2022.08.31

同人誌業界家に求められる印刷会社とは?主流のデジタル印刷、市場規模や販売方法など

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同人誌とは同じ趣味や志を持つ者同士が集まり、自分たちで制作する雑誌や書籍です。従来は紙とペンを使ったアナログな手法で描かれていましたが、現在はデジタル機器で描く作家が多く、印刷もデジタルデータでの入稿が主流となりました。本稿では、前半に同人誌の市場規模や販売方法を解説し、後半では同人誌に適した印刷会社や事例をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

1. 同人誌とは?

同人誌とは、同じ趣味嗜好を持つ者同士で集まり、自費で制作する雑誌や書籍を指します。「パロディ」と呼ばれる既に出版されている漫画の二次創作物や、オリジナルの漫画、小説や評論が同人誌に掲載されます。

誰でも同人誌の制作に参画でき、アマチュアだけでなくプロの漫画家もペンネームを変えて、新ジャンルの作品を同人誌で発表することもあるのが特徴です。また、同人誌は大きく分けて3種類あり、単独で制作する「個人誌」、サークルに所属して発行する「合同誌」、そして「ファンジン」と呼ばれる評論や創作記事を掲載する雑誌があります。

最近では、パソコンやタブレットなどを使ってデジタルでイラストを描く人が増え、紙とペンで描くよりも制作費用が安価になったことから、個人誌の発行が主流になりました。

① そもそも同人とは?

同人とは、同じ趣味や志のある者同士を意味します。もともと同人誌は、明治時代に純文学の分野で始まりました。小説家である尾崎紅葉が同人とともに発足した硯友社が「我楽多文庫(がらくたぶんこ)」という同人誌を発刊。小説、落語、狂歌、短歌、詩などを掲載したのが、今ある同人誌の発端です。

② 漫画との違い

同人誌と漫画との違いは、出版社が介入しているかという点です。一般的に、同人誌は出版社を通して発刊するのではなく、個人が自費で出版します。書店ではなく同人誌即売会が主な販売場所となり販売活動も作家自身が取り組む必要があります。しかし、好きなストーリーを自由に描けるのがメリットです。

一方、漫画は出版社を通して発行され商業誌として扱われます。作家に出版費用はかかりませんが、ストーリーは出版社と相談する必要があり自由に描けない場合もあります。制作された漫画は出版社が図書登録し書店で販売するため、同人誌とは異なり作家は自ら販売する必要はありません。

2. 同人誌の市場規模

同人誌の市場規模をみてみましょう。矢野経済研究所が2021年に発表したオタク市場に関する調査によると、同人誌の2020年の市場規模は743億円、2021年は800億円と予測されました。

分野 2019年度 2020年度 2021年度予測
アニメ 300,000 275,000 280,000
アイドル 261,000 140,000 150,000
同人誌 85,500 74,300 80,000

単位:百万円

オタク市場の中で同人誌は、アニメとアイドルに続いて3番目の市場規模です。

また、出版科学研究所によると、「紙+電子コミック市場」の2021年における市場規模は6,759億円と報告されました。同人誌はコミック市場全体と比較するとニッチな市場ですが、流通ルートが限定的であることや、同じ趣味嗜好を持つコミュニティという市場特性から、購買意欲が強めのジャンルといえるでしょう。

出典・引用:
「オタク」市場に関する調査を実施(2021年) / 株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2836

コミック販売額 / 出版科学研究所
https://shuppankagaku.com/statistics/comic/

3. 同人誌の販売方法、流通経路

同人誌の販売方法として、同人誌即売会や委託販売、同人サークルなどがあります。ここでは、それぞれの流通経路について解説します。

① 同人誌即売会

同人誌は主に、同人誌即売会で売られます。同人誌即売会とは、1年中全国で開催される同人誌の展示販売会で、通称コミケと呼ばれるコミックマーケットが有名です。

コロナ前の2019年に東京国際展示場で4日間開催されたコミケの総参加者数は73万人で、個人サークルだけでなく、ゲームメーカーやアニメ制作会社といった企業も出展しました。当時は海外からの参加者も多く、開会前から数万人の参加者が会場前で待機していたほどです。

