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2022.09.26

市場拡大を続ける「サステナブル・ブルーエコノミー」

海洋の生態系に秘められた未知の可能性とは?

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プラスチック問題の新たな解決策「アップサイクル」

―― 深刻な状況ですが、問題に歯止めをかけるためにはどうすればいいのでしょうか。

枝廣氏 プラスチック問題を解決するには、レジ袋有料化のように法規制による対処が有効ですが、加えて、事業活動による解決も大きな効果を発揮すると思われます。

事業の方向性として考えられるのは、主に2つです。1つ目は、プラスチックを使わない、出さないという方向。日本のコンビニエンスストアでも、プラスチック製のスプーンやストローを紙製や木製のものに替えるところが増えています。ヨーロッパではじめてフリースを開発したイタリアのポンテトルト社は、マイクロプラスチックが出ないフリースを開発して、大ヒットしています。あるいは、マイクロファイバーを流出させない洗濯袋などは、日本でも売られています。

フランスでは、2025年からマイクロプラスチックの流出防止フィルターのついた洗濯機しか販売できなくなるとのことです。事業として、プラスチックを出さない動きが今後一層広まるでしょう。

Luoxi/shutterstock

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もう1つは、一度出てしまったプラスチックを回収する事業です。砂浜を走り回ってマイクロプラスチックを回収する機器を開発しているベンチャー企業も生まれています。船にフィルターを取り付け、航海中のプラスチック回収を図っている海運会社もあります。

また、素材レベルでの開発もあります。いまも生分解性プラスチックは作られていますが、これまでのものは海中では分解されないなどの限界があり、さらに研究開発にしのぎが削られています。生分解性プラスチックの難しいところは、使用中に分解されても困りますし、リサイクルされたときに生分解性のプラスチックとそうではないものが混ざることによる問題も起こることです。それらを解決するような技術開発に期待しています。

―― 枝廣様が監修された書籍『海と地域を蘇らせる プラスチック「革命」』では、アップサイクルといった事業化方法も提起されています。

枝廣氏 アップサイクルは世界的に注目されている考え方です。これまでは、プラスチックを素材としてリサイクルすると品質が落ちるので、安価なパレットやバケツ、杭など、そういった利用用途が中心でした。

一方、素材を転用して、より高い付加価値をつけて販売する企業がいくつも出てきています。これをアップサイクルといいます。たとえば、日本のPLASTICITY(プラスティシティ)という企業は、使い捨てのビニール傘を素材にしたバッグなどを製造、販売するブランドとして注目を集めています。

―― 今後、日本企業がプラスチック問題に取り組む上で、どのような点を意識すればいいでしょうか。

枝廣氏 プラスチック問題は、サーキュラーエコノミー(循環経済)の問題として捉えられるべきだと思います。これまで日本では、いわゆる3R(リデュース、リユース、リサイクル)によってゴミを出す量を減らし、環境負荷を減らそうという方向でやってきました。つまり、ゴミ処理対策や環境政策です。

一方、EUでは、産業政策としてサーキュラーエコノミーを推進しています。つまり、原材料をサステナブルに、安価に供給するために再生素材の利用を促進するという位置付けです。日本においても、今後はそのような方向に進んでいかなければならないと思います。

日本は地下資源・天然資源には貧しい国ですが、いわゆる地上資源や都市鉱山と呼ばれるものは豊富に存在します。東京オリンピックで金メダルが再生資源だけで作られたように、地上資源や都市鉱山の活用をサーキュラーエコノミーとして推進できる余地は多分にあるはずです。

企業がその流れをうまく捉えるためには、やはり先行している、EU市場などの動向をキャッチアップしていくことが大切です。早晩、日本も含め他の世界もそちらに追随するでしょう。サーキュラーエコノミーを求める市場が主流になったとき、自社はどう対応すべきか、どこにビジネスチャンスを見出すのか、日本企業の皆さんにも世界に目を向けて探索してほしいと思います。

<新刊のご紹介>

ブルーカーボンについて、より詳しく学びたい方は、枝廣氏の著書『ブルーカーボンとは何かー温暖化を防ぐ「海の森」』(岩波ブックレット)をお読みください。2022年9月6日発売。

※本記事は JBpress に掲載されたコンテンツを転載したものです



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