2021.06.17

進化を続けるAIソリューション開発を強力にサポートするHPワークステーション

株式会社システム計画研究所/ISP

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 AIが広く普及するようになり、あらゆる企業がその利用価値を認めている現在、業種職種問わず、多方面で新しいニーズが生まれ続けている。40年以上、システム開発を続け、AIに関しても黎明期から携わってきた株式会社システム計画研究所も、様々な形でソリューションを提供してきた歴史を持っている。そんな同社が今回、HPと共同でAIのさらなる可能性を模索する施策を発表、新しいニーズを募集しその課題解決にあたったという。どのようなシステム開発になったのかご紹介しよう。

システム開発のエキスパート

 株式会社システム計画研究所/ISP(以降、ISP)は、1977年に設立されて以来、多くの企業のニーズにあったシステムの開発・導入・運用を手掛けてきた企業だ。人がいきいきと暮らし働く世界を実現するため、コンピューターシステムを単なる利便性や効率化を図る道具としてだけではなく、人の創造性につながるものにするため、様々なサービスを提供してきた。

 「企業様の課題解決の仕組みを作るだけでなく、その後の運用まで見据えたコンサルティングもしながらお付き合いしていくことが大切な使命だと考えています」と語る井上氏。豊富なノウハウと、企業の将来まで見据えた運用コンサルを実践してきたISPが提供するAIソリューションにおいても、当然そのスタンスは変わらない。

 今回の取り組みはHPとISPが共同でおこなったセミナーで、AIを使った新しいソリューション開発のアイデアを広く募集したことから始まった。「日本においてもAIは広く普及し、すでに検証する段階から、いかに実際に使っていくか、というステップに進んでいると思います。

 より実践的な課題解決を望む企業様が増えているという現実から今回の施策をHPと共同で進めることになりました」と説明する井上氏。HPもその考えに同調し、ISPがシステム開発を担当し、HPが機材を提供するという形で無償によるAIシステムのテスト開発をおこなう試みをスタートすることになった。

株式会社システム計画研究所 / ISP 事業本部 第2セグメント マネージャ 井上忠治氏

1枚の航空写真だけで被害状況を把握

 多くの申し込みがあった中、今回白羽の矢が立ったのは国立研究開発法人防災科学技術研究所(以降、防災科研)と京葉測量株式会社(以降、京葉測量)が提案したアイデアだった。「2019年9月9日に台風15号が首都圏を横断しましたが、特に被害が大きかった地域が千葉県です。当時の状況を覚えている方も多いと思いますが、あまりにも広範囲の被害に、人による調査だけでは全容がなかなか掴めず、災害対応が遅れてしまったという苦い経験がありました。

 その際、実際に被災地域の航空写真を撮影した京葉測量様と、防災科研様がより迅速な被災状況の確認にAIによる航空写真解析が使えるのではないかというご意見をくださったのです」と、採用の背景を説明する村瀬氏。

事業本部 第2セグメント サブマネージャ 村瀬知彦氏

 災害の際に現地の状況を把握するのは人が実際に歩いて調べるケースが多い。人材は有限であり、調査範囲が広くなるほど時間も労力もかかってしまう。しかし、被災者からみれば、一刻も早く避難所等に必要な救援物資等を送ってもらわなければ、避難生活に支障が生じることも想定される。

 航空写真自体は飛行機さえ飛ばせればすぐに入手できる。AIによって画像から災害状況を解析できれば、それほど人数を割かなくても現状の被害状況が把握でき、迅速な災害対応に大きく貢献できるというわけだ。

 「その際に用いることができるのは被害状況を撮影した画像です。少ない手がかりでは一見難しいように思えますが、弊社の外観検査用のアルゴリズムなら対応できると考えました」と村瀬氏は語る。ISPには製造業向け外観検査ソフトウェア「gLupe」があり、この製品は少ない正常データのみで異常検知が可能になるという大きな特長を持っている。そのアルゴリズムを流用し、被害があった家屋などをピンポイントで見つけようというのだ。

Z8 G4が解析精度向上に大きく貢献

被災直後の航空写真(千葉県鋸南町付近
2019年9月27日 京葉測量株式会社撮影)

