2024.05.17

HP Indigo 7Kデジタル印刷機2台同時導入!ビジネス成長の秘訣を探る【後編】

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株式会社サンワは、基盤とする複写業から一歩進み、品質の高い印刷物で新たな市場にチャレンジするために、2011年4月にHP Indigo 5500デジタル印刷機を導入した。同機導入と共に、特任営業チームを結成。HP Indigoデジタル印刷機専任営業チームの売上は年々2倍3倍に成長し、2018年には会社の売上の1割以上を稼ぎ出すようになる。2023年3月~4月に、HP Indigo 5500デジタル印刷機のリプレースとして、HP Indigo 7Kデジタル印刷機を2台導入。現在HP Indigoデジタル印刷機が生み出す同社の売上は、会社全体の約3割を占める。印刷業界で新たな活路を切り拓き、成長を続けるサンワの秘訣を探る!

前編はこちら

株式会社サンワ
1962年に設立、複写業を基盤としながらも、様々な情報やデータをお客様の望む形態・形式に変え、有効活用を図れる「情報活用サービス」として提供する。飯田橋に本社を構え、お客様の立場で考える「お客様中心主義」と、社員一人ひとりが誇りを持って夢や将来を語れる「社員中心主義」を基本理念に掲げる。

代表取締役社長 山根 章 氏(文中表記:山根氏(社))
営業本部 営業2部 次長 鈴木 直人 氏(文中表記:鈴木氏(営))
生産部 次長 落合 直之 氏 (文中表記:落合氏(生))

デジタル印刷ビジネスで継続的な成長を続けるサンワの秘訣を探る!

――デジタル印刷でビジネス成長を遂げている御社の強みはどこにあるのでしょうか?

山根氏(社):いや、他社と比べてそんなに違いはないと思うんですよね(笑)。強いていうなら立地でしょうか?

鈴木氏(営):東京の飯田橋に会社があるという「エリアの強み」は確かにあると思います。お客様も、都心の繁華街に集中しているケースが多く、営業でどこに行くにも楽ですね。

営業的な強みとしては、やはり印刷機の魅力が大きいのではないでしょうか。HP Indigo 7Kデジタル印刷機を持っていること自体が強みです。なので、最近はHP Indigoデジタル印刷機を導入している会社が増えているのが心配です(笑)。入社した当初は、HP Indigoデジタル印刷機は、私の知る限りで都内に5台しかありませんでした。5台のうちの1台がサンワでしたから、Indigoを持っていること自体が差別化だったわけです。もともと同じ業界で営業をやっていましたから、5台しかないことで優位に立てるだろうという見込みはありました。

HP Indigoデジタル印刷機では、ピンポイントでターゲットを絞ったビジネスをしていること、アプリケーションが定まっていることなどが、ビジネスが成長しているポイントかもしれません。当社の場合、HP Indigoデジタル印刷機 × コンテンツビジネス × 立地というのが強みにつながっていると思います。

――HP Indigoデジタル印刷機特任のチームの成果はいかがですか?

山根氏(社):専任チームは、どんな商品が適しているかを模索し、サンプルづくりからお客様への提案までを実施し、期待通りの実績を出してくれています。HP Indigoデジタル印刷機の価値を理解していれば営業成果は出せると思いますが、旧来の印刷の考え方が抜けないと新しい発想に転換しづらいので、むしろ印刷業界に関係ない人が営業に向いているのかもしれません。

鈴木氏(営):お客様先への提案は、訴求ポイントがクリアなので回数をこなせば慣れていきます。若手も、1年ほど営業の勉強をすれば、2年目くらいからは飛び込みで新しいお客様を見つけてきますね。

現在、HP Indigoデジタル印刷機の営業チームの売上は、会社全体の3割くらいを占めています。今後も成長が見込めるので、HP Indigoデジタル印刷機が、将来の会社の成長をドライブするようになればいいな、と。

この仕事に就いて12年、もちろん苦労も多くありましたが、こと営業に関しては辛いということはありませんでした。サンワは仕事がやりやすいというのも理由のひとつですね。ルールでがんじがらめにならず、先代も今の代表も、やりたいことを相談すると融通をきかせて柔軟に動いてくれました。

――働きやすい環境というのは、制度としても整備されているのでしょうか?

