2019.04.04
パソコンでの作業で多くのユーザーが利用するメールですが、さまざまなメーラーがあり、それぞれに使い勝手が異なります。普段から使い慣れたものが良いということもあるでしょうが、新しいメーラーに変えるとなんとなく使いづらいと言う人も多いのではないでしょうか。Windows 10 へのアップグレートをすると標準でメーラーが装備されます。便利なメーラーだと標準装備がうれしいのですが、実はこのメーラーはあまり評判がよくありません。なぜ評判がよくないのでしょうか。その原因について探ってみます。さらにWindows 10 で使用することができるメールの種類などについても解説します。
Windows 10 で使用できるメール機能の代表的な3つを紹介します。それぞれWindows 10 に標準搭載されているもの、Microsoftのサイトから入手するもの、アプリケーションと一緒に提供されるものとそれぞれに入手方法も異なります。これらの特徴についてひとつひとつ解説します。
Windows 10 に含まれる機能の多くは、Windows 8 から引き継がれたものです。Windows 10 に搭載されている標準メーラー「メール」はWindows 8 で初めて搭載され、それ以降標準装備となっています。Windows XP やWindows 7 といったWindows 8 以前のOSに搭載されていたメーラーとは大きく異なり独特の仕様になっていることから、慣れないうちは使いづらいというユーザーも多いのがこの「メール」というメーラーです。
「メール」で取り扱えるメールアドレスは、企業が発行しているものだけではありません。プライベートを中心に利用されているHotmail(ホットメール)」「Gmail(ジーメール)」「Yahoo メール(ヤフーメール)」といったフリーメールの設定もできます。個人事業や中小企業では、フリーメールを上手に活用しているところもありますので、メールアドレスを選ばないメーラーは、大変便利なツールと言えます。もちろんフリーメールだけでなく、Outlookなども含めたさまざまなメールを一元管理することができます。
Microsoftのホームページからダウンロードして使うことができる「Windows Liveメール」は、Windows Essentials 2012に含まれているメーラーです。パソコンでメールをやり取りすることが中心だったユーザーにとっては、以前から利用していたOutlook ExpressからWindows Liveメールにツールを変えていく流れになりますが、利便性が高いので、新しいOSや新しいパソコンに変えてもアカウント、アドレス帳、送受信したメールをそのまま引き継ぐことができます。そのためWindows 10 にアップグレードしたとしても、Windows Liveメールを利用している人が多くいます。Windows Liveメールが含まれているWindows Essentials 2012はすでにサポートが終了していますが、Windows 10 にはWindows Essentials 2012 と同様の機能が搭載されていますので、そのまま使い続けることができています。
Microsoft Office に含まれているメーラーといえば、Outlookです。Outlookは、多くのユーザーが、スケジュール管理とメールができるソフトとして利用しています。Outlookは、どちらかと言えば、初心者向けではないので、パソコンに手慣れたユーザーが細かいカスタマイズを行いつつ便利に利用しています。Outlookに似たようなものに、Outlook.comがあります。この2つを混同することが良くありますが、メールが保管される場所が異なることが最も大きな違いになります。Outlookは自分のパソコン上のメーラーとして稼働し、メールは、パソコン上に保管されます。一方、Outlook.comはマイクロソフトのサーバー上にメールを保管しておき、必要に応じてWeb上でアプリを起動させてメーラーとして利用します。それぞれのメールは、定期的に同期させることによって、家やオフィスではパソコンのアプリで、外出先ではスマートフォンやタブレットなどからWebにアクセスしてメールの送受信ができます。
メーラーを使うときには、メール送受信の操作性やレスポンスの早さなどで、メーラーの使い勝手の良し悪しを決めることが多くあります。ここでは、Windows 10 のメール機能の操作性について解説します。
今まで使っていたメーラーとは、画面表示の仕方などこれまでと全く様相が異なった標準メーラー「メール」は、Windows 8 から導入されました。使い慣れた画面ではなくなったことでまずメーラーへの抵抗があります。使い勝手の悪さは、画面表示だけにとどまりません。レスポンスが遅いことも大きなデメリットになっています。操作性に関しては削除の際に操作が面倒であることがマイナスの要因になっています。ポインターを置いてもクリック後に削除アイコンが消えてしまうので、もう一度ポインターを動かしてもどさなければなりません。
