2020.02.19
Typeformを活用すれば、従来の味気のないフォームを楽しくてインタラクティブなものに置き換えることが可能です。また、Typeformは単なるフォームの代用品ではなく、アイデア次第でWebやメールによるブランディングやマーケティングにも応用できる、汎用性の高いサービスでもあります。自社のビジネスを拡大するためのツールのひとつとして、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
Typeformというスペイン発のWebサービスが、日本でも注目されはじめています。本サービスを活用すれば、これまでの味気のないフォーム画面からの投稿を、より楽しいユーザー体験に変えることが可能です。また、単なるフォームサービスとは思えないような美しさと、さまざまな便利機能も備わっています。この記事では、Typeformの特徴やメリット、使い道などについて紹介していきます。
Typeformは、Webサイト向けのフォーム画面を作成するサービスです。まずは、サービスの特徴について見ていきましょう。
従来のフォームでは、最初にすべての項目への入力を完了させる必要があります。送信前には確認画面が表示され、ミスがあれば前の画面に戻って入力し直さなければならないという方式が一般的です。ユーザーにある程度の根気と集中力を強いるものも少なくありません。これに対し、Typeformでは一問一答のような対話形式で画面が遷移していく、よりユーザーフレンドリーなフォームを作ることができます。インタラクティブな操作感でテンポよく入力を進められるため、ストレスが少なく利用しやすいフォームになります。
Typeformでは、フォーム画面のテンプレートが豊富です。ブラウザ標準の入力欄を使用した従来のフォームとは異なり、どのテンプレートも現代的で操作しやすいユーザーインターフェイスを備えています。たとえば、従来であればテキストによる表示と入力だけだった部分も、選択肢を画像で提示してワンタッチで選んでもらえるような形式にすることが可能です。デザインについても、カラフルでポップなものや写真を大胆に使ったものなど、さまざまなタイプが取り揃えられており、思わず使ってみたくなってしまうテンプレートも少なくありません。ユーザー登録やアンケートなどの用途別にカテゴリー分けされているため、すぐに必要なテンプレートを見つけられるでしょう。
Typeformでのフォーム作成は、とても簡単です。フォーム作成画面にテキストエディタのような入力欄があるので、そこへ質問事項の文章を順番に入力していけばよいのです。すると、Typeformが最適な入力形式を自動的に推測し、フォーム画面が作られていきます。入力欄の隣にライブプレビューを備えているので、実際にどのような画面になるかをリアルタイムで確認しながら入力を進められます。質問ごとの入力形式は自分で設定することも可能です。もちろん、HTMLやCSSといった、Web技術に関する専門知識は必要ありません。
従来のフォームはアンケートや問い合わせ、ユーザー登録などを行う画面に設置されるのが一般的です。その用途はある程度限定的と言ってよいでしょう。これに対し、Typeformは広範囲に活用できるという特徴があります。たとえば、次々に質問に答えていくクイズ形式のフォームや、オンラインショップの商品選択画面などにも応用できます。これは、Typeformが質問ごとに画面を遷移させていく仕組みを採用しているためにできることです。また、従来のフォームでできていたことも、もちろんTypeformで実現可能です。アンケートや問い合わせのほか、イベントの招待状や求人のエントリーのようなユーザー登録のバリエーションについても、用途ごとに最適な画面を構築できます。
従来のフォームには、スマートフォンで入力しづらいという問題がありました。パソコンでは何の問題もないフォームでも、スマートフォンの小さな画面から入力するとなると面倒なことも少なくありません。パソコンよりもスマートフォンを使うユーザーが多くなった現代において、これは厄介な問題です。Typeformなら、スマートフォンなどの画面でも入力しやすいフォームを作ることができます。同じフォームでも、パソコンやスマートフォン、タブレットの画面サイズに合わせて操作しやすい表示になるのです。この特徴のおかげで、より多くのユーザーをターゲットにしたフォームを作成できるようになるでしょう。