鈴木氏(営):そうですね。出社時間も、8時、9時、10時と3パターンから選べるようになっています。お客様によっては朝が遅く、夜も遅いケースもあるので、時間差の出社ができると、お客様に合わせられ、かつ通勤ストレスも劇的に軽減されます。作業内容によっては在宅でも仕事ができますし、営業用に小回りの利く自転車が欲しいとなれば購入してもらえたり、出先で自転車のレンタルを活用したりと、多彩で柔軟な働き方を積極的に支援してくれます。

山根氏(社):社員の多彩な働き方の実現は、以前から力を入れてきた分野です。ひと昔前は、業界の中でも、会社に合わなければ新たな人を採用すればいいというような風潮もありましたが、今はこれだけの人材難です。会社のやり方や方針を理解して働いてくれる人たちの貴重さを身に染みて感じています。社員がいかに働きやすく、やりがいを感じてくれるか、それを実現するために、毎年目標を明確にして形にするようにしています。コロナ禍はいいきっかけになり、在宅勤務や時差出勤の制度を導入できました。

また、営業が仕事の負担を減らし、十分に力を発揮できるように、営業事務のスタッフを増員したり、見積の効率化をしたり、環境を整備することにも積極的に取り組んでいます。

落合氏(生):製造の観点でも、現場が働きやすいように改善をしています。無駄な紙を発注しないことで、置き場所を取らないようにしたり、加工までの歩く距離を短縮したり。

山根氏(社):事業を拡大し、拠点数が増えていく中では、コミュニケーション不足に陥らないように、どこの拠点も訪問してしっかりと意見を聞くようにしています。あとは、個別にチーム単位でミーティングをするなどして、コミュニケ―ションを図っていきたいですね。

落合氏(生):製造現場でも、朝と昼に対面で顔を見ながら打ち合わせすることによって、コミュニケーションや確認を怠らないようにしています。

――そういった働きやすい環境整備は、経営理念に掲げる「顧客中心主義」、「従業員中心主義」に通じているのかもしれませんね。

鈴木氏(営):そうですね。私が営業として仕事をしていて一番助かっているのは、制作や製造現場の支えだと感じています。営業という仕事は、製造現場から見れば、うるさかったり、時間がなかったり、とにかく負担増なことばかりなんですね。当社は官公庁の仕事が事業のメインですから、私たちの担当するコンテンツ系の仕事は、案件の動き方も、お客様の考えも、仕事をする時間帯も全てが異なり、現場には大きな負担だったはずです。ですが、現場の責任者の3人は、営業が無理難題を言い出しても、まず受け止めて話を聞いてくれる。口では厳しいことを言っても、みな営業の理解も深く、クッションとなって現場をうまく調整してくれるので本当に感謝しています。

どこの会社も、制作と営業や、製造と営業というのは、常に揉めたりいがみ合ったりという関係が多いものですが、サンワは制作チームも製造チームも、ビジネスを伸ばしていこうという共通の意識があって、応援して協力をしてくれる。営業として働きやすいと思うのは、そこですね。その分、自分たちは仕事を取ってきて目標をクリアすることで、会社の推進力にならなければと思います。人を大事にするというのが浸透している会社だからこそ、長くやりがいを持って仕事ができるのでしょう。

山根氏(社):社員がいきいきと働けてはじめてお客様の立場に立った真摯な対応ができるのだと思います。他の会社が断るようなことでも、相談に乗って、できるだけお客様のご要望を満たす、当社のそんなところもお客様に評価されているのかもしれません。

――2023年1月に森下ファクトリーを開設し、株式会社いなみつとの共同工場を設立されました。その経緯や目的、今後の展望など教えてください。

山根氏(社):いなみつさんとは父の代から長い付き合いがあり、互いの事業への理解が深く、取り組みたい仕事の方向性も同じでした。この先もこの業界で生存していくために、新しい取り組みや省力化を2社で協力してやろうと考えたのです。

1社では発想にも限界がありますから、他社と協力してビジネスを拡張したいという想いは常々ありました。どのように形にしようかと考えていた時に、いなみつの工場移転の話を聞いたのです。お互い工場の場所を探している中、江東区の森下に移転地を見つけ、一緒にやりませんか?と声を掛けました。営業や生産の機密も共有することになりますから、互いに守りながらやっていけるか、印刷機も同じようなものが複数あるので将来的にシェアできるかなど、場所、人、機械、今後のことを話し合い、できると判断しました。いなみつさんも即答でしたね。決めてからは早かったです。

工場のレイアウトと運用方法は4月から整備していく予定です。最初は、会社でエリアを分けてしまったので、年度末に向けて入れ替えを計画し、融合していきます。そうなれば、スペースも出てきますし、機械のシェアができれば自然と人のシェアもできるようになります。お互いが繁忙期や人が足りない時に手伝えますし、作業負担も軽減できるでしょう。2社の人財が混ざり合い、議論することで良いアイデアが出ることも期待しています。昨今、製造現場は採用が難しくなっていますが、印刷機をシェアしたり、仕事を共有したりすることで、それぞれにオペレーションができる人材も増えていきます。オペレーターは、異なる経験値を積むことで、スキルもやりがいも上がり、お互いのメリットになると考えます。

いなみつさんは、メディア事業を伸ばそうとしているので、当社も協調したり、逆にいなみつさんがうちの名刺で営業してくれたり、既にシナジーが生まれています。先方のオフセットのオペレーターが当社に半年程滞在して、大判印刷機のスキルを習得するなど、多能工な人材が増える環境も作っています。

――印刷業がこれから数年で迎えるであろう課題やハードルに対して、どのような挑戦をしていきますか?