また、PDFが添付ファイルとして送信されてきた場合に、単純にPDFファイルを開くのではなく、操作性の悪いEdgeを使って開こうとします。PDF以外の画像ファイルの場合も同様です。これは、Edgeがマルチメディアサポートして連携されているための結果なのですが、一度添付ファイルを保存してからPDFや画像を開くといったひと手間がかかってしまいます。さらに、OutlookおよびOutlook Express向けのファイルフォーマットとしてMicrosoftが開発したemlファイルを開くことも保存することもできないというものも使い勝手が悪いと感じる作業のひとつになります。
Outlookは、いろいろな操作性やデータに関する移行性などで大変使いやすいツールです。過去のメールデータをそのまま新しいOutlookにスムーズに移行できますし、バージョンが新しくなっても、画面や操作性に変更がないため、直観的に今までどおりの使い方ができます。これまで紹介してきたメーラーとの大きな違いは、ライセンスが有料であるということです。ライセンス費用は、Microsoft Officeのどのエディションを利用するかで異なります。料金と共に機能も異なる点には注意が必要です。Outlookのユーザーは、メールの一覧表示がごちゃごちゃしている点を欠点として指摘しますが、これは設定で表示方法を変更することができます。
Windows 10 の標準メーラーである「メール」の人気がない理由として、使い勝手が悪いだけではありません。「メール」には、メーラーとして利用する中で改善したいいくつかの問題点があります。ここではどのような問題があるかについて解説します。
通常メーラーを変えるときには、今まで保有しているメールを新しいメーラーに移行します。Windows liveメールやOutlookには、別メーラーから新しいメーラーに保有しているメールを移行させる機能あります。しかし、「メール」には、その機能がなく、別メーラーからのデータのインポートができません。別メーラーからデータ移行する方法として、Mail Migrationアドオンツールが提供されていました。これを使えば移行は可能でした。ですが、2018年現在でこのアドオンツールの公開は終了しています。
標準メーラー「メール」ではデフォルトのメール形式がHTML形式になっています。そのため、テキストでのメール作成は行われず、すべてがHTML方式になってしまいます。では、なぜ、HTML形式ではなくテキスト形式が良いのでしょうか。HTML形式は、受信する側のメーラーによっては、正しい表示がされない場合があります。メールソフトに大きく影響を及ぼし、さらにサーバーへの負荷も多くなるというデメリットがあります。一方テキスト形式は、文字だけのメールですので、どのようなメーラーを使っていても正しく表示されます。またセキュリティではじかれるということもないため、安心して利用できます。このようなことを考慮するとHTML形式だけのメールになってしまう標準メーラー「メール」は、ビジネス用には向かないことになります。
Windows 10 の標準メーラーである「メール」は、タブレットやスマートフォンで利用することを考えて設計されています。そのため、できるだけ多くのメモリを使わないようにする工夫がされていて、それが逆に通常のメーラーとは違う使い勝手を提供しています。気をつけなければならないのは、標準メーラー「メール」では、一定期間を過ぎたメールは自動的に削除されてしまうということです。過去のメールを自分で管理することができません。
ではいつまでのデータが蓄積されるのでしょうか。これはメモリ容量によって管理されます。メールサーバーの容量が50MBを超えてしまうまではデータを蓄積しますが、そのあとは、過去のものから自動的に削除されます。削除された過去の電子メールは、メーラーで見ることはできません。この解決策としては、古いパソコンから必要なメールを自分宛てに転送するという方法です。転送されたメールは、新しいパソコンで受信し、見ることができます。
使い勝手が変わってしまうためにおこるWindows 10 のメールトラブルですが、その中には、あらかじめ設定を変えておくことでトラブル発生を抑えたり、すでに起こったトラブルを回避させたりすることができます。どのようにすればよいかについて解説します。
Windows 10 の標準メーラー「メール」でPOPメールアカウントを設定して、受信できるのに送信できないという問題が発生しています。これは設定のアカウントの管理から同期設定の変更を行います。「設定」の「アカウントの管理」で変更するメールアカウント名をクリックし、「メールボックスの同期設定を変更」を選びます。変更画面を開きますので、同期設定画面の「送受信メールにSSLを使う」を確認します。チェックが入っている場合は、そのチェックを外すことで送受信ができるようになります。
