2019.07.02
教育とテクノロジー
2017年4⽉、聖⺟⼥学院は「⾹⾥ヌヴェール学院」へと名称を変更し、男⼥共学になりました。それと同時に導⼊したのが、ICT 教育や英語イマージョン教育などの21世紀型の教育⼿法。20年以上教育の現場に携わり、「21世紀型教育」を研究・啓発してきた⽯川⼀郎学院⻑が現在特に注⼒している PBL(Project BasedLearning)教育について、また根底にある想いなどをお聞きしました。
── ⽯川学院⻑は、学外でも21世紀型教育機構理事を務めたり、教師の研究組織「21世紀の教育を考える会」を⽴ち上げたりしています。まずは、⽯川学院⻑が教育の現場で最も⼤切だと考えていることを教えてください。
⽯川⼀郎(以下、⽯川) 20年近く前から私が考え続けているのは、⽇本の中学や⾼校もアメリカのプレップスクールのようになっていく必要があるのではないか、ということです。
プレップスクールとは、⼤学で勉強をするときに必要な「分析する⼒」や「考える⼒」、「調べる⼒」を養う、準備機関のような場所。本学院の中学・⾼校でも、課題解決型の PBL(Project Based Learning)教育を取り⼊れ、分析⼒・批判⼒・創造⼒を養うようにしています。
── なぜ、中学や⾼校はプレップスクールのようになる必要があるのではないかとお考えなのですか?
石川 ⼤学とは、最⾼の学びの機関です。そこで学んだことがその後の⾃分の⼈⽣につながっていくかもしれないし、社会を変える⼤きな発⾒や研究をする⼈もいるかもしれない。
⼤学では、⾃分で仮説を⽴て、分析・研究する能⼒が必要です。ところが、これまでの中・⾼の教育は知識を増やすことを優先しており、⼤学で必要とされる能⼒が⾝につかない。そのため、せっかく⼤学に⼊っても有意義に勉強することができず、何も学べないまま卒業することになってしまうのです。
── 従来の詰め込み型教育では今後は厳しい、と。
石川 詰め込み型教育にまつわる議論の多くが「知識は必要か、必要ではないのか」という内容に留まっています。しかし、本当の問題はそこではない。知識は絶対に必要であり、知識をただ詰め込むだけで終わってしまっているから、意味がないのです。現場の教師が考えなくてはいけないのは、「豊富に蓄えた知識をアウトプットする⽅法をいかにして⽣徒に伝えるのか」ということです。
例えば理科は、⾃分で仮説を⽴て、実験を⾏いながら答えを導き出していく学問です。答えにたどり着くためには、研究結果を検証し、⾃分で考える能⼒がなくてはいけませんが、そもそも理科の知識がなくては考えることができない。だから、知識を⾝につけることは⾮常に重要です。しかしながら、その知識を実験で検証しながら、⾃分の伝えたいことを相⼿に論理的に説明できなければ伝わらない。そのやり⽅を訓練するのが、PBLのひとつの⽬的なのです。
── ⾹⾥ヌヴェール学院のPBL教育は、具体的にはどのような形で⾏われているのでしょうか。
石川 英語の授業を例に挙げると、⼀枚の絵を⾒せて、⽣徒に問いを投げかけます。あらゆる学年に同じ絵を⾒せるのですが、学年によって問いの設定を変えながら、分析⼒や創造⼒を育てていきます。
今⽇のこのインタビューの現場写真を⾒せたとしましょうか。第1段階では、「複数の⼈がテーブルを囲んで話し合っている」といった、絵を⾒ればわかる単純な事実を英語で説明できればいい。第2段階では「インタビューをしているんじゃないか? いや、会議か?」と、少し考えて答えさせてみる。第3段階では「何を話し合っているのか」を推測させるのです。
⽇本の教育現場の多くは、第1段階の単純な事実を答えられればよしとする指導で⽌まっています。第3段階の設問には決まった答えがないため、教師が評価しにくいから教育現場ではどのように扱ってよいかわからない。しかし、実際の社会では答えのあるものなんてほとんど存在しない。そのギャップを教育現場で埋めていかなければならないのです。そのためには、まずは教師の意識を変えることから始めないと、教育の改⾰は進んでいきません。
── 先⽣⽅とはどのように指導法や評価法を共有されていますか。
石川 よく使うのが「思考コード(図1)」です。「思考コード」とは、「どの程度の知識が必要なのか」と「どの程度の思考の深さが必要なのか」というふたつの軸で⽣徒がどの段階に位置するのかを計る、点数や偏差値に変わる新しい学⼒基準です。
図1:思考コード(⾸都圏模試センターより)
⼀般的な例に出されるのが、フランシスコ・ザビエルの問題です(図2)。ザビエルの写真を⾒て、⼈物の名前を答えるAの第1段階から、ザビエルがしたことを年代順に並べる第3段階へと進んで⾏きます。Bに進むと、ザビエルが⽇本に来た⽬的や、あるいは⽇本に来てキリシタン⼤名にどういう影響を与えたかを述べる。ロジカルに内容をまとめられれば正解となる。いまの⽇本の⼤学⼊試では、このBの点数配分が最も⼤きいです。しかし、これからの教育に必要なのはCの⼒を養うこと。「もしあなたがザビエルなら、⽇本でどうしますか?」という問いを繰り返し、批判的思考⼒や創造的思考⼒を強化しなくてはいけない。ますます変化の激しくなる社会において何かを成し遂げていく⼒の源となっていくでしょう。
これまでの⽇本の学習進度は、Aの1から3へと上に進むことが発展とされていました。現在ではAからCヘと横に進んで思考のレベルを上げていくべきとも⾔われています。そのためにも、とにかく⽣徒に問いかけ続けることが重要ですね。
図2:「フランシスコ・ザビエル」をテーマとした思考コードの⼀例
── こうした PBL教育とテクノロジーはどのように関連してきますか?
