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2023.11.21

ノートパソコンと通信サービスをワンストップで提供する
「HP eSIM Connect」の衝撃

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日本HPが、リモートワークでのPC利用や管理を強化するソリューションとして、KDDIのau回線を利用したMVNOサービス「HP eSIM Connect」をサービスインしました。法人向けにデータ通信5年間無制限というサービスをモバイルPCにバンドルするもので、端末としてのPCと通信サービスを同社がワンストップで提供する画期的な試みとなります。加えて、電源オフ、通信オフラインの状態で利用できるMDMソリューションとして「HP Protect and Trace with Wolf Connect」も2024年2月から提供されることが明らかにされました。ここでは、これらの新サービスについての発表会と事後の関係者取材でわかったことの詳細を説明しましょう。

ライター:山田翔平

KDDIと日本HPの協業でスタートする新サービス

2023年11月中旬、日本HPは「ハイブリッドワークを支援する新ソリューション発表会」を開催、「HP eSIM Connect」や「HP Protect and Trace with Wolf Connect」、また、コミュニケーションペリフェラルブランドPolyの新製品など、リモートワークでのPC利用や管理を強化する複数のソリューションを紹介しました。

「HP eSIM Connect」は、日本HPがMVNO、つまり、仮想移動体通信事業者としてのサービスをスタートするという点で注目を集めています。MVNOは格安SIM事業者としても知られていますが、今回のサービスインは、導入のハードルの低さ、そして運用コスト面などで画期的なものになりそうです。

このサービスは、KDDIとの協業によって実現されました。ご存じの通り、KDDIはMNO、すなわち、移動体通信事業者として、企業や個人などの加入者向けに通信サービスを提供しています。今回、日本HPは、KDDIによるMVNEとしての支援を受け、MVNOとしてのサービスを開始します。MVNEは「Mobile Virtual Network Enabler」、MVNOというのは「Mobile Virtual Netword Operator」の頭文字をとったもので、Virtualという単語が入っていることから想像できるように、物理的な通信設備をMNOであるKDDIに委ね、通信事業を提供する仮想的な通信事業者です。KDDIはMNOであると同時に、Network Enablerとしても機能し、全面的にMVNOとしての日本HPのサービスを支援します。

法人向けにデータ通信5年間無制限の利用権付きeSIM対応モバイルPC を販売開始

「HP eSIM Connect」は、法人向けに特化したeSIM利用限定のサービスで、対象機種を購入することで、追加料金なしでauのLTE/5G回線を使ったデータ通信が5年間、使い放題になるサービスです。具体的には、

1. 対象機種HP Dragonfly G4及びHP ProBook 445 G10のWWANモデルの購入

発表会で展示された対象機種

2. パッケージ同梱のドキュメントを参照して申し込みサイトでアカウントを作成し回線申し込み

3. 本人確認手続き(通常は企業のIT管理者)

4. 利用開始手続き

という4ステップを経てインターネット接続ができるようになります。

法人を対象としたサービスですから、申し込みには、

1. 印鑑証明書、登記簿謄本/抄本、履歴事項証明書などの法人証明書類(官公庁の場合は必要なし)

2. 個人の運転免許証やマイナンバーカードなどの担当者の本人確認書類

3. 名刺や社員証など担当者の法人在籍確認書類

が必要で、従業員、導入台数を問わず、組織の代表となる方が手続きをする必要があります。申し込みはオンライン、各種書類についてはPDFやJPG等のデータをアップロードすることになります。また、本人確認についてはスマートフォンによるeKYC(electronic Know Your Customer)を使います。これは、オンラインで本人確認を行う技術で、セルフィーアップロード型の本人確認により、自身の写真(セルフィー)と運転免許証などを同時にスマートフォンで撮影、アップロードすることで、セルフィーで撮影された人物と本人確認書類上の人物の同一性を確認します。

フィッシング・不正利用を防止し、本人確認を効率化する「eKYC」とは?
サービス提供事例も解説
https://biz.kddi.com/beconnected/feature/2020/200403/

