2019.02.19
Windows 10 は年に2回、大型アップデートが行われます。自動インストールが基本ですが、インストールに失敗してしまうケースもあります。失敗した状態のまま放置しておくと、使用中に何らかの不具合が起きかねません。パソコンを安全に使用するなら、OSは常に新しい状態にしておきたいところです。今回は、Windows 10 のアップデートに失敗したときの対処法や、パソコンが起動しなくなったときの対処法について解説しましょう。
2015年にリリースされたWindows 10 は、年に2回の大型アップデートが実施されています。2018年10月までに、合計6回アップデートされました。大型アップデートの主な目的は3つです。1つ目は、OSを最新の状態にすること。仕事や勉強、プライベートでは、ブラウザやオフィス系などさまざまなソフトを利用します。Windows OSはITの進歩と共に、XP、Vista、7、8、8.1と進化してきました。OSと同じように各ソフトも進化しています。Windows OSが古いままだと、ソフトとの互換性が取れずに不具合が起きてしまうでしょう。OSの大型アップデートは、パソコンの利便性を高めるために重要な機能といえます。
目的の2つ目は、OSに新機能を追加することです。より便利にパソコンを使用するために、常に新しい技術が生まれています。パソコンに新技術を組み込むなら、OSの大型アップデートが効果的です。3つ目は、セキュリティ面の脆弱性を改善するためです。ITとウイルスの進歩は、常にいたちごっこといわれています。ウイルスがOSを出し抜いて蔓延すれば、OSもウイルスを出し抜くために進化しなければなりません。残念ながら、クラッカーによる犯罪は後を立たず、大型アップデートによってセキュリティ面を強化しています。
大型アップデートは自動更新ですが、稀に失敗してアップデートできなかったり、アップデートしても不具合が起きてしまったりするケースがあります。放置しておくと普段の使用にも支障が出てきますので、対処法をしっかり覚えておきましょう。
Windows 10 の自動アップデートに失敗したらどうすればよいのでしょうか。その際の対処法を簡単な順から説明していきます。
まずは、Windows 10 の機能を使って対処していきましょう。スタートメニューの「歯車」アイコンをクリックしたら、「更新とセキュリティ」を選びます。画面向かって左側にある「トラブルシューティング」をクリックしてから、メイン画面の「Windows Update」「トラブルシューティングツールの実行」と進みましょう。修復するかどうかのメッセージが表示されたら、「この修正を適用します」をクリックします。トラブルシューティングが終了して、正常な状態でアップデートされれば完了です。この対処法で改善されなければ、別の方法を試します。
MicrosoftのWebサイトでは、トラブルシューティングツールを配布しています。トラブルシューティングツールとは、OSに生じたエラーを解決する修正用ツールのことです。修正用ツールをダウンロードしてファイルを実行させると、トラブルシューティングの開始メッセージが表示されます。修正する内容が2~3個出てきますので、「Windows Update」を選んで「次へ」をクリックしましょう。表示が変わったら「管理者としてトラブルシューティングを実行する」を選びます。「見つかった問題」の画面で「解決済み」のメッセージがあれば、「トラブルシューティングを終了する」をクリックしましょう。
再度Windows Updateを実行して、問題がなければ完了です。Windowsの機能を使う方法と、トラブルシューティングツールを実行する方法が、アップデートに失敗したときの一般的な対処法です。まずはこの2つで、アップデートできるかを試してみましょう。なお、トラブルシューティングツールは、インターネットにつながっている状態でないと実行できません。トラブルの内容によっては、トラブルシューティングが終わるまでに数十分かかるケースもあります。パソコンに不具合が生じると何かと慌てやすいので、落ち着いて対処するようにしましょう。
アップデートの自動更新に失敗したら、手動でアップデートする方法もあります。スタートメニューの「歯車」アイコンをクリックしたら、「更新とセキュリティ」を選びましょう。Windows Updateの画面にある「更新プログラムのチェック」をクリックして、更新プログラムを確認します。更新プログラムが存在する場合は、自動的にインストールされます。場合によっては、パソコンの再起動が必要です。
