カスタマイズされたレッスンを提供するマンツーマン専門の英会話スクール
株式会社GABA IT 部門
シニアマネージャー
ベンジャミン・ヤマダ氏
Gabaマンツーマン英会話(http://www.gaba.co.jp/)は、受講する一人ひとりの目的や希望に応じて、レッスンを最適にカスタマイズして提供しているマンツーマン専門の英会話スクールだ。首都圏を中心に神奈川、関西・中部地区に全36校を展開している(2009年9月1日現在)。
GABAの社名は「Girls, be ambitious; boys, be audacious!(女性は大志を抱け、そして男性は大胆になれ)」というフレーズに由来しており、『大胆不敵な人生目標に挑む人を応援する』ことをミッションとしている。その目標に挑む武器として、コミュニケーション・ツールとしての英会話の実力を養成しようというのがGabaの目指すところなのだ。
そのためにもっとも効果的な学習方法として、マンツーマンによる丁寧できめの細かなレッスンを提供している。マンツーマンレッスンはグループでのレッスンとは異なり、たくさん話せる、レベルや目的に合わせてレッスンがカスタマイズできる、他の人のレベルに影響されないなどのメリットがあり、効率よく実力をつけることができるのだ。
Gabaでは各スクールをラーニングスタジオと呼んでおり、所在する周辺エリアの特性に合わせたインテリアやデザインで演出している。ビジネス街にはビジネスライクでクールな印象のラーニングスタジオを用意し、郊外の高級住宅地には相応の落ち着いた雰囲気のラーニングスタジオを設置するなど、受講する人がリラックスして話せるムード作りにも留意している。
マンツーマンレッスンを支える独自開発のITシステム
二子玉川ラーニングスタジオ
GABAではオンラインシステム「myGaba」によって、PCや携帯電話から自分専用のWebページにアクセスし、レッスン予約やインストラクターの選択、学習内容の予習・復習すらも可能となっている。さらにレッスン内容はオンラインカルテとしてインストラクターが共有することができ、ラーニングスタジオやインストラクターを途中で変更しても変わらないクオリティのレッスン提供を実現している。これらの体制をバックグラウンドで支えているのが独自のITシステムである。
「GABAのITシステムは、我々くらいの規模の企業としてはきわめてユニークなものだと思います。我々はITを活用してマンツーマンレッスンの環境作りや顧客管理を実施していますが、そのためのアプリケーションを自社で開発しているのです」と語るのはITシステムを担当するシニアマネージャーのベンジャミン・ヤマダ氏だ。
「我々はLinuxベースのOSをはじめ、さまざまなアプリケーションをオリジナルで開発しています。スタッフ約450名に対してIT部門のエンジニアは20名。そのうちの半数は開発業務に、残る半数はクライアントPCの運用管理などに携わっています」
GABAのITシステムはデータセンターに設置した約50台のサーバーを中心に、スタッフ用の約400台のデスクトップPC、インストラクター用の約750台のノートPCなどで構成され、レッスンをはじめとするサービス提供のために自社開発のアプリケーションなどが走っている。
そして、それらのアプリケーションのほとんどがWebアプリケーションであり、基本的にはWebブラウザが使えさえすれば、いつでもどこでも仕事ができる環境を整備している。プライベートクラウドなシステムを構築しているわけだ。
インストラクター用ノートPCをシンクライアントへ移行
今回、シンクライアントへのスイッチを進めているのは、インストラクター用のノートPCということだが、その理由を聞いてみた。
「GABAでは受講生のレッスンプランやオンラインカルテの作成など、マンツーマンレッスンに必要な情報の管理を各レッスンブースに設置しているノートPCで行っています。実はそのノートPCの運用管理が大変でした。なんとか手間とコストを減らしたかったというのが根本的な動機です」
約750台のノートPCのうち、毎月ほぼ15台程度、キーボードの不具合やスクリーンの破損などの障害が発生していたという。その原因はインストラクターのITスキルやリテラシーにばらつきがあり、乱雑に扱われるケースもあったということだった。
またセキュリティ上の問題もあった。ノートPCは持ち運びが容易なだけに潜在的に盗難の可能性がある。さらにノートPCの場合は1カ所の不具合でも、本体丸ごとの交換となっており、そのコストも嵩んでいたという。
これらの問題を解決するために、ヤマダ氏らはシンクライアントの導入を検討することになった。シンクライアントを選択したポイントをヤマダ氏は次のように話す。
「まず、前提としてGABAのプライベートクラウドな環境ではWebブラウザが使えればOKということがあります。そのうえでシンクライアントならステートレスドライバー(フラッシュメモリ)やファンレスということで熱や騒音の発生が抑制できる、さらに省エネルギーということも意識しました」
“もう間に合わない?”から一転、スムーズそのものだった検証~導入
