2019.04.05

バックアップ管理はなぜ大切?企業が行うべき理由と3つのバックアップ方法

企業が取り扱っているさまざまな情報は、しっかりと守っていく必要があります。情報を守る手段のひとつは、データのバックアップです。データが失われると企業活動に支障をきたします。企業の情報を守る立場の人は、バックアップに関するポイントを理解しておくことが欠かせません。そこで、データバックアップ管理の重要性や、バックアップ方法などについて解説します。

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1.なぜ企業でデータのバックアップ管理が重要なのか?

まず、企業にとってデータのバックアップはなぜ重要なのかを把握しておくことが大切です。企業が扱うデータとしては、顧客情報や経理関係の情報、取引先情報などのデータが挙げられます。万が一、これらのデータが破損したり紛失したりすると企業は社会的な信用を失うことになるでしょう。流出事故がニュースになることもしばしばみかけます。失った信用を取り戻すことは大変です。一度信用を失ってしまうと、資金調達を断られたり高い金利を提示されたりして資金を集めることが難しくなることも珍しくありません。

また、顧客離れが生じて業績が悪化するなどにつながる可能性があります。損賠賠償請求を受けることによる経済的な損失の発生も、無視できないリスクです。データを失わないようにするためには、バックアップにより保護しておくことが有効になります。

2.データ障害が起こる主な原因とは?

データ障害が発生して企業が保有している情報が読み取れなくなってしまうと、企業活動を続けることは難しいでしょう。適切なバックアップを行うためにも、データ障害の原因を知っておくことが必要です。このデータ障害が起こる主な原因について紹介します。

2-1.社員による操作ミス

データ障害が発生する主な原因は、3つあります。1つ目は、社員による操作ミスです。データを実際に取り扱うのは社員などの人であるため、一定のヒューマンエラーは避けられません。たとえば、社員のパソコン操作ミスによって、重要なデータの上に別のデータを上書きしてしまう、もしくは消してしまうといったことが起こりえます。社員に対しては、操作ミスが起きないように十分教育することも重要です。しかし、最悪の場合が生じても、バックアップがあれば復元が可能です。

2-2.ウィルス感染

データ障害の2つ目の原因は、ウィルスに感染することです。企業は、さまざまな脅威に囲まれています。そのひとつが、企業データを狙って会社内のネットワークや一つひとつの端末をウィルス感染させるハッカーの存在です。企業のデータを狙うハッキングのリスクは、日を追うごとに高まっているといっても過言ではありません。企業としては、ハッキングリスクを十分意識して、防御体制を整えておく必要があります。悪意がある第三者のハッカーに狙われてウィルス感染すると、データが自動的に改ざんされてしまったり、データそのものが破壊されたりする事態になってしまいます。新型のウィルスが次々に登場するため、しっかり対策をしておかないとデータを守れなくなる状況です。そういった意味でも、適切なバックアップはハッカーに対する有効な防御策になると言えます。

2-3.物理的な障害

3つ目の原因は、物理的な障害です。物理的な障害とは、データを保存しているハードディスクなどが故障して動作しなくなったり、破損してデータを読み出せなくなったりすることです。故障や破損が生じても、データを復旧できる場合もあります。しかし、ハードディスクなど物理的な問題が解決せず、復旧できない事態になることも珍しくありません。大切なデータが取り出せないと業務に大きな支障が生じます。また、外出先に持ち出したパソコンについては、盗難被害のリスクもあります。ハードディスクを失うという意味で、これも物理的な障害のひとつだと言えるでしょう。こういった事態に備えるためにも、バックアップは欠かせません。

3.データ管理の参考に!バックアップの3つの方法

企業データに関するバックアップの必要性を理解するだけでなく、バックアップの方法についても知っておく必要があります。バックアップ方法は、外部記憶媒体への保存、オンラインストレージ、ネットワークストレージの3つです。そこで、各データバックアップの方法について説明します。

