2020.02.19

スタートアップにはデザインが重要!デザイナーに求められる役割とは

スタートアップには、ブランドやユーザー体験のデザインが必要不可欠と言えます。なぜなら、優れたデザインは投資家と顧客を惹きつけ、ビジネスを成長させるためのカギとなるからです。そのような観点で考えると、デザインの果たす役割が大きいことがわかるでしょう。デザインの力を存分に発揮して、スタートアップを成功に導いていきたいものです。

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スタートアップビジネスでは、デザインが重視されるようになってきています。なぜ重視されるのかといえば、デザインの数々はスタートアップのビジョンを表し、ブランディングにもつながっていくからでしょう。今回の記事では、具体的にスタートアップで必要とされるデザインや、デザイナーに求められる役割などについて説明します。

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スタートアップとは?

新たなビジネス立ち上げを「スタートアップ」と呼びます。ここでは、その特徴について説明していきます。

スタートアップは企業とは限らない

「スタートアップ企業」という言葉は、創業して間もない企業のことですが「スタートアップ」という言葉は必ずしも企業を指すとは限りません。具体的にスタートアップとは、新たなビジネスモデルによって、短期間での市場開拓を目指そうとする概念そのものを表す言葉です。また、似たようなニュアンスの言葉にベンチャー企業というものもありますが、スタートアップとベンチャー企業は混同されることも多く、曖昧な解釈のまま理解している人も少なくありません。ベンチャー企業とは、企業形態に焦点を当てた言葉になっています。たとえば、資金調達や法人としての形態の有無、組織体制の確立などがスタートアップとは違うと言えるでしょう。

スタートアップは短期間で成果を出すことが求められるため、リーダーシップのある創業者と即戦力として活躍できるメンバーで構成されていることが特徴です。

インターネット関連ビジネスが多くを占める

スタートアップという言葉は日本で生まれたものではなく、最初はアメリカのシリコンバレーで使われていたものです。シリコンバレーはIT関連企業が集まる地域なので、インターネットと関係性が深い言葉ということになります。これは日本でも同様であり、スタートアップはITやインターネットに関連するビジネスのものが大半を占めているのです。一般的にITやインターネット関連の業界は変化のスピードが早く、スタートアップという概念とも相性が良いと言えるでしょう。

実際、シリコンバレーは優秀な人材やビジネスモデルが集まる場所として世界的に注目されています。日本はアメリカほどスタートアップという概念が浸透していませんが、経営者や投資家などのビジネス感度の高い人々からは今後の更なる盛り上がりが期待されているのです。

革新的な何かをもっている

革新的な何かを持っていることも、スタートアップの特徴です。たとえば、消費者のライフスタイルを大きく変えるようなイノベーションが核になっていることも多くあります。また、革新性だけではなく、多くの場合は何かしらの社会問題を解決したいという目的を持っていることも特徴でしょう。急速に成長した欧米出身の企業には、このようなスタートアップの概念から始まったところも多く、日本でも優秀な人材が刺激を受けて新しいサービスを立ち上げるという事例が増えているのです。

これまでのビジネスのように利益だけを追求するのではなく、新しい技術やビジョンを軸にした社会貢献という観点が現代的なところです。そしてそれは、多くの人々の幸せにつながる可能性もあるでしょう。

投資を必要とする

スタートアップが成長していくためには、資金調達が欠かせません。たとえば、個人投資家やベンチャーキャピタルからの投資が資金調達の方法です。成長が見込まれるスタートアップには、個人投資家やベンチャーキャピタルが大きく注目するようになります。その結果、優秀なスタートアップには資金が集まりやすいということです。逆に言えば、スタートアップを成功させるためにはビジョンを明確にして、その魅力を多くの人々に発信する必要があると言えるでしょう。

