2020.02.19

HTML・CSSコーディングをWindowsで行う際のメリットと注意点

HTMLやCSSのコーディングは、Web開発には必要不可欠な技術で、あらゆるサイトがこれらの技術によって構築されています。基本的にどのようなデバイスを用いてもコーディングできますが、互換性のことを考えるとWindowsを使ったほうが効率的に作業に取り組めます。これまでMacをメインに使っていた場合は注意点も考慮しながら、Windowsに乗り換えるかどうか検討してみるとよいでしょう。

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クリエイティブな職業に就いている人はMacを使っているケースが多いですが、Macは対応していないフォーマットもあり、Windows環境がないと不便に感じることも少なくありません。この記事では、HTMLやCSSを用いたWeb開発においてWindowsを使うメリットや、テスト環境の構築方法、MacからWindowsに乗り換えるときの注意点などについて説明していきます。

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Web開発の基本であるHTML・CSSコーディング

Webサイトの機能やデザインを実際に動作する形につくりあげる作業で、最も基本となるのが「HTML」と「CSS」のコーディングです。これらはWeb開発の現場においてなくてはならないプログラム言語となっており、あらゆるWebサイトがこの2つの言語を用いて構築されています。「HTML」と「CSS」にはどういった特徴があるのか、ここで詳しく確認しておきましょう。

HTMLのコーディング

HTMLのコーディングとは、テキストエディタなどを用いてHTMLファイルを作成する作業のことを意味します。HTMLでは、Webページをひとつの文書と考えて「タグ」と呼ばれる文法にしたがって構造化していきます。基本的にどのようなプログラムも「開きタグ」と「閉じタグ」を使って、その中に囲われるような形でコードを打ち込んでいくのが特徴と言えるでしょう。

このコーディングのメリットは、どこが見出しでどこが段落かといった情報が含まれ、キーワードをわかりやすく提示できるという点にあります。そのため、ブログなどを使ったアフィリエイトサイトのコーディングはHTMLを用いなければ成立しないといっても過言ではありません。HTMLは、SEOのためにも重要な技術として位置づけられています。

CSSのコーディング

CSSのコーディングとは、テキストエディタなどを用いてCSSファイルを作成する作業のことを指します。CSSはHTMLから間接的に読み込まれ、表示色の指定や段組のようなレイアウトなど、主にWebページの見た目を装飾する働きをする役割があるので、ホームページのデザインなどには必要不可欠の言語と言えるでしょう。

また、Webページをスマートフォンからパソコンまで対応させるレスポンシブWebデザインも、CSSによって実現されています。現代はパソコン以外にもさまざまなデバイスが溢れており、ネットサーフォンなどもスマートフォンで手軽に行われることがほとんどとなりました。サイトデザインはスマートフォン表示の対応が必須といっても過言ではないため、CSSの重要度は以前にも増して高まっています。

HTML・CSSコーディングをWindowsで行うメリット

HTMLやCSSのコーディングは基本的にどのような動作環境でもできるため、Macで行うという人も少なくありません。しかし、Windows環境で行ったほうがいろいろなメリットを得られるという事実があるのもたしかです。どのようなメリットがあるのか、ここで具体的に確認しておきましょう。

Microsoft Officeのファイルを扱いやすくなる

「Microsoft Office」は、さまざまな現場で利用されている非常に便利なソフトです。Microsoft専用のソフトとなっており、Windowsのパソコンの中にはMicrosoft Officeが標準でインストールされているものも多くあります。その点、MacではMicrosoft Officeが基本的に利用できず、インストールすることができません。Macでのコーディングでは、仕様や設計に関するドキュメントを参照したり編集したりする機会も少なくありませんが、多くの会社ではMicrosoft Officeでドキュメントが作成されているという現状があります。

Mac版のMicrosoft Officeというのもあるのはたしかですが、扱いづらい部分が多く、Microsoft Officeの持つ本来の機能を最大限生かすことができません。WordやExcelをよく用いる会社ではWindowsのほうが作業効率も上げることができるため、多くのオフィスシーンで導入されています。

