2020年5月26日 配信終了

アナログtoデジタルの神髄に迫る!

HPインクジェット輪転機新製品徹底解剖&最新ビジネス事例公開

オンラインライブ配信レポート

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大きな可能性と価値をもたらすデジタル技術とデータを中心に据えた経営へと変革させるデジタルのトランスフォーメーション。HPは、印刷業界におけるデジタルシフトをリードするために、機械設備をはじめ、消耗品、加工機連携、ワークフローソリューションまでを手掛け、イノベーションを続けている。今回のオンラインライブでは、これまでのオフセット印刷からの置き換えや新たなビジネス展開を実現させるHPインクジェット輪転機(HP PageWide Web Press)のコンセプト、ポートフォリオ、技術特徴の解説に加え、市場の変化を捉え、個人に最適化した印刷物でどのような価値を創出できるのか、出版・ダイレクトメール分野における最新事例などが紹介され、議論が進んでいったが、この記事ではその中の一部を抜粋し、紹介していく。

HP PageWide Web Pressインクジェット輪転機徹底解剖

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産業用インクジェット輪転機であるHP PageWide Web Press(以後PWPと掲載)は、書籍、新聞、トランザクション、カタログ、DM、ポスター、販促、段ボールなど幅広い印刷に活用されている。デジタル印刷の中でもインクジェット市場の成長は著しく、2016年から2020年にかけて世界のインクジェットによる印刷ボリュームが58%の成長を遂げる中、HP PWPはそれを上回る80%成長を達成。書籍分野においては、世界中のインクジェットで製造された書籍のうち75%がHP PWPで印刷されており、日本でも同様に高いシェアを確保している。

HP PWPは、プレス本体からインクジェットのさまざまなキーコンポーネントまでを自社技術でまかなう「技術の垂直統合」を実現しているため、長期にわたりプレス機のアップグレードを保証できるのが大きな特長だ。実際に、2009年3月に設置されたHP PWPの第1号機は、何度かのアップグレードを経て、10年以上経過した現在もまだ最新モデルと同等の機能を備えて稼働し、結果としてTCOを低く抑えることに成功している。せっかく投資した設備が新製品の登場により、短期間で陳腐化してしまうと競争力にも大きく影響するため、技術進歩の速いデジタル印刷業界において、「ユーザーの投資保護」というHP PWPのコンセプトは経営視点から見ても合理的かつ魅力的だろう。

ポートフォリオは、用紙幅22インチのT200 HDシリーズから、30インチのT300 HDシリーズ、42インチのT400 HDシリーズ、そして最大110インチのT1100シリーズまで広く展開する。プラットフォームを通して多くの技術が共通化されているため、開発スピードやメンテナンス性の向上、消耗品コストの低減につながっている。HP PWPには、品質・生産性・多様性・経済性という4つの柱がある。品質面では、4月にリリースしたBrilliant Inkにより、色域の拡張やコート紙でのグロス感アップを実現した。また、Harris&Brunoのニスコーターをオプションとして提供することで、品質と耐摩耗性が向上し、カタログやダイレクトメールなどの商業印刷分野で大きな武器となるだろう。生産性では、手動での用紙交換の必要がない自動スプライサーをオプションとして提供。多様性では用紙対応の幅広さを追求するなど、コアとなる柱それぞれのバランスを取りながら開発を進めている。

モーメントを捉える

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HP PWPを活用した出版印刷の分野から、KADOKAWAの事例を紹介する。ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんが、小学校時代に担任の先生から「ロウソクの科学」という本を勧められたことがきっかけで理科が好きになったとコメントしたことから注文が殺到。翌朝KADOKAWAではSlackで緊急重版の打ち合わせを実施し、その日のうちに製造を開始した結果、わずか2営業日という驚くべきスピードで書店に本が並んだ。同様のケースでは、新元号「令和」の発表に伴い、出展元が万葉集であることから注文が殺到。こちらも重版即決と超短納期製造により販売部数を伸ばした。このように、現代人は興味を抱いた時に反射的に目の前にあるデバイスで検索し、物を買う。しかし、そのモーメントは長くは持続しない。モバイルデバイスの普及や新型コロナウイルスの影響で行動様式が変化している今、マイクロモーメントを捉えることは極めて重要だ。世の中の需要をデジタルで捉え、フィジカルと融合させるためには、この事例のように、組織の迅速なコミュニケーションと、製造・デリバリーの力が揃わなければ叶わない。