外部サービスと連携できることも、Typeformの特徴のひとつです。たとえば、Slackと連携しておけば、ユーザーがフォームを送信したことを通知メッセージで知ることができます。ほかにも、フォームの入力内容をTrelloのカードとして登録したり、Google Sheetsに転送してスプレッドシートで集計したりといった使い方も可能です。連携可能な外部サービスは豊富にあり、マーケティングやアクセス解析、生産性向上やエンジニアリングなど、さまざまな目的のためにフォームの機能を拡張できます。
Typeformは、フォームに独自の機能を追加したい場合のために「API(Application Programming Interface)」を提供しています。APIとは、サービスの各種機能を外部システムからも利用可能にするために公開されている開発者向けの仕組みです。これを活用すれば、フォームの作成やデザインのカスタマイズなどを自社システム経由で行うことが可能になります。APIを使うためにはWeb開発に関する知識が必要となりますが、フォームの入力内容を特定のサイトに転送したり、自社アプリ内にフォームを組み込んだりといった独自の活用を行いたい場合には利用するとよいでしょう。
ここからは、Typeformを導入することによって何が改善し、どんな問題を解決できるのかについて紹介します。
フォームは企業と顧客とがコミュニケーションをとる際の接点になるものなので、単に十分な機能を備えているというだけでなく、見た目や使いやすさの面で優れているかどうかも大切です。Typeformで作成されたフォームには、きれいなデザインと、直感的で理解しやすい操作方法という特徴があります。どんなサイズの画面でも使いやすいので、従来のフォームをTypeformのものに置き換えればユーザー体験を向上させられる可能性が高いでしょう。
たとえば、店舗での接客にタブレット端末を使用している場合、顧客にフォームからデータを入力してもらいオンラインでユーザー登録などを行うことが考えられます。このとき、従来のフォームでは入力項目が多いとスクロールなどの操作が必要になり、入力しづらくなってしまうことが少なくありません。そのような場合でも、Typeformを用いれば対話形式の画面でスムーズに入力してもらえるようになるため、テンポのよい接客が可能になります。また、画像はもちろん必要に応じて動画やGIFアニメ、音声なども挿入できるので、より理解しやすいフォームにできるでしょう。
Typeformで作成したフォームでは、さまざまな種類のデータをユーザーに入力してもらうことが可能です。テキストの入力欄なら、文字数を制限した短いものから、何文字でも無制限に入力できるものまで設置できます。また、電話番号やメールアドレス、日付や数値といった種類を指定することで、形式に沿ってデータを収集できるようになっています。そのほかにも「はい」「いいえ」による二者択一や、複数の選択肢を文章や画像で提示して選んでもらう方式、星の数によるレーティングなども指定可能です。
入力されたすべてのデータは、Typeformが管理するサーバーに厳重なセキュリティのもとで保管されます。さらに、万が一の災害などに備えてバックアップも行われています。セキュリティやバックアップは、大切な顧客情報を保護するために非常に重要なことです。もし、自社のWebサイトに独自のフォーム機能を持たせるとしたら、大きなコストがかかってしまうことも考えられます。低コストで安全に顧客情報を保護するためにも、Typeformを選ぶメリットがあると言えるでしょう。
Typeformで収集されたデータは自動的に集計されるので、従来のフォームのように集計に手間がかかるということはほとんどありません。質問ごとの回答内容の集計はもちろんのこと、Typeformではアクセス解析情報も得ることができます。たとえば、フォームにアクセスした人の数や、そのうち何パーセントの人が最後まで回答してくれたか、回答にかかった平均時間はどれくらいかといったことがわかります。アクセス解析情報は、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの種類別に集計されるため、利用環境によってユーザーの行動がどのように変わってくるのかについても知ることが可能です。
