カラーマネジメントへの気運を高めた
HP DesignJet Z2100 Photo の導入
- 大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業株式会社では社内に3DCGによるイメージパースを制作するセクションを持っている。 このほど、既存の大判プリンタをHP DesignJet Z2100 Photo にリプレイスした。
このことがプリント出力のクオリティアップに貢献すると同時に、 カラーマネジメントへの理解を深めることにもつながっている。
設計者の思いを3DCGで視覚化 年間1,000点以上の制作実績
大阪に本拠を置く大和ハウスは我が国有数の住宅総合メーカー。一般住宅の建築から高層ビルなどの大規模建造物、さらにはリゾート開発や都市開発まで、さまざまな領域の事業を幅広く手がけている。その東京支社オフィスの一角に、社内で設計された建築物を3DCGによるイメージパースや動画を作成しているCGグループがある。このグループを率いる伊藤久晴氏にこの部署の来歴についてお聞きした。
「我々、CGグループの前身はCAD室という部署でした。その時の設計作図用CADの中に簡単な線画パースを描くという機能があり、それがおもしろかったので、企画段階での建物のイメージを作って提案書に使うようになりました。今から12年ほど前のことです。その後、少しずつCGに取り組み始め、6年ほど前からCGグループという名前に変わり、3DCGが仕事の主体になってしまったという次第です」
全国の大和ハウス各拠点からの制作要請に対し、年間1,000点におよぶ3DCGを制作している。個人住宅から高層ビルや物流施設まで、さらに建物の外観はもちろんのこと、室内のイメージパースまで制作するなど守備範囲は実に広い。伊藤氏はまだまだですと謙遜するが、そのクオリティも高い。これらのCGは顧客への提案などに有効に活用されている。
大和ハウス工業株式会社
技術本部 設計施工推進部
CGグループ グループ長
伊藤 久晴氏
「我々はCG専業というわけではないので、スーパーリアルなものを目指しているわけではありません。設計者の意図しているものをきちんと視覚化することがゴールです。とはいえ、お客さまにご提案するものである以上、一定のクオリティは保つ必要があります。それに設計者の熱い思いをお客さまに伝える最終走者としての役割がある以上、CG自体のクオリティはもちろんのこと、プリント出力の品質、ひいてはプリンタの選択にもこだわりを持ってきました」と伊藤氏は語る。現在はA3用紙のプリント出力が主体ということで、A3出力に特化したプリンタと、それより大きなサイズを出力する大判プリンタの2台体制で運用されている。
一級建築士の資格を持つ伊藤氏自らも
3DCG制作を手がける。
「描いているのは楽しい」と笑う
HP DesignJet Z2100 Photoを導入 期待以上のパフォーマンスに納得
そんなCGグループにHP DesignJet Z2100 Photoが導入されたのは2007年1月。それまで4年間使用してきた他社製大判プリンタがリースアップの時期を迎えたことがそもそものきっかけだったという。我々は恵まれた環境にいると前置きしながら「リースアップのタイミングでリプレイスできるというのは重要です。プリンタも日々進化していますし、我々としても最新のプリンタ技術にキャッチアップしていかないといけませんから」と伊藤氏。
リプレイスのためにいろいろな大判プリンタを比較検討したが、HP DesignJet Z2100 Photoに決めた要因は、出力サンプルが気に入ったことと、さらにメンテナンスフリーという点だったそうだ。
「A3以上の大判でプリント出力するニーズは実はそれほど高くなく、月に2 ~3 件という程度です。それでもHP DesignJet Z2100 Photoは電源を入れておけば自分で自動的にメンテナンスしてくれるので、使いたいというその時にきちんと動いてくれる。今までは使う頻度が少ないため使いたい時に限ってインクがないとかノズルが詰まっていたとか、何かとトラブることもあったのですが、そういうことがなくなりました」と伊藤氏はいう。
また、パフォーマンスについても「さすがに最新鋭のプリンタだなと。ここ数年の大判プリンタの進化に驚くほど、画質もシャープですし、出力スピードも期待以上です」と評価は高い。
現在使用している高画質なA3プリンタ(ピクトロ)では、思いどおりの色再現が難しいので、データ上での補正が欠かせなかったが、HP DesignJet Z2100 Photoでは画面上で見るCGと比較的近い色あいでプリント出力ができているそうだ。さらに、現場スタッフからは、用紙のバリエーションが豊富なので3DCGのプリント出力だけでなくいろいろな使い方ができそうだという声も上がっているという。
プリント出力を確認する伊藤氏。
出力スピードにも満足しているという
カラーマネジメントへの本格的な取り組みは今後の課題
一方で、伊藤氏はHP DesignJet Z2100 Photo の本領であるカラーマネジメント機能の活用はこれからの課題と語る。「我々はインターネットを活用して全国から仕事を受注しています。たとえば北海道の設計士が自分のPC のモニタで見ている画面と、我々が制作してプリント出力したCGで、色が違っているというのでは困ったことになります。ただ単にきれいなものを出せばいいということではお客さまにも納得していただけなくなってきています。カラーマネジメントをきちんとやっていこうというのはこれから向かうべき方向であることは間違いありませんし、我々自身がもっとカラーマネジメントを勉強して、HP DesignJet Z2100 Photo のポテンシャルを十分に引き出すような使い方ができるようにならないといけない」クオリティの高いCGが作れるようになればなるほど、いいプリンタで出したくなるし、一生懸命作ったCGが普通紙に、それも色への配慮などされずにプリントされて提案書などとして流通しているのを見ると、かわいそうな気持ちになってしまうという伊藤氏。
今後のHPにもカラーマネジメントという概念そのものを、世の中に広く啓蒙する役割を期待したいという。
「カラーマネジメントの実施にかつてほど手間もコストもかからなくなってきています。分光測光器「Eye-One®」内蔵というHP DesignJet Z2100 Photo の意義も実に大きいと思います。我々の分野でも、設計士も含めて同じ色情報を共有できるという状況は業務の効率化につながります。カラーマネジメントに対する敷居をもっと下げるような活動を展開してもらいたいです」
PC のモニタのキャリブレーションを行い、画面上とプリント出力の色を一致させる「HP アドバンスト プロファイリングソリューション」にも興味があるという伊藤氏。HP DesignJet Z2100 Photo は、伊藤氏らのカラーマネジメントに対するモチベーションに火を点けたようだ。
大和ハウス工業株式会社
東京支社
対象プリンター
HP DesignJet Z2100 Photo
- A1/B0サイズスタンダードフォトモデル
- 8色インク搭載
- A1印刷速度5.8分
- 分光測光器「i1®」内蔵で色を正確に再現