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誓願寺門前図屏風プロジェクト 導入事例

保護する歴史から活用される歴史へ
デジタル化が実現した
洛中洛外図の新しい可能性

- 誓願寺門前図屏風プロジェクト

立命館大学アート・リサーチセンター 文学部地域研究学域地理学専攻・文学研究科行動文化情報学専攻文化情報専修 教授・博士(理学)矢野桂司氏

立命館大学アート・リサーチセンター
文学部地域研究学域地理学専攻・
文学研究科行動文化情報学専攻文化情報専修
教授・博士(理学)矢野桂司氏

日本における過去の庶民の暮らしを描いた「洛中洛外図」。当時の町並みと人物を日本特有の色使いで事細かに表現しているそれは、歴史的にも貴重であり、いまだに多くの現代人の想像を掻き立ててやまない魅力ある作品だ。そんな洛中洛外図の中でも京都文化博物館が所有する『誓願寺門前図屏風』を題材にした新しい展示方法が大きな話題となっている。

プロジェクトに関わった、立命館大学アート・リサーチセンター、京都文化博物館、NTTコミュニケーション科学基礎研究所に話を伺った。

行われたアプローチ

  • 新技術の導入でデジタル化を実現
  • デジタルデバイス、複製品、実物の横断的観察
  • 高性能大判プリンターによる短期間での高品質印刷の実現

所蔵の絵画の新しい見せ方

日本全国に約170点、海外に約30点あるとされる洛中洛外図。その多くは戦国時代から江戸時代にかけて、京都の市街地とその周辺の町並みや風俗を描いており、当時の暮らしをよく知るための文化史的な側面はもちろん、作画や色使いなどの美術史的、建築史的な価値など、多くの魅力を持つ作品としてよく知られている。

「京都の歴史を振り返るというテーマで洛中洛外図や当時の地図などを中心に展覧会を開いたとき、当館が所有する『誓願寺門前図屏風』も展示物に含まれていました。せっかくの機会ですから、屏風絵をこれまでとは違う見せ方はできないかと思うようになりました」と、かつて日本の中心だった京都の三条通りに拠点を構える京都文化博物館の西山氏は語る。

洛中洛外図に描かれている人物などはとても小さい。さらに年月を経ることで変質してしまった部分が重なってしまったり、表面が欠損している部分があったりもする。さらに展覧会では作品保護の観点からケースにしまわれ、光量が低い中での展示となるケースも少なくない。

従来の展示方法は、細かい部分をじっくり見ることが難しく、大量の情報が描かれている洛中洛外図のすべてを来場者が観察できるというわけではなかったのだ。「そこで歴史ある絵画や地図をデジタル化する試みをしている立命館大学の矢野教授に相談したのです」と西山氏は語る。

都文化博物館 学芸課学芸員(歴史)西山剛氏

京都文化博物館 学芸課 学芸員(歴史)西山剛氏

文化財のデジタル化を推進

立命館大学にある「立命館大学アート・リサーチセンター(ARC)」は、有形無形の文化財をデジタル化して他組織と共有しながら新たな視野を創造する「デジタル・ヒューマニティーズ研究」を追及している。「私の担当する領域は地理学なので、洛中洛外図は絵画と地理の結びつきとして空間的な視点から注目していました」と語るのは、ARCで文学部地理学専攻および文学研究科行動文化情報学専攻文化情報専修を兼任する矢野氏だ。

同氏の研究には古い時代の地図と現在のデジタル地図とを合わせ比較検討をおこなう歴史GISも含まれる。地理学的なアプローチに加え、当時の風習や習慣、文化を吸収していく研究だ。「古い時代の絵画や地図を超高精細にスキャンしてデジタル化する方法にはいくつかあります。現在、最先端の技術を持っているのがNTTコミュニケーション科学基礎研究所なので、そこの技術が役に立つのではないかと協力を依頼しました」と矢野氏は語る。日本画の場合、使われている顔料の他に金箔などを施すケースが多いこともあり、色合いの分析が非常に難しい。それに対して、同研究所では特に研究が進んでいる。

「スキャニングで取り込む色というのは通常であればRGB方式、すなわち3色に分解したものが使われます。もっと細かく分解するには波長レベルで記録できる6色分解、9色分解などを用いればよいのです」とNTTコミュニケーション科学基礎研究所の土田氏は語る。さらに洛中洛外図のような古い資料の場合、照明の角度や種類も考慮し、これを描いた作者が本来見せたかった色合いを再現することも視野に入れている。これに赤外線による撮影を組み合わせることで、表面に描かれた絵とは別に、下書きされた線も可視化できる。これは部分的な破損など作品を復元する際にも応用が可能な技術だ。

スキャンには高精細撮影が可能なデジタルカメラが用いられるが、同研究所によって独自開発された専用フィルタを介して行われる。「撮影するデジタルカメラは市販品です。これに6バンド撮影用フィルタと赤外カットフィルタ、赤外透過フィルタを組み合わせて撮影します。また高精細撮影は、イメージ的には広い風景を撮影するためのパノラマ写真のように、分割して撮影した複数の画像を組み合わせる感覚ですね」と土田氏。NTTコミュニケーション科学基礎研究所では、6色分解されたデジタルデータを管理できるソフトウェアを開発している。6色そのままで研究に用いるケースはもちろん、一般用にRGB形式へと変換したデータも生成できる。「そこで、色の再現能力が高い大判プリンターを用いれば、高品質なレプリカの作成も行えます」と土田氏。こうして3者はプロジェクトを進めるうえで研究成果の検証に必要な高性能大判プリンターの選定に入ることになった。

