2020.05.19
昨今注目が高まっているテレワークという働き方。時間や場所に縛られない働き方として関心を集めており、政府も導入を推奨している。近年、テレワークを導入する企業が増えているという声もあるが、実際日本の企業においてどの程度広がっているのだろうか。この記事では、日本企業におけるテレワークの普及率、業種や職種ごとの広がり、そこから見えてくる課題などについて解説する。
政府はテレワークの普及促進について、導入企業数や在宅テレワーカー数など具体的な数値目標を掲げている。その背景には、少子高齢化による労働人口の減少や、企業の都市部集中など今の日本が抱える課題がある。テレワークによって柔軟な働き方を選択できるようにし、介護や育児などで離職する社員の減少や、地方への本社機能の移転などの効果を期待している。
また、テレワークが可能になるネットワーク環境などの整備が広がってきたことも、要因のひとつだ。テレワークを行うには、通信環境の整備とITツールの活用が進んでいなければならない。そういった環境が国内全体で整ってきたことは、テレワークの普及を後押ししているだろう。
政府がテレワークを推奨しているが、実際にどの程度導入が進んでいるのだろうか。国土交通省による「平成29年度テレワーク人口実態調査-調査結果の概要-」から、日本企業でのテレワークの普及率を見てみよう。
就業者4万人に対して行った調査で、そのうち企業に雇用されていると回答した人は36,450人だった。その中で、勤務先にテレワーク制度があると回答した人の割合は16.3%となった。「社内規程にテレワークに関する記載がある」「規程に記載はないが上司などがテレワークを認めている」など、企業によって状況の差はあるが、約16%の企業がテレワークを導入しているという結果になっている。また、勤務先にテレワーク制度があると回答した人のうち、55.3%が実際にテレワークを行っていると回答した。テレワークが認められている企業では、半数以上の人がテレワークを活用しているようだ。
業種別の割合では情報通信業が最多で、回答したテレワーカーの33.8%であった。次いで学術研究、専門・技術サービスが27.0%と二番目に多く、その他の業種はそれぞれ約10~20%という結果となっている。情報通信業は、ネットワークに接続したパソコンさえあれば仕事ができる場合も多く、テレワークしやすい環境にあるのが要因だと考えられる。
一方、割合が一番低かったのは宿泊業・飲食業で、7.2%だった。宿泊業や飲食業は対面での接客が主な仕事となるため、テレワークを活用できる場面が少ないためだと考えられる。
職種別の割合では、管理職、営業、研究職の割合が高く、いずれも約30%という結果となった。自分で仕事の進め方をある程度自由に決められる管理職や、一人で作業することの多い研究職の場合、テレワークの導入ハードルが比較的低くなるためではないだろうか。また、営業職の場合は客先への訪問などでオフィスを離れることも多く、隙間時間でオフィス外でも仕事ができるテレワークの導入は効率アップが期待できる。そのため、営業職にテレワークを許可する企業が増えていると考えられる。
性別と年齢によるテレワーカーの割合をみてみると、20代男性が21.9%、30代男性が21.6%という比較的高い割合となっている。また、どの年齢においても女性テレワーカーの割合が低いという結果も出ている。要因はさまざまあるが、テレワーカーの割合が多い職種として管理職・営業・研究職が多くなっていることから、これらの職種に就いている女性が男性より比較的少ないという背景があるだろう。
テレワークで仕事をしている時間の調査では、仕事場所によって差が出る結果となった。在宅型では平均3.2時間/日、サテライト型では4.1時間/日、モバイル型では2.3時間/日という結果となっている。モバイル型の仕事時間が比較的短いのは、移動中や外回りの隙間時間などを活用したテレワークのためだと考えられる。また、この結果には雇用型だけでなく自営業や家庭での内職をしているテレワーカーも含まれるため、一般的な企業の一日の仕事時間よりも短くなっていると考えることもできるだろう。
テレワークの活用を推進するためには、企業がそのための環境を整える必要がある。ここでは、テレワーク活用のために取り組むべき施策について解説する。
テレワークは通常のオフィス勤務とはワークスタイルが大きく異なるため、テレワークに適した制度や就業規則を整備する必要がある。明確なルールを決めずにテレワークを開始してしまうと、社員もどのように対応すればよいかわからず、トラブルを招いたりテレワークの利用が定着しなかったりする恐れがあるためだ。
残業代や休日・深夜手当の支払い、長時間労働の防止などのために、テレワークでも就業時間を決め、勤怠管理を行っているケースも多い。セキュリティリスクを抑えるために就業場所に関するルールを定めたり、業務に関わる情報の取り扱いに関する禁止事項を提示したりすることも必要だろう。在宅勤務で光熱費やネットワーク回線にかかる費用などが社員負担になる場合は、それについても規則に明記しておかなければならない。
テレワークを導入すると、自宅で仕事をする社員も多くなるだろう。その場合、在宅の執務環境を整えることと、テレワークに適したデバイスやツールを用意することが大切だ。自宅で仕事をするためのデスクなどを用意すると、業務の効率アップに繋がる。テレワークでも他の社員とスムーズにやりとりするためには、Web会議システムやチャットツールなどのコミュニケーションツールを導入することと、それらが問題なく使えるスペックのデバイスと安定したネットワーク回線が必要だ。
自宅の執務環境は社員側で対応してもらう必要があるが、パソコンなどのデバイスは会社から貸与することも検討しよう。社員側が自由にデバイスを選んでしまうと、スペック不足で業務に支障が出るなどの問題が予想される。また、会社貸与のデバイスなら、会社で統一したセキュリティ対策を行うことができるというメリットもある。また、業務用パソコンを用意することで、在宅勤務でも社員がプライベートとの切り替えをしやすくなるという効果もある。
テレワークの活用を定着させるためには、テレワーク環境が整備されていることが重要だ。業務システムやWeb会議システムなどのコミュニケーションツールを快適に利用するためには、利用するマシンのスペックがそれに適している必要がある。それぞれの業務内容に適したスペックのデバイスを会社側で用意することも検討しよう。
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