2022.06.28

HP MPSで実現するハイブリッドワーク時代の印刷環境づくり

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満員電車に乗り、9時から18時までオフィスで週5日働く――コロナ禍以前の一律的な働き方に少しずつだが戻りつつある今。私たちは、せっかく手にした柔軟で生産性の高い働き方までなぜ手放そうとしているのだろうか?

たしかにテレワークには、多くのメリットを享受できた一方で、コラボレーションが難しい、孤独感が増す、運動不足になりやすいなどのデメリットはあった。しかし、オフィスだけで働くという働き方は、そもそも多大なる通勤ストレスや無駄の多い移動時間、集中した環境がつくりにくいなどの問題も抱えていた。

ここ2年以上に渡って経験したテレワークで得られたメリットを最大限に享受しながら、デメリットを最小限に留めていけば、より生産性の高い働き方が実現するはずだ。また、自由な働き方を提供すると、雇用の確保を促進し、より多様な人材を登用することができ、従業員の満足度もあげられる。

そこで注目されるのが、テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」である。もっともパフォーマンスを発揮しやすい働き方や働く場所は、会社側が決めるのではなく社員側が自分の特性にあわせて選択する時代が来ている。

この記事ではハイブリッドワークの効果と、ハイブリックワーク時に生産性を最大限に高められるオフィスや印刷環境の在り方について考えたい。

1.もう戻れない、感染症拡大の経験を経て変わりゆく働き方

2年以上に渡って世界中に広がった感染症によりテレワークを経験した人は多いだろう。2020年の初期段階においては、感染症対策のために完全な在宅勤務を実施するケースがほとんどだった。その際に一部分ではなく、フル在宅勤務を経験したことで、そのメリット・デメリットを体感できたことは、これからの働き方を考えるうえで大きな意味を持つ。それにより、私たちの働き方も変化を遂げようとしているからだ。

では、働き方の何が具体的に変わりつつあるのだろうか? ここ数年における世の中の風潮を分析すると、次の3つになるだろう。

  • ・働き方の多様化
  • ・災害リスクへの対策と事業継続性の確保
  • ・健康経営の促進(ウェルビーイング)

働き方の多様化ニーズに応じることは、就業機会の拡大や意欲・能力の発揮につながる。コロナ禍で在宅勤務をはじめとする柔軟な働き方を経験したことで、働き方の多様化に応える動きはより加速したといえる。

また、今回突然訪れた感染症拡大のように長期継続するリスクと直面したことで、事業継続性(BCP)の考え方が変わった。これまでは、地震や台風といった比較的短期的な災害リスクにどう向き合うかが事業継続を考えるうえでのテーマだった。

しかし今回はこれまでと違い、長期化する災害の中でどう経営を継続させるかが課題となった。収束が予測できない中・長期的なリスクに備え、社員それぞれが離れた場所にいながら業務を完結できる環境構築が求められている。

健康経営にも注目が集まっている。広い意味では、社員のウェルビーイング(心身や社会的な幸福)を実現することと捉えてもよいだろう。たとえば、ラッシュ時の満員電車に何十分も揺られなければいけない通勤を、苦痛と感じない社員はどれくらいいるだろうか?

働く時間帯や場所、休暇の取り方も、個人がより高い生産性を発揮できるような、それぞれに最適なスタイルがあるはずだ。生産性を高めるために企業が達成を目指すべき項目の1つが、ウェルビーイングなのだ。

そんな中、ここ数年否応なしに完全在宅勤務を経験したからこそ、新たな働き方のメリット・デメリットに気付くことができた。それと同時に、オフィス勤務のメリット・デメリットも見直すきっかけになったはずだ。

・完全在宅勤務のメリット:

オンラインで業務を完結でき、作業に集中しやすい。社員自身の裁量による柔軟な働き方ができる。

・完全在宅勤務のデメリット:

孤独感や寂りょう感が増す。雑談など対面によるコミュニケーションができず効果的な協業や新しい商談の機会が減少する。

・オフィス勤務のメリット:

偶発的なコミュニケーションや協業が生まれやすく、多様な意見交換からイノベーションを創出しやすい。

・オフィス勤務のデメリット:

