国際化が進むにつれて、海を超えてチャットや通話をするケースが増えてきています。また、新型コロナウイルスの影響で、社内のミーティングやクライアントとの商談を遠隔で実施する企業が増えました。そういった状況に対応するためのWEB会議サービスも整っており、遠く離れた相手と気軽にコミュニケーションをとることができる時代です。

ところで、さまざまなWEB会議サービスの中の1つである「Skype」の機能の一つに「リアルタイム翻訳機能」があることをご存知でしょうか。この機能では通話中に誰かが話した言葉を、その場で他の言語に翻訳することが可能です。潤滑なコミュニケーションを助けてくれる便利なツールですが、実際の会話においてどの程度役に立つものなのでしょうか。
今回は、Skypeの翻訳機能について詳しくご紹介します。（※2020年5月時点での情報を基に作成しています）

翻訳ツール　microsoft translater

それでは早速ですが、Skypeに搭載されている翻訳ツールの性能をご紹介します。

11の言語を翻訳可能

Skype翻訳に使用されている翻訳ツールは、マイクロソフト社の「microsoft translater」です。2017年には日本語が対応言語に追加され、現在11の言語のテキスト翻訳と音声翻訳に対応しています。
Skypeの「リアルタイム翻訳」では、この技術の音声翻訳機能が活用されています。通話中に、会話を双方向で即座に翻訳し、テキストと機械音声で出力できる機能です。

使えば使うほど性能が上がる

本機能では、音声認識用と機械翻訳用の2種類のAIが搭載されています。認識した言語をテキストとして生成する役割と、言葉や文脈を整えてより正確な翻訳を施し、最後に音声に変換する役割に分かれています。
この「AIの翻訳能力」は、機械学習によって向上していきます。データが蓄積されればされるほどシステムが改善されていくため、ユーザーが使うほど進化していくと言えるでしょう。

対応するskypeのバージョン

対応しているSkypeのバージョンは、デスクトップ版、Windows 10 プレビュー版、Web版の3つです。なお、Windows 10 プレビュー版では、国内外の固定電話番号や携帯電話番号との通話にも対応しています。

設定方法

では、リアルタイム翻訳機能を使うための設定方法を簡単に説明していきましょう。

チャット機能

[チャット]から、連絡先を右クリックし[プロフィールの表示]を選択、またはチャット内からヘッダーをクリックして、連絡先のプロフィールにアクセスします。そして[翻訳依頼を送信]というボタンで翻訳を有効にします。この通知が、選択した連絡先に送信されるので、[承諾]を選択してもらいます。承諾されると、インスタントメッセージと通話が、選択した言語に翻訳されます。
なお、他のユーザーと新しい会話を開始する場合は、その都度翻訳機能を有効にする必要があります。

音声通話機能

音声またはビデオ通話を行う際には、上記の設定をした後に、会話内の音声またはビデオ通話ボタンをクリックします。

これで設定は完了です。

実際の使用感は？

この翻訳機能は使えたらとても便利ですが、実際の会話でどの程度通用するものなのでしょうか。その使用感や翻訳の精度について、実際に検証してみました。

機械に認識させている感覚

実際に使用してみると、その言語認識の精度はあまり高くないという印象を受けました。
機械が認識できるように、はっきり発音しなければならない感覚がどうしてもあり、通常の会話のテンポだと翻訳の精度が落ちてしまう傾向にあります。また、固有名詞は正しく拾えない単語が多くありました。

長文だとより精度が落ちる

平易な文章では精度が高い一方で、文章が長くなればなるほど、翻訳が追いつかないケースが目立ちました。テキスト入力と違い、会話の中ではどこが発言の終わりなのか正しく認識することが難しいため、長文の翻訳がうまくいかないと考えられます。ビジネスで難解な会話をするなどの際には特に、文を短くきるなどして工夫をした方が良いでしょう。

通訳者の仕事を置き換えようとしているものではない

上記のように、ストレスなくSkypeの翻訳機能を使用できるようにするためには、機能改善が進むまで待つ必要がありそうです。
しかし、日本マイクロソフトの榊原彰取締役CTOも、Microsoft Translatorの技術や音声認識は、通訳者の仕事を置き換えようとしているものではないと強調しています。生身の人間による情緒豊かな翻訳はAIには難しいということです。一方、AIならではのスピードの速さは本機能の利点だと話しています。
通訳者の代替としての機能はまだ期待できませんが、Skype翻訳によって相手の話す大枠がスピーディーに理解できるなど、一定の価値はあると言えるでしょう。

【まとめ】活発なコミュニケーションの一助に

このように、Skypeの翻訳機能については改善すべき点が散見されました。今後のさらなる精度の向上に、期待が高まります。
国際化が進み、ビデオ通話やビデオ会議が世界規模で浸透している昨今。Skypeの翻訳機能が、他言語間の活発なコミュニケーションの一助になることは確かです。会話のリアルタイム翻訳機能のさらなる発展にはまだ目が離せません。