日本語で入力をしていて、気づくと英語表記になっているということがありませんか。普段から何気なく使っていたメニューが英語の表記になりなにがなんだかという状態に陥ります。日本語と英語といったように2か国語を使いなれた人であればさほど気にならないことも、日本語での表記になれたほとんどの人は戸惑ってしまいます。これは、適当にキーを押してしまったといった誤操作によるものがほとんどです。その場合は、設定を元に戻せば表記も元に戻ります。まず通知領域のIMEアイコンを右クリックして「プロパティ」を開きます。英語表記になっていれば、「Properties」と表記されています。詳細設定からその他にすすみ言語設定を日本語に戻します。詳細設定は、英語表記では、「Advanced」、次に選択するその他は、「Others」と表記されています。選定する日本語は、「Japanese」です。
メールの着信の通知をパソコン業務において便利に利用している人も多いのではないでしょうか。インジケーター領域からポップアップで表示される通知ですので、すぐに気づくことができますし、タイトルや差出人がわかるので詳細を今確認したほうが良いのかの判断もできます。しかし、会議のときにパソコンを介したプレゼンテーションをしている場合などでは、通知が邪魔になってしまいます。そのようなときは、通知機能をオフにすることができます。手順は、インジケーター領域にある「アクションセンター」のアイコンを右クリックします。するとメニューがでてきますので、そこで非通知の設定を行います。また、アクションセンターを開き、その画面上で、細かい通知の設定を行うこともできます。プレゼンテーションするときだけ非表示にしたり、新しい通知の数だけを表示したりといったこともできるので、ユーザーの利用勝手に合わせてカスタマイズすると便利に利用できます。
メーラーの中でも評判のよかったWindows Live メール 2012 ですが、残念ながら、すでにサポートは終了しています。しかし、Windows 10 でも使いたいというユーザーは多いことでしょう。Windows 10 でWindows Live メールを使うことはできないのでしょうか。
Windows 10 の標準メーラーである「メール」に比べて、Windows liveメール2012が使いやすいと感じる理由の一つは、画面構成にあります。Windows liveメール2012の画面は見やすいのはもちろんですが、直観的な操作性がより利用を推し進めることになりました。さらにデータ移行に関しても、大変スムーズに行えます。Windows liveメール2012は、単なるメール送受信のためのメーラーではなく、Windowsムービーメーカーなどが含まれた多機能なソフトウェアでした。
2017年の1月10日にWindows liveメール2012はサポートを終了しています。そのため新しくインストールすることはできませんし、今後なにかトラブルが発生したとしても、サポートを受けることはできません。インストールしたままにして使用し続けることは可能ですが、プログラムの更新もなくなります。もっとも大きな問題はセキュリティです。セキュリティは、常に新しい問題が発生し、そのたびにプロテクトがかけられています。サポートが終了してしまうとパソコンを守ることができなくなり、リスクが増えます。
Windows 10 では、クラウド上でメール機能を提供しています。そのアプリが「iCloudメールです。iCloudメールは、通常のメーラーと同様に利用はできますが、利用しているデバイスに依存しません。メールデータは、パソコンにあるのではなく、クラウド上で管理されています。そのため、さまざまなデバイスや環境からアクセスができますので、社外からのアクセスが多いユーザーや複数のデバイスでメールをみたいと考えているユーザーにはぴったりです。会社などで標準メーラー「メール」を使い、iCloudメールにアクセスしたい場合は、起動画面から「アカウントの追加」で「iCloud」を選択します。ここで、サインインすることで設定が完了し利用できるようになります。
Windows 10 へのアップグレードに伴い、メーラーをどうしようかと悩んでいる人も多いことでしょう。標準メーラー「メール」は仕様や操作性に問題があるため、利便性に欠けてしまいます。紹介したような使い勝手がよく操作性のよいメールアプリを選んで、追加設定するとWindows 10 でのメールも快適環境になります。使う頻度が多いアプリケーションですから、作業効率を考えても自分にぴったりのメーラーを選ぶようにしましょう。
もう困らない!Windows 10 移行ガイド