人気のあるサークルでは、1回の同人誌即売会で数千冊以上の同人誌を売ることもあります。

② 委託販売や同人サークル

同人誌は、委託販売や同人サークルでも販売できます。委託販売とは、ネットショップやお店で同人誌を販売してもらうサービスです。コミケなど同人誌即売会に参加できない場合や、個人営業が苦手な場合に利用されます。

委託販売会社には登録サークル10万件以上で国内最大規模の物流倉庫を抱える会社もあります。委託販売で同人誌が売れると手数料が差し引かれますが、うまく利用すれば手間をかけず販売できるでしょう。

作品作りを一緒に取り組む同人サークルでは、コミケ以外にも小さな会議室を借りて即売会を開いたり、SNSで宣伝して直接販売をしたりする場合もあります。また、マーケットプレイスに出品してネット販売するなど、販売手段はさまざまです。

4. 同人誌の作り方

次に、同人誌の作り方の概要を解説します。

① デジタル入稿とアナログ入稿

描いた作品の入稿方法として、デジタルとアナログの2種類があります。最近ではタブレットやパソコンを使ってイラストを描く作家が増えたことから、デジタル入稿が主流です。

デジタル入稿では、印刷会社のホームページからデータを入稿したり、メールに添付して送信したりします。デジタル入稿の際は、印刷会社が少部数から印刷できるオンデマンド印刷、つまりデジタル印刷に対応しているか確認しておきましょう。

一方、アナログ入稿は紙の原稿を印刷会社に郵送します。原稿の素材や用紙サイズなど、印刷会社によって仕様や品質が変わる可能性があるので、あらかじめ確認が必要です。

② 同人誌即売会への申し込み

出店したい同人誌即売会に申し込みましょう。申請後、審査に半年近くかかることがあるので、早めの準備が大切です。

③ 印刷会社へ印刷依頼をする

印刷したい作品が完成したら、印刷会社へ依頼します。即売会までの納期、印刷費用、入稿方法や仕様など、条件が合う印刷会社を選択しましょう。

5. 同人誌印刷に適した印刷会社とは

同人誌作家に求められる印刷会社として、どのようなサービスを提供すべきでしょうか? 同人誌印刷に適切な仕様で、再現性の高い印刷サービスを提供するだけでは十分ではありません。キャラクター制作、スピード納品、ホログラム加工、特殊カバーの制作など、高品質な同人誌を制作できるオプションサービスの提供も重要です。

ここでは、小ロット印刷ができるデジタル印刷や、高品質の仕上がりとなる印刷手法、そして仕様について解説します。

① 少ロット対応やデジタル入稿が可能なデジタル印刷

同人誌印刷には、小ロット対応やデジタル入稿ができるデジタル印刷が好まれます。デジタル印刷では版出力が無く、オフセット印刷などと比べてコストを抑えて印刷できるからです。

さらに、デジタル印刷なら10部など小ロット対応ができるオンデマンド印刷サービスが提供できるので、大量印刷する必要がありません。大量印刷をすると単価が抑えられることもありますが、コミケなど同人誌即売会で売り切れなければ在庫が大きな負担になるリスクがあります。デジタル印刷なら、小ロット対応が可能なので低リスクで制作できるでしょう。

また、デジタル入稿にも対応していればオンライン入稿ができ、アナログな手法と比べて時間やコストを削減できます。同人誌印刷に対応するならデジタル印刷機の導入は欠かせません。

② デジタル制作におけるRGBの再現性=仕上がりがよい

タブレットを使ったRGB環境で同人誌のイラストを描く作家が多く、ディスプレイで見たイラストを印刷でどれだけ再現できるかが重要です。

現在のオフセット印刷やトナー系デジタル印刷では、RGB環境で作成したイラストを印刷すると色がくすんでしまう点が課題として挙げられます。印刷会社によっては、DTPオペレーターが手作業で色調整する場合がありますが、十分に再現できないケースも少なくありません。

