紙への印刷は建築の“身体性”を呼び覚ます。
建築の“身体性”を支える道具として「HP DesignJetT870 A1モデル」を試した。
建築知識 2026年4月号掲載
画面のなかだけでは見えてこないことがある。山﨑健太郎氏が大切にするのは、紙に図面を出力し、手を動かしながら建築を考えること。建築の“身体性”を支える道具として「HP DesignJet T870 A1モデル」を試した。
山﨑健太郎/山﨑健太郎デザインワークショップ
「HP DesignJet T870 A1モデル」と山﨑健太郎氏。打ち合わせや大学での授業など、スケジュールはいつも分刻みだという。事務所に戻ってすぐに設計内容を確認したいとき、印刷に時間がかかると、それだけで流れが止まってしまう。「HP DesignJet T870 A1モデル」 は、そのストレスを減らしてくれる存在といえる
〝身体性〞の有無で変わる建築の価値
建築を考えるとき、私がいつも大切にしているのは〝身体性〞です。建築は、そもそも人の身体のすぐそばにあるものです。だからこそ、アイデアをかたちにしていく過程でも、身体の感覚から離れすぎてはいけないと思っています。ところが今は、〝建築DX〞という言葉も広まり、設計の現場でもデジタル化が急速に進んでいて、〝身体性〞を意識することが、どこか古いことのようにとらえられている気配をひしひしと感じます。
事務所には若いスタッフも増えましたし、工学院大学でも学生を教えています。
そこで感じるのは、デジタルだけでまとめられた案には、ときどき〝身体性〞が抜け落ちているということです。画面のなかでは整って見えても、そこに立ったときの感覚や、手で触れたときの実感が想像されていないのです。だから、デザインが薄っぺらくなってしまう。
事務所内には模型が所狭しと並ぶ。
基本となるのは50分の1スケールだが、30分の1で制作することもある。そうしたスケール感の模型をつくる際にも、「HP DesignJetT870 A1モデル」は図面の出力や確認に欠かせない存在となる
私が名建築を訪れるたびに感じること、あるいは寺社仏閣を歩くたびに感じることは、まさにその逆です。そこには、身体で受けとめられる要素が満ちています。可能であれば、手で触れて、メジャーで測って、ノートにスケッチしながら描き込みたい。なぜならば、そうすることで、私が潜在的に必要としている情報が身をもって理解できるからです。
デジタル化が進んだ昨今では一般的に、そうした感覚を養う機会が以前よりも減っているのかもしれません。WEB会議で議論がなかなか深まらないのも、そこに身体性が乏しいからではないでしょうか。会話が弾まず、時間ばかりが過ぎてしまう。建築は本来、もっと身体を介して、場を共有しながら考えるものではないでしょうか。
だからこそ、私は図面などを紙に印刷することを大切にしています。パースやCGにすべてを頼り切るのではなく、模型をつくることも重視しています。特に紙は、できるだけ大きく印刷したいもの。
実際の建築のスケールになるべく近い大きさで検討したいのです。
差異を最小化する大判プリンター
事務所では以前からA1サイズの大判プリンターを使ってきました。平面図をA1で出力するなら30分の1のスケールで検討できますが、A3では50分の1になってしまう。もちろん後者でも見られますが、A1のほうが圧倒的に見やすい。
修正すべき点もすぐに見つかります。
そのとき、プリンターに求められるのは、やはり速度と品質です。その意味で「HP DesignJet T870A1モデル」は、その両方を満たしていると感じました。まず速度が申し分ない。以前使っていた他社モデルに比べると圧倒的に速く、図面を素早く出力し、すぐに検討に移れる。設計の流れを止めないという意味で、これはとても大きいことです。
さらに、顔料インクによる印刷品質も印象的でした。図面では黒の濃淡や線幅がとても重要ですが、その差がはっきりと出る。私たちの事務所では、自然とのつながりや建築の〝身体性〞が最も現れやすい部分として、建具、つまり開口部の設計にこだわっています。そこでは2分の1スケールで検討したい場面も多く、A1サイズが必要になります。職人さんに図面を渡すときも、省略が少なく、明快な線と文字で描かれているほうが意図は伝わりやすい。これまでは、にじみを気にして線を細めにしていましたが、HPのプリンターなら、仕上げ線は太く、下地線は細く、といった描き分けをより明確にできそうです。
A1対応のプリンターが1台あること自体の意味も大きい。数百分の一の図面は配置や周囲との関係を見るのに向いていますが、平面計画の検討には不十分です。
30分の1から500分の1まで、スケールを段階的に切り替えながら考えていけることが重要。それをサポートしてくれるのが大判プリンターです。
紙に印刷することの重要性を改めて多くの人に知ってほしいと思います。「HP DesignJetT870A1モデル」のような道具を使いながら、〝身体性〞のある建築を提案できる人が増えてくれるといいな、と感じています。
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「HP DesignJet T870 A1モデル」で、A1サイズに30分の1で住宅の平面図を出力し、修正を加えているところ。住宅の平面図は50分の1スケールで描かれることが多く、おおむねA3サイズに納まるが、30分の1で印刷することで、建具廻りなどの納まりや修正点をよりクリアに共有しやすい
断面詳細図を「HP DesignJet T870 A1モデル」で出力。インクのにじみが少なく、仕上げ線や下地線、見え掛かり線などの違いがはっきり読み取れる。設計の意図が視覚的(身体的)に伝わりやすく、現場の職人との認識共有にも役立つ。“印刷不具合が出やすいPDFに変換した図面やパースも、「Adobe PDF Print Engine」に対応の「HP Click」で、意図したとおりに数クリックで簡単に印刷できる”という点も心強い
山﨑健太郎やまざき けんたろう
1976年千葉県生まれ。山﨑健太郎デザ インワークショップ主宰。工学院大学建 築学部建築デザイン学科教授。建築の “身体性”や自然とのつながりを重視し、 住宅から公共建築まで幅広い設計を手が ける。「八千代市の老人デイサービスセ ンター『52間の縁側』」で2024年日本建 築学会賞(作品)を受賞
対象プリンター
HP DesignJet T870 A1モデル
CAD図面やレンダリング画像から、教育用ポスター、小売・サービス向けPOP・ポスターまで、すべてを印刷。さまざまなサイズに対応し、顔料ベースのHP Flex Techインクにより高品質な仕上がりを実現。内蔵給紙トレイを使って、自動でロール紙とカット紙を切り替えし、A4からA1まで思い通りのサイズ印刷が簡単に行える
HP DesignJet T870 A1モデルの詳細はこちら掲載記事紹介
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