海外事例では、イギリスの出版社であるPearson社を紹介。新型コロナウイルスの蔓延で外出禁止となったイギリスで、「Power Maths Project」の自宅学習バージョンをリリースした。同社は、オーダーが入ってから、印刷会社であるAshford Colour Press社で製造し、直接消費者に配送するという在庫を持たないビジネスモデルを実践している。ワークフローは、HP PrintOSのSiteFlowとHP Piazzaを活用。HP PrintOSは、HPがクラウドで提供する印刷会社向けのアプリケーション群の総称である。HP SiteFlowは、受注から発送までの印刷工程を管理するアプリケーションで、HP Piazzaは、出版社向けのソリューションだ。出版社は物理的な在庫を持たず、仮想在庫としてデータを登録し、書店サイト等からオーダーを受けると、HP Piazza経由で印刷会社のHP SiteFlowにデータが自動転送され、製造が行われる仕組みだ。このように、瞬間で発生する需要を捉え、スピーディに対応するためには、ハードだけではなくソフト面も重要だ。清々とワークフローを流すためには、予め仕様を固めるといった準備もポイントとなる。在庫量を最適化し、製造の生産性を向上させることは経営効率の改善にもつながる。それを実現するために自動化は不可欠であり、デジタルトランスフォーメーション(DX)が大きな役割を果たす分野である。

パーソナライズという名のギフト

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次に、ダイクレクトメールの事例を紹介する。ベルギーの印刷会社であるSymeta社は、「オフラインコミュニケーションをパーソナルなものに」を基本理念として、スーパーマーケット、アパレル、保険、旅行など、さまざまな業種にパーソナライズDMを展開している。同社は、2014年に内製を100%デジタル印刷にシフトした。もともと、32ページに及ぶスーパーマーケットのクーポンブックをオフセットで作っていたが、受け取る人には興味のない情報も多く、情報過多になっていた。そこで、購買履歴を活用し、4ページに絞ったパーソナライズクーポンブックを発行。一人ひとりに異なる内容のクーポンを1日約200万部製造した。無駄のないクーポンで紙の量は1/8に削減され、会員・売上の大幅アップにつながった。日本の高齢者層は、コロナを経てデジタルを強制的に経験したことでその利便性を知った。これまでデジタルが遠かった層に対しても、フィジカルと組み合わせてこうした施策を届けられれば、大きな転機となるのではないか。

同じくベルギーの旅行企画KAZOU社は、7〜18歳の子どもを対象にしたホリデーのアクティビティを企画・提供する。冊子の表紙には、届ける子ども一人ひとりの名前を印刷し、コンテンツもその子の年齢、性別、興味・関心に応じたアクティビティを厳選して盛り込んだ。自分だけの「特別感」を味わえる冊子は好評を博し、予約初日の1時間後には75%予約済となる大成功を収めた。

DMの国内最先端事例としては、グーフ社が展開するPoT(Print of Things)サービスを紹介。『どんなITにでも繋がる「紙」でコミュニケーションに革命を』を指針として、届けたい人に、届けたい個別のメッセージを、最短24時間で印刷・発送する。通販会社のディノスは、このサービスを使い、一旦カゴに入れたものの購入に至らなかった人を対象としてタイムリーにDMを配送したところ、カゴ落ち顧客の購入率が20%アップする結果となった。

技術の発展やサービスの内容を広く紹介し、どういうことができるのかをブランドオーナーに知ってもらう啓蒙活動は非常に重要だと考える。何ができるのかを知ることで、初めて次のステージに進めるからだ。要求される仕組みが複雑になりつつある現代において、印刷会社は、データ収集から分析、印刷、出荷までを1社で担い完結させることは難しいかもしれない。しかし、自社の得意分野に特化して強化し、適切なパートナーを見つけて連携すれば、ひとつのプロジェクトとして取り組める。そうすれば、新しい道が拓けるのではないだろうか。

SPEAKERS

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株式会社 日本HP
デジタルプレス事業本部
HP PageWide Web Press カテゴリーマネージャー
田口 兼多

日本ヒューレット・パッカード(株)へ入社後、製造・流通業向けの業務コンサルティング、システム開発に従事後、2006年に同社プリンティング事業へ異動。Managed Printサービス事業部を経て、現在デジタルプリンティング事業部に在籍。
製品切り口ではHP PageWide Web Pressカテゴリーを、アプリケーション切り口では出版分野を主に担当し、国内での本格的な「アナログからデジタルへのトランスフォーメーション」を推進している。

MODERATOR

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株式会社 日本HP
デジタルプレス事業本部
西分 美喜

日本ヒューレット・パッカード(株)へ入社後、パートナー営業部門にて営業とチャネルマーケティングを担当し、販売パートナー向けのプログラム設計を手掛ける。2014年より産業用印刷機のマーケティングを担当し、大判プリンターとデジタル印刷機両方の事業に携わる。現在は印刷業界のDX啓もうとともに自社のマーケティングDXも推進し、マーケティングオートメーションの活用と効果的なファネル設計、顧客とのデジタル接点の強化に取り組んでいる。

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