移動時間が多く、画一的な働き方になりやすい。多様な人材確保やデジタルワークフローへの移行が進みづらい。

孤独感や雑談の減少による相互理解不足といった完全在宅勤務におけるデメリットは、無視できるものではない。だが、オフィス勤務を部分的に取り入れることである程度まで解消できる。加えて、デジタルテクノロジーを活用することで、オンラインとオフラインをより円滑につなぐ環境を構築しやすくなっている。

今深く考えなければならないのは、満員電車に乗って同じ時間に全員が高いストレスをもって通勤し、週5働く一律的な働き方にわざわざ「戻る」必要があるのか、ということだ。

完全在宅勤務とオフィス勤務の両者ともにメリットとデメリットがあるのであれば、両者のいいところどりをして、デメリットは最小限に留める工夫をすれば、全体の生産性を最大化できるのではないだろうか?

※1:出典:BIGLOBE「ニューノーマルの働き方に関する調査」
20代の学生300人を対象にインターネット調査を実施
調査日:2020年9月10日~9月14日
https://www.biglobe.co.jp/pressroom/info/2020/10/201022-1

※2:出典:日本HPが実施した顧客向けオンライン調査
従業員規模1000人以下の企業500社を対象に調査
調査月:2020年11月

※3:出典:ザイマックス総研によるメール調査
首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の1,005社が回答
調査月:2021年1月27日~2月5日
https://soken.xymax.co.jp/2021/03/22/2103-workplace_strategy/

実際に、「コロナ後もテレワークを含む柔軟な働き方を続けたい」と回答した社員の割合は89%に上っている。コロナ禍を経て、新しい働き方がいよいよ定着しつつある中で、「もう元の働き方には戻りたくない」という一般社員が大多数なのだ。

マネジメント層の役割のひとつが、社員のパフォーマンスを最大化することと考えれば、ハイブリッドワークへ移行して生産性を高めた方がよい。確かに部下とコミュニケーションがとりづらいと感じるかもしれないが、まず社員のパフォーマンス最大化を実現したうえで、コミュニケーションのとり方も変化させることで問題の解決につなげていくべきだ。

社員側も、自分のパフォーマンスを最大化する働き方を客観的に考え、会社側に提案しながら、話し合っていくことも重要である。それによってよりよい方向へと進化できる組織が増えていくはずだ。これからは、働き方は会社が決めるのではなく、社員側が生産性向上を共通目標にし、自分で選択していくことが求められる。

これらの状況を解決し、新しい時代へと向かうために、オフィス勤務とテレワーク双方のいいところ取りをするハイブリッドワークに注目が集まっている。そこで重要になるのが、テレワーク環境の充実とオフィス価値の見直しだ。

2.オフィスが「イノベーション創出の場」であるべき理由

否応なしに完全在宅勤務を経験したことで、私たちはオフィスのある重要な価値に気付いた。それは、会議などに収まらない雑談やちょっとしたコミュニケーション、そしてイノベーション創出の源泉となる協働作業の場のつくりやすさだ。

多くの人が、自分ひとりで担当するあらゆる仕事がリモートでも十分できることを体感したはずだ。むしろ、そちらのほうが集中しやすいという声も多く、集中して行う作業における生産性が高まるのは、必ずしもオフィスではないことがわかった。

しかしながら、雑談などによるアンオフィシャルな会話による相互理解や、インタラクティブに進みながらアイデアを創造するような協業やお互いの熱意を感じながらの仕事は、オフラインならではのコミュニケーションが適している。決められた会議メンバーが一定の時間で効率的に会話するオンライン空間は、自分ひとりの枠を超えたアイデアが生まれづらい環境なのである。

ひとりの仕事自体は集中してできる環境を整えたうえで、そこから生まれる情報伝達については、デジタル化を進めてオンラインだけでも行えるようにし、オフィスはイノベーションを創出する場として再設計するのが最適解といえる。また、オフラインでの議論や交流によるコミュニティにより帰属意識が醸成されていくことは、会社という組織にとってはまた重要なことでもある。

3.ハイブリッドワークへの対応が経営目的の達成に

ハイブリッドワークのもうひとつの課題について触れたい。電子化や電子的な業務フローが進んでいくことは歓迎すべきだが、営業職やサポート職など、とくにお客様先に出向く仕事ではどうしても、紙を用いたお客様との商談やコミュニケーションが今後も継続することに留意する必要がある。

