2022.2.10
工場や建設現場の人手不足や技術継承に課題を感じられている方は多いのではないでしょうか。そういった課題を解決するAI・画像認識ワークステーション「タクミノメ」を株式会社NTTPCコミュニケーションズと株式会社ALBERTが提供開始しました。「タクミノメ」の特徴やできることを各社の担当者に伺いました。
――本日はよろしくお願いします。まずは「タクミノメ」について簡単に教えてください。
株式会社ALBERT データコンサルティング部 第2セクション セクションマネージャー 中野 和俊 氏
――中野氏
AI・画像認識サービス「タクミノメ」は、画像認識技術を活用したい企業様向けのAI構築支援サービスです。発表当初は、画像認識AIのPoC検証サービス(お客様のデータをお預かりして、お客様の課題を解決できるかを短期間でPoC検証するサービス)としてスタートしました。その後、自社で手軽に画像認識AIを構築・内製化できる「タクミノメ」ツールのご提供を開始し、サービス内容を拡充してまいりました。
――ありがとうございます。「タクミノメ」ツールではどのようなことができますか?
――中野氏
「タクミノメ」ツールでできることは大きく4つの画像認識タスクです。画像の主要な被写体が何かを識別する「画像分類」、正常状態を認識させ、正常品から外れた部分を異常として検知する「異常検知」、学習させた物体を画像内から矩形で検出する「物体検出」、対象の物体を画像内からピクセル単位で検出する「領域検出」、これら4つの機能を提供します。画像認識でカバーできる範囲が広い点は他社様と比較しても特徴の一つです。当社がこれまで手掛けた数百のプロジェクトの実績やノウハウからこれらの機能が生まれました。
――4つの機能で幅広く対応できますね。その他の詳しい特徴もお聞かせください。
――中野氏
通常のAIモデル構築はPythonといったプログラミング言語を使って、ある程度エンジニアリング力を持った方が作ることが主流ですが、「タクミノメ」ツールを使っていただくと全くコードを書かなくても、誰でも簡単にノーコードでAIモデル構築が可能です。構築したAIモデルをダウンロードして、新たな画像で迅速に試すこともできます。
「タクミノメ」ツールは、画像認識AIを構築するために必要な教師データやデータセットを作成するアノテーションの作業から、モデル構築、デプロイまでを一気通貫で行うことが可能です。
――「ノーコード」は最近のトレンドワードですね。導入事例もご紹介頂けますか?
――中野氏
電子部品を製造されているお客様の事例をご紹介いたします。お客様は従来からお持ちの外観検査装置がございました。こちらの装置はIF-THEN形式のルールベースで良否を判断します。お客様がルールを作成し実際に検査させてみると、正常品を不良品と判定してしまう過検出が大量に発生しました。過検出された製品を再度人間の目による検査を行う必要があるため、作業量が多くなり負荷が高くなってしまうという課題をお持ちでした。
そこで画像認識AIのモデル構築からシステム化までをご支援し、従来の外観検査装置が不良と判断したものをディープラーニングで構築した画像認識AIモデルで正常品と不良品を判定させました。その結果、人間の目に近い判定を実現し、人手による再検査の自動化に成功しました。
その後、画像認識AIの不良判定の検出精度を維持するためには、新たな不良モードに対し発見された時点でモデルを再学習する必要があります。現場で迅速にモデルを再学習し精度を維持するため、「タクミノメ」ツールをご導入いただきました。再学習もノーコードでできるため、お客様には継続してAIモデルのメンテナンスをしていただいております。
――新たな不良パターンが出てきた際に自社でAIモデルを調整できるのは嬉しいですね。導入から実装までの流れを教えてください。
――中野氏
まずは、お客様のビジネス課題をしっかりヒアリングいたします。その後は、お客様自身が社内で「タクミノメ」ツールを使用して画像認識AIモデル構築を内製化、もしくは当社がお客様からデータお預かりしてAIモデル構築からシステム化までご支援し、お客様の課題を解決いたします。
