2022.2.10

【インタビュー】フツパーの脱クラウドAI開発。HPワークステーションで生産性が大幅向上した事例

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AIアルゴリズムの開発環境にクラウドサービスを利用している方は多いのではないでしょうか。製造現場の目視作業自動化をAIで支援する株式会社フツパーは、2021年10月からHPワークステーションを導入し、開発環境をクラウドからオンプレミスに移行しました。これまでの課題からマシンを導入するまでの流れ、導入後の効果を担当者に伺います。

はやい、やすい、巧い、AIを

――フツパーが提供しているサービスについて教えてください。

――萩原氏

弊社は「はやい、やすい、巧い、AIを」提供しています。具体的には、製造業様の目視検査業務を AI によって代替することで、省人化や効率化をご提案させていただいております。

弊社製品はカメラとエッジデバイスを現場に設置すれば導入可能で初期の設備投資は不要、従来のクラウド型 AI と比較して処理速度が「はやい」エッジAI を搭載しております。エッジデバイスは狭い場所にも設置できるコンパクトな設計ですので手軽に導入することができます。

――導入までのスピードとAIの処理速度が「はやい」のですね。「やすい」「巧い」という特徴もお聞かせください。

――萩原氏

「やすい」という視点ですと、目視検査業務は月額20万円から30万円が平均コストのため、1人でも省人化できると導入2年後以降の弊社AIは人よりもお安くなります。弊社 AI は初期費用無料で初年度月額298,000円、2年目以降が月額98,000円の料金体系でご提供しております。

菓子製造メーカー様での導入事例を紹介すると、これまで2台の生産ラインで各台2人ずつ計4人で行っていた目視検査を弊社の AI 導入することによって各台1人ずつ計2人での体制を構築し、計2人分の人件費削減効果の実績がございます。この他にも多くの導入企業様に投資対効果を実感して頂いております。

また、お客様の課題に寄り添ってオーダーメイドでAI開発を行う「巧い」サービスであることも特徴です。弊社は実証実験から生産ラインへの実装まで先ほどご紹介した月額298,000円でご提供しております。AIの精度にご満足頂いた場合、そのまま実装していきます。ですが、精度に満足いかなかった場合はいつでも解約していただいて構いません。

私自身、弊社に入社して半年ほどで100社ほどの現場に足を運んでお客様の課題をヒアリングして参りました。泥臭く培った現場力とお客様毎にフルカスタマイズしたAIモデルを作成する技術力を活かして、AI が学習しやすいデータを収集するための撮像環境の改善支援や運用面でのご支援も行っております。

――月額約1人分の値段でカスタム開発と充実したサポートを受けられるのは魅力的ですね。

HPワークステーションでAI開発をオンプレミス環境に

――フルカスタムAIをお客様に提供されていますが、どのような環境で開発されているのですか?

――山田氏

多くのAI開発企業と大きな違いはありません。Amazon EC2 (Amazon Elastic Compute Cloud) 、小規模なモデルの構築でしたら、Google Colaboratory (Google Colab) などクラウドのコンピューティングサービスの強力なインスタンスを一時的に借りて開発しておりました。

――クラウド環境での開発に課題や使いにくさはありますか?

――山田氏

まず、弊社はモデル構築の材料として主に画像を扱っておりますが、テキストデータに比べて画像のアップロードにどうしても時間がかかってしまうことが課題でした。また、画像をクラウドストレージに上げてから EC2などで学習させますが、学習結果が非常に見づらいんです。

――学習結果が見づらいとはどういった状況ですか?

――山田氏

良品の画像を不良と判定してしまった理由を読み解いていく際に画像の名前だけ表示されたところで、原因はさっぱりわかりません。画像を見ながら原因を突き止める必要があるので、クラウド上のデータをローカルに同期させてから画像を確認していました。同期に時間がかかるため、同期中は他の仕事を進めるなど工夫して開発していました。

――これらの課題や使いにくさを解決できるクラウド環境はなかったのでしょうか。

――山田氏

有名サービスは一通り探しましたが、GUIで画像を一覧表示できて、クラウドサーバーと簡単に連携できるようなクラウドストレージは見つかりませんでした。また、S3などの画像を一覧表示できるサードパーティ製のソフトもあるにはあるのですが、応答性や同期速度に問題がありました。

ローカルでマシンを持たざるを得ないと考えていたところに、かねてよりNVIDIA製品でお取引していた菱洋エレクトロ様からHPワークステーションをご紹介いただき、2021年10月にデスクトップ型のHP Z4G4 Workstationと、モバイル型のHP HP ZBook Firefly 14 inch G8 Mobile Workstationを導入しました。

――HPワークステーションの導入までにどのくらいの期間がかかりましたか?

