2021.04.28

mediCADによる整形外科手術の高効率化の実現にHPワークステーションが貢献

株式会社東陽テクニカ

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 高齢化社会が現実のものとなっている日本。年配者が多くなる中で、誰もが待ち望んでいるのはさらなる医療の充実だ。東陽テクニカは、これまでもすぐれた医療機器を市場に提供してきたことで知られている。そんな同社が、2019年に最新の整形外科向けソリューションを発表、大きな反響を呼んでいるという。HPワークステーションもそこに貢献しているというので話を伺ってきたので紹介しよう。

メディカルシステムグループの清水氏(左)と小林氏(右)

整形外科医療の効率化に貢献

 株式会社東陽テクニカ(以降、東陽テクニカ)は、1953年に設立された工作機械の輸入販売を主業務とする光和通商株式会社を前身とし、1984年に現在の東陽テクニカへ商号を変更、現在では輸入業だけでなく、情報通信、自動車、環境エネルギー、EMC(電磁環境両立性)、海洋調査、ソフトウェア開発、ライフサイエンス、情報セキュリティなど、幅広い分野で事業展開をしている企業だ。

 「多岐に渡る分野で皆様のお役にたてるような製品をご提供していますが、今回はライフサイエンス分野から医療従事者を支援するシステムをご案内します」と語るのはライフサイエンス&マテリアルズ メディカルシステムグループ係長 清水貴裕氏(以降、清水氏)だ。先進国でその傾向が顕著になっている高齢化社会は日本においても社会問題となっている。高齢化が進めば人体に及ぼす影響も大きくなり、特に軟骨がすり減ることによって関節の痛みなどを訴える人が多くなることはみなさんもご存じだろう。

 「そうした患者さんは整形外科に通って治療にあたるのですが、そこでは人工の関節(インプラント)に置き換える手術や、骨を切って角度を矯正する膝周囲骨切り術などをおこないます。今回ご紹介する『整形外科デジタルプランニングツール mediCAD(メディキャド。以降、mediCAD)』はその手術の術前計画に使うソフトウェアになります」と清水氏は説明する。

医療従事者への支援ができるシステムづくりについて語る清水氏

正確でスピーディーな術前計画を実現

 関節の手術をする際、どのような人工関節が患者に適しているか、あるいはどの程度骨を切れば全体のバランスが良くなるかを事前にシミュレーションする必要がある。「実際の手術では医師が肉眼で見える範囲も限られているため、手術精度を高めたり手術時間を短縮するために十分な術前計画を立てることが重要です。以前はレントゲンのフィルムを印刷してそれに描きこんでいたりしましたが、それでは時間もかかりますし、正しい結果を得るためには経験も必要です。そこで求められるようになったのが IT による術前計画の効率化です」と清水氏は語る。

 そのニーズに応えるべく、東陽テクニカが選んだのがmediCADだ。このソフトウェアが開発されたのはドイツで、世界各国で20,000以上のユーザに使用される製品である。東陽テクニカはこのシステムが日本の整形外科でも役立つことを知り、医療機器認証を取得して2019年9月から販売を開始している。

 先ほども触れたように、これまでの術前計画では画像の切り取りや移動などが必要だが、その工程は建築物の設計図を作るものに近いものがあるのだという。建築設計がほぼデジタル化していることからも分かるように、もともとITと相性が良い手法だったのだろう。「mediCADは非常に多くの人工関節のテンプレートが実装されており、様々な部位の術前計画を効率化できます。また、膝周囲骨切り術の場合は、ソフトウェアのチュートリアル画面に従うだけで最適な骨切りの角度が算出できます」と清水氏はシステムの特長を語る。

省スペースとパフォーマンスが両立

 日本の整形外科医療にとって待ち望まれていたmediCADは、すでに多くの医療従事者に高い評価を得ており、導入も進んでいる。「mediCADはHP Z2 SFF G5 Workstation(以降、Z2 SFF)とHP Z24n G2 プロフエッショナル液晶モニターのセットを推奨ハードウェアとして導入しています」と話すのはライフサイエンス&マテリアルズ メディカルシステムグループ アプリケーション・スペシャリスト 係長 小林繭子氏(以降、小林氏)だ。

