負荷が小さいので、最優先となります。残りの2つ、リユースとリサイクルでは、リサイクルのほうが資源とエネルギーを消費するためリユースが優先となります。

③4R、5R、6Rとは?

4R、5R、6Rとは3RにRefuse(リフューズ)、Repair(リペア)、Reform(リフォーム) などを加えた頭文字Rの総称です。さまざまな団体や識者の提唱した定義がありますが、どのRを加えるかは提唱している団体や個人ごとに異なり、明確な定義はありません。

Refuseは「断る」という意味の英単語で、ゴミになる物を拒否することを言います。例としてはレジ袋の拒否、水筒を持ち歩いてペットボトルを買わない、過剰包装の拒否などもリフューズです。

Repairは「修理する」という意味の英単語で、製品が壊れても修理して再利用することを言います。また、Reform(リフォーム)は「改良する」という意味の英単語で、着なくなった服などを縫い合わせて別の服に作り直すことなどを指す言葉です。

他にもRental(レンタル:借りる)、Restore(リストア:復元する)など多数のRが提唱されています。しかし、これらは3Rを具体的な方法に言い換えただけで大きな分類上は3Rに包含されるとの指摘もあります。

2.日本における3Rの取り組みとあゆみ

3Rは最近出てきた言葉ではなく、古くからある概念です。それ以前からも、人類は環境に対する負荷と戦ってきました。ここではその歴史のあゆみがどのように3Rに繋がっていったのかについて解説します。

①1900年以前(廃棄物処理設備の建設)

人類がはじめて環境に対する施策を実施したのは1900年以前まで遡ります。最初に行われた施策は産業革命によって増え続ける廃棄物の効率的な処理でした。日本や米国、欧州では大都市から出る廃棄物を焼却処分するための焼却炉が導入されました。

世界ではじめて公衆衛生の概念が確立し、公衆衛生法が制定されたのは1848年のイギリスです。日本でも1900年に汚物掃除法が制定され、はじめて廃棄物処理に関する法律が成立しました。廃棄物の処理が行政の仕事となったのはこれ以降のことです。

②1970年代(環境意識の高まり)

1970年代に入ると都市部の廃棄物の増加問題が深刻化し、社会の環境意識が高まりました。隣近所で物を融通し合ったり分け合ったりするような社会から、大量生産・大量消費型の社会へ転換したのが主な理由です。資本主義の発達に伴って増加するゴミと公害を抑制するため、日本でも廃棄物処理法が制定され、環境庁が設置されました。

③1980年代(有害物質対策)

1980年代になると、ダイオキシンなどの有害物質が世界的に注目されました。世界中でゴミ焼却時の有害物質の発生を抑制するため、有害廃棄物を管理する法律が制定されはじめます。日本でもごみ処理施設構造指針の改正、廃棄物最終処分場指針の改正、ダイオキシン類発生防止等ガイドラインの策定などが行われました

④1990〜2000年代(リサイクルと3Rの拡大)

1990年代になるとようやく3Rの概念が登場します。日本で3Rの概念が広まったのもこのころです。日本を含む世界中でリサイクル関係の法律が制定されはじめました。行政と民間が一体となってリサイクル事業に取り組みはじめ、リサイクル技術が大きく進歩しました。90年代は循環型社会に向けて技術や制度が急速に整いはじめた時代と言えるでしょう。

2000年代に入るとさらに3Rが拡大し、循環型社会形成推進基本法、建設リサイクル法、グリーン購入法などが制定されました。20世紀型の大量生産・大量消費型の社会から、資源を無駄にせず環境への負荷を抑制する循環型社会への転換が始まったのは2000年代からです。

⑤2010年代(資源利用効率の向上)

2010年代になると、リサイクル技術がさらに発達し、資源の利用効率も高まってきました。それに伴って「持続可能性」という言葉に社会的注目が集まるようになります。SDGsという言葉が一般的になったのも2010年代の中ごろです。これ以降、企業は積極的に持続可能性の概念を経営に取り入れるようになり、ESG投資やサステナブル投資が盛んになるなど、経済活動として持続可能性を確保する試みが現在も続いています。そのためには3Rの概念をさらに発展させる必要が出てきました。それがサーキュラーエコノミーです。

参考・出典:3R政策の振返りと社会の変化、資源循環に関わる産業が直面する課題│経済産業省

3. 3Rの課題とサーキュラーエコノミーへの転換

3Rは90年代に出てきた概念ですが、それを発展させる必要が出てきました。3Rの課題を解決するために発展させた概念をサーキュラーエコノミーと言います。

①3Rの課題

世界人口は増加の一途を辿っており、それに伴い世界経済も成長し続けています。拡大しつづける世界人口と世界経済を背景とする大量生産・大量消費・大量廃棄は、地球環境に負荷をかけ続け、生態系にも甚大な影響を与えてきました。したがって、このような従来の線形的な経済モデルではいずれ破綻することが予想されています。