ハイブリッドワークに向かっていく結果、自宅でも印刷の必要が出てくる。しかしながら、セキュリティ上のリスクから、自宅での印刷をすべて禁止にしてしまう企業も多いのではないだろうか。ただそれは、お客様との接点構築力や相互理解が弱まり、場合によってはクレームにもつながりかねない。また、いくら禁止しても、どうしても必要な場合はコンビニや自宅で印刷する社員の行為自体は発生し、それを責めることはできない。

どうすれば在宅勤務時でも利用者・管理者ともにストレスのない印刷環境を構築できるだろうか。一方、ハイブリッドワークによって出社比率の下がったオフィスの印刷環境は、どう最適化すべきだろうか。この2つの観点で印刷環境の見直しが必要となる。

印刷環境を検討する際、企業の経営テーマに沿って考えることで全体最適が図れる。ハイブリッドな印刷環境を構築することで達成できる経営目的は以下の4つだ。

  • ・働き方の多様性確保:多様化する印刷の実施場所にあわせた印刷環境の最適化
  • ・生産性向上の担保:オフィスでも自宅でも快適に印刷でき、スムーズな業務遂行や意思決定を支援
  • ・リスク管理:印刷機を含むデバイスレベルでのセキュリティ対策やワークフローのデジタル化による事業継続性の担保
  • ・環境対応:印刷量の見える化と最適化によるCO2削減への貢献

この4つを充実させるために、印刷環境においてどのような対応が必要だろうか? まずは、プリンターや複合機などデバイスを最適な数・配置にすることが求められる。出社比率の下がったオフィスでは無駄な機器を削減したり、自宅勤務時に適したPCやプリンターなどのデバイスを貸与したりする必要もあるだろう。

生産性向上に見合った業務フローの構築も必要だ。ネットワークにつながる以上、印刷機器にもセキュリティ対策が必須となるほか、CO2の削減を達成するために印刷量や電力使用量を見える化していきたい。

これら印刷環境の最適化は、工場や店舗などにも応用ができる。離れた場所で働く社員がそれぞれパフォーマンスの高まる働き方をしながら、印刷機器のセキュリティ対策も行い、サステナビリティにも対応する。ハイブリッドワークを実現しながら、オフィス環境と印刷環境をともに見直すことが重要だといえる。

では、どのように印刷環境をハイブリッドワークに最適化すれば良いのだろうか? これには明確なアプローチがある。

  • 1.現在の印刷環境の測定と把握
  • 2.あるべき印刷環境計画
  • 3.印刷環境の再構築
  • 4.可視化された状況構築による環境の把握と改善の継続

まず、印刷環境の現状を把握する。そのうえで、あるべき印刷環境について考えることが必要だ。また、事業の内容や、世の中の状況変化によってオフィスや働き方のあるべき姿は変わるため、企業の方針が明確でなければならない。

このとき、働き方の多様性確保やDXの実践といった全社的テーマを念頭に置きながら、ハイブリッドワークにおける印刷環境のあるべき姿を設計していく。さらには、在宅で働く社員の自宅や店舗、工場などといったオフィス以外の印刷環境も最適化していく必要があるだろう。事業活動の最前線である店舗・工場のデバイスはセキュリティ脅威にさらされやすいため、対策も必須となる。

そうした設計にもとづき、デバイスの最適配置をはじめとする印刷環境の再構築を行う。印刷環境の再構築により可視化された印刷環境と利用状況は、つねに把握をし、改善を継続できるようになる。

4.印刷環境をめぐるセキュリティリスクの高まりと取るべき対策

現在、全世界でサイバー攻撃の件数が急激に増加している。その中で多いのが、エンドポイント(デバイス)を狙った攻撃である。デバイスやシステムの動作を担うOSやファームウエアが改ざんされたり、エンドポイントを経由してサーバーに侵入されたりする手口が増えている。

攻撃を感知されないよう、監視の目が行き届きづらいエンドポイントが狙われやすくなっているのだ。大手企業のネットワークに侵入するために中小企業のネットワークが踏み台にされる、本社への侵入経路として店舗や工場のデバイスが狙われるような例も増えている。

そんな中にあって、印刷機器のセキュリティ対策はとくに見落とされがちだ。プリンターにセキュリティリスクがあると認識している企業は16%に留まる。

また、在宅勤務時のセキュリティを担保する場合、セキュリティ対策を講じた印刷機器を企業から社員に貸与するのが望ましいだろう。そうして印刷機器にセキュリティ対策を講じたうえで、セキュリティリスクを常時監視・対策できる印刷環境を構築する必要がある。

