被災地に笑顔の花を咲かせたい
HP × SmilingBaby が創り出す
復興への道しるべ
- SmilingBaby
フォトグラファー 堀口マモル氏
SmilingBaby オフィシャルサイト:
http://www.smilingbaby.jp/
福島県相馬郡飯舘村。東日本大震災とそれに起因して発生した原発事故の影響により、住民らが避難せざるを得ない状況になってから約6 年余り。
2017 年3 月31 日にようやく避難指示解除となり、これからいよいよ本格的な復興が始まろうとしていた。
そのシンボルとなるべく作られたのが、交通の要衝としての道の駅「いいたて村の道の駅 までい館」だ。
までい館のオープニングイベントにはHP も参加。
世界的なフォトグラファーとして評価の高い堀口マモル氏の企画「SmilingBaby」におけるコラボレーションで何を実現したのか、話を伺った。
目的
- 大型施設イベントに合わせた大判用紙への印刷
- 野外設置を考慮した特殊素材への印刷対応
アプローチ
- プリンターの得意分野を活かした機種選定
- 特殊なメッシュ素材を一枚ものとして利用
導入効果
- 室内、野外、それぞれの条件に合わせた展示物の作成
- 特殊サイズを含めた大判作品を実現
- 自然環境の変化に対応する素材シートへの高品質印刷
世界を舞台に活躍を続ける写真家
ずらりとならんだ赤ちゃんの笑顔。見ている人々の表情まで明るくするこの作品は「SmilingBaby」という企画を通じて生まれたものだ。「赤ちゃんのスマイルにはぼくが手掛けてきた数々の被写体の中でも、特にパワーがあるんですよ」と、確信の表情で語るのは、この企画の立案者であり作品の生みの親でもあるフォトグラファーの堀口マモル氏(以降、堀口氏)だ。
堀口氏は大阪で生まれ育ち、21 歳のときに渡米、レス・ゴールドバーク他著名広告写真家のアシスタントなどを経験しながら、ニューヨーク・マンハッタンでファッションフォトグラファーとして独立。以降、世界的に有名だったイタリアのフォトグラフ誌「ZOOM」で堀口氏の特集が組まれるなど、各国から高い評価を得てきた世界的な写真家だ。
それまで、ダンサーをモデルにしたアート作品やファッション写真をメインに手掛けてきた彼だが、活動拠点を世界から日本へ移すタイミングで新しいアートのモチーフを探していたのだという。そしてその当時、たまたま撮影した赤ちゃんのピュアな笑顔に魅了され、冒頭の言葉となったというわけだ。
「赤ちゃんの笑顔はすれ違う人々をみな豊かな表情に変えます。赤ちゃんの笑顔で社会貢献ができるのではないか?そう考えて出来たのが『SmilingBaby』という企画です」と堀口氏は語る。
最初の年こそ年間30 名ほどの赤ちゃんの笑顔に留まったが、この活動が広く認知されると撮影してほしいと依頼されるケースが一気に拡大。もっとも精力的に活動した年には年間800人もの赤ちゃんの写真を撮影したこともあったという。
野外の展示作品はHP Latex シリーズを用いて特殊シートに印刷。
あらゆる自然環境の変化に強さを発揮でき、
長期間に渡り品質を保ち続けることができる
HP との出会いにより活動の幅が広がる
SmilingBaby が広がりを見せていた頃、各地で展開する展示会などの発表の場で問題が発生し始める。「大判プリントは印刷コストが高いんです。印刷屋さんに頼もうとしても値段が折り合わなかったのが悩みでした」と当時を振り返る堀口氏。そんなときに知り合いを通じてHPの大判プリンターを知り、印刷品質の高さとランニングコストの安さを実感。それ以降、信頼できるメーカーとして直接の付き合いも始まったのだという。
そんな中、堀口氏にある依頼が飛び込んでくる。「震災で大変な苦労をされた飯舘村の復興支援で『いいたて村の道の駅 までい館(以降、までい館)』のオープニングイベントをやるから、そこで、SmilingBaby の活動として、村民の笑顔を撮影しないかというお誘いでした。私自身も何かお手伝いがしたいと感じていましたので、すぐにOK のお返事をしました」と堀口氏は語る。同時にHPへも相談を持ち掛け、イベントを成功させるために一緒に手伝ってほしいという思いを伝えた。そしてHP もこの活動に賛同。堀口氏のSmilingBaby と共にまでい館のオープニングイベントに協賛することとなった。
オープン前に堀口氏は何度も飯舘村を訪れ、飯舘村出身の仮設住宅の住人、保育園の子供たち、企業で働く人々の「スマイル」を撮り続けた。そしてHP は村民たちの笑顔を最大2.2m × 2m の巨大なメッシュ素材のシートに印刷するなど、イベントを飾る作品を制作していった。「までい館の内部に設置する写真はHP DesignJet Z6800 を使いました。これは文字通り写真品質を意識したもので期待通りの作品が作れましたね。そして野外に設置する写真はHP Latex 1500 プリンターを使いました。こちらは印刷品質も期待していましたが、大きなメッシュ素材の一枚シートに写真を印刷できるのが魅力でしたね」と堀口氏。
