2022.08.16
プラスマン合同会社
医療現場で働く医師たちの負担は想像を超えるものがある。過度のストレスや疲労はプロフェッショナルである彼らにとっても負担は大きく、小さなミスが起こっても仕方がない環境だ。そんな過酷な現場を支えるべく、AIを用いたテクノロジーで医療界を支える動きがある。プラスマン合同会社の最新ソリューションについて伺ってきたので紹介しよう。
写真左から。
代表社員 業務執行社員 日本アクチュアリー会 正会員 公認会計士 大塚 裕次郎氏
マーケティング担当 越智 英氏
業務執行社員 中村 優介氏
プラスマン合同会社(以降、プラスマン)は、医用画像、医薬品、汎用人工知能、量子コンピューターなどの領域で事業を展開している企業だ。工学の原理主義に基づき、古くて新しいモノづくりを目指しており、医療にかかわるあらゆる人の夢をかなえる製品を社会へ提供するため、日々活動を続けている。
「プラスマンでは、強い責任感と一歩ずつ、ひとつずつ積み上げる誠実さを大切に、数理工学・アクチュアリアルサイエンスで常に新たな領域への挑戦を続けています」と語るのは同社代表社員の大塚 裕次郎氏だ(以降、大塚氏)。ここ数年、医療界ではAIの活用が普及している。例えば、放射線科ではAIテクノロジーを用いたソリューションに大きな期待が寄せられているのだという。
「一流と呼ばれる放射線科医でも、常に体調が万全というわけにはいきません。一日に何十名の患者を診ていれば夕方には疲れるのが当たり前です。そんなときでもCT画像に映る微妙な兆候を見逃すわけにはいかないのでストレスは大きいのです。それに代わってAIが画像解析を手伝うことが可能なソリューションに、今注目が集まっています」と大塚氏は語る。
プラスマンが提供しているテクノロジーはAIを用いて胸部CT画像を解析する「PLUS.LUNG.NODULE、PLUS.CXR(以降、プラスラングノジュール)」というソリューションなのだ。
プラスラングノジュールは、肺臓関心領域機能を有するプログラム医療機器で、画像のCT値に基づき、最大径で3㎝以下の円形または紡錘形、辺縁不整な吸収値上昇領域(関心領域)を表示させる製品である。これにより、結節影等の関心領域の視認性向上が可能で、放射線科医は自身の目視と合わせて、これを確認することができるようになるのだ。
「一番のメリットは見落としが大幅に削減できることにあります。専門的な話になりますが、感度で98.3%、肺結節AIの評価指標でCPMスコアがあるのですが、0.943という既存研究の中で最も高い数値がエビデンスとして論文化されています※」と製品の特長を説明するのはプラスマン 業務執行社員の中村 優介(以降、中村氏)氏だ。
プラスラングノジュールには関心領域の表示や、そこにあるもののサイズ、体積など、経過観察や診断に必要な情報を自動計測する仕組みが組み込まれている。さらに「放射線科医は過去の検査結果と現在の結果を比較して判断するのですが、それをサポートする機能として、過去と現在のCT画像上における同じ肺結節を同定し自動で紐づける、オートトラッキング機能もあります」と中村氏は解説する。
このソリューションによって読影をする際の負担の低減に貢献し、万が一の見逃しといったことも削減も期待できるのだから注目が集まるのは当然だろう。
「医療界にとっても働き方改革に寄与できますし、CT画像から読影に役立つ情報も得られます。さらに読影がある程度自動化できるので業務効率化も実現できます。そして何よりも大きいのは医師のストレス軽減に貢献できるところですかね」と大塚氏は語る。医師の過酷な勤務状況を考えれば、その負担を大きく軽減できる効果は何よりも求められているのだろう。
既存研究の中で最も性能の高い※ 胸部CT-AI(Plus.Lung.Nodule)が有するオートトラッキング(過去と現在のCT画像上の同じ肺結節を自動で紐付ける)機能の例