後で再起動する場合は「再起動のスケジュール」を、すぐに行うなら「今すぐ再起動する」を選びましょう。セキュリティや利便性の観点から、OSのアップデートは早めの実行がおすすめです。仕事が忙しくて時間がない、手間をかけていられない事情があるなど、特別な理由がなければ、すぐに再起動した方が良いでしょう。「今すぐ再起動する」を選ぶと、一度OSが落ちてからすぐに立ち上がります。手動アップデートが成功したかどうかは、「Windows Update」の画面で確認可能です。「最新の状態です」という表示が出ていれば、アップデートは成功です。
Windows 10 のアップデートでは、更新プログラムをすべてインストールするのが標準です。一度インストールした更新プログラムは、削除したとしても再インストールされます。一方、アップデートに失敗すると、「Windows Update」のインストールは途中で止まってしまいます。自動アップデートに失敗したら、再インストール機能の利用がおすすめです。失敗した更新プログラムを削除すれば、自動的にWindows Updateの再インストールが始まります。
まずは、スタートメニューの「歯車」アイコン、「更新とセキュリティ」の順にクリックします。「Windows Update」の状態が表示されたら、「更新の履歴を表示する」を選びましょう。更新プログラムの番号「KBxxxxxxx」と「インストール日」は、コピーしてメモ帳に貼り付けておくと、後の作業がスムーズです。「更新プログラムをアンインストール」をクリックし、検索欄に「KBxxxxxxx」をコピー。削除対象の更新プログラムを選んで「アンインストール」を選択しましょう。削除されたら「今すぐ再起動する」を選んでインストールされれば完了です。
アップデートに失敗すると、システムファイルが破損する場合があります。システムファイルとは、OSの動作に必要な機能のことです。システムファイルが壊れると、パソコンの動作が不安定になったり正常に機能しなかったりします。破損したシステムファイルは早急に修復を図りましょう。
「スタート」の中にある「Windowsシステムツール」をクリックしたら、「コマンドプロンプト」を右クリックします。選択表示が出てきますので、「その他」から「管理者として実行」を選びます。「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」のメッセージが出たら「はい」を選択。コマンドプロンプトが表示されますので、コマンドプロンプト内に「sfc /scannow」と入力して「Enter」キーを押しましょう。システムスキャンが開始されたら、「検証100%が完了しました」と表示が出るまで待ちます。メッセージが出たら完了です。
さまざまな方法を用いてもアップデートがうまくいかないときは、パソコンを完全放電させてからクリーンアップしてみましょう。パソコンの放電とは、機器内に溜まっている電気を失わせることです。パソコンに余分な電気が溜まっているとうまく動作しない場合があるため、完全放電によって解決を図ります。まずは、USBメモリやプリンタ、DVDなどの周辺機器を取り外します。セキュリティソフトは無効にして、シンプルな状態でインターネットに接続しましょう。パソコンの電源を切ってからコンセントを抜き、10分放置します。この後、Windowsに標準搭載されている「ディスククリーンアップ」機能で、不要なファイルやエラーログを削除しましょう。さらに、パソコンの再起動や「Windows Update」を実施する前の復元ポイントまで戻す方法などを試してみると効果的です。
アップデートに失敗、もしくは更新プログラムの再インストールなどを繰り返していると、パソコンがフリーズしたり、起動しなくなったりするなどのトラブルが起こります。パソコンが起動しないと、アップデートの作業もできません。次からは、パソコンの復旧方法を紹介していきます。
パソコンが動かなくなったら、自動修復を行います。まず、電源スイッチを押して起動画面を表示させてから、電源スイッチを押し続け「強制終了」でシャットダウンさせましょう。強制終了の過程を2回以上繰り返していると、「自動修復を準備しています」と表示されます。「PCを診断中」とメッセージが出たら、診断が終わって「自動修復」の画面が表示されます。
