ファッション×IT×医療を展開する日本最大規模の学校法人
学校法人モード学園は、東名阪のそれぞれにファッション系の東京モード学園、大阪モード学園、名古屋モード学園、IT・デジタルコンテンツ系のHAL東京(09年4月開校)、HAL大阪、HAL名古屋、医療・福祉系の首都医校(09年4月開校)、大阪医専、名古屋医専を展開する、専門学校としては日本最大規模の学校法人である。
『大学でもない、専門学校でもない、新しい専門学校へ』というスローガンのもと、ファッション、IT・デジタルコンテンツ、医療・福祉などの業界に即戦力となる人材を送り出し、いずれの領域でも、卒業生のレベルの高さは評価されている。近年は「学学連携」をテーマに、学生の興味・関心のある分野は学校横断で学べる体制づくりに取り組んでいる。たとえば、救急救命をテーマにしたゲーム型教育コンテンツの制作など、実を結んだ例もあり、分野横断型の新しいタイプの人材を輩出する試みとして、実にユニークなものになりそうだ。
学校法人モード学園
HAL大阪
統轄責任者
寺田 延生氏
学校法人モード学園
法人本部
システム室主事
赤田 和隆氏
また、安定した経営を貫いているのも大きな特色。2008年3月、名古屋駅前に完成したモード学園スパイラルタワーズ、同じく10月に新宿駅前に竣工したモード学園コクーンタワーなど、大阪駅前の校舎も含め前衛的なデザインの高層ビルは、いずれも自己資金で建設されたものだ。コピー1枚、FAX1通に至るまで台帳管理するほどの、コスト意識徹底の賜物といえよう。
コンプライアンス、セキュリティの観点からクライアント統合を実施
学校法人モード学園は、1984年にコンピュータ総合学園HAL(現 HAL大阪)を開校した。さすがにHALはコンピュータの専門学校だけに、教職員のコンピュータスキルは高く、90年代に入ってからは、学籍管理用の汎用コンピュータとは別に、それぞれが個人のPCを持ち込み、教材開発や事務業務にも活用していた。99年に、現在の大阪総合校舎で、大阪モード学園といっしょになってからは、それに触発されるように大阪モード学園の教職員も個々のPCを活用するようになり、東京・名古屋にも波及し、その状態が近年まで続いていた。だが、コンプライアンスやセキュリティの面から、個人PCではなく、学園としてクライアント一括管理の必要性も高まり、2007年初頭、クライアント統合を実施することが正式決定した。
「当初は統一スペックのノートPCを当時の全教職員約1000人に配布するというプランが先行していましたが・・・」と語るのは、クライアント統合プロジェクトの推進者である寺田延生氏。
寺田氏とともにプロジェクトを担当した赤田和隆氏は次のようにいう。「東名阪のすべてのクライアントが対象でしたから、PC配布では運用管理面に課題が残ると考え、シンクライアントに注目しはじめました。当時はサーバを分割して使う仮想PCのソリューションが有力候補でした」
各メーカーの仮想PCソリューションを調査していたが、HPのシンクライアントシステム、CCIを知ったのは、2007年秋頃のことだったという。「話を聞いて、すぐその翌日に見に行きました。その時、直感的に“これはいいな”と感じました」(寺田氏・赤田氏)寺田氏らがHP CCIに好印象を抱いたポイントは、仮想化のメリットと、ブレードPCという専用機の優位性がうまくバランスしている点にあった。
「仮想PCでは人が増えていくとサーバ上の仮想領域がどんどん増えていく、そうなったときに他のユーザーに引っ張られやしないか、HALにはC言語やJAVAなどプログラム言語やフォトショップやイラストレータなどのCGソフトを使う教官もいるため、そういうものも動くのか、また、東京校舎や名古屋校舎に出張したときも使えるのかなど、細かい運用面などを気にしだすと、どの製品も一長一短でした。
その点、HP CCIはブレードPCが離れた場所にあるというだけ。1人ずつにPCを配るという当初の考え方が、1000人に800台程度とダウンサイジングしながら実現できるわけです」(寺田氏)