赤羽ラーニングスタジオ
そして、9月にオープンを予定していた赤羽ラーニングスタジオへの導入を目指して、検証がスタートした。
最初はLinux OS搭載の他社製シンクライアントを試していたが、自社開発アプリケーションとのマッチングに難があり、検証と調整に2ヶ月を費やした後に、その端末は断念することになった。その時点で7月末。IT部門エンジニアの誰しもが、9月のオープンには間に合わないとあきらめかけていた時に、HPのシンクライアントが候補に上ることになった。
HP Compaq t5730w Thin Client
「提案していただいたHP Compaq t5730w Thin Clientを試したところ、パフォーマンスは申し分なく、ハードウェアとしても信頼できると考えました。我々がシンクライアントに求めていたものをすべてフォローできているということで、このマシンに決めました」
HP Compaq t5730w Thin Client(以下、t5730w)は内蔵の2GBフラッシュメモリに、OS、Webブラウザ、メディアプレイヤーを格納し、従来のサーバーベースドコンピューティングや仮想デスクトップ(VDI)、ブレードPCの端末としてだけでなく、スタンドアローン環境でのインターネット端末としても活用可能なシンクライアント。わずか9Wの消費電力で動作するAMD Sempron™ 2100+ プロセッサを採用し、ファンレス環境のシンクライアントとして新次元の性能を発揮するマシンだ。
そこから先はスムーズだったという。納品からハードウェアのセットアップも問題なく進行し、一時は遅れることも覚悟していた9月の赤羽ラーニングスタジオオープンに、t5730wは間に合ったのだった。あまりにスムーズだったので、検証から導入のプロセスに関しては「よくも悪くもまったく印象に残っていません」とヤマダ氏は苦笑する。
デザインもサイズもいうことなし、コストも30%削減を実現
シンクライアントを使用した授業風景
ヤマダ氏らはシンクライアントに対し、機能面とは別に2つの条件を求めたという。ひとつはハードウェアとしての美しさ、もうひとつはサイズだった。
「Gabaのマンツーマンレッスンはラーニングスタジオ内のブースで、インストラクターと受講生の2人で進められ、マシンはそのブース内に置かれます。つまり我々にとってはお客様の目の前にマシンが置かれるわけです。その時にアグリーな(醜い)ものでは困るのです。次にサイズの問題。ブースのスペースはラーニングスタジオによってまちまちです。現在のところ、各ラーニングスタジオとも十分なスペースが確保できているので大きな問題はありませんが、将来 の新規出店を考えた時にはできるだけ小さいほうがいい。t5730wはデザインはシンプルでナイス。サイズも十分コンパクトです。それからファンレスでとても静か。これはレッスンで使うにはとても大事な要素です」とヤマダ氏。
実際にレッスンに使っているインストラクターたちからも、ノートPCに比べて大きなディスプレイとフルサイズキーボードが使えるのでレッスン効率が上がっている、と好評を得ているそうだ。
9月にオープンした赤羽に続き、10月半ばには恵比寿ラーニングスタジオでも20台程度のリプレイスを完了したという。このように今後は既存のラーニングスタジオのノートPC約900台を、リースアップのタイミングに準じてt5730wにスイッチしていくことを当面の予定としているという。
GABAではサーバーやスタッフ用デスクトップPCにHPのプロダクトを使用してきており、HPブランドに対する信頼感や安心感は大きいとしながら、ヤマダ氏は「新しいラーニングスタジオをオープンする際に、もっとも重要で、かつコストがかかっていたのはインストラクター用クライアントとしてノートPCを用意することでした。t5730wはそこに対して約30%程度のコスト削減を実現しています。HPシンクライアントはコスト効果も十分ですね」と笑う。
プライベートクラウドに最適なHPシンクライアント
潮流としては企業のITシステムのプライベートクラウド化はまだはじまったばかりといえる。GABAはいち早くそこに乗り出しただけでなく、うまく使いこなしている希少なケースといえるかもしれない。そして、t5730wの導入により、GABAのシステムは新たなステージを迎えようとしている。
「我々は新しいアプリケーションの開発にどん欲でありたいと考えています。クライアント管理にかけていた手間とコストをそこに向けることができれば、よりよいサービス、よりよいレッスンの提供につながるアプリケーションが作れるはずです」とヤマダ氏は語り、最後にHPへの期待を次のように口にした。
「今後、システムはより複雑化、高度化していきます。新しいテクノロジーも続々と登場してくるでしょうし、それらはよりパワーのあるマシンを要求するでしょう。我々としても、t5730w以上にパワフルでパフォーマンスの高いシンクライアントの登場を期待しています。
そうなれば我々ももっとフレキシブルに、もっといろいろなアプリケーションが開発できるようになりますからね」