2020.02.20

UXデザイナーはどんなことをする?必要なスキルや作業環境を紹介

ユーザーがWebサービスから得られる体験は、企業の収益を左右しかねないポイントです。UXデザイナーは常にユーザーの目線に立ち、より良いサービスを生み出せるよう努力しましょう。作業環境については、コストやオフィスの状況に合わせて決めるのが理想です。MacだけでなくWindowsも選択肢に含めて、絶好の作業環境を整えましょう。

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Webサイトやアプリケーションを作る際はユーザー目線を意識しなくてはいけません。そこで活躍するのがUXデザイナーです。UXデザイナーの役割を理解して重要なタスクを与えれば、企業の発信力は高まっていくでしょう。この記事では、UXデザイナーの仕事内容や必要なスキル、求められる作業環境などについて解説をしていきます。

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UXデザイナーとは?

そもそも「UX」とは「UserExperience(ユーザーエクスペリエンス)」の略語で、直訳すれば「ユーザーの体験」となります。ネットユーザーは企業のホームページやアプリを通じてさまざまな体験を得ます。それらの体験がどれほど濃密になるかによって、企業の利益が変わってくると言えるでしょう。つまり、ユーザーの視点を取り入れて、ホームページなどを設計するのは企業に欠かせない考え方です。こうした役割を担っているポジションが「UXデザイナー」です。UXデザイナーは、ユーザーが心から満足してくれるようなサービスの設計を目指します。単にWebの知識があるだけでなく、ユーザー心理にも長けていないとできない重要な職業だと言えるでしょう。

UXデザイナーとUIデザイナーとの違い

Web業界では、UXデザイナーと似た仕事としてUIデザイナーが挙げられます。名前も似ているため、両者を混同している人も少なくありません。しかし、実際には微妙に異なる業務を担当しています。「UI」とは「User interface(ユーザーインターフェース)」の略語です。インターフェースとは、企業とユーザーがつながる部分を指す言葉です。UIデザイナーはユーザーがサービスをより使いやすいと感じられるよう、設計を行う役目だと言えます。

UIデザイナーの仕事の中心は、あくまでデザインにあります。一方、UXデザイナーの領域はデザインだけに留まりません。デザインも含めて、サービス全体を総括的に作っていくのがUXデザイナーの業務です。

UXデザインが重要視される背景

市場や消費者の動向は時代とともに変化しており、UXデザイナーの重要性も強まってきました。たとえば、ユーザーが「モノ」よりも「コト(体験)」を求めるようになったのは大きいでしょう。現代のユーザーは商品を所有すること以上に、サービスで貴重な体験を積み重ねたいと考えています。そのため、サービスの提供側としては、ユーザー目線での「楽しい体験」をいかに反映させられるかが問われているのです。

企業が現代社会を生存するには、競合他社以上に優れたUXデザインを提供しなくてはいけません。個性的なUXデザインは企業同士の差別化にもつながり、ユーザーを満足させることが可能です。

UXデザイナーの仕事内容

Webサービスについて、幅広い知識とスキルを持たなければUXデザイナーは務まりません。以下、UXデザイナーの仕事内容をまとめました。

市場調査・分析

UXデザイナーの基本は市場調査から始まります。UXデザイナーはユーザーの求める体験をサービスに反映させなくてはいけません。そのためには、市場調査を行ってニーズを把握する必要があります。市場調査を正確に進めるには、専用の解析ツールを利用したり、ユーザーに直接意見をヒアリングしたりするなどの方法が効果的です。

そして、市場調査は1回だけで終わるものではありません。サービスを作り終えたあとでも、定期的にユーザーの意見を収集するようにします。その都度、サービスを微調整していくことでより良い内容が実現するでしょう。

ワイヤーフレーム・プロトタイプの作成

市場調査の分析が完了したところで、ワイヤーフレームを考えます。ワイヤーフレームとはサービスの骨組みのことです。本格的にサービスを設計するためには、基礎の骨組みがしっかりできていなくてはなりません。たとえば、どの情報がどこにあるかなど、建築における設計図にあたるのがワイヤーフレームです。ワイヤーフレームはWeb構築の指針となるので、非常に重要です。