「タクミノメ」ツールを利用したいというお客様に対して当社単独でご提案する際、クラウド型の月額プランをご案内しますと「データを外に出せない」「支払い方法を月額ではなく一括で買い切りにしてほしい」といったご要望を多数頂いておりました。
そこで登場したのがオンプレミス版のAI・画像認識ワークステーション「タクミノメ」です。NTTPC様との協業により実現いたしました。
――待望のオンプレミス版がALBERTとNTTPCから共同リリースされましたが、その概要を教えてください。
株式会社NTTPCコミュニケーションズ Innovation LAB プロジェクトリーダー 庄司 洋一郎 氏
――庄司氏
まず簡単に自己紹介しますと、当社は法人向けキャリアとしての特性を活かして、 研究開発から商用まで、AIプラットフォームの提供に力を入れています。GPUをはじめとしたサーバー提供はもちろん、データセンターやネットワークインフラ、エッジAIなども含めて、アプリケーション以外のレイヤはすべてワンストップで提供することが可能で、AI企業や研究所、大学、各企業の研究開発部門など、国内有数の提供実績を積み重ねてきました。
今回、ALBERT様と共同リリースしたオンプレミス版は、画像認識AI アプリケーションとして「タクミノメ」、その搭載機器には、国内実績ナンバーワンの信頼性を誇る日本HP製の「HP Z2 Tower G5 Workstation」を採用しました。各社のエンジニアが共同で、今回の製品化に向けてハード/ソフトの両面から技術検証とチューニングを行っていますので安心してご利用になれます。
また、AI・画像認識ワークステーション「タクミノメ」は、見積取得から申し込み、契約締結まで全てオンラインで行うことが可能です。アプリケーションやOS、GPUドライバなど機器セットアップもすべて行った上で出荷しますので、お客様は環境構築の手間いらずで、手元に届いたらすぐにご利用いただけます。
――Web上で簡単に注文できる点と初期セットアップの必要が無い点は魅力的に感じました。オンプレミス版のメリットを教えてください。
――庄司氏
クラウド版と比較して、前述したようにお客様側での環境構築の手間が要らない点に加え、買い切り型なので予算執行しやすい点が大きなメリットです。価格面でも、クラウド月額と比較した場合に利用9ヶ月目で回収完了できるため、年単位でのAI開発プロジェクトやPoCを実施される場合はワークステーションタイプを選択いただいたほうがコストパフォーマンスが高くなります。
また、製造業においてはデータセキュリティの観点からクラウド利用が難しいケースも多くありますので、その点でもワークステーションタイプなら安心です。「タクミノメ」のサポートは専用ツールを用意しておりますし、ワークステーション本体に関しても日本HPの24時間365日対応オンサイト保守を提供しますので、企業ユースでも安心してご利用いただけるかと思います。
――お客様のご要望を反映した料金体系ですね。ハードウェアのサポートについて教えてください。
株式会社日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部
ワークステーション市場開発 ビジネスデベロップメント マネージャー 新井 信勝 氏
――新井氏
ハードウェアが壊れた場合は、 HP の保守体制で標準で3年間、365日のオンサイト保守が付帯しております。
例えば、オンサイト保守が無いハードウエアをご使用の場合で、GPU 搭載ハードウェアに不具合が生じて引き取り修理になった際、機材返却して1週間から2週間ほど作業できないことがありますけれども、HPワークステーションはご連絡頂いた翌日には弊社のエンジニアがオンサイトに駆けつけて修理する体制が整っておりますので非常に安心してご利用いただけます。
また、ハードウェアに関するご質問に関しましては、東京のエンジニアが電話にて直接対応いたします。
――3年間のオンサイト保守は手厚いサポートですね。オンプレミス版の「タクミノメ」を利用してほしいお客様像があればお聞かせください。
――庄司氏
