2022.08.31

事業再構築補助金をわかりやすく解説!公募要項やスケジュール、採択結果例も

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事業再構築補助金とは、コロナ禍において経済環境の変化の影響を受けた中小企業の事業再構築を支援する補助金制度です。本稿では、申請スケジュールや公募要領、第5回の採択結果例や採択率、交付申請の流れを解説します。印刷業における採択例も掲載しているので、参考にしてください。

1. 事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスの感染拡大により変化した経済環境へ対応するために、新商品の製造や新サービスの提供、事業や業態の転換など、事業再構築をサポートする補助金です。

補助金の対象者は主に国内に本社のある中小企業です。補助金で事業編成に取り組み、日本経済に大きな構造変化をもたらすことが期待されています。同補助金の予算額は以下のとおりです。

・令和2年度第3次補正予算…1兆1,485億円
・令和3年度補正予算…6,123億円
・令和4年度予備費予算…1,000億円

出典・引用:事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)/中小企業庁
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf?0328

2. 事業再構築補助金のスケジュール

第5回から7回にかけて実施された事業再構築補助金の申請スケジュールをお伝えします。申請を検討している場合は、公募開始から申請受付、応募締切までどのくらい期間があるか把握しておきましょう。

① 第7回のスケジュール

第7回のスケジュールは、次のとおりです(2022年8月10日時点)。

公募開始 令和4年7月1日(金)
申請受付 調整中(8月下旬開始予定)
応募締切 令和4年9月30日(金)18時

出典・引用:令和二年度第三次補正・令和三年度補正・令和四年度予備費 事業再構築補助金 公募要項(第7回) / 事業再構築補助金事務局
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo007.pdf

② 第6回(終了分)のスケジュール

第6回のスケジュールは、次のとおりです。

公募開始 令和4年3月28日(月)
申請受付 令和4年6月8日(水)
応募締切 令和4年6月30日(金)18時

出典・引用:令和二年度第三次補正・令和三年度補正 事業再構築補助金 公募要項(第6回) / 事業再構築補助金事務局
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo006.pdf

③ 第5回(終了分)のスケジュール

第5回のスケジュールは、次のとおりです。

公募開始 令和4年1月20日(木)
申請受付 令和4年2月17日(木)
応募締切 令和4年3月24日(木)18時

出典・引用:令和二年度第三次補正 事業再構築補助金 公募要項(第5回) / 事業再構築補助金事務局
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo005.pdf

3. 事業再構築補助金の公募要領

事業再構築補助金には、売上減少といった必須要件だけでなく、グリーン成長枠や最低賃金枠など、企業の状況に応じてさまざまな申請枠が設定されています。ここでは公募要領について、以下の順に解説します。

・必須申請要件
・通常枠
・大規模賃金引上枠
・回復・再生応援枠
・最低賃金枠
・グリーン成長枠
・緊急対策枠

① 必須申請要件

事業再構築補助金への必須申請要件は3点あり、いずれも満たす必要があります。

1. 売上減少
2. 事業再構築に対応する
3. 認定経営革新等支援機関と事業計画を作成する

ひとつ目の売上減少は、コロナ以前の2019年または2020年1月~3月と比較して、2022年4月以降の連続する6ヶ月間の内の3ヶ月間における売上合計が、10%減少していることが条件です。なお、売上高の代わりに、営業利益や人件費、減価償却費を差し引きしたものも利用できます。

ふたつ目は、新分野への展開や、業態・事業・業種の転換など事業再構築に対応する、というものです。

最後に、金融機関や税理士、中小企業診断士といった経済産業大臣が認定した支援機関を利用し、事業計画を作成するというものです。事業計画書の書き方に決まりはありません。ただし、補助事業が終了した3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上の増加、または従業員ひとり当たり付加価値額の年率平均3.0%以上の増加が達成できる事業計画の立案が必須です。

事業再構築補助金を申請する上で忘れてはならないのが、補助金をもらうために事業計画を立てるのではなく、コロナ禍またはポストコロナ時代を生き抜く上で重要な事業計画を策定する、という点です。また、支援機関と一緒に策定するとしても、事業者自身が責任を持って取り組める事業を展開する必要があります。

出典・引用:中小企業庁担当者に聞く「事業再構築補助金のポイント」 / 経済産業省
https://mirasapo-plus.go.jp/hint/17049/

事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)/ 中小企業庁
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf?0328

