株式会社ニューヨーカー
ニューヨーカーの創業は1964(昭和39)年。紳士服に始まり、その4年後に婦人服の販売を開始している。高品位の生地とナチュラルショルダーメイクによる確かな縫製を基本とした紳士服。そして、時代の流行感を加味した通勤着を得意とする婦人服。ともすれば、海外ブランドが脚光を集めるアパレル業界において、国産ブランドとして確固たる地位を築いてきた。開発、生産、販売のワールドワイドな分業化も、同社の特長となるだろう。原料となる羊毛の一部はオーストラリアの自社牧場で調達。上海に工場を建設し、紡績から縫製までの一貫生産体制を確立している。この工場へ日本からのオーダーが入る仕組みだ。
このオーダーの仕組みに一役買っているのが、国内全店舗に配置されているパソコンである。各店舗のパソコンは、POSシステムのほか、勤怠管理システムや経費精算システムとも連動している。さらにメールのやり取りにも活用されており、店舗の事務処理には欠かせないツールとなっている。同社ではこれらパソコンをHPのクライアント統合ソリューションCCIを導入し攻めのインフラとして活用している。
目的
- 保守コストを抑えたい
- 使い勝手を向上したい
- 情報漏えいを防止したい
アプローチ
- HPのクライアント統合ソリューションCCIを導入
- パイロット店舗4拠点から始め、店舗の都合に合わせ五月雨式に導入
- 最終的には全250店舗に導入予定
システムの効果
- 故障率の大幅な低下と運用性向上による保守コストの削減
- 素早い起動やレスポンスにより、操作上のストレスを解放
- 従来とまったく変わらない操作性で現場の負荷を軽減
ビジネスへの効果
- 店頭に情報を置くことなく、漏えいの危険性を排除
- 安定した運用と快適な操作性で、接客業務の品質向上
- HP CCIをインフラに競争力強化のための新システム導入が可能
老朽化とともに見えてきた課題
株式会社ニューヨーカー
管理本部長
本間 雅弘 氏
システム刷新の背景には、既存のパソコンの老朽化があった。パソコンが古くなるにしたがって、故障が目立つようになり、保守コストが際立って増加したのである。故障の度に保守要員が全国を飛び回り、この派遣コストが大きな負担となった。また、情報をすべて本体内のディスクに保存するため、起動も著しく遅くなった。店舗によってはかなり時間がかかることもあり、朝に電源を入れてもしばらくは事務処理ができない状態であった。
「そして最も重要視したのが情報セキュリティです」と管理本部長 本間 雅弘 氏は指摘する。「2004年に個人情報保護法が施行されましたが、この前後から一般的にもパソコンからの情報漏えいが問題視されるようになりました。特に弊社は百貨店内の店舗が多いため、情報セキュリティ対策については百貨店からも厳しく要請されています。そのため、重要な経営課題として万全な対策を模索していました」。さらに、同社では基幹システムや関連するアプリケーションソフトの刷新を検討していたが、現状の店頭端末のままでは、アプリケーションソフトの刷新1つをとっても、多大な労力がかかることがわかった。
こんな時、HPの認定CCI SIパートナーCTCから提案されたのが店頭端末のシンクライアント化であった。
HP CCIにより店頭端末をシンクライアント化
現在、シンクライアントシステムとしてはいくつかの種類が製品化されているが、HPのCCIソリューションを導入した。HP CCI を導入した理由には、第一に容易な保守性があげられる。パソコンの不具合が最も起こりやすいのは、ディスクなどの駆動部である。この駆動部がシンクライアント端末には入っていないため、故障の発生率が極めて低い。新しいアプリケーションソフトのインストールやパッチの更新も、データセンター側で一括管理でき、販売員への負荷は一切かからない。
次に、ほぼ従来どおりの環境のままで使えること。パソコン本体がデータセンターに集約されただけであり、OSは変わらないし、使用していたアプリケーションソフトも同じ。そのアプリケーションソフトの動作検証も簡単であった。販売員はシンクライアント化を気にすることなく、従来と同じ感覚で操作できる。レジやバーコード、プリンタなどの各種店舗システムも従来のまま使うことが可能だ。そして3つ目が、全国の端末を五月雨式に順次、シンクライアント化できること。ブレードPC方式であるため、拡張計画に合わせて1台ずつブレードの数を追加していくだけでいい。
「この五月雨式に拡大できるところが、我々には最も適していました。店は扱っている商品や地域によって、繁忙期が大きく異なります。クリアランスセールの時期は導入できないなど、お店の都合によって調整できて助かっています」と、本間氏は強調する。
IT課題と経営課題の両方をクリア
導入した店舗からは「今まで時間がかかっていた起動がわずか10 秒ほどでできるようになった」と、驚きの声があがっている。「全店舗への展開を、私も大変楽しみにしています。IT課題としてTCO削減と作業負荷軽減がありました。故障率の大幅な低下と運用性向上により保守経費を抑えることができます。また、素早い起動やレスポンスにより現場の操作性の負荷を軽減できました。さらに、経営課題であったセキュリティ対策については、店頭に情報を置くことなく、漏えいの危険性をなくすことができました。私たちのような全国展開をしている店舗にとって最適なシンクライアントシステムの提案でした」と、本間氏はHP CCIソリューションを高く評価している。
IT 課題である保守コスト削減と操作性向上、そして経営課題である情報漏えい対策を実現できたばかりではない。シンクライアント化は同社の新しいインフラとしても大きな価値を持つ。「これで簡単にアプリケーションソフトの刷新ができるようになりました。今までは販売員の負荷にならないようにするのが大変でした。店舗システムや分析システムなどの更新もすでに計画中です。これも大変楽しみです」と、本間氏は今後の構想を語る。店頭端末のシンクライアント化は、同社の攻めのインフラとして、大きな期待が寄せられている。