ALBERT様の「タクミノメ」は、ユーザへの提供価値を意識した本当に素晴らしいAIプロダクトです。幅広い画像認識タスクに対応している上に、アノテーションからデプロイまでワンストップで実行可能で、しかもノーコードです。プログラミングスキルは必要ありません。ワークフロー管理の機能なども実際の利用シーンにおいてはユーザベネフィットが高いでしょう。
画像認識ツール自体は多々あれど、ここまで徹底的にユーザベネフィットが考え抜かれたサービスはALBERT様の「タクミノメ」が唯一無二と言ってもいい魅力があると思っています。
製造業や建設・インフラ業界をはじめ、画像認識AIを必要とするあらゆる企業において、開発コストや人材育成・ノウハウ蓄積の観点から「AI開発の内製化」を本気で検討しているお客様には、特に利用していただきたいですね。
――中野氏
建設・建築業界も製造業と同様、検査工程があります。現在は人間の目で二重、三重にチェックして OK と判定されているところを、初期チェックは AI が行うことで検査工数を少しでも減らしていく取り組みを多くのメーカー様がトライしています。特にゼネコン各社様は非常に多くの研究開発投資を行い、人手が少なくても業務を効率化して、より多くの建築・建設ができるような環境を目指されております。
――「タクミノメ」への心からの思いが庄司氏から伝わってきました。今回の協業は「Innovation LAB」を通じて実現されたと伺っております。「Innovation LAB」の理念を教えてください。
「Innovation LAB」は、NTTPCが展開しているAIコラボレーションプログラム。プログラムのミッションは、先進的なAI技術を通して社会や産業にイノベーションを起こそうとしている企業・団体、そしてそれを支える多種多様な強みをもつ人々が集まり、「持続的なパートナーシップ」を形成することで、ひとつの企業によるそれを上回る、新たな価値を“共創”すること。
――庄司氏
現在、インターネット以来の産業革命としてAIの波が来ています。革新的な技術と、それをベースとした多様なAIサービス・プロダクトが日々生み出されていますが、一番大事なことは「主役は人」であり、「AIで何を実現したいのか」という点ではないでしょうか。
Innovation LABの各AIパートナー様も、「どんな社会課題にどうアプローチしていくか」、「どんな未来を作りたいのか」、「人々はどう幸せになるのか」といった想いを抱き、挑戦している企業が数多くいます。
おかげさまで、パートナー加盟数は直近で50社を超えました。Innovation LABはまだまだ発展途上ですが、今後も我々の考えに共感して頂けるAIパートナーが集い、さまざまなビジネスを共創できるコミュニティでありたいと考えております。
――それぞれの想いをみんなで「共創」した未来が楽しみになりました。最後に、ALBERTの目指す姿をお聞かせください。
――中野氏
当社はお客様の課題解決の手段としてAIやデータ分析の技術を提供しております。課題解決のためにデータサイエンティストのプロフェッショナル集団である当社がAIアルゴリズムを構築し、実ビジネスに展開するためのシステムを開発することは課題解決の方法の一つに過ぎません。お客様から画像認識AIを内製化したいというご要望があればツールをご提供するなど、お客様に寄り添った課題解決を今後も目指してまいります。
――「タクミノメ」もお客様に寄り添ったサービス体系だと感じました。本日は貴重なお時間ありがとうございました。
NTT PCとALBERTの共創によって誕生したAI・画像認識ワークステーション「タクミノメ」。画像認識AIモデル構築プラットフォームの中でも幅広いタスクに対応しており、ALBERTがお客様に寄り添ってきた軌跡ともいえるサービスでした。
製造業や建設業など画像認識AIを活用して課題を解決する際は買い切り明瞭会計のAI・画像認識ワークステーション「タクミノメ」をご検討ください。
※本インタビューの掲載先はAIポータルメディア「AIsmiley」となります。
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