Windows専用のハード・ソフトを使える

サードパーティーによるソフトはMacよりWindowsのほうが多いため、Mac版が存在しないソフトが業務で必要になることがあります。なかには、Windowsだけにしか対応していない周辺機器やWindows専用の内製ソフト、IE専用の社内Webサイト(イントラネット)なども存在しており、互換性のことを考慮するとWindowsで作業せざるを得ないという実態があるというのも事実です。そのようなことを鑑みると、コーディングも含め業務に使用するパソコンをWindowsに統一することができれば、Macを使うことで後々起こることが想定される問題も防げるため、スムーズに作業に取り組めると言えるでしょう。

Windowsパソコンのほうが安い

WindowsとMacでは搭載されているOSが違いますが、OSが違ってもパソコンのハードウェア自体は大きく変わりません。そのため、WindowsとMacのパソコンでは、スペックがおおよそ一致しているものがたくさん存在しています。OSが異なるので単純比較はできない面もありますが、一般的にはMacよりWindowsのほうが低価格となっており、同じスペックのものを購入するならWindowsのほうがお得であることは間違いありません。

Macを長いあいだ使い続けているという人のなかには、そろそろ買い換えないといけないと考えている人もいるでしょうが、新しくWindowsパソコンに乗り換えてしまえば、大きくコストダウンできる可能性があります。特に、多くのパソコンを同時に購入しなければならない場合は、Macで揃えるのとWindowsで揃えるのとでコストにかなりの差が出てくるでしょう。そのため、企業に導入されているパソコンは多くの場合Windowsが選ばれています。

HTML・CSSコーディングに便利なエディタ

プログラムをコーディングする際はテキストエディタを利用することになります。テキストエディタは、パソコンに標準で装備されているものや、ネット上からインストールして使うものなどさまざまなものがありますが、効率よくコーディングを行うとなると、どのテキストエディタを使うかが重要になってきます。ここでは、WindowsでHTML・CSSコーディングをするときに便利なテキストエディタを紹介していきます。

Visual Studio Code

「Visual Studio Code」は、Microsoft製のテキストエディタで、Microsoftによる開発者向けサービスと連携しやすいのが特徴となっています。Microsoft製のソフトではありますが、WindowsだけでなくMacやLinuxもサポートしており、無料で使えるので非常にたくさんの人がVisual Studio Codeを使ってコーディングを行なっています。人気の理由としては、動作速度が速く、最初から使える機能が豊富といった点が挙げられるでしょう。これらの強みは、コーディングを行う際には欠かせない要素となっているため、Visual Studio Codeを使えばかなり作業効率を向上させることができます。

Atom

「Atom」はGitHub製のオープンソースソフトウェアで、豊富な機能とカスタマイズ性の高さが特徴のツールとなっています。GitHubとは、ソフトウェアの開発者が多く集まるプラットフォームで、多くのソフトがGitHubを介して開発されてきましたが、2018年の6月にGitHubがMicrosoftに買収されたことで、Windowsとも関係の深いソフトとなりました。WindowsだけでなくMacやLinuxでも幅広く使うことができるので汎用性が高く、情報量も非常に多いので、どのような人でも気軽に使うことのできるテキストエディタと言えるでしょう。

Sublime Text

「Sublime Text」は、世界中でWeb開発に利用されている人気の高いテキストエディタです。有料ソフトではありますが、無料で試用して気に入ったら購入する「シェアウェア」方式を採用しているので、課金する前に使い心地を体感することができます。「Visual Studio Code」や「Atom」と同じように、WindowsのほかにもMacやLinuxで使うことができるので、動作環境を選ぶことはありません。

WindowsでWeb開発のテストができる環境の作り方

コーディングはどれだけ経験を積んでも、タイプミスなどが発生してしまいます。プログラムを打ち込んだあと、いざ実行しようとしてもエラーが出てしまうことは、決して珍しいことではありません。また、完成したWebデザインはパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなどでもWebページを表示してデザインや動作をチェックする必要があります。優れたWeb開発を行うためには、コーディング後のバックテストを欠かすことはできません。テストの方法はいくつも考えられますが、ここでは特に有効な手段を2つ紹介します。