3-1.外部記憶媒体を利用する

1つ目のバックアップ方法である外部記憶媒体を利用する方法では、記憶媒体としてCDやDVDなどが使われます。バックアップ媒体の容量はそれなりに大きくなってきました。そのため、バックアップする記憶媒体として利用することも可能です。また、保存容量によってはフラッシュメモリなどを活用する場合も多いです。データの容量に応じて適切な記憶媒体を購入するなどして入手し、バックアップをとります。また、バックアップは一度とればよいものではなく、継続して定期的に行うことがポイントです。外部記憶媒体であれば、比較的気軽にバックアップできることもメリットだと言えます。

3-2.オンラインストレージを利用する

2つ目の方法は、オンラインストレージです。オンラインストレージとは、インターネット上にデータを保管することをいいます。クラウドサービスを利用してデータのバックアップを行うのが一般的です。オンラインストレージのメリットは、大容量のデータを保存できることでしょう。外部記憶媒体は、大容量データの保存には限界があります。また、地震や火災で自社に損害が生じることもあります。この場合でも、ネット上のデータは無傷で守れられることもオンラインストレージの特徴です。重要なデータは、クラウドサービスを利用して、社外の信頼できるネットワーク上で保存する方法も有効だと言えます。

3-3.ネットワークストレージを利用する

3つ目は、ネットワークストレージを利用する方法です。データは、ネットワークを介して保存されることになります。ネットワークストレージには、NAS( Network Attached Storage )と呼ばれる形態があり、ファイルサーバー専用機だと理解すればよいでしょう。大容量ディスクも多く、保存容量の制限をほとんど気にすることなく利用できます。また、あらかじめ設定しておくことで、深夜や休日などに自動バックアップできることも、ネットワークストレージを利用するメリットです。

4.データ管理においてバックアップの方法を決める2つのポイント

複数のデータのバックアップ方法のなかから、自社に適した方法を決めるうえでは、考慮すべきポイントが2つあります。1つはバックアップしたいデータの容量、もう1つはコストです。そこで、これら2つのポイントについて解説します。

4-1.バックアップしたいデータの容量を確認する

バックアップの方法を決めるにあたっては、まずバックアップの対象となるデータ容量を確認することが大切です。すべてのデータを対象にすれば、どんな事態になっても復元することで対応ができます。しかし、容量を増やせばバックアップの時間が長くなり、業務に支障が出るなどの問題が生じる可能性があります。適切な容量を決めるためにも、データ容量を確認しておくことは欠かせません。また、データの性質も重要なポイントです。データが定期的に更新される性質のものであれば、バックアップの頻度を上げる必要があります。データの容量が多い場合は、外部記憶媒体への保存は難しいため、オンラインストレージやネットワークストレージを選ぶとよいでしょう。

4-2.予算を考慮する

バックアップ方法を決めるにあたっては、予算の考慮も欠かせません。バックアップの方法によってはコストがかかります。そのため、バックアップ方法の検討にあたっては、バックアップのためにどの程度の予算を確保できるのかを把握しておくことが重要です。コストばかりがかかってしまい、経営に悪影響が出ることは望ましくないでしょう。また、コスト増をおそれて十分な資金を投入しなければ、バックアップが中途半端になり、有効なバックアップデータを作れなくなる可能性があることにも注意が必要です。一方で、クラウドサービスなどを利用すると、月額料金が継続的に発生します。初期費用だけでなく、ランニングコストも踏まえた長期的な視点で資金負担を検討することがポイントです。

5.意識しておこう!データのバックアップ管理においての注意点

データのバックアップ管理を行うにあたっては、注意すべきこともあります。担当者はもちろん、経営者や管理者としても、注意点を理解しておくことが重要です。そこで、バックアップ管理に関する注意点について解説します。

