2020.06.01
2020年3月下旬から、ソフトバンク、ドコモ、KDDIの大手通信キャリア3社が一部地域で「5G(第5世代移動通信システム)」の商用サービスを開始しました。
働き方改革の推進や新型コロナウイルスの影響で、大多数の企業がテレワークへ転換している中、高速かつ安定的な「通信環境」の構築が目下の課題となっています。
テレワークが推進された働き方を考えると、大容量のデータを高速で送信できる「5G」は、これからの私たちの生活に必須のテクノロジーといえるでしょう。
そこで今回は、5Gとテレワークの2つの観点から「今後の働き方」について考えていきましょう。
※本記事は2020年4月時点の情報をもとに執筆されたものです。制度・各種ツール/サービスはアップデートされている可能性がございますのでご了承ください。
5Gとは、「第5世代の移動通信システム」の略称です。
移動通信システムと聞いてもピンとこない方が多いかもしれませんが、そもそも移動通信システムとは、携帯電話やスマホ、iPhoneなど持ち運べる通信機器に備わっているシステムのことです。より具体的に言うなら、メールの送信や動画のアップロード、ライブ配信などに使われるもので、「通信速度や回線で使われているシステム」とイメージが近しいかもしれません。
これまで1Gから4Gに至るまで、技術の進歩とともに通信速度の向上が進んできましたが、5Gは、通信速度の高速化に加えて「低遅延」「多数同時接続」といった特徴をもっています。
この「低遅延」のメリットは、通信ネットワークの遅延・タイムラグを極めて小さくできることです。
例えば、自動運転のように安全性が求められるモノでは「リアルタイム通信」が必須になります。なぜなら、数秒の通信遅延が大きな事故につながる可能性があるからです。
そのほか、製造業におけるロボットの遠隔操作や、医療現場における遠隔手術など、リアルタイムで安定的な通信を必要とする場合に、5Gの「低遅延」がキーになるのです。
5Gのもう1つの特徴である「多数同時接続」では、中心となる1台の端末(「基地局」という)から、同時接続できる端末の数が大幅に増加します。
例えば、これまで自宅でスマホやパソコンなど、数台しか接続できなかったものが、5Gが実装されることにより、100個程度の機器やセンサーを同時にインターネットに接続できるようになります。
このように5Gは、今後のテクノロジーの発展に欠かせない「基盤」となる技術なのです。
参考:
第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望
平成30年版情報通信白書
5Gが革新的な技術だということは理解したけど、まだ身近には感じられないという方のために、ここからは、より身近な話題に着目し、5G解禁後の私たちの働き方の変化についてみていきましょう。
5Gが本格的に始まると、私たちの働き方にも大きな変化が訪れます。その1つは、これまで以上にテレワークが社会に浸透することです。
自宅やカフェ、サテライトオフィスなど、オフィスの外で働くときに使うモバイル通信が圧倒的に速くなります。高性能のWi-Fiを常に使用しているときと同じくらい、サクサク仕事ができるようになります。
また、今のテレビ会議の通信環境では、音声が途切れたり、人数が増えると重たくなってしまったりと不具合が起きる場面は多いのではないでしょうか。通信環境が安定しているとは言い難い状況にあります。
しかし5Gになれば、これらの問題を一挙に解決できます。通信速度が高速化し、回線も安定するためです。さらに、映像はこれまで以上に高画質になり、音声もずっとクリアになるので、今よりも対面に近い状態で会議を行えるようになるでしょう。
このように、5Gが整備されると現在よりもさらにテレワークの浸透が進み、快適に働くことができるようになるのです。
5Gは、様々な産業における活用が期待されています。
例えば、製造業などで使われている工場。産業機械の制御では、レスポンスの速さがキーポイントになります。5Gが実装され「低遅延」が実現すれば、タイムラグがほとんどない状態で遠隔操作が可能になります。カメラのモニターを見ながらロボットアームを操作するといったように、工場の外で働くことも可能になっていくでしょう。
また、5Gの多接続の特徴をうまく使えば、いわゆる「エッジコンピューティング*」によって、工場内の様々な機械を統合して遠隔制御ができるようになるかもしれません。
*クラウドではなく、それぞれの現場(工場など)に情報処理端末を設置し、現場ごとに情報処理を行う仕組み。
医療では、現在画像診断に使われる機械の性能が高まっており、画像の高精細化が進んでいます。遠隔医療の1つであるDtoD(ドクタートゥドクター)では、医師同士がCTやMRIなどの画像をやり取りして診断を行うため、5Gで場所を問わず高精細な画像データを共有できるようになれば、遠隔医療の精度が一気に向上します。
また、5Gの低遅延が実現すれば遠隔手術が可能になり、患者さんの移動負担軽減、医師不足で手術ができないといった課題の解消にもつながるでしょう。
その他のユニークな事例だと、障害を持つ人がロボットを遠隔操作して接客する分身ロボットカフェ「DAWN」があります。その場に行けなかったり、身体を動かすことができなくても、場所を問わず仕事ができるようになります。
このようにあらゆる産業・業界において5Gの活用が広がっていけば、今後、私たちの働き方や生活は大きく変化していくでしょう。
総務省:5Gの利活用分野の考え方
スマートオフィスの存在をご存知でしょうか?すでに一部の企業では取り入れられているスマートオフィスですが、5Gが当たり前になれば、より多くの企業でこういったオフィスの利用が活発になると考えられます。
スマートオフィスとは、IoTを活用して利便性や快適性、省エネを実現するオフィスのことです。建物内にカメラやセンサーが設置されていて、従業員の場所や室内環境を計測しながら、オフィス環境が自動で最適化されるオフィスです。
5Gを活用すれば、より高密度にセンサーを設置し、従業員の体調やオフィス環境のデータをリアルタイムに収集することができるようになります。取得したデータをうまく活用することで、より良い労働環境の実現が可能になるでしょう。
また近年では、「どこでもオフィス」と呼ばれる概念も出てきています。どこでもオフィスとは、自社のオフィスとほぼ同じ環境で、テレワークを実現することです。
現在のテレワーク環境だと、セキュリティや通信環境の課題により、満足のいくテレワークが実現できていません。しかし5Gによって、自社データにいつでもどこでもアクセスできるようになれば、人々のワークスタイルも一気に変化していくでしょう。
5Gによってクラウドネットワークが大容量化、高速化されれば、あらゆるクラウドサービスの利便性が向上します。
具体的には、
・大容量のコンテンツの更新がスムーズになる
・様々なデータのリアルタイム計測ができる
・低遅延かつ高セキュリティのネットワークを利用できるようになる
など、これまで以上に快適な環境が実現されるようになります。
チャットや資料共有だけでなく、映像のやりとりなどをリアルタイムでスムーズに行えるようになれば、仕事におけるコミュニケーションの幅も大きく広がります。
また、すでにNTTドコモなどいくつかの企業では、5Gに向けたクラウドサービスの提供をはじめており、今後多くの企業からクラウドを使ったVR・ARなどのソリューションが展開され、サービスの利便性が向上していくでしょう。
5Gによる働き方や生活の変化についてご理解いただけたでしょうか。5Gを基盤にした様々なテクノロジーの発展により、私たちの予想のはるか上をいくスピードで世の中は変化していくと考えられます。
5Gについて詳しく知っている方も、そうでない方も、これを機に5G時代の働き方や生活の仕方について考えを巡らせてみてはいかがでしょうか。
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