2022.09.05

業務改善の実践に向けて!フレームワークや実践方法、補助金制度までわかりやすく紹介

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業務改善が必要だとわかっていても、どのように進めれば良いのかつかめていない方も多いでしょう。業務改善にはさまざまなメリットありますが、うまく進めて成果を出すためにはポイントがいくつかあります。本稿では業務改善の基本的解説と共に、フレームワークやITツールの活用、施策例などについて解説します。

1. 業務改善とは? なぜ必要なのか?

そもそも業務改善とは何でしょうか? 定義やその目的について解説します。

① 業務改善とは?

業務改善とは「業務品質を落とさずに既存のプロセスを見直し効率化すること」を言います。業務プロセスの見直しや効率化が必要なのは誰しもが理解しているでしょう。しかし、「業務品質を落とさずに」という点が盲点になりがちです。

いくら効率化しても品質(付加価値)が落ちたのでは、生産性が上がったことにはなりません。業務改善とは生産性を向上させる方法の1つです。生産性とは以下の式で求められます。

生産性 = 産出/投入

この式の内、産出を維持したまま(または向上させつつ)投入を減らすことで生産性を上げるのが業務改善です。

【関連リンク】生産性とは?日本企業の生産性が低い理由や改善への取り組み方をわかりやすく解説
https://jp.ext.hp.com/techdevice/business/mps_sc40_02/

② なぜ業務改善が必要なのか

日本国内における労働人口の減少による人手不足は年々加速しています。人手不足への対処は喫緊の課題と言えるでしょう。人手不足への対処の一環として業務改善により生産性を向上させる必要があるのです。

厚生労働省は業務改善助成金として賃金の引き上げを条件に設備投資のための資金などを助成しています。また、中小企業庁も後述するIT導入補助金やものづくり補助金などで中小企業の生産性を後押ししています。業務改善による生産性向上は日本の国是とも言える状況となっているのです。

③ 業務改革(BPR)との違い

「業務改革」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 業務改善と似ていますが異なる意味の言葉です。

業務改革は部門を横断した会社全体のプロセスや組織体制の根本的な見直しと改革を指します。一方、業務改善は既存のプロセスと組織をできるだけ温存したまま課題点を見つけて効率化していくやり方です。

つまり、業務改革のほうがよりドラスティックで劇的な変化となります。一方、業務改善はすぐに着手できるという側面もあります。

2. 業務改善を行うメリット

業務改善にはさまざまなメリットがあります。

① 金銭的コストの削減

業務改善を実施すると金銭的コストの削減にもなります。たとえばペーパーレス化により、紙、インク、郵便代、保管のための土地コストなどが削減できます。製造業ならば効率化により手戻りが減少し、原材料の無駄遣いやロスも減るため原価率の圧縮にも役立ちます。

② 人材育成コストの削減

業務改善を実施すると人材育成コストの削減にも繋がります。業務改善の過程において不要な業務を洗い出して削減する過程が存在します。この過程においてそもそもの業務プロセスがシンプルになると同時に必要な業務が標準化されます。その結果、OJTの効率が上がりやすく、人材育成コストの削減につながるのです。

③ 時間外労働の削減

企業の活動にはなんとなく続けているだけの無駄な業務も存在します。とくに意味は無いけど目立った弊害も無いからやめる理由が無い、そのような業務です。最初は意味のある業務だったのかもしれませんが、環境の移り変わりやテクノロジーの進歩などで形骸化してしまうケースが多いです。

業務改善はこのような無意味な業務を洗い出して効率化できるメリットがあります。結果的に従業員の労働時間は減る傾向にあります。必然的に時間外労働も削減でき、人件費、光熱費の削減、働き方改革にも寄与します。

④ 付加価値と生産性の向上

業務改善を行うと、無駄な業務が削減されます。余った時間を新規アイデアの創出やリスキリングなど、変化に対応した付加価値を高めるための活動に使えるようになるのです。そうした時間の有効活用を積み重ねることで、限られた時間におけるアウトプットの最大化につながるのです。

⑤ 従業員エンゲージメントの向上

業務改善によって業務が効率化すると、従業員のエンゲージメント向上にもつながります。

無意味だと自覚させてしまうようなルーチンワークに従業員が長く従事していると、その従業員の会社や仕事へのエンゲージメントは低下します。そのような無駄なルーチンワークを自動化したり削減したりして従業員のストレスを取り除いてやるとエンゲージメントが向上しやすいのです。

エンゲージメント向上は生産性向上にも効果があります。エンゲージメントが高まることで、仕事へのモチベーションも高まるからです。その結果、従業員が主体的に動くようになり、パフォーマンスも向上します。