② 通常枠

通常枠は従業員の数によって補助金の上限額が変わります。

従業員 補助額 補助率
20人以下 100万~2,000万円 中小企業:2/3(6,000万円超は1/2)
中堅企業:1/2(4,000万円超は1/3)
21~50人 100万~4,000万円
51~100人 100万~6,000万円
101人以上 100万円~8,000万円

出典・引用:事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)/ 中小企業庁
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf?0328

③ 大規模賃金引上枠

大規模賃金引上枠は、雇用する従業員数が多いながらも継続的に賃金を引き上げ、さらに従業員を増加させ生産性向上に取り組む中小企業が対象です。

通常枠の申請要件を満たし、補助期間の終了後3~5年の事業計画終了までに、最低賃金を年額45円以上引き上げ、従業員数を年率平均1.5%以上増員させる必要があります。

従業員数 補助額 補助率
101人以上 8,000万円超~1億円 中小企業:2/3(6,000万円超は1/2)
中堅企業:1/2(4,000万円超は1/3)

出典・引用:事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)/ 中小企業庁
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf?0328

④ 回復・再生応援枠

回復・再生応援枠は、新型コロナウイルスの影響で経営が厳しい状態にあり、事業再構築に取り組む中小企業が対象です。

通常枠の申請要件を満たし、2021年10月以降の月の売上高が2020年または2019年の同月と比較して、30%以上減少している必要があります。また、中小企業活性化協議会からのサポートで再生計画を立案している点も条件のひとつです。

従業員数 補助額 補助率
5人以下 100万円~500万円 中小企業:3/4
中堅企業:2/3
6~20人 100万円~1,000万円
21人以上 100万円~1,500万円

出典・引用:事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)/ 中小企業庁
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf?0328

⑤ 最低賃金枠

最低賃金枠は、最低賃金の引上でリソース確保が難しい中小企業が対象です。当該枠は第3回から追加されました。通常枠より補助金額の上限を引き上げ、補助率を引き上げた点が特徴です。

従業員数 補助額 補助率
5人以下 100万円~500万円 中小企業:3/4
中堅企業:2/3
6~20人 100万円~1,000万円
21人以上 100万円~1,500万円

出典・引用:事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)/ 中小企業庁
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf?0328

⑥ グリーン成長枠

グリーン成長枠は、経済産業省などが定めた「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」における14分野の実行計画に取り組む中小および中堅企業が対象です。

また、補助金の上限額が最大1.5億円で、必須申請要件にあった「売上高に対し10%減少」は問われないのが特徴です。

中小/中堅 補助額 補助率
中小企業 100万円~1億円 中小企業:1/2
中堅企業:1/3
中堅企業 100万円~1.5億円

出典・引用:
事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)/ 中小企業庁
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf?0328

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 / 経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/index.html

⑦ 緊急対策枠

緊急対策枠は、予期せぬ経済環境の変化により影響を受けた中小企業が対象です。第7回の緊急対策枠では、原油価格や物価価格の高騰による影響を受けた場合、申請対象となります。

従業員数 補助額 補助率
5人以下 100万円~1,000万円 中小企業:3/4
中堅企業:2/3
6~20人 100万円~2,000万円
21~50人 100万円~3,000万円
51人以上 100万円~4,000万円

出典・引用:
事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)/ 中小企業庁
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf?0328

4. 事業再構築補助金の採択結果や採択率

事業再構築補助金の採択率はどのくらいでしょうか? ここでは、第5回の採択結果をもとに採択率と採択結果例を解説します。

① 第5回の採択率

第5回の採択率は、以下のようになりました。

応募数 採択数 採択率
21,035件 9,707件 46.1%

例えば「新分野展開」で採択されるには、製品や市場の新規制、そして売上高が10%以上となる事業計画を策定する必要があります。この場合、過去に製造実績がなく、主要な設備を変え、定量的な効能が異なる新製品である点を示すことが重要です。

具体的にどのような事業が考えられるか、次の採択結果例をご覧ください。

出典・引用:
事業再構築指針の手引き / 経済産業省 中小企業庁
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/shishin_tebiki.pdf?0730

第5回公募 採択結果 / 中小企業庁
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/result.php

② 第5回の採択結果例

第5回の事業再構築補助金で採択された事例を産業の分類ごとに解説します。印刷業、製造業、建設業、運輸業の採択結果例をまとめたので、申請時の参考にしてください。

出典・引用:第5回公募採択結果 / 中小企業庁
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/result.php