申し込み時には、対象機種のシリアルナンバーを一度に1,000台まで登録することができ、大量台数の導入についても配慮されています。それ以上の台数を登録する場合も、手続きを複数回に分ければ可能です。これらの手続きについてはMVNEであるKDDI eSIM登録センターとのオンラインでのやりとりになります。本人確認後、KDDIによる審査が実行され、最大3営業日で各対象機種でのアクティベーションができるようになります。

利用開始手続きとパソコン内蔵eSIMスロットへのプロファイル登録

対象機種には物理SIMスロットに加えてeSIMスロットが実装されています。SIMは回線契約情報を記録したICチップのことで、契約済みの通信事業者から提供されます。このSIMをスマートフォンやパソコンなどのSIMスロットに装着することで、そのハードウェアがWANを使った通信機として機能するようになります。

eSIMは、電子的なデータでSIMと同等の機能を実現するもので、具体的にはプロファイルをネットワーク経由でダウンロードして利用します。

「HP eSIM Connect」では、プロファイルのダウンロードとパソコンの設定などをアプリで行います。WindowsパソコンでMicrosoft Storeを開き、アプリ「KDDI eSIM Enabler」をインストール、アクティベーションコードをサーバーから取得し、日本HPから提供された4桁のパスワードを入力すると、eSIMプロファイルがダウンロードされて利用できるようになります。そして、利用開始後、5年間、通信費用を気にせずに無制限のインターネット接続ができるようになるのです。

eSIMを登録しても、物理スロットは占有されず空のままです。そこにICカードの物理SIMを装着すれば、そちらのSIMに切り替えて、別の契約で通信ができます。「HP eSIM Connect」は、海外での通信ができませんが、物理スロットにローミング等をサポートする各社のSIMや、海外事業者の発行した物理SIMを装着し、そちらに切り替えれば、海外出張中の通信をまかなうことができます。

レンタル/リースも想定した通信サービス

利用に際して留意しておかなければならないのは、このサービスが日本HPから新品の対象製品を導入した法人のみを直接の対象としている点です。たとえば、中古業者から対象機種を購入してもデータ通信利用権を使うことはできません。ただし、企業内やグループ企業内での再利用はできるようになっています。

注意が必要なのは、レンタルやリース事業者を利用する場合です。日本HPはMVNOとして回線申込者を回線利用者とみなし、不正な利用を抑止しやすい環境を構築する必要があります。したがって、レンタル事業者経由のサービス利用においても、エンドユーザーが回線の利用を申し込む必要があります。

短期利用のレンタルスキームでは、こうした手続きが難しい場合もあります。ただし、レンタル事業者が届け出をして独立したMVNOになり、日本HPと第三者利用許諾契約を締結することで、KDDIは日本HPとの

間で合意された契約と同等の条件でサービスを提供します。これによって、通信機能をバンドルした状態の機器を短期間レンタルすることが可能となります。今後はこうしたサービスを明示的にアピールして提供するレンタル/リース事業者も登場してくるはずです。

また、企業によってはeSIMプロファイル適用のために使うアプリのインストールに必要なMicrosoft Storeの利用をセキュリティ等の理由から禁止している場合もあるはずです。その場合は、エンドユーザーにパソコンを配布する前に、管理者の手によってプロファイルを適用しておく必要があります。

サービスのサポートと利用の留意点

ハードウェアの故障などによるサポートも万全です。ハードウェアの保証期間は一般に1年間ですが、Care PackとActive Careなどの延長保証サービスの利用により、通信利用が可能な5年間全期間を保証期間とすることもできます。仮に、保証期間が終了しても、サービス提供期間の5年間が残っている場合は、通信サービスそのものは継続して利用できます。ただし、モジュールの故障等の対応はできません。

また、保証期間中に修理不能と判断されて本体交換になった場合は、日本HPから新しい本体のシリアルナンバー等がKDDIに通知され、再申請することで通信サービスを再開することができます。 なお、規約によってテザリングは禁止されています。Windowsにはインターネット接続を共有するための機能として「モバイルホットスポット」を有効にすることができます。この設定を技術的に禁止する方法はないため、「不正利用発覚時のサービス停止」が規約に明記されています。