無事に「自動修復」画面が出たら、「詳細オプション」→「トラブルシューティング」→「詳細オプション」の順に選んでいきます。詳細オプションの画面で「以前のビルドに戻す」をクリックすると、以前のバージョンに戻す理由を聞かれます。いずれかの理由にチェックを入れて、「次へ」をクリックしましょう。「更新プログラムをチェックしますか?」から「チェックしない」と進み、「知っておくべきこと」「ロックアウトされないようにご注意ください」の画面で、それぞれ「次へ」を選びます。最後に「以前のビルドに戻す」をクリックすると、パソコンが再起動して復元が始まります。
画面が真っ暗で何も操作ができない場合は、自動修復を行ってからセーフモードで起動させます。前述した方法で強制終了を行い「自動修復」を表示させたら、「詳細オプション」を選択しましょう。「スタートアップ設定」を選んで「再起動」をクリックすると、再起動が始まります。この後、再び「スタートアップ設定」が表示されますので、キーボードの「5」を押して「セーフモードとネットワークを有効にする」を選びましょう。これで、セーフモードの起動が始まります。
この後、グラフィックドライバーの削除と更新を行えば、完了です。デバイスマネージャーからグラフィックドライバーを選び、アンインストールしましょう。終わってからパソコンを再起動させると、自動でグラフィックドライバーの再インストールが行われます。無事に再インストールが成功すれば、正常な画面が表示されるでしょう。
Windows 10 が起動しないのは、ブートセクターにも原因があります。ブートセクターとは、パソコンの起動に必要なプログラムのことです。コマンドプロンプトを利用して、ブートセクターの修復を行いましょう。前述した手順で「自動修復」の画面を出したら、「詳細オプション」をクリックして「オプション選択」の画面を表示させます。「コマンドプロンプト」を選択してツールを立ち上げ、「>bootrec /FixMbr」と入力して「Enter」を押します。「操作は正常に終了しました。」とメッセージが出たら、今度は「>bootrec /RebuildBcd」と入力して「Enter」を押しましょう。スキャンが成功して、再び「操作は正常に終了しました。」と出たら、ブートセクターの修復は完了です。
ここまで実践しても解決できない場合は、Windows 10 を初期化した方がよいでしょう。初期化には、パソコンを初期状態に戻す、Windowsに標準搭載されている「新たに開始」機能を使う、上書きでインストールする、クリーンインストールを行うなど4つの方法があります。ちなみに、クリーニンストールとは、パソコン内のファイルやアプリ、ユーザーアカウントなどをすべて削除することです。どの方法も、パソコンが出荷状態になるわけではありません。
Windows 10 をアップデートすると、システムやソフトに不具合が生じる場合があります。自宅用はもちろん、仕事で使用しているOSの動きが悪くなると、業務に支障が出てしまいます。更新プログラムによる不具合を防ぐには、自動アップデートの延期を実施しましょう。スタートメニューの「歯車」アイコンから「更新とセキュリティ」を選択して、「詳細オプション」の画面を出します。「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」の下にプルダウンがありますので、「半期チャネル」を選択して「0~365」の間で延期可能日数を指定しましょう。指定した日数だけ、アップデートが延期されます。新しいWindows 10 に対応できるよう、アップデートが始まるでの間にシステムやソフトの対策を実施しておきましょう。
Windows 10 のアップデートに失敗したら、今回紹介した方法を試していきましょう。トラブルが軽い順に解説していますので、順番に試していくと成功しやすいです。もし、今回の方法でも解決できない、自力で対処するのが難しい、という場合は「Microsoftコミュニティ」や「Microsoftサポート」の利用がおすすめです。Windows Updateに関する対処法を検索できますので、積極的に頼ってみましょう。
もう困らない!Windows 10 移行ガイド