HP Indigoデジタル印刷機では、豊富な特色、カラー補色や蛍光色、そしてPrintOSで高い再現性を実現しています。その色域の再現性を向上させたのがビビッドインキの採用です。CMYK、ビビットピンク、ビビットグリーン、プレミアムホワイトの7色仕様で、RGB色域を豊かに再現できます。

同人誌にはキャラクターの描画が多用されていて、肌の表現、いわゆるスキントーンが重要です。HP Indigoでは、ざらつき感のないスキントーンの印刷は高い評価を得ています。

関連リンク:同人誌印刷の受注がコロナ前の倍以上に
https://jp.ext.hp.com/techdevice/printing/20indg14/

③ 作りたい仕様に対応している

同人誌印刷のスタンダードプランをあらかじめ作成し、ホームページなどに掲載しましょう。同人誌のスタンダード仕様は、次のとおりです。

・サイズ:B5判かA5判
・表紙:フルカラー
・本文:モノクロ
・綴じ方:右綴じが基本

表紙と本文では紙の種類や色を変えて印刷することが多くあるので、希望に応えられるようオプションで提示しましょう。また、サンプル購入ができるように設定すると、ユーザーの利便性が高まります。

6. 同人誌印刷の変革に取り組む印刷会社の事例

時代の変化に対応しながら同人誌印刷に取り組む印刷会社の事例を、2件お伝えします。

① 大阪印刷株式会社

大阪印刷株式会社は、年間15万件、約400万点の商品を製造しています。同人誌の印刷はもちろん、キーホルダーやコースターなどさまざまなノベルティグッズのデジタル印刷に対応している会社です。

コロナ禍でイベントが中止となり同人誌印刷の売上が半減する会社もある中で、同社はポストコロナでの成長を見越し、HP Indigoデジタル印刷機を導入。オフセット印刷と同等の高品質な見本冊子を販売したところ、同人誌印刷の受注がコロナ前の倍以上に増加したといいます。

また、デジタル入稿されたデータを自社サーバーに送り、そこから印刷機へ送信するという印刷工程の自動化にも対応。コロナ禍において生産現場の工程を整備し、生産性向上にも取り組みながらビジネスを発展させています。

関連記事:
大阪印刷、Indigo第3世代機でHP認定中古機国内1号機導入 3台体制で潜在的成長に備え - 「最大の敵」ダウンタイム低減へ
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② 株式会社栄光

株式会社栄光は、1980年代後半から同人誌印刷を提供している印刷会社です。データ入稿だけでなく紙原稿の入稿にも対応しています。カラー表紙、特殊表紙、単色表紙、初心者向けといった豊富な種類の同人誌印刷セットが用意されており、希望に応じてプランを選びやすいのが特長です。

同人誌の作家ニーズに細やかに対応することで信頼関係を構築し、SNSなどの口コミで同社の評判が広まっています。同社がHP Indigoデジタル印刷機を導入した後の6色印刷のテスト刷りには、500名以上が応募。イラストの再現性へのこだわりが強いベテラン作家から「発色が理想的」「ディスプレイに近い色でびっくりした」など、賞賛の声がTwitterで相次いだといいます。

今後は、デジタル印刷機と既存技術を磨いて事業領域の拡大を検討しています。

関連記事:
株式会社栄光、HP Indigoで同人誌表紙の6色印刷サービスを開始
https://jp.ext.hp.com/techdevice/printing/20indg04/

7. まとめ

コミケなど大型イベントの復活に伴い同人誌市場規模の拡大が期待できることに加え、ECの発展もこの業界の発展を後押ししています。同人誌印刷では、特に制作や入稿に便利なデジタル印刷が主流です。RGB色域の再現性が高いHP Indigoは、同人誌制作に携わる印刷会社にとって強い味方となります。同人誌印刷への参入を検討している方は、ぜひHPにご相談ください。

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