3. 業務改善の進め方とポイント

業務改善の基本的な進め方について解説します。いくつかポイントがあります。

① 業務や業務環境の可視化を行う

業務改善を実施するにあたって、まず現在の業務内容、業務フロー、業務環境の可視化を行います。業務改善の実施に際しては、この可視化が非常に重要です。

従業員ごとに労働時間、業務量、権限などをすべて洗い出し、特定の従業員に負荷が集中したりしていないか確認します。フローチャートなどで業務のプロセスも可視化します。最近では業務を可視化するためのITツールもあります。

また業務で使用しているITツールについても整理しましょう。無駄な契約を一つにまとめることでコスト削減につながるケースもあります。

② 現場とともに課題の設定を行う

現状の可視化に基づき問題点の洗い出しが完了したら、課題の設定を行います。どこが問題なのかを設定し、その問題を解消するのが業務改善の目的となります。

注意点は、従業員の負荷やボトルネックは定量的に測れるとは限らないことです。労働時間は短いが、経験に比して責任が重すぎたり、業務の密度が高すぎたりして疲弊している場合もあります。労働時間だけで判断せず、実際に働きぶりや業務内容をしっかりとヒアリングした上で判断することが重要です。

また目標設定についても、現場の従業員の意見に耳を傾けながら現実的なものを設定しましょう。現場を巻き込むことで、主体的な取り組みを引き出すことにもつながります。

③ 効率化だけでなく業務品質も担保する

先述したように、いくら効率化しても業務品質が落ちてしまったのでは生産性は上がりません。単純に作業を減らしていくだけでなく、その作業を減らすと品質にどう影響が出るのかを考えながら減らしましょう。

そのためには業務品質について、客観的あるいは定量的に測定できる指標を用意することも有効です。

④ 取り組みを評価し次のアクションにつなげる

業務効率化は1回やって終わりではありません。定期的に見直して洗い出しをやり直し、改善し続ける必要があります。また短期的な結果ではなく長期的成果で考える必要があります。PDCAを回しながら理想の形に近づけていく意識が必要です。繰り返しになりますが、その際に重要なのは「生産性の向上」です。あらかじめ立てた目標が達成できているかどうか、を常にウォッチしながら改善を積み重ねていきましょう。

4. アイデアが思いつかないときに使えるフレームワーク

業務改善にはアイデアが必要です。いくら問題のある箇所がわかっていても、改善のための策を思いつかなければ実行に移せません。アイデアが思いつかないときにはフレームワークを使うのも1つの方法です。

① ECRS(イクルス)

ECRS(イクルス)とはEliminate(除去)、Combine(結合)、Rearrange(整理)、Simplify(簡素化)という4つの単語の頭文字を取った造語です。これは業務改善の4つのステップを表します。

Eliminate(除去)とは無駄な作業を削っていくことです。みんな無駄だとわかっているけど、やめる理由も無いから惰性でやっているような作業がどの会社にもあります。それを洗い出して除去するのがEliminateです。

Combine(結合)とは同じような業務をまとめて終わらせてしまうことを言います。似たような業務なら分けてやるよりも一気に終わらせた方が効率が良いからです。

Rearrange(整理)とはやらなければいけない業務の順序を入れ替えて整理することです。

最後のSimplify(簡素化)とは複雑な業務の手順をできるだけシンプルにすることを言います。手順がシンプルなほうが新しい従業員も覚えやすいです。たとえば、会議の議事録を手作業で書くよりも会議を録音したりホワイトボードを写真に撮ったりするほうがミスもなく、早く終わるでしょう。このように手順をどんどん簡素化するのがSimplifyです。

② ロジックツリー(決定木分析)

ロジックツリーとは、問題を要素に分解し、その要素をまた小さい要素に分解し、それを繰り返すことで木構造を作り、問題の構造を分析する手法です。ロジックツリーにもいくつかの種類があります。

・要素分解ツリー → 問題を構成する要素に分解していくロジックツリー

・原因追及ツリー → 問題から原因の枝を伸ばしていくロジックツリー

・問題解決ツリー → 問題から解決策の枝を伸ばしていくロジックツリー

・KPIツリー → KPIを達成するための細かいKPIの枝を伸ばしていくロジックツリー

業務プロセス上のどこが問題なのかを洗い出す際などに、有効活用できます。

③ シックスシグマ

シックスシグマとは、品質管理手法の一種で、製造業でよく使われる手法です。製造業だけではなく、他の業種でも使えるため、幅広く使われています。業務プロセスを統計的に解析して非効率な部分を見つける手法です。

シグマ「σ」は、統計学において標準偏差を意味し、6σとは「100万個の製品のうち不良品が3個から4個」という不良品の確率を表しています。100万分の3個はとてつもなく小さい確率です。

