スタッカーを備えた「HP DesignJet T1500」を
隈研吾建築都市設計事務所が徹底検証
- 隈研吾建築都市設計事務所
線の印刷品質がレーザープリンターよりシャープで、線種の表現力も豊か。印刷スピードも高画質や半光沢紙でも十分速いです。
2013年6月12日発売のA0プラス対応のインクジェットプリンター「HP DesignJet T1500 Printer HDDシリーズ」(以下、T1500)は、排紙を平らに保持するインテグレーテッドスタッカーや低い位置に取り付けたダブルロールなど、日本のオフィスに 配慮した装備が特徴だ。
この新型機を隈研吾建築都市設計事務所の主任技師、名城俊樹氏が実務で徹底検証した。
様々なソフトを駆使する隈研吾建築都市設計事務所
東京とパリのほか、上海や北京、英国のエジンバラなどに拠点を持つ隈研吾建築都市設計事務所には百数十人のスタッフがいる。東京の事務所には海外から20~30人のインターンが常時、在籍している。
同事務所でサントリー美術館や長岡市役所などの意匠設計を手がけた主任技師、名城俊樹氏はデザインや図面やパース、プレゼンテーション用のポスターなどの作成に様々なソフトを駆使する。
図面はAutoCADやVectorworks、パースは3ds MaxやRheinoceros、Photoshop、ポスター制作にはInDesign などを使っている。これらのソフトは、最近購入したHPワークステーションの最上位機種であるHP Z820 Workstationで使用。効率の良い作業環境を整えている。 「大判プリンターを使う業務は多くあります。
パースはもちろん、複雑な設備や家具のある建物や自然公園法などに関係する図面にはカラー印刷が必須です。また、模型を作るときの基盤や建物のテクスチャーなどの印刷にも使うことがあります」と名城氏。
大判プリンターで出力する図面やパースの枚数は、日によって大きく異なる。
「日に5~6枚のときもあれば、2日で2,000 枚を印刷することもあります」。
同事務所には大判レーザープリンターが2台、大判インクジェットプリンターが2台あるが、インクジェットプリンターはすべ てHP製となっている。
図面が丸まらないインテグレーテッドスタッカー
T1500 の特徴は、印刷された図面やパースが本体背面から排紙され、「インテグレーテッドスタッカー」に積み重ねられていくことだ。「図面やパースが印刷後、平らに保持されるので丸まらないのがいいですね」 インテグレーテッドスタッカーには約50枚の図面が出力順に蓄積され、後で重ね直す必要なく便利だ。これまでは200万~300万円以上の上級機のみに採用されていたが、希望小売価格93万8000円(税別)のT1500にも、今回初めて採用された。同42万8000円の姉妹機、T920(A0ノビ対応シングルロール機)にも搭載され、ぐっと身近な存在になった。
また、T1500は2つのロール用紙をプリンタードライバーで切り替えることができる。用紙の交換 も前面の低い位置で行えるのでイスに座ったまま作業できるのも嬉しいポイントだ。
画質、スピードとも満足いくレベル
「当事務所で大判プリンターを選ぶポイントは、画質、印刷スピード、そしてランニングコストです。T1500は線の印刷品質がレーザープリンターよりシャープで、線種の表現力も豊かです。印刷スピードも高画質や半光沢紙でも十分速いです。また、パースの印刷画質も十分なクオリティーをもっています」
同事務所ではT1500 の性能を発売前から検証。名城氏のほか、スタッフも実務で試用している。「パソコンやアプリケーションを使用せず、USB メモリーに入れたPDF やTIFF 形式のデータを直接印刷できるのも便利でした」
コンペやプレゼンテーションでは、文字のフォントにもこだわる。T1500にはPostScript対応モデルもある。PDFにフォントが埋め込まれていれば、USBメモリーを接続するだけで、デザイナーが意図したフォントによるインパクトのある表現も、余すところなく出力できる。
「大判で出力した図面やパースは、設計内容が分かりやすいのがいいですね。施主にプレゼンするときも、BIMや3D設計をパソコンの画面を見せるより、大きな紙に印刷した方が効果的なこともあります」
東京で制作したパースをパリで出力
T1500は、「ePrint & Share」にも対応している。これは日本HPのクラウドサービスで、インターネットに接続されているところなら、世界中どこでも同じ線種、線幅、色味の図面やパースを印刷できるシステムだ。
「パリ事務所が受けた案件を東京で設計しパリでプレゼンすることもあります。そんな時、東京で作ったデータをパリ事務所で印刷し、隈研吾代表が現地でチェックする、ということもできます」
T1500は日本のオフィス環境にも配慮した細かい設計が導入されている。まずはサイズだ。A0ノビ対応サイズでありながら、幅1399×奥行き693×高さ950mm という寸法は、エレベーターでの移動も簡単で壁際にピッタリと収まる。
また、本体の上面が平らになっているのも特徴だ。印刷直後の図面やパースを置いて出来上がりのイメージを確認するといった使い方もできる。狭いスペースをできるだけ有効に使いたいユーザーには、こうしたちょっとした配慮もありがたいだろう。
T1500は、シングルロールの姉妹機であるT920 とともに6月に全世界で発売された。レーザープリンターに劣らない印刷スピードと生産性を備え、コストを大幅に削減したこのマシンとともに、今後、建築設計事務所や建設会社のヘビーデューティーなニーズを満たすものとして注目されそうだ。
対象プリンター
HP DesignJet T1500 Printer
- A0スタンダードダブルロールモデル
- 6色インク搭載
- A1印刷速度21秒
- HP DesignJet ePrint & Shareによるクラウド対応 ※
- インテグレーテッドスタッカー標準装備
※ HP DesignJet ePrint & Shareアカウント、プリンターとのインターネット接続、インターネット対応デバイスとの接続が必要です。
HP DesignJet ePrint & Shareモバイルアプリケーションを使用する場合は、互換性のあるApple® iOSまたはAndroid™デバイス、
およびインターネット接続が必要です。 データや接続の利用料金が発生する場合があります。 印刷時間は条件によって異なります。
1つのアカウントにつき、2GBの一時保存領域をご利用いただけます。 詳細については、HP DesignJet ePrint & Shareをご覧ください。