NTTコミュニケーション科学基礎研究所 メディア情報研究部 メディア認識研究グループ 研究主任 土田勝氏

NTTコミュニケーション科学基礎研究所
メディア情報研究部 メディア認識研究グループ
研究主任 土田勝氏

スキャンに用いた高精細マルチバンドカメラ

スキャンに用いた高精細マルチバンドカメラ

大判プリンターの最高峰が実現するハイクオリティ

歴史的、あるいは研究資料として価値の高い絵画のイメージを損なわず再現できる高品質な大判プリンターは多くはない。「この分野ではHPが一番だと思います。そこでHP DesignJetZ6800を使ってレプリカを印刷することにしました」と矢野氏。

HPの大判グラフィックプリンターの中でもフラッグシップとなる60インチ8色高速フォトモデルで、新開発されたHP Vividフォトインクの採用や、高度なカラーマネジメント機能を提供する内蔵分光測光器を搭載するなどの先進機能で、銀塩写真と同等の印刷品質を実現しているのが特長だ。「実物では飾りが施されている枠部分なども同じように立体的に見えるぐらいの品質で再現されていますから驚きました」と印刷されたレプリカを目にしながら語る土田氏。

「短い制作期間を考えたら、十分すぎるほどの再現度だと思います。もちろん、オリジナルと比較して色調の再現が難しそうな部分が無いわけではありません。しかし、ここも調整しながら出力するなどができれば克服できるでしょうし、私としてはこの品質であれば複製としての面白さも感じます」と西山氏はいう。

本物では不可能な展示方法、例えば大勢に子供たち一緒に観察しやすくするため床に置くといった方法や、手で触れることができるように展示するなどは実物では難しいが、複製であれば可能になる。ほかにも印刷対象の幅広さ、例えば紙だけでなく布などにも印刷できるのは、応用範囲の広さにもつながる。オリジナルに忠実で、鑑賞に十分耐えられる高画質印刷が、幅広い対象に素早く印刷できるメリットは、今後の展示方法に大きな可能性を残しているといえる。

HP DesignJet Z6800で作成されたレプリカ 誓願寺門前図屏風

誓願寺門前図屏風

HP DesignJet Z6800で作成されたレプリカ

HP DesignJet Z6800で作成されたレプリカ

保護する資料から活用される作品へ

デジタル化され、HP 大判プリンターによって印刷された高品質の複製2点は、2015年3月に開催された「都を描く - 洛中洛外図の時代-」にて公開され、誓願寺門前図屏風はデジタル化されたメリットを活かし、実に効果的な展覧を実現した。展示されている実物の隣に大型のタッチディスプレイを設置し、そこでデジタル画像を検索し作品の詳細解説を見ることができるのだ。現在ではこの機能はさらに進化し、来場者がタブレットPCやスマートフォンを手に屏風絵を観察、気になった部分があればカメラを合わせて写真を撮影する。

撮影された画像はNTTコミュニケーション科学基礎研究所が持つ画像検索技術によりデータベースと照合され、登録されている該当部分の解説と高精細画像がポップアップ表示される。また赤外画像が登録されていればカラー画像と重ねたり、並べて比較したりする機能もあり、こちらも好評を得ている。

来場者は、複製品とオリジナルを間近で眺め、液晶に表示された解説や赤外画像で知識を得ることができる。これまで駆け足で閲覧するしかなかった作品をオリジナル、レプリカ、デジタルデバイスを横断するように、じっくり鑑賞できるようになったのだ。「見に来ていただいた人には大変好評でした。中には液晶画面ばかり見ている方もいたくらいです」と西山氏は語る。

プロジェクトに関わった組織が協力しあうことで実現したデジタルと洛中洛外図の融合は大好評となり、斬新な展示方法もまた各方面で注目の的となった。「デジタル化と高品質な複製品の出現で展示方法も今後は変わるのではないでしょうか?これまでは作品保護の観点から展覧方法も消極的でしたが、今後は作品をよりよく知ってもらうために、積極的に活用する手法が取り入れやすくなったと思います」と西山氏は成功の手応えを語る。

「世界的にみても歴史上の作品が積極的にデジタルデータ化されています。これは閲覧者だけでなく、私たちのような研究者にとっても有意義なことで、より積極的な研究活動にも活かせるからです。洛中洛外図も当時の暮らしを知るための大切な資料です。今後はデジタル化する点数をどんどん増やして、より鮮明に昔の暮らしを知る手掛かりにしたいですね」と矢野氏。

「デジタル化によって、タブレットPCを使った解説などをはじめ、今後もいろいろな技術と組み合わせることが可能なはずです。ファンの方は博物館でオリジナルとレプリカを見てそれぞれの良いところを鑑賞する。学芸員や研究者の方々にとっては得られる情報が大きく増えるので、解釈の仕方に影響するケースも多くなるはずです。様々な方面へ良い影響を与えることになるので、今後もデジタル化への流れは続くでしょうね」と土田氏は語ってくれた。

古い絵画の展示方法を刷新した今回のプロジェクト。HP の大判プリンターもその陰で実力を存分に発揮することで成功を支えることができた。今後も作品に関係する所有者、研究者、閲覧者の高い理想を叶えるため、HP も協力を続けていく予定だ。

屏風画のデジタル化によりタブレットで詳細画像の確認や解説の閲覧が可能になった

屏風画のデジタル化によりタブレットで詳細画像の確認や解説の閲覧が可能になった

対象プリンター

HP DesignJet Z6800

60インチ8色高速フォトモデル

HP DesignJet Z6800

  • 写真品質を世界最速※1
  • 新インクと先進テクノロジーで最上級の品質を再現
  • 60インチ対応
  • 印刷速度 約1.1分(高速)※2
  • 分光測光器「i1®」内蔵で色を正確に再現

※1 HP調べ

※2 印刷速度は、カラー写真(SCID-N5)を光沢紙(A1サイズ)で出力した場合。

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