 今回のシステム開発・検証用に使われたのがHP Z8 G4 Workstation(以降、Z8 G4)だ。プロセッサーにインテル ®Xeon® 8260をデュアルプロセッサーで搭載、メモリ640GB、グラフィックスにNVIDIA Quadro RTX 8000、M.2SSD2TBというスペックで、高いパフォーマンスを発揮する。「gLupeのエンジン自体は特にハイパフォーマンスを必要とするものではありませんが、今回は11310 x 17310という巨大な画像データを解析することになるので、パフォーマンスは高ければ高いほど有利になります。そういった面では、Z8 G4はとても頼りになるマシンでしたね」と振り返る村瀬氏。

 すでに存在するアルゴリズムを応用する形だったので、システム自体は今回の要件に見合うようにカスタマイズを施した程度ですぐに開発することができた。「ですが、AIに学習させるには試行錯誤の繰り返しが必要です。高い処理能力を持ったワークステーションがあれば、それだけ結果が出るのも早いですし、試行錯誤の回数も増えます。ですから、こういった開発段階でパフォーマンスが期待できるマシンがあるというのは非常にありがたいことなのです」と井上氏も声を揃える。

 Z8 G4の活躍もあり、1枚の航空写真から被災箇所をAIで検知する試みは短期間で70%以上の検出率という高い精度をみせた。「自然の地形でも瓦礫の山のように見える箇所や、もともと廃屋や廃材置き場だった土地もあるので、初回のテスト結果としては十分な手応えを感じています。防災科研様や京葉測量様も同様の見解をいただきました」と村瀬氏は今回の施策を振り返る。

航空写真を解析したAIが被災家屋を検知

人手に頼らずとも、解析結果を見るだけでどこにどのような物資や組織を派遣すればよいか判断できる

AIシステム開発を加速させるHPワークステーション

 今回の施策のほか、ISPではZ8 G4を自社の開発リソースとして活用している。「もともと弊社のラボでは演算リソース用に数台のワークステーションを共有資産として運用しています。各スタッフは開発中に高負荷の演算をさせる場合にそれらにアクセスして計算させるやり方ですが、Z8 G4をそれ用に開放してみたのです」と井上氏。

 同社はZ8 G4のWindowsに加え、Linux系のUbuntuをデュアルブートで実装し、それを自社開発用の演算マシンとして活用したのだ。

 「防災科研様の案件と同じく、ディープラーニングで演算を行う場合、パフォーマンスは高ければ高いほど早く結果がでます。このケースにおいては、弊社がいつも使用しているかなりハイエンドのクラウドサービスを使用して2週間かかっていた演算が、Z8 G4だと4日で終わるという結果が出ました」と井上氏は語る。

より充実したシステム開発に大きく貢献したZ8 G4

 このケースではZ8 G4の96スレッドをフルに活用し、メモリリソースも640GBのうち500GB以上を使ったが、試行中の異常発熱やトラブルなどはまったくなかったという。Z8 G4はハイパフォーマンスのみならず、高い信頼性も併せて証明したのだ。

 航空写真へのAI活用の可能性を探る試みは、十分な手応えを得て完了した。将来の実用化への目処も立ち、防災科研と京葉測量の両社からも実用化に資する十分な成果と今後の課題を得ることができたとISPに伝えたという。

 「今回は短い期間で1枚の航空写真のみを手掛かりにAIによる画像解析をおこないましたが、土地や建物の高さの情報や、被災前の写真や家屋の判別などを組み合わせれば、もっと精度は上がります。災害時により迅速で正確な現状確認ができるようになりますから、自治体や被災者の役に立つはずです」と今回の試みの可能性を語る村瀬氏。

 「弊社で開発したアルゴリズムが新たな要件にも対応できることが分かりとても刺激になりました。今回の案件でもわかりましたが、システム化できるところはコンピューターに任せて、人はもっとクリエイティブなことに専念するということがいかに大切か実感できました。これからも、こうしたケースをはじめ、より多くの方々が有意義な時間を過ごせるようなシステムづくりで社会に貢献していきたいですね」と井上氏は最後に語ってくれた。

 ISPでは、新入社員の開発用にデスクトップ機材を提供していたが、コロナ禍で出社が容易にできない状況の中、自宅でも十分に開発が行えるように、HP ZBook Firefly 14 G7 Mobile Workstationを導入している。HPもISPと共に、新たな価値を創造するための取り組みを続けていく。

HP Z8 G4 Workstation

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