先生方と直接話し合い、社会的にニーズを掘り起こす小林氏

 東陽テクニカでは、以前から他製品で HP ワークステーションを採用していた経緯があり、パフォーマンスや安定性については評価していたという。今回、mediCAD用のコンピューターとして採用された理由もこれまでの実績があったからこそだが、ひとつ課題があったのだという。「mediCAD を使用する場所は外来や病棟などが多いのですが、他の電子カルテ端末などが設置されている環境の中で、新たなスペースを確保するのが大変なのです。ですからタワー型のワークステーションは設置しづらいという面があるので、省スペース性の高いコンピューターが必要でした。HP ワークステーションの中でもスモールファクターボディを採用しているZ2 SFF なら十分な省スペース性があるので最適ということになったのです」と小林氏。

 今回採用されたZ2 SFFはインテル ® Xeon® プロセッサー W-1270、グラフィックスにNVIDIA Quadro P400 を採用するなど、バランスのよいパフォーマンスを発揮するモデルとなる。「より省スペースを目指すのであれば、HPにはZ2 miniという選択肢もありますが、可用性を確保するためのRAIDが組むことができません。Z2 SFFを採用したのはそこもポイントでした」と清水氏は補足する。

 「テンプレートを配置したり、CT画像から3Dデータを再構成して操作する際も非常にスムーズに動作します。整形外科の先生は手術で多忙な先生が多く、術前計画にかけられる時間も限られるため、mediCADがスムーズに動作するかどうかは導入検討の際に1つの要件としても上がります。その点、Z2 SFFなら問題ありません」と小林氏。

Z2 SFFとHP Z24n G2はmediCAD専用機として提供される

 また、一般的にワークステーションのデザインはシンプルなイメージがあるが、Z2 SFFはスタイリッシュで先鋭的に見える点も評判がよいのだという。「前面パネルやロゴも洗練されており、先生方の術前計画のモチベーションアップにもつながっているのではないでしょうか」と小林氏は笑顔で語る。

医療全体の向上を目指して

 mediCADを早期から導入し、すでに多くの症例を持つ兵庫医科大学 整形外科学教室 講師 中山 寛先生は「日本国内において 40歳以上の変形性膝関節症の有病者数は2500万人に達し、さらに80歳以上の女性においては 80% 以上が変形性膝関節症であると言われていま す。その治療法の1つである膝周囲骨切り術は術後に高いアクティビティの継続が可能であり、近年、症例数が飛躍的に増加しています。本学では膝周囲骨切り術を年間200 症例以上行っていますが、多様化する膝周囲骨切り術に術前計画は欠かせません。簡単でスピーディーに術前計画が立てられるmediCADは必需品です」と語る

mediCADのオペレーションに精通している兵庫医科大学 整形外科学教室 講師 中山 寛先生

 体が動く限りスポーツを続けたいという高齢者は増加傾向にあるので、今後さらに mediCADの導入は加速していくだろう。「近年、CT画像を使用した3Dの術前計画の需要が増えてきて います。2D の術前計画に比べてワークステーションのパフォーマンスが求められますので、Z2 SFFと組み合わせたシステム販売によりこれからも快適な術前計画環境を提供していきたいと考えています」と小林氏も期待を寄せている。

 「整形外科のみならず、医療従事者は常に患者の状態の変化に対応しなければならないため 日々時間との戦いをされています。われわれ東陽テクニカは、そのような過酷な環境を少しでも改善し、術前だけでなく、術中、術後と一貫して支援できるように、簡単に操作ができて高い精度を維持できる製品をこれからも展開していきたいと考えています」と語る清水氏。

 「医療従事者のみなさんの環境をよりよくすることが医療の質の向上につながり、最終的には患者にも還元されると考えています」と両氏は最後に製品への想いを語ってくれた。

術後でも早くスポーツ復帰を望む高齢者が多くなっていると現状を語る両氏

 高齢化社会においても健康でありたいという想いは、すべての人に共通している願いでもある。東陽テクニカはこれからも多くの人が待ち望んでいるシステムを創出し続けてくれるはずだ。HPは今後も同社とメディカルシステムグループが作る未来を支えるべく、サポートを続けていく。

※東陽テクニカ「整形外科デジタルプランニングツール mediCAD 兵庫医科大学様導入事例」より

販売名:整形外科デジタルプランニングツール mediCAD
医療機器認証番号:303AOBZX00001000

HP Z2 SFF G5 Workstation

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