2022.07.15

プロレーサーがプラクティスに活用する
リアルレーシングシミュレーターに採用されたHP Reverb G2 VR Headset

株式会社IROC

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レーシングシミュレーターと聞くとゲームを連想する人が多いと思うが、より実車の世界観に近く、プロがそのまま練習に使えるほどリアリティのあるモデルも出始めている。アメリカで人気のNASCARをメインに活躍する古賀琢麻氏は、レーシングシミュレーターの可能性にいち早く気づき、開発から携わってきた経験のある現役のプロレーサーだ。そんな古賀氏が経営する株式会社IROC(アイロック)がリリースしている最新モデル「DRiVe-Xシミュレーター」を取材してきたので紹介しよう。

プロレーサーが求めるシミュレーター

株式会社IROC(以降、アイロック)は、世界的な活躍で有名なプロレーサー 古賀琢麻氏を代表とする企業だ。もともとレーシングカーのパーツ開発・販売などを行っていた同社は5年ほど前からレーシングシミュレーターの開発・販売を開始。先見の明によって現在では世界中に販路を発展させている人気製品となっている。

株式会社IROC(アイロック) 代表取締役 古賀 琢麻氏。NASCARを舞台に世界で活躍する現役のプロレーサーでもある

「当時は私が久しぶりにNASCARに復帰することになり、そのためのシミュレーターを探していたのです。しかし、その頃の製品は私のように本当に300kmのスピードでレース場を走ってきた人間にとって、単なるファンタジーの中でレースをしているような、リアルさのないものばかりだったのです。そこで自分が納得できるレーシングシミュレーターが作れないかと思ったのがきっかけですね」と語る古賀氏。

さすが現役のプロレーサーだけあって、厳しい基準を当時から持っていた古賀氏。「当時はアメリカで過ごしていたこともあって、VRの世界には黎明期の頃から関わっていたと思います。特にヘッドマウントディスプレイについては本当に何十種類も試してきました」と当時を振り返る。

この時から、プロレーサーのプラクティスとして実戦経験を獲得できる本格的なVRレーシングシミュレーター開発が始まっていたというわけだ。

ゲームとは違いリアルさに価値あり

古賀氏が活躍するNASCARはトップから下位までがわずか0.5秒の間でひしめき合うスリリングな駆け引きが人気のレースになる。

「トップを狙うには、コースの外壁ギリギリを300㎞の速度で走り抜けなければならないこともありますし、路面のわずかな傾斜が感じられなければクラッシュすることだってあります。私が求めたシミュレーターと一般的なレーシングゲームとの大きな違いは恐怖心やレース環境がまさに1/1で感じられるところにあります」と古賀氏は自身で求めていたレーシングシミュレーターの本質を語る。

「そのためにはディスプレイの情報では不足していて、ヘッドマウントディスプレイによって得られる実写に近い視界が必要でした」と言葉を続ける古賀氏。つまり、単純に解像度が高い、描画速度が速いといったスペック的なパフォーマンスだけでなく、実写と比較したまさに1/1スケールのリアリティを求めたのだ。

「そうした世界観になると、市場に出ているヘッドマウントディスプレイにはかなり差があります。スペック表では大体どこも同じような感じになりますが、周辺視野が現実世界よりも鮮明すぎて、バーチャル感が強くまるでファンタジーの世界にいるようなものもあれば、解像度が高い割には実際に視界で得られる映像は拍子抜けするほど粗かったりするものもありました。結局いきついたのはHP Reverb G2 VR Headsetだったのです」と納得できるヘッドマウントディスプレイと出会うまでの経緯を語る古賀氏。

HP Reverb G2 VR Headset

HP Reverb G2 VR Headsetはトラッキングにインサイドアウトを採用し、外部センサーの必要がない単体で動作するヘッドマウントディスプレイだ。片眼2160×2160、両眼で4320×2160の4K解像度を持ち、90Hzの高いフレームレートを実現している。

「インサイドアウト方式であることもとても重要で、製品化された私たちのドライビングシミュレーター『DRiVe-X』でのテストでは外部センサー式のものよりも良い結果が得られました」と満足気に語る古賀氏。

DRiVe-Xは実写さながらのモノコックボディにバケットシート、取り換え可能なステアリングとアクセル、ブレーキ、クラッチの各ペダルが搭載された筐体デザインが魅力のドライビングシミュレーターで、ソフトウェア上のコースが今どのような傾斜なのか、あるいは車の状態はどのようになっているかをエレクトリックアクチュエーターによって制御する製品に仕上がっている。

「まさに私が求めていたドライブフィーリングが再現できたと思っています。レースの前にはこれとHP Reverb G2 VR Headsetでプラクティスを繰り返しますが、本当に効果があるシミュレーターとして愛用しています」と古賀氏は手応えを語る。

実際にアイロックが開発してドライビングシミュレーターは、レース愛好家やプロレーサー志望の若者などの間で人気になっているだけでなく、車の安全運転啓もうなどにも活用されており、各方面からの評価も高まっている。

「実はそちらの方面でも例えばヘッドセットのキャリブレーションの仕方や、それを体験する人の反応など、すでにたくさんのノウハウを持っています。ですからVR酔いを軽減する方法もお伝えすることができます」と古賀氏は語る。

HP Reverb G2 VR Headsetとの組み合わせでプロレーサーのプラクティスにも活用できる品質を持つ「DRiVe-X」

DRiVe-Xを駆る古賀氏

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