野外に設置されるということで、風雨にさらされることを前提とすると一般的な素材では破損の恐れがある。そこで通風性が高く耐久性もある特殊なメッシュ素材に直接写真印刷を施すことで、自然環境の中でも長く発色が続くよう工夫したのだ。実際にイベントの日程では時折雨が強く降る天候だったが、準備期間を含めて数日間野外にあっても色落ちはもちろん色褪せといった影響は皆無。こうしたシチュエーションに対するインクや素材の耐久性が証明された形となった。
「狙い的にはこれがバッチリはまりましたね。遠目から見ると普通の作品に見えますが、近くにくるとものすごく大きい。この素材と品質で一枚のシートに印刷できるのはすごいと感じます」とイメージ通りの作品になったことを喜ぶ堀口氏。
また、施設内に設置された作品は、来場者が行き交う通路の両脇へ設置。人々を見守るように向けられた笑顔は堀口氏のイメージをそのまま表現する高い再現力でプリントされている。
堀口氏とHPが協力することで、までい館のオープン前日までに施設内部、外部合わせて約100名もの笑顔が設置された。飯舘村の村民はもちろん、県外から訪れる大勢の人々へこの村の復興を知らせるイベントはいよいよ開始されるのを待つばかりとなった。
室内の展示作品は写真品質の高いクオリティで再現。
HP DesignJet シリーズの得意分野だ
当日は堀口氏が来場者の笑顔を撮影、
HP が大判プリントで印刷して手渡すという催しも行われた
HP のデモカー。
その場でプリントするサービスにも対応
7500 人が来場大盛況のオープニングイベント
2017 年8 月12 日、までい館のオープンとなるこの日、関係者の心配をよそに朝9 時に予定されているテープカットの催し物の際にはすでに大勢のマスコミや一般の人々で会場は満員状態となった。テープカットがされると、人々は施設の中でくつろいだり、買い物をしたりとそれぞれの目的のために動きはじめた。もちろん、そこにはHP × SmilingBaby の作品が展示されており、来場者に笑顔を届けている。
「一番大きな作品のモデルになっていただいた方に久しぶりにお会いしました。恥ずかしがっておられたようですが、喜んでもらえていたようで何よりです」と会場に駆け付けた堀口氏はうれしそうに話す。実は堀口氏、このイベントの日にはカメラを手にして来場者のスマイルを撮影、HP もHP DesignJet シリーズを設置したデモカーを会場へ派遣し、その場で大判用紙に印刷して配布するというサービスを行った。
「みなさんの自然な笑顔を撮影し、それを大きな用紙に印刷してプレゼントする。受け取った方は大判なのにスピーディーに印刷され、さらに画質も美しいと驚いてましたね。あるカップルなどは感動で震えていたぐらいです」と明るい表情で語る堀口氏。このサービスは当日話題となり、撮影希望者が後を絶たなかった。堀口氏とHP のコラボレーションは、来場者にとってもうれしい演出となったようだ。
「SmilingBaby も企画としては成長し、私も世界中で赤ちゃんの写真を撮り続けてきました。今後はSNS などを通じてこの笑顔の輪を大きくしていければよいなと思っています。コンセプトさえ理解していただければ、誰でも参加可能ですから、ワールドワイドにハッピーを広げていきたいですね」と堀口氏は最後に語ってくれた。
イベントを通じ、多くの笑顔で被災地に復興の光を灯したHP × SmilingBaby。これからもSmilingBaby が作り出す喜びの連鎖を支えるべくHP もサポートを続けていく。
オープン初日、待ち望んでいた人で賑わうまでい館
対象プリンター
HP Latex 1500プリンター
高速、広い汎用性、コンパクト、低価格の新設計3.2メートル機
- ・屋外品質74m2/時、屋内品質45m2/時(いずれも塩ビ粘着フィルム)
- ・3.2メートル機としては脅威の省スペース・低価格を実現。
- ・全く新しい設計コンセプトでつくられた3.2メートルモデル。
HP DesignJet Z6800もご利用いただいています。
写真品質を世界最速※1で
新インクと先進テクノロジーで最上級の品質を再現
60インチ対応
印刷速度 約1.1分(高速)※2
分光測光器「i1®」内蔵で色を正確に再現
- ※1 HP調べ
- ※2 印刷速度は、カラー写真(SCID-N5)を光沢紙(A1サイズ)で出力した場合。