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2020.05.14

在宅勤務に就業規則は必要?正しい労務管理で社員をマネジメントしよう

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昨今注目されている在宅勤務という働き方。通常のオフィス勤務とは異なるため、在宅勤務に適したルールを策定する必要がある。

では、企業が社員の在宅勤務を推し進める際、どのような就業規定を設ける必要があるのだろうか。この記事では在宅勤務における就業規定について解説する。

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厚生労働省が推し進める在宅勤務とは

現在、在宅勤務を導入する企業が増えつつあり、働くスタイルがますます多様化している。厚生労働省も労働時間等設定改善法に基づいて「労働時間等見直しガイドライン」や「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」などを策定し、在宅勤務という働き方について案内を行っている。

厚生労働省は在宅勤務を「事業主と雇用関係にある労働者が、労働時間の全部または一部について、自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態」と定義している。

また、在宅勤務と同時に、テレワークやリモートワークという言葉もよく耳にするが、それらは本来、広義での「遠隔地で仕事すること」を指す。在宅勤務だけではなく、モバイルを使って会社に勤怠などの報告を行うモバイル型のワークスタイルや、オフィスの一角をレンタルして行うサテライト型のワークスタイルもこれに含まれるのだ。

在宅勤務の推進の背景としては「育児や介護など両立しながら働きたい」といった労働環境に対する多様なニーズに応えた社会づくりという面がある。多様なニーズに応えることで、少子高齢化時代に、さまざまなライフステージの人を労働力として確保できることも期待できるだろう。

在宅勤務のメリット

在宅勤務の導入は企業にとっても、社員にとってもメリットは多い。どのような点でメリットがあるのか見ていこう。

通勤時間の短縮・通勤による疲労の軽減

国土交通省の「第12回 大都市交通センサス調査結果の公表について」(2017年)によると、2015年の首都圏の定期利用者の1日の平均通勤時間は67.7分となっている。
在宅勤務を実施した場合、そうした通勤時間を省くことができる。社員は通勤のストレスから解放されるため、心身の健康維持という意味で有効だ。

育児や介護との両立が可能に

育児や介護などにより、キャリアを中断したり、時短がしやすいパートタイム勤務に切り替えたりする人も多い。しかし、在宅勤務が導入できれば、キャリアを中断せずに、働き続けることが可能になる。これは同時に企業側にとって、必要な人材の持続的な確保につながる。

在宅勤務ならば、子をもつ親の場合、保育園などの送り迎えの時間もとりやすく、学校行事にも参加しやすい。また、介護が必要な人をみている場合、介護施設などからの急な呼び出しにも対応しやすいなど、社員側のメリットもさまざまに考えられる。

集中力・生産性の向上

オフィスにいると突発的な作業を早急にと頼まれたり、周囲の雑音が耳に入ったりなど、何かと作業を中断させてしまうこととも多いが、自宅ならば自分のペースが作りやすく、集中して作業を行いやすい。

また、通勤時間を省略できた分を睡眠時間にあてることでコンディションが整い、さらに集中力が高まる可能性もある。その結果、生産性の向上も見込めるのだ。

経費の削減

これまでさまざまなコストカットを試みてきた経営者も多いと思うが、オフィスを維持するにあたっては、事務所の家賃や電気代、維持管理費など、削減できないものも少なくない。しかし、在宅勤務を導入することで、さらなるコストカットが期待できる。前述した通り、社員は通勤する必要がなくなる、もしくは通勤回数を減らせるため、交通費も大幅に削減できるだろう。

在宅勤務のデメリット・課題

在宅勤務にはメリットが多い一方、今までと働き方が変わるために、あらためて考えなくてはいけない課題も多い。在宅勤務で考えられるデメリットと課題について見ていこう。

新たな勤怠管理の方法の必要性

仮に、書面で勤怠や休暇・経費精算などの申請と承認を実施している場合、在宅勤務では、物理的に社員の勤怠管理や、勤務時間内での作業状況を確認することが難しくなってくる。申請と承認に関しては週に1度などの出社日を決めて、まとめて行う方法もあるが、勤怠管理や労務管理ができるアプリ、クラウドシステムを使うと管理の手間も削減できて有効だ。

コミュニケーション不足

直接会わないとコミュニケーション不足に陥りやすい。電話やメールだけでは伝わらない面も多い。定期的に出社してミーティングの機会を設けるか、「Teams」「Zoom」などのビデオ会議ができるシステムを導入することで解決を図りたい。

作業の進行具合が分かりづらい

在宅勤務では部下が隣にいないため、しっかりと業務が進んでいるのか漠然とした不安に駆られることもある。確かにオフィスワークであれば、隣にいる社員に声をかければ即時で報告を受けることができただろう。在宅勤務時では、これをプロジェクト進行管理ツールやチャット・メールでの報告で実施する必要があり、慣れないうちは大変に思うかもしれない。