業務プロセスにおいて、まず手戻りやロスの発生確率を測定します。次にそれだけの手戻りやロスが発生している原因を分析します。そして特定できた原因を解消して改善します。最後にもう一度測定し、どれだけ改善されたかを見ます。

このようにして測定と改善を繰り返し、6σに発生確率を近づけていくのです。

5. 具体的な業務改善のアイデアや施策例

業務改善に役立つアイデアや施策例をご紹介します。

① マニュアル作成

シンプルですが効果がある施策です。マニュアル作成の良い点は作成段階において必然的に業務を可視化する必要がある点です。マニュアルを作り終わったときには業務の可視化も終わっているのです。逆に業務改善における業務の可視化で出た成果物を、マニュアルの参考資料にする方法もあるでしょう。

② BPO

BPOとはビジネス・プロセス・アウトソーシングの頭文字を取ったものです。特定業務をまるごと外部に業務委託(アウトソース)します。例えば経理業務のアウトソースや、採用業務のアウトソースなどがあります。BPOによって、ルーティン業務などをアウトソースし、コア業務に専念できるようになります。注意点としては、却ってコストが嵩んでしまうリスクがある点です。BPOによってトータルで生産性が向上しているかどうかを、常にチェックするようにしましょう。

③ AI-OCR+RPA

AI-OCRとRPAを組み合わせて、紙の書類の処理を自動化します。AI-OCRとは紙の書類をスキャンした画像を読み取り、テキスト情報に変換してくれるツールです。そしてRPAとは抽出や入力作業を自動化してくれるツールになります。これらを組み合わせることで、たとえば紙の納品伝票の読み取りから会計システムへの入力まで自動化できるのです。AI-OCR+RPAに限らず、業務改善にはITツールの導入が非常に重要です。

④ MPS

マネージドプリントサービス(MPS)とは、企業における印刷や印刷環境に対して、サービス、ソフトウェア、ハードウェア、そしてサプライの面から包括的にサポートするソリューションです。ビジネス上で常に生じる印刷業務はインクカートリッジなど大量の消耗品を必要とする作業です。またそれらの消耗品や機器の管理にも人的コストがかかっています。これらを包括的に効率化し、業務改善していくことで直接見えるコスト削減だけでなく、管理費などの間接的なコストも削減できます。

6. 業務改善に役立つ補助金

業務改善には国から補助金が出ます。自社に合った補助金を効果的に活用しましょう。

① 業務改善助成金

中小企業・小規模事業者を対象とし、生産性向上を支援する助成金です。生産性向上のための設備の導入、人材育成や教育訓練、コンサルティングの導入などに使えます。ただし、助成には条件があり、事業所内で最も低い賃金を引き上げることが必須となります。助成上限額は賃金の引き上げ額に応じて30万円〜600万円まで幅があります。

参考:業務改善助成金│厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

② IT導入補助金

中小企業・小規模事業者を対象とし、業務改善や売上アップのためのITツールの導入費用の一部を補助してくれる補助金です。ソフトウェアのライセンス購入費用やクラウドサービスの利用料などが対象となります。補助金の上限額は30万円〜450万円です。

参考:IT導入補助金│独立行政法人中小企業基盤整備機構
https://www.it-hojo.jp/

③ ものづくり補助金

ものづくり補助金は中小企業・小規模事業者を対象とし、生産性向上を支援するための補助金です。その名称から製造業にしか使えないと誤解されがちですが、正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」であり、すべての業種で利用可能です。物理的な設備だけでなく、ITツールやソフトウェアの導入にも利用できるので、業務改善に利用しましょう。

参考:ものづくり補助金│全国中小企業団体中央会
https://portal.monodukuri-hojo.jp/

④ 小規模事業者持続化補助金

商工会議所の支援の下で、小規模事業者の生産性向上の取り組みを補助するための補助金です。新しい販路開拓などに使うように想定された補助金ですが、業務効率化やITの活用にも使えます。補助上限は50万円〜200万円です。

参考:小規模事業者持続化補助金│全国商工会連合会
https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_gaidobook.pdf

7. まとめ:まずは業務の可視化からはじめよう

業務改善は生産性向上のための取り組みの一環であり、さまざまな効果をもたらします。また、各企業の目的設定によっては取り組み内容も変化します。ただ、どのような業務改善を実施するとしても、入口におけるポイントは業務や業務フロー、そして業務環境の可視化です。現状の可視化なくして成功はないといっても過言ではありません。企業の生産性向上を実現するには、この可視化から始まるMPSなどの効果的なツールをうまく利用しながら始めていきましょう。

【関連リンク】HP MPSで実現するハイブリッドワーク時代の印刷環境づくり
https://jp.ext.hp.com/techdevice/business/coreprint70_03/

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