HP Z4 G4 Workstation
提供:日本HP

――四方田氏

世界的な半導体不足で納期遅れが懸念されましたが、日本HP様のご協力もありヒアリングや製品のご提案などを含めて1ヶ月強ほどでご提供できました。弊社は NVIDIA 製品の代理店と HP製品の販売店、両方の強みを生かした形でフツパー様にご提案させていただきました。また、Linux のOSをインストールした状態での製品導入もサポートさせていただき2021年10月に HPワークステーションを納品いたしました。

――私の想像よりも速いスピード感で驚きました。HPワークステーションを導入してから、開発環境に変化はありましたか?

――山田氏

オンプレミス環境になったことで、画像をアップロードする手間がなくなりました。その結果、ローカルで高速に画像が確認でき、同期の待ち時間もなくなったため、工数の削減はもちろん、エンジニアの集中が途切れにくくなり開発のテンポが上がりました。

実際に使ってみて、画像関連のモデルを構築するのであれば、絶対ローカルマシンを買った方が良いと改めて思いました。また、クラウドで高性能なGPUを使用するとオンプレミスのマシンを購入したほうが結局安くなります。クラウドであれば使わない時間だけ電源を切っておくなどの措置が必要になってしまい、その場合もオンプレミスに比べてかえって管理の手間が増えてしまいます。

――工数を削減されて生産性が向上したわけですね。他にもメリットが有れば教えてください。

HP ZBook Firefly 14 inch G8 Mobile Workstation
提供:日本HP

――山田氏

お客様の現場で簡単にモデルをチューニングできるようになりました。通信環境があまり整っていない現場も多かったため、これまでデータのダウンロードやアップロードができないことがありましたが、今回モバイル版のHPワークステーションも導入したことで、その場で取得した画像を使ってすぐにチューニングすることができるようになり重宝しています。

――その場でチューニングできることで工数がより削減できそうですね。マシンの使用感や運用体制についてお聞かせください。

――山田氏

デスクトップ型のワークステーションはオフィスに設置しました。Linux構成でリモートアクセスできる状態で運用しています。学生時代に利用していたサーバーと比較しても駆動音はかなり静かで、今のところベーシックに使いやすいと感じています。また、オンサイト保守が付帯しているので、不具合が起きた際に迅速なサポートを受けられる安心感もあります。

――ありがとうございます。駆動音が静かという点はHPワークステーションの洗練された設計とパワフルなスペックのおかげですね。

“泥臭く”最新技術を届け現場をスマートに!

――HPワークステーションで開発環境が向上しました。御社が考える製造業でのAI 開発のキーポイントは何でしょうか。

――萩原氏

キーポイントは投資対効果です。多くのお客様は我々の「はやい、やすい、巧い、AI」を投資対効果の点でご満足いただいております。実際に得られる効果より投資額が大きくなってしまうとビジネスとして破綻してしまいます。

AIで判定できるものもあれば判定できないものもあるため、人による目視が最適解ということももちろんございます。我々はお客様の効率化をご提供したいという思いから、目視検査自動化のソリューションに関しては、ヒアリングを通してお客様の投資対効果が見込めると判断してからご提案させていただいております。

――先ほどの菓子製造メーカー様も計2人分の人件費削減効果がありましたね。今後の展望を教えてください。

――萩原氏

我々は創業2期目の会社ですのでノウハウをもっと付けたいと考えております。お客様の要望に答えれないケースを少なくしていき、ご支援できる領域を広げていきたいです。

また、先日弊社は佐川急便株式会社様主催のアクセラレータープログラム「SAGAWA ACCELERATOR PROGRAM第二期」に採択され、ドライブレコーダー映像をAIによって解析し、ドライバーの安全運転へ貢献できないかを検証する実証実験を実施しました。こういった製造業以外の業界とも繋がっていき「“泥臭く”最新技術を届け現場をスマートに!」風呂敷を広げながら、中小企業様をご支援できるような活動を継続して続けて参ります。

――本日はありがとうございました。

AIと聞くと最先端技術の結晶、未来的なイメージが先行しますが、その舞台裏では技術者たちの努力や工夫によって成り立っています。「“泥臭く”最新技術を届け現場をスマートに!」をミッションに「はやい、やすい、巧い、AIを」提供する株式会社フツパー。現場に足を運んで泥臭くAI開発をしてきた姿はインタビューを通して終始伝わってきました。

そんなフツパーがAI開発環境にHPワークステーションを導入しオンプレミス化。クラウド環境ならではの課題を解決し大幅な工数削減と開発のテンポアップを実現し生産性が向上しました。

AI開発現場に続々導入されているワークステーション。安心の品質とサポートが充実のHPワークステーションを検討してみてはいかがでしょうか。

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※本インタビューの掲載先はAIポータルメディア「AIsmiley」となります。

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