ワイヤーフレームを踏まえて、実際にサービスで求められる機能のプロトタイプを作っていきます。プロトタイプとは、試験段階を意味する言葉です。一般公開する前に、UXデザイナーはプロトタイプで使い心地を確かめます。そして、動作を改良し、実用へと近づけていくのです。

デザイン

ワイヤーフレームとプロトタイプが出揃ったら、ディティールを詰めていきます。サービスで使用する画像やアイコン、フォントや文字サイズなどを考えてデザインを具体的にしていきます。このとき、UXデザイナーが優先しなくてはいけないのが「ユーザーにとっての使いやすさ」です。ビジュアルとして優れていても、ユーザーが使いにくいと感じるのでは本末転倒です。画面遷移のしやすさなど、実用性を中心にデザインしていきます。

細かいデザイン設計は、UXデザイナーとは違う担当者が行うこともあります。ただし、UXデザイナー本人が担当することも多い業務です。デザインを通して、サービスはユーザーの需要に応えられる内容へと変化していきます。

クライアント・チームとのすり合わせ

UXデザイナーは企画や制作だけでなく、クライアントや開発チームとも接点を持つべき仕事です。彼らに向けて企画内容をプレゼンし、納得してもらわなくてはいけません。プレゼンで重要なのは「その企画にした意図」や「サービスの目的」がしっかり伝わることです。もしも内容に共感をもらえなかった場合、問題点を踏まえてもう一度企画案を練り直します。関係者が同じ方向を目指して作業を進められるよう、すり合わせを緻密に行うことが大切です。

UXデザイナーに必要なスキル

Webサービスを的確にデザインしていくには、多種多様な能力が求められます。それらを兼ね備えている人材がUXデザイナーとして成功できると言えるでしょう。UXデザイナーを目指すなら、必要なスキルを知ることが大事です。

マーケティング力

まず「マーケティング力」は必須です。UXデザイナーは、市場調査や分析を日常的に行います。しかも、実施するだけでなく結果を解析し、意味のあるデータに置き換えなくてはいけません。マーケティング用語を理解し、分析の仕組みを作れるスキルが求められます。さらに、人間工学や心理学にも長けていると、マーケティングに役立てられるでしょう。

また、業界のトレンドを追うことも重要です。幅広い方面にアンテナを張っておき、新しいトレンドが生まれれば即座に反応しなくてはいけません。情報収集力もUXデザイナーを支えてくれるでしょう。そのほか、SEO対策について深い理解のあるデザイナーも業界では重宝されます。ワイヤーフレームの製作段階では、SEOを踏まえて作業を進めるべきだからです。

想像力・共感力

優れたデザイナーの共通点は、ユーザー視点への共感力が高いことです。ユーザーの気持ちになってデザインを考えられるからこそ、質の高い体験を提供できます。ユーザーの気持ちを正確に想像できれば、彼らがどのような悩みを抱えてサービスを訪問するかも見えてきます。もしもサービスを通じてユーザーの悩みが解決するようなデザインになっていれば、リピーターは増えていくでしょう。

デザイン設計では、実際にユーザーがとるであろう行動をイメージすることも重要です。ユーザーが必要とするタイミングで必要な機能が登場すると、使いやすいサービスとして認知してもらえるでしょう。

コミュニケーション能力

UXデザイナーはいろいろな分野の人々と交流しながらデザインを進めていきます。クライアントやチームメンバーはもちろん、ときにはユーザーと直接対話しなくてはいけません。必然的に、UXデザイナーにはコミュニケーション能力が求められます。

仮にUXデザイナーが優れたアイディアを思いついても、企画意図が周囲に伝わらなければスタッフを動かせません。また、日ごろからのコミュニケーションがないと価値観を共有できず、デザインの魅力を認めてもらえないでしょう。そのため、UXデザイナーには穏やかな人間性と理論的な」表現力が備わっているべきです。的確なプレゼンテーションで周囲の信頼を得られると、チームにまとまりが生まれるでしょう。

実行力

素晴らしい企画を練ったとしても、形にするのはUXデザイナー自身の行動です。細かい作業を繰り返しながら完成までたどり着かないと、企画をユーザーに届けられません。そのため、UXデザイナーには行動力が必須です。たとえば、アイディアが抽象的になっているのであれば、具体的な作業に置き換えてみましょう。自分はもちろん、周囲にも共有できる形に落とし込めば、デザインの実現性は高くなります。