その後、メンテナンスのしやすさ、その手法、教職員の人数が変動した際の対応、導入コストとランニングコスト、アプリケーションの検証工数の問題など、寺田氏らはさまざまな観点からのシミュレーションをしたという。
「私も赤田も以前は、システム開発に従事しており、HALでは教官として、永年、コンピュータ技術者の教育を行なってきた経緯があり、またプロのユーザーでもあるわけです。メーカーの営業担当やエンジニアも音をあげるくらい、微に入り細に入り、根掘り葉掘り質問しますよ。」と寺田氏は笑う。
“プロのユーザー”も納得したHP CCIの高い信頼性
これらのプロセスを経て、HP CCIの採用が決定。名古屋の新校舎(モード学園スパイラルタワーズ)完成に合わせた2008年3月を皮切りに、大阪、東京へと順次導入が進められた。2009年4月に開校を予定するHAL東京・首都医校の分も含め、シンクライアント端末約1000台、ブレードPC約700機以上という規模となった。 導入されたHP CCIは“プロのユーザー”が多いというHALの教官や学校法人モード学園のスタッフたちにどのように受け入れられたのか。
「やはり計画を公表した段階では、HALには自分でPCを組み立てたり、カスタマイズしてヘビーに使いこなしている教官からは、批判的な意見もありましたね。」と赤田氏。「ゲーム開発や3DCGを自在に動かすような教材開発は特殊なマシンでしなさいと。そういう機材は、HALには教育用途として、ふんだんにあるわけですから。意識改革が進んだら、自然に批判はなくなりました。」と寺田氏。
寺田氏自身が、シンクライアント端末を前に、慣れ親しんだ自分のノートPCを開く日々がしばらくあったというが、十分に運用できるということがわかってからは、ノートPCから業務関連データをすべて消去し、その後は仕事用としては起動していないという。
また、ブレードPCの稼働も全教職員数の8割程度と試算していたところ、予想どおり、それを下回っているという。教官の場合、授業中は当然使用しないため、1人1台のブレードPCは不要であり、結果的にノートPCを配布することを考えれば、台数は減少でき、メンテナンスも一括集中管理できる。
アプリケーションのライセンスコストの問題もHP CCIならクリアに
HP CCIが選ばれた理由には、当然、徹底したコスト意識に基づく視点もあった。そのひとつにアプリケーションライセンスの問題があった。 「本校の場合、Microsoft Officeを動かすだけでなく、Adobe社のグラフィック系アプリケーションを使うスタッフもいます。それも1日のうちに数時間しか使わないというようなことが多い。
仮想PCでは、クライアントごとにライセンスコストがかかってしまう。リアルなユーザーの数とクライアントの数、アプリケーションの必要数はイコールではないのです」(寺田氏)
たとえ数百台のブレードPCが並んでいたところで、そのうちの数台にだけ特別なアプリケーションが入っているとなれば、ライセンス管理は明快であり、購入も必要数だけで済む。TCO削減にもつながるというわけだ。
「そのため、一般的な教職員用の設定、Adobe社のアプリケーションなど特別なものを使う教職員用の設定など、クライアント・イメージ設定にいくつかのバリエーションを作っています。今度は出張者用の設定も作ろうかと。出張先のプリンタで出力できるようにするというだけのことですが、できるとできないとでは便利さがまったく違う」(寺田氏)とのこと。
導入からほぼ半年、すでにオリジナリティある使い方を実践しているあたり、さすが創造性重視の教育を展開する本学園ならではといえるだろう。目下、東名阪全体におけるシステムの運用管理を大阪の赤田氏が中心に行なっており、まったく支障はないという。 このように使い勝手に優れたシステムとしてHP CCIの評価は高い。両氏ともに、今後も教育用機器も含め、安価で良い製品を提供してもらいたいとHPへの期待を口にした。