2019.05.23
Windows 10 は基本的には動作が安定していると言われますが、使用している中でどうしても不具合が生じることがあります。PCが起動しない、動作が不安定になる、といった時のために、Windows 10 を修復する方法と修復時に気を付けたいポイントをお伝えします。
Windows の修復とは、Windows が正常に動作しない場合に、ハードウェアやソフトウェアで使われるファイル(システムファイル)を修復し、正常に動作するようにすることです。OSのクリーンインストールとは違い、ドライブ内のファイルに影響を与えることなくOSの状態のみを改善することができます。
Windows 10 で、修復が必要になるのは次のような場合です。
・Windows が起動しない
・Windows が正常に動作しない(「ようこそ」画面で止まる等)
・Windows が突然フリーズすることが頻繁に起こる
・Windows が突然ブルーバック画面になり電源が落ちる
・その他Windows の動作で不安定な状態が継続している
起動に問題がある多くのケースでは、Windows の起動時にスタートアップ修復が起動し、自動的に修復できるファイルを修復してくれます。以降は、スタートアップ修復で修復が完了できない場合についての対応の紹介です。
Windows 10 の修復は、コマンドプロンプト を利用して行うことができます。コマンドプロンプトは画面左下のWindows マークをクリックし、「cmd」と打ち込むと検索結果に表れます。コマンドプロンプトを実行すると、黒い背景のプロンプトが表れて、コマンド入力による操作が可能です。
コマンドプロンプト の画面で、「sfc /scannow」と入力します。sfcコマンドは、すべての保護されたシステムファイルの整合性をスキャンし、不正な書き換えなどにより間違ったバージョンになっているファイルを正しい Microsoft バージョンに置換します。
「/scannow」は、直ちに問題のあるファイルのスキャンと修復を行うオプションです。PCの環境によって長い時間がかかる場合があります。
コマンドを実行すると、スキャンや検証の進行度合いがパーセント表示されます。問題が検出されない場合は「整合性違反を検出しませんでした」とメッセージが出ます。
正常に修復が終了すると「正常に修復されました」、修復が完全にできなかった場合には「修復できませんでした」と表示されます。
「sfc /scannow」が途中で停止する場合、先に「chkdsk /f」または「chkdsk /r」を行っておくと最後までスキャンや修復が行えるようになる場合があります。「chkdsk」はディスクのエラーを検出し修正するコマンドです。
DVDやUSBメモリなどのインストールメディアを使った修復は、Windows 10 の修復の中でも特に強力な方法です。実行するためには、事前にBIOSで起動ディスクの優先順位がインストールメディアになるように設定する必要があります。
起動設定が正しくできていれば、「Press any key to boot from CD or DVD ..._」とプロンプトに表示され、指示に従ってキーボードのボタンを何か押すとWindows 10 のインストールメディアが起動します。
ここでは、インストールメディアを使って修復する方法を2点、お伝えします。
まず1つ目が、再インストールする方法です。
1.インストールメディアを起動したら、初期設定画面で、使用する言語とその他の設定を入力し、「次へ」を選択
2.次の画面で「今すぐインストール」を選択。すると、Windows のライセンス認証のためのプロダクトキーの入力を求められる
※入力せずにスキップした場合、後で自動的にライセンス認証が行われます。
3.ライセンス条項のページを経て、「インストールの種類」ページが表示されたら「カスタム」を選択
4.Windows のインストール場所を選択するよう求められるので、パーティションを選択
※必要ならフォーマットオプションを選択
5.フォーマットが済んだら、「次へ」を選び、セットアップ画面の手順に従って再インストールを実行
2つ目は、PCを初期状態に戻す方法です。
1.インストールメディアを起動したら、初期設定画面で、使用する言語とその他の設定を入力し、「次へ」を選択
2.次の画面で「コンピューターの修復」を選択。「オプションの選択」画面で 「トラブルシューティング」を選択
Windows 10 を初期状態に戻す場合は、「この PC を初期状態に戻す」を選択します。この操作では、インストールしたアプリ、ドライバー、設定の変更が削除されます。個人用ファイルについては、残すか削除するかを選択することが可能です。
Windows 10 の動作に不具合が続く場合や、アップグレード後に業務で使うアプリがうまく動作しない場合は、Windows を以前のバージョンに戻すことで解決できることがあります。
Windows 10 をアップグレードした場合、10日間に限り、以前のバージョンの Windows に戻すことができます。
1.「スタート」ボタンから、「設定」>「更新とセキュリティ」>「回復」の順に進む
2. 「前のバージョンの Windows 10 に戻す」の項目で 「開始する」 を選択
この操作では、個人用ファイルを保持するか削除するかを選ぶことができます。
これでインストールしたアプリやドライバー、設定の変更はすべて初期化されます。
また、以前のバージョンに戻す場合、以下の条件を満たしている必要があります。
・アップグレード後、windows.old フォルダーと$windows.~bt フォルダーの内容がすべて保持されている
・アップグレード後に追加したユーザーアカウントを削除している
・Windows 7 またはWindows 8.1 へのサインインにパスワードを使っていた場合は、そのパスワードを入力できる
・Windows 10 へのアップグレードに USBメモリを使った場合は、そのUSBメモリがある
Windows を以前のバージョンに戻せない場合、クリーンインストールを行う方法もあります。この場合はアプリやドライバー、設定だけでなく、個人用ファイルも削除されるため注意してください。
「スタート」ボタンから、「設定」>「更新とセキュリティ」>「回復」の順に進み、 「このPCを初期状態に戻す」の項目で 「開始する」 を選択し、「出荷時の状態に戻す」を選択することで初期化が可能です。
以前のバージョンのWindows のプロダクトキーとインストールメディアを持っている場合は、インストールメディアを使って以前のバージョンでクリーンインストールを行うことも可能です。
ここまでさまざまな方法をお伝えしてきましたが、Windows 10 の修復を行う場合は、次のような点に注意してください。
・Windows の修復は、環境によっては非常に長い時間が必要です。数時間から半日以上かかることも珍しくありません。その間に電源が落ちてしまったり、衝撃などが加わったりしないように作業環境に注意して行うと共に、十分な時間を確保して行ってください。
・Windows の修復では、行う作業によって設定情報や個人用ファイルが残るかどうかが異なります。作業によって大事なファイルが失われないように、事前にバックアップを取るなどしておくことが大切です。
・Windows の修復は完全ではありません。システムファイルの問題にはある程度対処できるものの、レジストリの破損やハードウェアやデバイスの物理的な破損に対しては効果がありません。
・インストールメディアやプロダクトキーが必要になる場合もあるため、これらをしっかり保管しておく必要があります。
Windows 10 は動作が安定しており、自動修復の機能も備えていますが、修復が必要なケースもあります。しかし、修復方法を理解し、インストールメディアやプロダクトキーの管理をしっかり行っておけば安心して運用できます。
もし、Windows 10 を使用していてトラブルが起きたら今回お伝えした内容を実践して、修復してみてくださいね。
もう困らない!Windows 10 移行ガイド