5.ハイブリッドワークに対応したHP MPS

HP MPS(マネージドプリントサービス)では、印刷機器の提供をはじめ、サプライ品の補充や印刷状況の管理などを一括したサービスを提供している。最適な印刷機器の選定から利用の開始、印刷状況の可視化、契約終了に至るまでのフロー全体をサービスとして契約、提供する形になる。機器の利用料やサプライ品のコスト、印刷状況のコンサルティングサービスまで含め、月額で課金されるソリューションだ。HP MPSで提供される印刷機器には、オフィス向けとテレワーク向けそれぞれにエンドポイントセキュリティ機能が搭載されている。

・オフィス向け印刷機器に搭載:HP WOLF ENTERPRISE SECURITY

オフィス向けのエンタープライズシリーズには、HP WOLF ENTERPRISE SECURITYを搭載。プリンター本体のBIOSからネットワークに至るすべての階層で、保護機能と自動で復元する機能を搭載し、「世界で最も安全なプリンター(※)」である。ネットワークをつねに監視しており、攻撃や不正アクセスなどを感知した場合は、印刷機器自体に再起動をかけて対策をする。

HPの最先端組み込みセキュリティ機能は、HP FutureSmartファームウェア4.5以上を搭載したHP EnterpriseおよびHP Managedデバイスで利用可能です。この文言・表現は2019年に公開された同クラスの競合プリンターの機能を米国HP Inc.が調査した結果に基づきます。デバイスのサイバーレジリエンスに関するNIST SP 800-193ガイドラインに沿って、攻撃を自動的に検知、停止し、自己回復型のリブートで回復する一連のセキュリティ機能を標準装備しているのはHPだけです。

・在宅勤務向け印刷機器に搭載:HP WOLF Pro SECURITY

在宅勤務用のインクジェットプリンターにも、HP WOLF Pro SECURITYを搭載。起動時にロードするコードの整合性を確認し、メモリの書き換えやファームウエアへの侵入といった手口から印刷機器を守る機能が用意されている。

・テレワークに特化したサブスクリプションサービス:HPフレックスワーカー

HP MPSでは、社員の自宅の印刷環境を企業が提供するサービス「HP フレックスワーカー」を展開している。プリンター機器は企業から社員に貸与し、サプライ品は社員の自宅へ必要に応じて配送するサービスだ。

印刷機器は情報セキュリティが守られるほか、関連するアプリのインストールにより必要な機能も追加できる。サプライ品もHPからワーカーの自宅へ配送されるので企業側の発注負担がない。

貸与する印刷機器はもちろんサービス内容は必要に応じて変更が可能であり、テレワーカーの印刷環境をつねに最新で最適なものに更新していくことができる。このようにハイブリッドワークに対応した印刷環境を提供できるメーカーは、HPのみだ(※)。

※2022年6月現在

・HP MPS契約までのフロー

HP MPSの導入はまず、現状把握と最適な印刷環境のシミュレーションから行う。HP MPSを導入した後も、エキスパートによる印刷環境の定期的なレビューが継続される。お客様ごとにカスタマイズしたオーダーメイドの契約にはじまり、利用を開始した後も支援を伴走させていただく。最初のアセスメント(環境測定、評価)により現在の印刷環境の状況を明らかにするため、それだけでも印刷環境の現状を知っていただけるメリットがある。

・まとめ:ハイブリッドな印刷環境づくりからHPが目指すもの

感染症拡大と共に完全在宅勤務を経験したことで、イノベーション創出の場所というオフィスの価値も再認識された。これからは、テレワークのメリットを享受しながらオフィスをイノベーション創出に特化した場・コミュニティとして再設計していく、ハイブリッドワークが浸透していくだろう。

ハイブリッドワークにより働き方の多様性を確保し、事業継続性の担保をする。セキュリティ対策を行ったうえで、働く場所は社員側が自分の仕事にあわせて選択できることが望ましい。

HPでは、ハイブリッドワークへの移行を支援することで、お客様の生産性を最大化し、多様性を確保、そしてサステナビリティの実践に貢献できればと考えている。ぜひ一度、印刷環境アセスメントを検討してみてほしい。

下記必要事項を記入の上、ボタンを押してください。

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