WSLでLinuxサーバーを動かす

Windows 10には、Linuxと互換性のある環境を動作させられる「Windows Subsystem for Linux(WSL)」という機能があらかじめ備わっています。本物のLinuxとは異なる部分も多少はありますが、一般的に知られているWebサーバーなら問題なく構築できるうえ、無料なのでコストもかかりません。なかには、テストの際に別のサーバーを介して確認する方法もありますが、この方法はWindowsパソコン上で完結できる方法なので別途サーバーを用意する必要はありません。しかし、Linuxに関する専門知識もある程度必要になってくるので、Linuxのことに詳しくないという人はいくらか学習をしたほうがいいでしょう。

とはいえ、コーディングした結果を手元ですぐに確認できるというのはかなりのメリットと言えます。Linuxの知識もそこまで詳しく知っておかなければならないわけではないので、かなりおすすめできる方法であることはたしかです。

WampServerで手軽にWebサーバーを動かす

Windows版のWebサーバーを使うというのもひとつの手です。なかでも「WampServer」というソフトはたくさんの人に使われており、Web開発の現場でもよく用いられます。ソフトをインストールするだけで使えるのが特徴ですが、Windowsで直接サーバー機能が動作するため、Linuxによる本番の運用とは異なることが多いという点には気をつけておきましょう。単純なWebページをコーディングする場合や、簡易的なチェックが目的の場合には便利な方法なので、バックテストの手段のひとつとして覚えておくときっと役に立てられるはずです。

MacユーザーがWindowsに乗り換える場合の注意点

これまで、デザインなどでMacを使ってきた人のなかには、HTMLやCSSのコーディングだけでなく、あらゆる作業をすべてWindowsで行うようにすることを検討している人もいるかもしれませんが、MacとWindowsでは使用感がかなり異なります。何より、必ずしも機能面だけを考慮しておけば良いというわけではなく、あらゆる事態を想定しておく必要があります。MacからWindowsに乗り換えるときは、どのようなことに気をつけなければならないのか、具体的な注意点を紹介していきましょう。

ほかのデザイナーはMacを使い続けたいかもしれない

すべての人がWindowsを愛用しているというわけではなく、昔からMacを使い続けているという人も一定数います。特にデザイナーの人にはそういった人が多く、Macのデザイン機能に優れているという点に惹かれている人は少なくありません。「Adobe」の「Photoshop」や「Illustrator」といったデザイン関連のソフトは、デザインの現場ではもはや当たり前のように使われていますが、これらのソフトはMacを中心に発展してきたという背景があります。

時代が進むにつれ、多くのデザイン関連ソフトがWindowsにも対応してきていますが、デザイナー同士のやりとりということを考えると、Mac同士のほうが便利だと考える人がまだ多いという事実は否めません。コーディングのしやすさばかりを追求していると、思わぬところで不便に見舞われる可能性があるので気をつけましょう。

開発者もMacを使っているかもしれない

Macは「UNIX」という歴史あるOSをベースにしたmacOSによって構築されています。そのため、特に古くからの開発者のなかにはMacが一番使いやすいと思っている人も多くいるでしょう。また、UNIXはWebサーバーでよく利用されるLinuxとも共通点が多いため、Windowsを使い続けてきたWeb開発者でもMacを使う機会が増えてきています。

特に、Web制作プロジェクトに参加するデザイナーにとってはMacのほうが開発者とのやりとりが行いやすい場合もあるので、そのような仕事に就いている人は慎重に考えたほうがいいかもしれません。いろいろと比較されることの多いMacとWindowsですが、時を重ねるに連れてギャップが埋まってきている機能もいくつかあるのも事実です。Web開発の現場の事情も変化していることがあるので、乗り換えを検討している人は状況をよく読んだうえで買い換えるようにしましょう。

カラーマネジメントが不便になるかもしれない

デザインに向いているという声が非常に多く挙がるMacですが、その理由として挙げられる意見にはさまざまなものがあります。特に、Macはフォントに強いこだわりを持っていることもあって、フォントの表示が美しいという意見はかなり多く耳にします。グラフィックデザインに関しても、カラーマネジメントシステムが搭載されていることは、Macの最大の強みとなっており、デザインの現場で愛用される大きな要因となっているのではないでしょうか。

Windowsに乗り換えた場合、業務内容によってはディスプレイの色合わせを意識的に行わなければならない場合があります。微妙な色味を表現する際などは、Windowsを使うよりもMacのほうがはるかに効率良く、便利に使えることは間違いありません。

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