また、ベンチャーキャピタルがスタートアップに投資をするときは、投資ラウンドという仕組みが使われます。投資ラウンドとは、スタートアップの成長などに合わせて順次投資を行っていく仕組みです。このように順番に投資を受けていけば、スタートアップはいずれビジネス拡大に取り組む企業となるでしょう。その段階で、日本ではベンチャー企業と呼ばれるようになるのです。

スタートアップにはブランディングが重要

順調に成長すれば社会を変えるような革新性があるのが、スタートアップです。しかし、何を目的とするビジネスなのか明確に伝えることができなければ、その革新性は存分に発揮できないでしょう。自分たちのビジネスモデルの魅力を正しく伝えるからこそ投資を受けることができ、社会的にも認められていくからです。そのため、すべてのスタートアップは自らのブランドイメージをしっかりと確立し、積極的に情報発信することが求められます。

その過程として、スタートアップのブランドを的確に表現するためのデザインは重要になるでしょう。たとえば、優れたデザイナーがいれば、所有しているWebサイトやパンフレットなどを通してビジョンやコンセプトを発信できるでしょう。ビジョンやコンセプトに共感する人々が現れれば、自然と支持者も増えていきます。このように、積極的なブランディングにはデザインが欠かせないため、大切な要素になるのです。

スタートアップに必要なデザインとは?

ここでは、スタートアップが自らのブランディングのために、どのようなデザインを行う必要があるのかについて説明します。

ブランドのロゴ・アイコン

ブランドのロゴやアイコンは、スタートアップに限らず記憶に残りやすいものです。そのため、しっかりと方向性を決めてからデザインしていく必要があります。スタートアップが成長する過程において、ロゴやアイコンはブランドのアイデンティティとして認知されていくでしょう。具体的にロゴやアイコンに取り入れるデザイン要素としては、ビジネスの目的や組織風土を表現するものが一般的です。また、シンプルで一度見たら忘れないような、記憶に残りやすいデザインが理想でしょう。単に見た目を良くするだけではなく、ビジョンなどを視覚的にわかりやすく表現することが求められます。

なお、ロゴやアイコンはユーザーなどの外部向けはもちろん、スタートアップのメンバーの士気を高めるという内部向けの役割もあります。これはロゴやアイコンによって自分たちのビジョンを共有しやすくなり、一体感も高まっていくという効果があるためです。

Webサイト

Webサイトもスタートアップには大切なものです。なぜなら、スタートアップのビジネスを広く認知してもらう方法として、さまざまな媒体を活用したオンラインマーケティングは有効な手段となるからです。その際、ブランドイメージを表現したWebサイトが顧客との接点として重要な役割を果たすようになるでしょう。当然、ブランドイメージを適切な形で表現できているWebサイトはプラス面の効果が高いでしょうが、その反対ならマイナスになることもありえます。また、Webサイトだけではなく、SNSやニュースレターなど複数チャネルを活用するときも考え方は同じです。

どのチャネルを使うにしても、最適な形でブランドイメージを表現するようにデザインして、顧客に自分たちの魅力を伝えていかなければいけません。なお、このときのコツは複数のチャネルで一貫したデザインにすることです。一貫性のあるほうが説得力は増し、顧客に対して継続的にアピールすることができるからです。

ユーザー体験

たとえどれほど革新的な技術であったとしても、それだけでスタートアップが顧客に受け入れられるわけではありません。また、視覚的なデザインに頼ったブランディングだけではアピールが不十分です。しっかりと顧客にアピールしていきたいなら、優れたユーザーインターフェイス(UI)やユーザー体験(UX)をデザインできるかどうかも成功のカギとなるでしょう。ユーザーインターフェイスとは、簡単にいえばユーザーにとって使いやすい画面デザインを行うことです。

そして、ユーザー体験は、ユーザーインターフェイスを含めた顧客の体験全体をデザインすることを意味しています。たとえば、自社のWebサイトに訪れたときに楽しい、心地よいと感じる体験をさまざまなデザインを通して設計していくのです。シンプルで使いやすく、楽しさや心地よさを感じるようなデザインを提供するスタートアップは成功しやすいと言えるでしょう。