そのため、従来の線形型経済から「循環型経済」へ発展的な転換を促す必要がでてきたのです。循環型経済とは資源投入量と消費量を抑えたうえで付加価値の最大化を目指す経済活動を言います。循環型経済を実現するためには環境活動としての3Rから経済活動の根幹としての3R、すなわちサーキュラーエコノミーへの発展的な転換が必要なのです。

②サーキュラーエコノミーと3Rの違い

3Rもサーキュラーエコノミーを構成する要素の一つです。現在でも3Rの概念が重要であることに違いはありません。しかし、従来の3Rは経済活動というよりは、あくまでも環境活動という意味合いが強かったのです

サーキュラーエコノミーは以下の図にあるとおり、3Rの要素も取り入れながら、シェアリングエコノミーやPaaS(モノのサービス化)といった新たなビジネスモデルを構築することで、環境負荷を抑えながら経済の持続的な発展を目指します。

参考・出典:サーキュラーエコノミーへの転換に向けて│経済産業省

③3Rを拡大したサーキュラーエコノミーへの転換は企業の義務

現在は気候変動リスクが高まっており、世界中がカーボンニュートラルに向けた取り組みを実践してます。そのような状況下において、3Rを経済活動に発展させたサーキュラーエコノミーへの転換は、社会から企業への要請であり、義務と言えるでしょう。

企業がサーキュラーエコノミーを実践し、線形型経済から循環型経済へと変革していくことは、ひいては地球環境の保全と、人類の持続発展につながってゆくのです。

関連リンク:サステナビリティとは?意味や定義、企業における取り組み事例などご紹介

4. サーキュラーエコノミーへの取り組み事例

すでにサーキュラーエコノミーへの取り組みを実施している企業は多数存在します。ここではそのような企業の取り組み事例をご紹介します。

①アディダス

アディダスは2024年までに製品のすべてを持続可能な素材に置き換えることを目標にしています。また、使用済みのシューズを店舗で回収し、アップサイクルして新たなシューズを作る試みも実践しています。

アディダスジャパンは2019年12月20日、使用後に100%再生可能なランニングシューズ「FUTURECRAFT.LOOP」の実証品を発表しました。アディダスは「アスリートだけではなく地球環境のためにもなることを追い求める」と宣言しており、その製品はリサイクル素材や天然素材を利用し、3Rで生まれ変わることを前提としています。

②ユニリーバ

ユニリーバは2010年から成長とサステナビリティの両立を目標としてきました。そのためのビジネスプランとして「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン(USLP)」を導入しています。この試みを現在まで10年以上継続したことで、工場からのCO2排出量を65%、水使用量を47%、廃棄物量を96%削減するなどの成果が上がっています

同社はその上で、2025年までに製品の梱包に使われているプラスティックを100%再利用可能な素材にしたり、非再生プラスティックの使用量を半減させたりすることを目標にしています。

③ブリヂストン

ブリヂストンはサステナブルマテリアルの拡充を重視しており、2030年までに再生資源や再生可能資源に由来する原材料の比率を、40%まで向上させることを目標としています。そして、製品の軽量化や長寿命化で使用する資源を減らす、再生ゴムなどを原材料にして資源を循環させる、天然ゴムの生産技術で再生可能資源を充実化させるといった活動を進めています。

同社は上記の目標はあくまでもマイルストーンであり、長期的には製品の原材料の100%を持続可能な素材にすると表明しました。持続可能な経済成長に繋げていきたいと考えているとのことです。

5. まとめ:サーキュラーエコノミーは企業に課せられた重要なテーマ

これまでの線形型経済では持続可能性が低いことは言うまでもありません。人類は3Rからさらに進んで段階的にサーキュラーエコノミーに発展していく必要があります。その際、企業活動は特に重要となります。モノをつくって捨てるのではなく、適切な量を生産する、生産したものを循環させる、生産したものを分解し次の生産の素材とする、このようなことを企業が考え実践することがサーキュラーエコノミーです。

また、3Rのどの部分を自社のビジネスにしていくのか、自社のオペレーションをどのように構築していくのか、はこれからを生き抜く企業に課せられた重要なテーマと言えます。

【関連リンク】サステナビリティは、企業間のパートナシップを前提に創り上げていく協働作業

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