2023.03.07

製版とは?印刷工程における位置づけ、刷版や版下との違い、作業の課題を解説

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製版とはオフセット印刷で使われる「版」を作る工程です。凸版方式、平版方式、凹版方式、孔版方式が代表的な版の種類で、用途によって使い分けます。

本稿では、印刷工程における製版の位置付け、刷版や版下との違い、版の種類や製版工程について解説します。さらに、製版工程の課題やデジタル印刷への移行についても触れるので、製版工程のデジタル化をご検討の方は、ぜひ参考にしてください。

1. 製版とは?

製版(せいはん)とは、オフセット印刷に必要な版を作ることです。印刷工程における位置付け、刷版や版下との違いを解説します。

① 印刷工程における製版の位置づけ

一般的に印刷工程は、プリプレス、プレス、ポストプレスに区分でき、製版はプリプレス工程に含まれます。

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印刷物の企画や入稿、DTPや製版までがプリプレス工程、刷版から印刷までがプレス工程、製本や加工など納品までの作業がポストプレス工程です。

製版はプリプレスにおける最後の工程で、修正ができる最終段階です。プレス工程では印刷作業が始まってしまうので、製版でミスや漏れがないかしっかり確認する必要があります。

② 刷版との違い

刷版(さっぱん)とは印刷用の版で、大きなハンコのようなものです。刷版には、フィルム出力とCTP(Computer to Plate)の2種類があります。

従来、透明フィルムに印刷データを印刷して、主にアルミでできた金属板に焼き付けて版が作られていました。現在はデジタル化が進み、フィルムなしで版を作るCTP方式が主流となっています

③ 版下との違い

版下(はんした)とは、版のもとになる原稿です。白い台紙に文字や図表がレイアウトされ、写真やイラストは取り除かれた状態です。

版下をもとに印刷用の版が作られるので、印刷データの入稿時には次のポイントを確認しましょう。

  • 用意したデータは最新か
  • 文字表現は統一されているか
  • 誤字脱字はないか
  • 文字はアウトライン化されているか
  • 文字化けが起こる文字を使っていないか
  • 画像は印刷に適した解像度になっているか
  • カラーモードは印刷に適しているか

2. 版の種類

印刷で使う版には4種類あり、印刷方式によって異なります。シールやラベル印刷、厚盛りインキを使った印刷、長尺物への印刷や金属印刷など、用途に合わせて版の種類を選択します。

ここでは、凸版方式、平版方式、凹版方式、孔版方式について解説します。

① 凸版方式

凸版方式は、凸状の絵柄にインキを付着させる印刷方式です。平らな面に圧力をかけ印刷する平圧式や、円状シリンダーで印刷する円圧式などがあります。

漫画、新聞紙、缶、シールへの印刷に用いられており、たとえば週刊コミック誌は樹脂版にインキをつけて、輪転印刷機で用紙に印刷します。

② 平版方式

平版方式は絵柄が平面状に描かれ、水と油を使ってインキを付着させます。インキを付着させたくない部分に水を湿らせておくことで、油性インキが反発し色を付けないようにする仕組みです。

絵柄を平板のゴムシリンダーに転写するオフセット印刷で使われる方式で、新聞紙、カタログ、金属缶などの印刷で利用されています。

③ 凹版方式

凹版方式は、インキを凹部のある版面全体に付着させ、インキを刃などでこそげ取ると、凹んだ部分にのみインキが残る仕組みです。絵柄の凹部にのみインキが残るため、画線通りに印刷できます。

凹部の深さによって色の濃淡を調整でき、カラー雑誌や包装印刷などグラビア印刷で使われています。

④ 孔版方式

孔版方式では、版に小さな穴を開けてインキを出し絵柄を印刷します。紙だけでなく金属やプラスチック、ガラス容器や電子部品の局面印刷など、さまざまな用途で活用できるのが特徴です。

孔版方式は、スクリーンを張って感光液や水などでインキを出すスクリーン印刷で主に活用されています。

3. オフセット印刷における製版の工程

オフセット印刷における製版工程を、2点解説します。

① 製版の工程

製版工程では、文字や画像データをレイアウトし面付けデータとして仕上げます。製版は分解、集版、校正の3工程に分けられ、具体的な作業は次のとおりです。

分解 ・写真と組み合わさった文字の色分け
・ロゴマークの配置を調整
・レイアウトに基づき写真やイラストの比率を調整
集版 ・レイアウトに基づき画像と文字データを組み合わせる
・面付けデータを完成させる
校正 ・印刷原版を参考に試し刷りをする
・誤植やレイアウトミス、色調などの確認や修正を繰り返す

② 進む製版工程の自動化

製版工程は効率化が求められており、自動化が進んでいます。その理由は、製版工程は手間がかかり人的リソースも多く割かれ、なおかつ一定のスキルが必要となるからです。

これまでの製版工程では、1人の担当者がパソコンで入稿データのチェック、面付け、印刷機ごとのデータ振り分けなどを受け持ってきました。

膨大なデータ処理を目視確認するとミスが起こりやすく、時間もかかるうえにスキルも必要です。そこで印刷現場では製版工程を自動化させ、人材不足の解消や作業時間の削減が進められています

4. 製版工程での課題

製版工程における課題を3点解説します。

① 環境負荷

オフセット印刷などで製版は欠かせない工程です。しかし、版の製造から廃棄までに発生する環境負荷が問題になっています

そこで印刷業界では、環境負荷の軽減を実現するためにデジタル印刷の導入を推進しています。デジタル印刷では製版工程が必要なく、環境にやさしい印刷を実現できるのがメリットです。

② 人的リソース

先述したように、製版工程では多くの人的リソースが必要となります。しかし多くの印刷会社では人的リソースに余裕がないのが現状です。

そこで製版工程をデジタル化し、自動化を推進する動きが目立っています。自動化することで人材不足を解消し、担当者の処理量やミスを減らします

③ 採用・育成

製版工程が含まれるプリプレス部門では、残業が多いイメージが根強く人材の採用課題が残ります。さらに、製版にはスキルが必要で若手の育成に課題を抱える印刷会社は少なくありません。

採用力の強化にも製版工程のデジタル化は効果的です。印刷会社がデジタル化による業務の効率化を推進することで、業界のアナログなイメージを払拭し、先進的な印象に変えていけるでしょう。

関連リンク
デジタル印刷へシフトする必要性とは? オフセットとの違いや市場規模について

5. まとめ

オフセット印刷で製版は必須の工程ですが、環境負荷や人的リソース、採用や育成面において課題が残ります。印刷業界は人材不足に悩む企業が多く、さらに環境負荷の軽減に向け対策が迫られています。

そこで重要となるのがデジタル印刷への移行です。デジタル印刷は製版が不要であるため、課題解決の有効打になります。

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