5-1.バックアップを行う目的を明確にする

意識しておくべき点は、5つあります。1つ目は、バックアップを行う目的をはっきりさせておくことです。目的もなくバックアップを始めると、どのデータをどの程度の頻度でバックアップするかが不明確になってしまいます。結果的に、効率よくバックアップを行うことができません。そのため、事前に目的を明確にすることが重要です。たとえば「取引先・顧客情報の紛失は、会社の信用問題につながるため、定期的に確実にバックアップを行う」などのように決めておくことが大切になります。目的が決まれば、おのずと適切なデータの範囲や頻度が決まってくるでしょう。目的を考慮した場合に、バックアップ不要と判断できるデータがあれば、バックアップにかかる時間を短くすることも可能です。

5-2.外部記憶媒体の扱いには注意をする

2つ目の注意点は、外部記憶媒体を利用してバックアップを行う場合の注意点です。CDやフラッシュメモリにバックアップした場合は、その外部記憶媒体の管理に注意する必要があります。外部記憶媒体は、紛失するリスクがあるため、記憶媒体の保管場所が大切です。また、火災などによる焼失にも気をつける必要があります。さらには、盗難のリスクも考えることが必要です。バックアップしたあとは、パソコンなどから取り外して耐火金庫で保管するとよいでしょう。耐火金庫であれば、盗難・紛失のリスクを回避できるだけでなく、火災による焼失リスクも軽減できます。また、社員に対して外部記憶媒体の社外持ち出し禁止を徹底するなどの教育も必要です。

5-3.社員に対してもバックアップの指示を行う

3つ目の注意点は、各社員に対してもバックアップを徹底させることです。企業の共有データベースは、IT担当者などがまとめてバックアップの措置をとることができます。しかし、各社員がそれぞれパソコンで管理しているデータまでは、IT担当者としても手が回らないケースが多いです。そのため、各社員がそれぞれ管理しているデータについては、自らバックアップをするように指示しておく必要があるでしょう。バックアップを徹底する際には、バックアップ方法や保存先などを的確に指示しておくことが重要です。それぞれの社員が責任を持ってバックアップを行うことにより、社員全員のバックアップに対する意識の向上も期待できます。その結果、会社全体のセキュリティレベルの向上などにもつながるでしょう。

5-4.バックアップに時間がかかるケースがある

4つ目の注意点は、バックアップにかかる時間です。バックアップの対象データ量が多いと、バックアップが完了するまでに時間がかかってしまいます。バックアップ中は、そのデータへのアクセスなどを制限することが必要です。バックアップ時間が長くなってしまうと業務に悪影響が及ぶおそれがあります。大容量データのバックアップを行う際は、業務時間外の深夜や休日などに自動的にバックアップするように設定しておくと有効です。バックアップの頻度と所要時間、業務への影響のバランスをとってバックアップするようにしましょう。

5-5.バックアップデータの管理体制を整えておく

5つ目の注意点は、バックアップデータの管理体制です。適切なデータ対象を選び、定期的にバックアップを実行していたとしても、いざというときにそのバックアップデータを有効活用できなければ意味がありません。バックアップデータを使って復元を行う際は、復元を行う社員を特定しておくことや、責任者を明確にしておくことが重要です。管理体制を整えておくことが、バックアップデータの有効活用に役立ちます。ただし、管理者を増やしすぎることは問題です。多くの人が復元できる状態にしてしまうと、誰がいつ復元したのかがわかりにくくなってしまいます。人数を限って管理する体制を構築するように意識することがポイントです。

6.企業では定期的なデータのバックアップ管理を行おう!

企業が保有しているデータは、しっかり管理しておく必要があります。データを破損などによって失うことがないようにすることはもちろん、守秘義務の観点や企業財産を守るという観点でバックアップなどを行ってデータを守ることが大切です。さらに、企業の信用を守るという意識が必要になります。管理のなかでも特に重要なポイントは、どのようにバックアップするかでしょう。目的をはっきりさせて、対象データを明確にし、適切な頻度でバックアップできる体制を整えておくことが重要になります。紹介したバックアップ方法を参考にして、積極的にバックアップを行いましょう。