スタートアップでデザイナーに求められる役割

デザイナーの存在はスタートアップがビジネスを成長させていくために重要なものです。ここでは、具体的にデザイナーにはどのような役割が求められるのかについて説明します。

素早くデザインすること

スタートアップは投資を受けながら、短期間で成果を出していかなければいけない存在です。そのため、デザイナーとしてスタートアップの成果に貢献するためには、デザインを素早くつくることが求められるでしょう。また、プロトタイピングのためのさまざまなツールも登場しています。このようなツールの登場により、従来は専門の技術者が必要だった部分でも、デザイナーがコンセプトモデルを作成できるようになってきているのです。

これはつまり、デザイナーも新しいツールを使いこなせるスキルが必要ということになるでしょう。素早いデザインを実現し、新しいツールにも対応できるデザイナーがスタートアップには必要なのです。常に高いスキルを求められるため大変な面もあるかもしれませんが、やりがいもあるはずです。

ブランドをデザインで差別化すること

スタートアップの競争力は、新規性や革新性にあると言えるでしょう。したがって、スタートアップには他社にはない付加価値や、これまで存在しなかったようなコンセプトを表現することが求められます。もし、スタートアップが他社と同じような技術やサービスで勝負しているように見えてしまえば、顧客からは価格競争している企業のひとつと認知されてしまうからです。このように認知されてしまえば、スタートアップである意味は薄れ、存在価値が大きく下がってしまうことは言うまでもありません。

そうならないためにも、デザインを武器にして新規性や革新性を表現していくことが大切です。上手にスタートアップの新規性をアピールできれば、自分たちのブランドを差別化していくことにもつながるでしょう。一般的に、差別化できればできるほどビジネス面でも成功しやすくなります。

ユーザー体験をデザインすること

ユーザー体験は、ビジネスやデザインの世界で急速に注目を集めている考え方です。特にスタートアップの製品やサービスが顧客に受け入れられるかどうかは、技術力よりもユーザー体験のデザインによって決まると言っても良いでしょう。そのため、スタートアップは何をつくるのかというよりも、どのような体験を顧客に届けるのかを考えなければいけません。また、ユーザー体験は製品やサービスを使う場面だけに限らず、Webサイトやその他のチャネルを含めて包括的にデザインすることが求められているのです。

さらに、製品やサービスの内容によってはオンラインだけではなく、オフラインでの顧客の行動も含めて考える必要があるでしょう。このように、スタートアップ企業におけるユーザー体験は重要な位置を占めています。

デザインで投資家にアピールすること

投資家に対するアピールでもデザインは大きな役割を果たします。なぜなら、スタートアップの製品やサービスのデザイン性が重要であることは、個人投資家やベンチャーキャピタルも意識するようになってきたからです。したがって、スタートアップに投資するかどうか判断する際にも、デザイン性の高さやメンバーにデザイン関係者が含まれているかどうかが重視される傾向にあります。また、デザイナーを募集するスタートアップが増え、創業者自身がデザイナーというケースも目立ってきたと言えるでしょう。

このような状況のなか、スタートアップのデザイナーは投資を受けられるように初期段階から顧客を理解しなければいけません。顧客をしっかりと理解すれば、優れたユーザー体験をデザインできるようになるからです。

デザインなくしてスタートアップは成功しない

スタートアップはとにかくスピードが求められるため、最初はデザイン度外視でリリースしてから改良していくアジャイルのイメージが強いかもしれません。しかし、デザインはスタートアップにとってとても大切なものであり、最優先で取り組むべき部分と言えるでしょう。また、スタートアップのデザインでは洗練されたビジュアルよりも、ブランドの存在意義やアイデンティティ、ユーザー体験を明確にすることが最優先です。確かにロゴなどのデザインについては、ビジネスの成長に合わせて洗練させていく企業も多くあります。ただ、初めのうちはアイデンティティなどを押し出して認知度を上げるほうが効率は良いのです。

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