本記事では、2018年10月23日に東京・六本木にて開催されたセミナーのダイジェストレポートをご紹介します。
当日ご来場いただけなかった方も、ビジネス領域におけるAI活用に向けたアプローチについて、以下フォームよりダウンロードいただける講演スライド(一部)と併せてぜひご覧ください。
セッション一覧
■セミナー概要
~ “AIが「実用」に向けて動き出す”
ビジネスへの導入が進む、AI・ディープラーニングの新潮流とは? ~
あらゆる業種のビジネスで、AIの活用が叫ばれています。しかし、メディアを賑わせているのは、グローバルな先端企業で使われている汎用AI。
ハイスペックである反面、高価であり、膨大なデータをクラウドとやりとりするなど運用コストも大きいのが実情です。それだけ高価なAIを、どれほどの企業が導入できるでしょうか。また、本当にすべての企業に、それだけのスペックが必要でしょうか。
AIにできることが日に日に増えるなか、ビジネス領域でも導入フェーズに入り、新たな「実用」へのアプローチも生まれています。
AIが、より広い社会に浸透していく現在の最新事情をご紹介いたします。
筑波大学准教授 岡瑞起 氏
基調講演では、筑波大学准教授の岡瑞起氏が登壇されました。岡氏はパターンを見つけるAIを研究しており、Webデータから人の行動や人間関係を抽出し、コミュニティの活性度や各個人や発言の影響度などを推論する研究事例を紹介。「2010年頃からは、AIがパターンを見つけるだけでなく、解釈まで可能になってきています」と語り、その事例として無人店舗「Amazon Go」や化学実験の自動化を可能にした「Eve Automated Science」などを紹介しました。
その上で、改めて「AIの導入は、すべての企業に必要でしょうか?」と問いかけます。そして岡氏は、「おそらく必要」と回答し、「AIを活用した新しいテクノロジーがどんどん登場する社会では、技術発展への期待値があがり、それに対応できないと取り残されてしまいます」と警告します。
そのようななかで、クラウド化する汎用AIは使いやすくなり、エッジ化する専用AIも多様化、低価格化が進み、選択肢が増えています。「従来AI活用が難しかった中小企業にとっても、利用しやすくなっています」(岡氏)。
一方で、AIが人の仕事を奪うという危惧を抱く人も少なくありません。それに対し岡氏は、今年7月日本で行われた「機械人間オルタ」によるオーケストラの指揮の動画を紹介。ロボットの上下運動で人が呼吸するさまを表現することで、演奏がうまく合うようになったことから、「人とAIがうまく協力しあうと、パフォーマンスが最も向上します」と言います。最後に岡氏は、「これからは、人とAIが仲良くなるという世界観で、テクノロジーを考えることが大切です」と講演を締めくくりました。
日本HP パーソナルシステムズ事業本部
ワークステーションビジネス本部
本部長 大橋秀樹 氏
エヌビディア エンタープライズ
マーケティングシニアマネージャ
田中秀明 氏
今、さまざまな分野でAIが活用されるきっかけとなっているのがディープラーニングを加速させるGPUコンピューティングです。そのGPUの開発を牽引してきたNVIDIAは、GPUコンピューティングを発展させ、今年新たにTuringアーキテクチャーを搭載したNVIDIA QUADRO RTXファミリーを発表しました。画像加工の中でも、高度な性能を必要とし、処理時間がかかっていたレイトレーシングをリアルタイムに行うことを可能にするRTコアと、ディープラーニングを高速化する高性能なTENSORコアを搭載しています。NVIDIAの田中氏は、写真の一部を消すとAIが自動で解析し、画像が不自然にならないよう消えた部分をリアルタイムで補う様子をデモで紹介。「これだけの処理をクラウドで行おうとすると、データをアップするだけで膨大なコストも時間もかかります。QUADROハイエンドファミリーを搭載した高性能なエッジでなければ無理でしょう」と田中氏。日本HP 大橋氏も、「AIで動画を処理するなどの複雑な処理には、ますますエッジコンピューティングの性能が求められます。HPのワークステーションは、AIとディープラーニング向けのNVIDIA QUADROシリーズと合わせて安定したパフォーマンスを発揮しますので開発にも展開にも最適です」と応じました。
AI(ディープラーニング)技術の現場適用事例のご紹介
~ AI画像認識の製造現場適用 ~
パナソニックソリューションテクノロジー
執行役員
新規事業担当井上幸則 氏
パナソニックソリューションテクノロジーは、製造業向けのAI・アナリティクスに強みを持ち、AI/ディープラーニングソリューションや、AI画像認識エンジン構築サービスなどを提供しています。井上氏は、その特長を「パナソニックにおける製品・製造の知見と、AI・分析およびICTに関する技術と知見により、お客様のさまざまな課題解決をサポートします」と説明します。
井上氏は、装置の異常発生検知や不良品検査の効率化、空港で飛行機に搭乗橋を装着する際のオペレーターへの負担軽減などの事例を紹介。「人は、疲労によるミス、認識のバラツキをなくすことはできません。また、新人には一定の教育が必要です。またベテランも、いつかは必ずリタイヤします。こういった人の弱点を補完するツールとしてAIが有効です」(井上氏)。
第4次産業革命を加速するエコシステム構築の鍵
~ 深層学習コンテナオーケストレーションに迫る ~
オプティム
プラットフォーム事業本部 執行役員
山本大祐 氏
オプティムは、「世界一AIを実用化させる企業になる」ことを目指し、多彩なプロジェクトに取り組んでいます。たとえば、佐賀県白石市では、ドローンが撮影した画像データに基づきAIによる農地の作付検知を行っています。農作物は品種ごとに助成金が異なっており、従来は役場の担当者が現地まで出向いて目視で確認していましたが、これを自動化でき、大幅な効率化が実現しました。他に、佐賀大学内にある同社ヘッドクオーターに隣接する無人店舗「モノタロウ AIストア」や、テレビを活用した遠隔診療「スマートホームメディカルケア」なども紹介しました。
オプティムのAIとIoTを活用したソリューションは、他に水産、医療、介護、建設、鉄道、電力、小売など多岐にわたり、AIカメラを用いた製造、鉄道、小売業向けのパッケージなども用意しています。
アラヤ
代表取締役CEO
金井良太 氏
これまでクラウドに集中していたAIが、クラウドとエッジに分散する時代を迎えると金井氏は予測します。「5G時代のAIは、クラウドで分析し、結果だけをクラウドに返すようになります。そして人間や機器、空間に関するデータが集約され、地球全体で最適化されるようになるでしょう」(金井氏)。
その際の、エッジデバイスの技術的な課題として金井氏があげるのが、「ディープラーニングの計算が非常に重たい」ことと、「自立性(学習と制御)が必要」の2つです。アラヤでは、これらの課題を解決する革新的な技術を開発しています。これらの技術を活用した新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発プロジェクトとして、KDDIと取り組む「自律的学習機能搭載AIエッジ開発」も紹介しました。
■一部セッションの資料をダウンロードいただけます
汎用から専用へ。
IoTがシフトさせるAIの新潮流
筑波大学准教授 岡瑞起 氏
HP & NVIDIAの
最新AI READYソリューション
日本HP 大橋秀樹 氏
エヌビディア 田中秀明 氏
第4次産業革命を加速するエコシステム構築の鍵~ 深層学習コンテナオーケストレーションに迫る ~
オプティム
プラットフォーム事業本部 執行役員
山本大祐 氏
汎用から専用へ。
IoTがシフトさせるAIの新潮流
筑波大学准教授 岡瑞起 氏
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