導入期から定着期に移行するハイブリッドワークに最適なサービス

日本HP代表取締役 社長執行役員の岡戸伸樹氏は、今回のサービスインについて、ハイブリッドワークがコロナ禍で導入が進み、東京などの首都圏では5割に達していることを指摘し、働く人々のニーズを考察すれば、ツールと働く場所の両方が大事で、そこを手厚くすることで、通信とセキュリティ、そしてコミュニケーションが従業員との良好な関係を築くはずだと述べています。

株式会社 日本HP 代表取締役 社長執行役員 岡戸伸樹氏

また、発表会にゲストとして登壇したKDDI株式会社執行役員常務 ソリューション事業本部 ビジネスデザイン本部長の那谷雅敏氏は、同社が通信を常に安心安全に使ってもらうことを目指している企業であり、日本HPがその通信サービスとツールとしてのハードウェアをシームレスにワンストップ提供することは、キャリアである同社から見ても価値のあることだと、今回のサービスインへの期待を語りました。

(右)KDDI株式会社 執行役員常務 ソリューション事業本部 ビジネスデザイン本部長 那谷雅敏氏

日本HPパーソナルシステムズ事業本部 CMIT製品部 部長 岡宣明氏は、今回のサービスが通信費込みの価格として破格であることをアピール、通常は安くても2,000円/月ほどは必要で、使えるデータ通信容量の上限も決まっているサービスを無制限で5年間使えることの優位性をアピールしています。2,000円×60ヶ月で12万円分の通信費が含まれるわけですから、それも納得です。そもそもMNO各社には、パソコンで使えるデータ通信専用の無制限プランの提供がなく、せっかくのWAN対応機が宝の持ち腐れになっていることも少なくありませんでした。

岡氏はデータ容量を気にすることなく無制限に通信ができるパソコンは一度使うと離れられなくなることに言及、OSの従量課金設定をオフにし、データの同期やアップデートなどができるエンドユーザー体験の向上はもちろん、常にエンドユーザーがネットワークにつながっていることで、管理者も安心な上、危険なWi-Fiなどを使う必要がなくなることの安全性をアピールしました。

革新的なMDMソリューションとしての
「HP Protect and Trace with Wolf Connect」

日本HPは今回のサービスインに加えて電源オフ、通信オフラインの状態で利用できるMDMソリューションとして「HP Protect and Trace with Wolf Connect」も2024年2月から提供されることを発表しました。対象機種には、Cat-Mモジュールが実装され、サービスに加入することで、MDMから電源が切れているパソコンの在処を確認したり、ロックしたり、場合によってはデータを消去したりすることができます。

一般的なMDMソリューションでは、管理のためにPCの電源はオンになっているか、ネットワークに接続されている必要がありますが、このモジュールでは、その必要がありません。全世界、ほとんどの地域で有効で、たとえば、日本で購入したパソコンをアメリカ出張中に紛失しても、管理者に報告してロックしてもらい、その在処を教えてもらえるのはもちろん、本体を確保できない場合には、パージレベルでデータを消去できるなど、万全の対策ができます。Find、Lock、Erase(パージ)をオフラインでかなえる革新的なMDMソリューションとして、サービスインが待たれます。これによって、企業のハイブリッドワークにおけるコンプライアンスリスクを一気に低減できると日本HPではその優位性をアピールしています。このモジュールは、一般的なインターネット通信を実現するWAN対応機とは独立し、別途実装されるため、通信機能を必要としない顧客にも有効です。対応PCでは通信費もかかりません。少し先になりますが、サービスインが待たれます。

HP eSIM Connectのサービス紹介ページ
https://jp.ext.hp.com/prod/notebooks/business/esim/
https://jp.ext.hp.com/business-solution/telework/lte/

※このコンテンツには日本HPの公式見解を示さないものが一部含まれます。また、日本HPのサポート範囲に含まれない内容や、日本HPが推奨する使い方ではないケースが含まれている可能性があります。また、コンテンツ中の固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標ですが、必ずしも「™」や「®」といった商標表示が付記されていません。

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