(1)印刷業

K社 これまでの印刷物の製造経験を活かし、事業者がホームページの制作やWeb広告などを通じて営業活動ができるようなITスクール事業を新展開
I社 印刷事業にAIが搭載された検査装置や色調管理システムを導入し、高品質な印刷ニーズに応え新たな利益を確保する事業を展開
E社 需要低下を受けオフセット印刷工場を廃止し、印刷営業を縮小。オンライン受注に切り替え、デジタル印刷で作業を自動化。オフセット印刷は外注対応へと転換
M社 オンライン受注を開始し、BtoBからBtoC市場へ進出。商圏にとらわれず個人需要を巻き取り、作業の自動化で企画の質を高めるなど高付加価値サービスを展開

(2)製造業

N社 車体製造と修理の売上減少を受け、金属加工技術を活かしシャッター市場とデジタル技術を用いた保守管理サービス市場に新規参入
S社 市場拡大中の冷凍食品輸送に対応するため、マイナス20度でも耐性がある樹脂すのこを開発。既存の木製すのこより軽量化し輸送コストとCO2排出量の削減を目指す
O社 風力発電における風況観測データ取得のため燃料電池を開発。迅速に試作を行うために、一部の工程を自動化し新しい生産体制を整備
P社 防犯カメラやゴルフ機器の販売事業での強みを活かし、24時間無人インドアゴルフ練習場を開業。BtoBだけでなくBtoC事業に参入し地域活性化に貢献

(3)建設業

J社 コロナ禍で住宅販売数が減少したことを受け、新たにグランピングやサウナ付き宿泊施設を建設。サウナ文化の普及や健康促進事業を新展開
S社 戸建注文住宅施工の技術を活かし、ICT搭載の高精度の製造ライン設備を提供。現場施工の省力化やワンストップ化など工期短縮化に向けたサービスを展開
SI社 信号や通信設備の点検や新設を行う鉄道工事業が、ドローン技術を導入。電力や土木など他業種への点検や調査を実施し、新たな収益確保を目指す
M 宮大工の会社が、若手従業員へ高度な職人技術を継承するためにCADやCAMを導入。技術をデジタル化するだけでなく、建具や建材の加工販売を展開

(4)運輸業

O社 コロナ禍で運送事業の売上低下を受け、IT管理できる倉庫業に進出。さらに、ECや広告業にも進出し、倉庫業を含めたワンストップサービスを新展開
A社 タクシー事業において既存の顧客情報や運行管理スキルを活かしながら、高齢者や介護者に対し買い物サービスや夕食の宅配サービスを展開
K社 自社倉庫で、整形やカット、軽量、パッキングまで行う食肉加工業を新展開。川上物流と川下物流をワンストップで提供
T社 ドライバーが運送業務を効率的に実施するためのアプリや、経理自動化に向けたアプリを新たに開発

5. 事業再構築補助金の交付申請の流れ

事業再構築補助金の申請は、電子申請システムを利用する必要があります。

1. GビズIDを取得:https://gbiz-id.go.jp/top/
※ホームページで必要事項を記載した後、書類郵送が必要

2. 事業計画書を作成

3. 認定経営改革等支援機関と相談
※中小企業庁ホームページで支援機関を検索:https://ninteishien.force.com/NSK_CertificationArea

申請時の注意点として、書類の記入ミスがないよう確認する点と、補助金は原則後払いになる点が挙げられます。補助金対象の事業に取り組む期間中は、事業者が経費を立て替えることになります。

今後、補助金制度がいつまで継続されるか未定で、補助金採択率の低下も起こる可能性があるので、補助金を受ける意思があるなら早めに取りかかりましょう。

出典・引用:
事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)/ 中小企業庁
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf?0328

中小企業庁担当者に聞く「事業再構築補助金のポイント」/ 経済産業省
https://mirasapo-plus.go.jp/hint/17049/

6. まとめ

印刷業界は事業再構築が求められています。申請には手間がかかりますが、性質上真剣に事業再構築を考える企業を支えようとする意図は採択例からも感じられます。また、補助金を得ることをゴールにするのではなく、制度本来の趣旨を理解した上で申請することが重要です。申請する上で、事業を再構築する戦略を具体的に策定し、会社を変革することを見据えましょう。補助金について詳細は、下記の記事やホワイトペーパーで解説しています。ぜひ参考にしてください。

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