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2022.10.19

企業は「従業員の働き方」をいかにデザインすべきか

収入よりも環境が重視される今、「事業継続の変革」が鍵になる

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関西大学 社会学部 教授 松下慶太氏

テレワークやワーケーションなど、新たな働き方が急速に普及するなか、「働く環境」が企業価値を左右する時代に突入している。いまや事業の持続性を高めるためには、従業員の働きがいと向き合うことが欠かせないのだ。では、企業はどのように従業員の働き方をデザインすべきなのだろうか。関西大学 社会学部 教授で、書籍『ワークスタイル・アフターコロナ 「働きたいように働ける」社会へ』(イースト・プレス)の著者でもある、松下慶太氏に話を聞いた。

オフィスに求められる「機能性」以上の価値

―― コロナ禍で在宅でのテレワークが急速に普及したなかで、オフィスの役割が変化しているといわれています。この変化をどのように捉えていますか。

松下 慶太 氏(以下、松下氏) 今後、オフィスには「機能性以上の付加価値」が求められると考えています。これまで企業がテレワークを導入したとしても、「本来は自宅ではなく、オフィスで仕事すべき」という前提のもとで運用されてきました。

しかし、今後は「オンラインで行える仕事もある」ことを前提としたうえで、オフィスや自宅、コワーキングスペースなど、さまざまな働く場所を組み合わせて運用することが求められます。こうした取り組みの先に、よりよい働き方の実現が位置づけられているのです。

そう考えると、オフィスの役割は「お寺や神社」のようなものに変化すると考えられます。お寺や神社は、多くの人にとって毎日通う場所ではありません。ですが、お正月やお盆、お祭りといった時節に合わせて人々が集まり、そこで象徴的な意味や精神性を感じたり、コミュニティ活動の拠点になったりしています。

taka1022 /shutterstock

オンラインでの仕事が当たり前になると、従業員はオフィスへの出社に対して、「オンラインでのやりとり以上の付加価値」を求めるようになるのです。具体的には、社員同士のコミュニケーションや信頼関係の構築、チームワークの向上、組織への結束や愛着など、対面の価値をより活用した体験が挙げられます。逆に台風など自然災害のときに苦労して出社してオンラインでもできることをやっているとどうでしょう。オンラインでできることを対面でやっていると社員の士気低下や不満にもつながりかねません。

オフィスは、従来の機能である「作業ができる」ということよりも、そこでの交流や充足感が重視されるようになるのです。こうしたオフィスの付加価値をつくり、言語化することこそが企業に求められていることだと思います。

―― 松下先生は著書のなかで、オフィスの今後のあり方について『「焚き火」的オフィス』という表現を用いて説明されています。この点について、詳しく教えてください。

松下氏 従来のオフィスが「井戸的」であることに対して、これからのオフィスは「焚き火的」であると表現しています。井戸は水を汲むために行く場所で、その要件を満たすために出向きます。つまり「水を汲む」という機能性が求められているのです。従来のオフィスにも、こうした機能性が求められていました。

一方、「焚き火的」といえるのがこれからのオフィスです。焚き火は、何かを焼く、温めるといった機能よりも、それを囲んで話すといった行為自体が大きな目的となっています。これからのオフィスには、書類をつくったり、会議をしたりなど仕事をする機能性だけではなく、そこで社員同士が触れ合い、コミュニケーションを図り、関係性を深めるといった体験こそが重要になります。

例えば、携帯電話が登場する以前、「電話は、要件があって始めて使うもの」でした。しかし、携帯電話の普及に伴い、電話で他愛もないやりとりが生まれる機会も増えました。つまり、電話は「(要件を伝えるための)手段」であり「(電話すること自体が)目的」にもなっているのです。一見するとあまり意味のないメッセージを送り合っているだけのように思われますが、これはお互いの関係性を可視化する重要な営みといえます。昨今のオフィスでも、かつて電話で起きたことと同じような変化が起きているのではないでしょうか。

もちろんこれまでの井戸的オフィスにもタバコ室や給湯室での会話のような「焚き火的要素」はありましたし、焚き火的オフィスにもセキュリティや特殊機材が必要な作業をするための「井戸的要素」もあります。つまりゼロイチではなくどちらがメインなのか、オフラインで担うべき優先順位の問題なのです。



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