デザインスキル

UXデザイナー自ら、サイトの細部までを設計する必要はありません。大まかなフレームワークだけを設計して、あとの作業は他人に任せてしまうケースもありえます。ただ、効率性の部分で、UXデザイナー自身にもデザインスキルがあることは望ましいと言えます。UXデザイナーがサービスの細部まで設計し、他のスタッフに見せれば視覚的にアイディアを共有できるからです。そのため、PhotoshopやIllustratorなどを使いこなせるよう努力しているUXデザイナーは少なくありません。

もちろん、すべてのデザインソフトを使える必要はなく、マーケティングなどの業務の妨げになるのも逆効果です。ただ、自分でデザインの大変さを知る意味でもよく使われるソフトについては勉強しておいて損にならないでしょう。

HTML/CSSコーティング経験

Webサービスを稼働させるには、コーティング作業が不可欠です。コーティングとは、HTMLやCSSといったプログラミングの言語を使ってデザインをWeb上に反映させていくことです。しかし、UXデザイナーは自らコーティングを行う機会がそれほどありません。むしろ、コーティングに至るまでのデザインやプレゼンテーションがUXデザイナーの見せ場だと言えるでしょう。

ただし、開発過程ではコーティングの知識があると便利です。エンジニアやプログラマーとのすり合わせがスムーズになりますし、実現の難しい機能などを理解しながらアイディアを練ることができるからです。UXデザイナーを目指すなら、コーティングを経験しておくのも得策です。デザイナーに転向したのち、柔軟にさまざまな作業へ対応できるようになるでしょう。

UXデザイナーの作業環境の選択肢

主なUXデザイナーの作業環境としてMacとWindowsが挙げられます。それぞれにメリットとデメリットがあるので、慎重に作業環境を選びましょう。

Mac

デザインを行うにあたり、頻繁に使うフォントがインストールされているのはMacです。ヒラギノ、クレーなどはWebサービスでよく登場するフォントであり、Macを使うメリットと言えるでしょう。また、macはモニターの色表現にも優れています。細かい色彩の調整など、こだわりを取り入れるにはぴったりの作業環境です。そのほか、WindowsではできないIOSアプリの開発も可能です。一方、Macは価格帯がデメリットになるでしょう。性能を追求して機種を選ぶと、価格が高くなってしまうことも珍しくありません。高品質のMacは手軽に買えないので、負担が大きくなる傾向にあります。

Windows

スペックに対して手ごろな価格がついているのはWindowsの魅力です。そのため、コストパフォーマンスが良く、安価のパソコンでもある程度は不便なく作業を行えます。また、仮想デスクトップが優れているのもWindowsのメリットです。複数のウインドウを同時に立ち上げても作業がしやすいので、仕事量の多いデザイナーにぴったりです。そのほか、Officeデータのやりとりをする際にも、Windowsのほうが便利でしょう。データの文字化けが起こりにくく、やりとりに支障をきたしません。

ただし、WindowsにはMacほどのフォントがないのはデメリットです。フォントはWebサービスのイメージに大きく関わるので、Windowsでは物足りなく感じるデザイナーもいます。改めてフォントを手に入れようとすると労力がかかってくるでしょう。

UXデザイナーの作業環境はMacとWindowsどちら良い?

MacでもWindowsでも、UXデザイナーとの相性で使いやすさは変わります。本人の感覚や周囲との兼ね合いで作業環境を整えるのが理想でしょう。まず、WindowsとMacの両方でAdobe系アプリは問題なく使えます。一般的に「デザイン部門はMacのほうがやりやすい」というイメージがあるものの、UXデザイナーの使うアプリに関してはそれほど大きな差は出てきません。

むしろ、関係者との統一性が重要です。企業内でデザインの仕事をするなら、クライアントの作業環境がWindowsになっていることも珍しくありません。その場合はWindowsにしたほうが便利でしょう。仕事のやりやすさやコストパフォーマンスを考慮すれば、デザイナーであってもWindowsを使う意味はあります。

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