もし、Typeformによる自動的な集計だけでは足りない部分があれば、エクスポート機能を使うとよいでしょう。ExcelやCSVの形式でデータをダウンロードできるので、独自の観点から集計や分析を行うことができます。複数のフォームから得られたデータを結合したい場合や、過去のデータと突き合わせたい場合などにも、エクスポート機能が便利です。
自社のWebサイトに独自のフォームを作成するときは、Webサイトと同じサーバーを用いてフォームも稼働させることが多いでしょう。この場合、サーバーの負荷が高くなりWebサイトが不安定な状態になると、同時にフォームでも不具合が発生してしまうリスクがあります。たとえば、期間限定のイベントなどで一時的にアクセスが集中するようなケースなどが、これに当てはまります。さらに、実際に不具合が発生していることには気づきにくいため、対応の遅れによって貴重な機会や信用を失ってしまうかもしれません。
このような問題を避けるためには、フォームをTypeformのような外部サービスで運用することが有効な対策のひとつになります。たとえ自社サーバーが不安定になった場合でも、フォームは正常に稼働し続けるためです。さらに、Typeformではサーバーを分散させる技術により、負荷の集中などの原因でサービスに問題が発生した場合でも即座に対応できる体制を整えています。そのため、短期間に大量のアクセスが見込まれるようなイベントにも安心して利用できます。
Typeformは機能が豊富でセキュリティも高く、ユーザーフレンドリーなフォーム作成サービスです。問い合わせフォームのような従来機能の置き換えに使うだけでは、少しもったいないかもしれません。そこで、Typeformを活用するためのアイデアを紹介します。
フォームはもともとデータを集めるためのものですが、Typeformはコンテンツの配信に活用することもできます。自社の商品やサービスと関連性があり、ユーザーの興味をひくようなコンテンツを発信していくことは、ブランディングやマーケティングに大いに役立つでしょう。たとえば、Typeformのテンプレートのひとつを利用すれば、楽しいクイズを配信できます。クイズの内容が面白くSNSなどで話題になれば、潜在顧客との新たな接点が生まれるかもしれません。
また、既存顧客向けのアンケートなども、一問一答の対話形式によってより人間味のあるコンテンツに仕上げることは可能でしょう。Typeformによって、ユーザーに楽しんでもらいながら自社の認知度を高め、商品やサービスに興味を持ってもらうための機会を増やしていくことができるのです。
Webサイトにメールマガジンの登録や資料請求のフォームを設置することで、新規顧客を獲得しているという企業も多いでしょう。しかし、このようなフォームではメールアドレスや住所などの個人情報を登録する必要があるため、入力をためらう人も少なくありません。そこで、Typeformの対話形式によるテンポのよさや、画像や動画などによる表現を駆使することで、ユーザー登録そのものを楽しい体験に変えてしまうという方法が考えられます。より多くの人が登録してくれるようになれば、自社の最新情報なども届けやすくなり、製品やサービスの購買につながる機会が増えるでしょう。
もちろん、従来のフォームをより楽しい体験に変えるというアイデアは、既存顧客を喜ばせるためにも有効です。たとえば、メールマガジンの配信先になっているユーザーに依頼するアンケートなども、Typeformによって回答率が向上するかもしれません。アンケートのページを開いてみたものの、入力を面倒に感じて離脱してしまうというようなケースを減らせるためです。
Typeformには、社内サーベイのためのテンプレートも用意されています。社内サーベイは、従業員のエンゲージメントを高める目的で実施されることが多いため、いかに本音で回答してもらえるかが重要な課題です。一般的には、紙を使うよりもWebで提出する方式のほうが本音を引き出しやすいといわれています。そのため、社内サーベイにTypeformを使うのは有効な方法だと言えるでしょう。
また、業務の合間の限られた時間内で回答を入力してもらうためには、社内サーベイそのものの使いやすさも大切なポイントになります。これは、Typeformの最も得意とする部分です。たとえば、外回りの隙間時間にスマートフォンから回答してもらうといったことも、十分に可能でしょう。