山根氏(社):今後、大量の紙の印刷物が必要とされなくなる中で、オフセット機は確実に減っていくでしょう。そうなった時に、少量からオンデマンドで印刷できるものが求められますが、品質も含めて世の中のニーズに応えるにはHP Indigoデジタル印刷機が合うのだと感じます。他のPOD機は、新しい開発があまりされていませんから、選択肢はどんどんなくなり、HP Indigoデジタル印刷機を利用していることは「正しい選択」だといえます。

2023年にセントルイスで開催されたDscoopでは、アメリカ経済の実情や、印刷会社のサイトビジットで「業務の効率化」を見ることができて、大変刺激を受けました。海外ならではの派手な加工も多く、多色機の可能性としてやってみたいことがたくさん生まれました。包装の分野や加飾など、できることはまだまだたくさんあります。今後、物が減っていく中で、一つひとつの価値を高める必要がありますが、様々な加工を施して他と違う形で表現したり、Webとの親和性を作ることで消費者とサービスをつなげたり、色々な形で取り組んでいきたいですね。その時に活躍するのは、間違いなくHP Indigoデジタル印刷機になるでしょう。

鈴木氏(営):私の営業チームの売上は、現在7億円の規模ですが、4年後には12億円にしたいですね。HP Indigo 7Kデジタル印刷機をメインで動かして、この売上目標を必ず達成したいです。

山根社長は、2018年に、「新しいアイデアと行動力を持ち、デジタルイノベーションできる会社が今後10年後も、その先もビジネスを伸ばしていけるだろう」と語っている。昨年、同社は新しいアイデアを結集しシナジーを生み出すために、株式会社いなみつと提携し、大きな一歩を踏み出した。また、失敗を恐れずに、デジタル印刷機への投資を積極的に行い、時代のニーズに即した商品を生み出す努力を怠らない。その柔軟な思考と行動力は、同社の成長に大きく寄与していると考えられる。さらに、「社員中心主義」という理念に基づいた働きやすい環境づくりや、部門間の強力なチームワークがビジネスの推進力になっているのだろう。山根社長の言葉どおり、印刷業界にはまだまだできることがたくさんある。HPデジタル印刷機は、その一翼を担う大きな存在として、同社にさらなる飛躍をもたらすに違いない。

株式会社いなみつ
1970年創業、モノクロ軽オフセット印刷事業からPOD領域へ事業を拡大。2015年に稲満 信佑 氏が社長に就任後、印刷以外にもシステム提供やコンテンツ制作事業に参入。株式会社サンワの山根社長とは先代からの付き合いがあり、幼少期より相互によく知る間柄。2023年1月より江東区森下に共同運営プロダクションをスタートさせ、次の展開を狙う。

株式会社いなみつ 代表取締役社長 稲満 信佑 氏より
株式会社サンワとは40年以上のお付き合いがあり、山根章社長とは同年代で、価値観も合い深い信頼関係を築いています。山根社長は、積極的に印刷事業の機能拡張への投資をし、攻めの経営をされています。その上、従業員ファーストの姿勢も大変勉強になり、良い刺激を受けています。これから、既存のリソース(人・技術の優位性)が減っていく中で、協業することによってリソースの共有が図れることは大きなメリットになるはずです。いなみつのメディア事業との協業によるシナジーも大いに見込めると考えます。

Dscoop 2023には、山根社長と共に参加しましたが、これからのいなみつが目指す印刷事業の方向性を固める考え方の基礎になりました。参加者のエネルギーに触れ、この業界はまだまだ進化できると改めて感じています。また、「デジタル化 x 仕組み」を入り口として受注する形をしっかりと作る必要性を強く感じました。

※このコンテンツには日本HPの公式見解を示さないものが一部含まれます。また、日本HPのサポート範囲に含まれない内容や、日本HPが推奨する使い方ではないケースが含まれている可能性があります。また、コンテンツ中の固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標ですが、必ずしも「™」や「®」といった商標表示が付記されていません。

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