また、育児や介護をしながら仕事を続けている社員は、離席するタイミングも多くなるが、いつ業務を中断しているか分からないと、上司や同じチームの仲間は、その間に連絡がとれないことを不安に感じてしまうこともあるだろう。

随時、作業の進行が上司に伝わったり、一旦離席することを周知できたりするようなルールやシステムの構築ができることが理想的だ。面倒に感じる部分もあるかもしれないが、これを機にタスクやプロジェクトの進行管理を可視化できるよいチャンスといえるかもしれない。

情報漏洩の危険

自宅で作業をする場合、社員は会社から書類やデータなどを持ち出すことになる。誤って第三者に書類が見られる可能性や、社内からのアクセスとは異なる環境になるため情報漏えいの危険性もより一層注意が必要だ。

そのために、情報の取り扱いに関するガイドラインの策定や、情報漏洩対策に向いているパソコンを社員に持たせることを考える必要がある。

在宅勤務に必要な就業規則を定める際のポイント

上記の様なさまざまな在宅勤務に関する課題を解決するためにも、就業に関するルール作りが必要だ。まずは会社の就業規則を確認し、テレワークに関する規定があるかどうかを確認し、なければ、あらためて在宅勤務に関する規定を追加することになる。そこで、在宅勤務用の就業規則を考える上でのポイントを紹介する。

在宅勤務を認める条件を決める

会社側が在宅勤務を認める条件を明記すると良い。例えば「入社から〇年以上経っていること」「通勤が困難と認められること」「自宅でも行える業務であると認められること」などだ。

細かく指示をすることが難しいなかで、その業務のルールやマナーが伝わりきらず、希望通りの成果を挙げられない可能性もある。そこで、ある程度以上の社会人経験があることや、業務自体が在宅でできるものであると、しっかりとマネジメント側が判断してから、在宅勤務に切り替えられるような規定を作っておきたい。ただし新しい雇用を創出し優秀な人材を確保するためには、マネジメントの理解と柔軟な対応が必要ではあるので、このあたりはバランスをうまくとって条件を決めるほうが良いだろう。

就業場所について取り決めをしておく

テレワークの場合、在宅のほかサテライトオフィスを利用したり、カフェやファミリーレストランを利用したりしても仕事はできる。しかし、自宅以外の場所で仕事をすると情報漏洩が危惧される。そこで、就業場所は自宅のみとするような就業規則を設けておくことも一つの選択肢だ。

情報漏洩に関する取り決めをしておく

まず、どの情報が「機密情報」にあたるかを明確にしておく必要がある。そして、機密情報を自宅に持ち帰る場合の扱いについて、細かく規定しておきたい。

機密情報であるなしに関わらず、会社から持ち帰ったデータや書類は、自宅外には持ちだすことは禁止とする。また、使用した情報を廃棄する場合のシュレッダーの使用や、データを消去する際のシステムにも注意が必要だ。

自宅で使用するパソコンのセキュリティに関してもルール作りをし、情報漏洩を防ぎたい。

就業時間に関する取り決め

在宅勤務でも、労働基準法にのっとった勤務時間の管理が必要だ。きちんと勤怠管理ができるようにしておきたい。

在宅勤務ではオフィスでの勤務よりも柔軟性のある労働時間の枠組みを設定したほうが良いケースも多い。フレックスタイムや、事業場外みなし労働時間制の導入を考えてもいいだろう。

また、時間外や休日勤務の扱いについても明確にしておきたい。自宅だと勤務時間とプライベート時間、平日と休日の境目があいまいになりやすいが、勤怠管理や社員の健康管理の点で、残業や休日出勤を社員任せでむやみに許してしまうのは良いとはいえない。どうしても必要な場合に、事前に上司に申請するなどの約束事を決めておきたい。

在宅勤務に必要な費用・設備について

光熱費や通信費などを会社と社員のどちらが負担するのか。また、何割もしくは定額で負担するかなども決めておいたほうがいいだろう。電気や通信の何割かはプライベートなことに使われるので、経費として認められる上限を決めておくことも重要だ。

上記以外にも、災害時・緊急時の連絡方法や、社員の健康管理に関すること、人事評価制度についても、会社の状況を考慮しながら、ガイドラインを作っておくといいだろう。

在宅勤務で社員の能力を最大限に発揮させるために

国が推進する在宅勤務という働き方。導入にはさまざまな課題があるが、就業規則の中で会社と社員間の明確なルールを決めることで解決できることも多い。就業場所、就業時間、残業の場合の計算方法など、適切なルールを定めることで、会社にとっても社員にとっても、在宅勤務をより実りあるものにできるだろう。
このように在宅勤務はしっかりとした仕組みができれば、様々な面でメリットのある執務形態である。よりテレワークについて詳細を深堀したいかたは、以下より資料をダウンロードしてみてはいかがだろう。

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