石川 テクノロジー⾃体は、思考コードにおけるA段階、いわば知識のようなものです。これからの社会を⽣き抜いていくための、あるいはよりよい⽣き⽅や社会を実現するためのツール。テクノロジーというツールの使い⽅を覚えるのがA段階であるならば、それを使えるようになるのがB。さらに、それを使って⾃分なら何ができるか、どんな未来を実現したいか、というところまで発展していくのがC段階ですね。たとえば本校の英語の授業では、⽣徒の意⾒を発表するツールとしてICTを取り⼊れるなど、⽣徒のアウトプットの⼀助となるようにテクノロジーを取り⼊れています。
── 最後に、未来を担う⼦どもたちの親御さんへ、メッセージをお願いします。
石川 教育現場と同じく、ご両親も⼦どもに「あなたはどう考えるの?」と問いかけてみてください。そして、⼦どもが話し出したら、まずは否定せずにじっくりと聴いてあげてください。否定すると、⼦どもは次から話せなくなってしまいます。反抗期や親を疎む時期があったとしても、⼦どもにとっていちばん安⼼できる場所は家庭です。そこで⾃由に⾃分の考えを話せることが、何より⼤切なのです。「常に真剣に向き合おう」と気負う必要はありません。進路の話や将来の夢など、⼦どもの成⻑や⼈⽣にかかわってくる局⾯には必ず話を聴く、というのでも⼗分だと思います。
また、「あなたはどう思っているの?」「どうしてそう思うの?」と尋ねるときには、責めた⼝調にならないよう⼼がけましょう。問いの⽬的は、あくまでも⼦どもに話すきっかけを与えること。そして、「いつ実現したいのか」「誰と取り組みたいのか」「なぜ、そうしたいのか」など 6W2H を軸にしながら問いかけ続け、考える⽅向性を肯定しながら、⼦どもの考えている内容を具現化してあげてください。⼤切なのは成果を出すことではなく、⼦どもが⾃分で考え、それを表現していく⼒を養うこと。それを胸に留めながらインタビュアーになった気持ちで問いかけ続ければ、きっとお⼦さんはこれからの社会で⽻ばたける⼈間になっていくはずです。
2018年4⽉に⾹⾥ヌヴェール学院に赴任した江藤由布学院⻑補佐は、20年以上教育の現場に携わり、21世紀型の英語教育の先駆者として活躍されています。後篇では、英語以外の教科をネイティブ教員が英語で⾏う「英語イマージョン教育」の内容や効果、ご⾃⾝の教育法をまとめた「オーガニックラーニング」について、お話を伺いました。
── ⾹⾥ヌヴェール学院で実施している「英語イマージョン教育」について教えてください。
江藤由布(以下、江藤) 本校の⼩学校と中学校では、スーパーイングリッシュコースのなかでイマージョン教育を⾏なっています。このコースでは、英語⼒養成を最重点にPBL授業を進めるのが特徴です。他のコースでも⼩学校1年次より週に4コマの英語の授業は⾏いますが、スーパーイングリッシュコースでは国語と道徳以外の全教科を外国⼈教員から英語で学びます。中学校の⽅は、数学・理科・芸術などの複数科⽬を英語で学んでいます。
「イマージョン教育」とは⼀般に「他⾔語で⾏う授業」という意味ですが、本校の場合は英語で⾏うので、「英語イマージョン教育」としています。英語の授業以外でも英語に触れることによって、卒業までに理科や美術などいくつも分野にまたがる⾃分の考えや意⾒を英語でアウトプットできるようになります。
── 英語イマージョン教育を受けるにあたり、⼩学校と中学校では⽣徒のなじみ⽅や習得度合いに違いはありますか?
江藤 ⾔語習得には「9歳の臨界期」説があります。何歳からでも⾔語習得は可能ですが、やはり⼩学校で始める⽅が向いている部分はありますね。9歳前、つまり⼩学校に⼊学する 6 歳時点ですと、中学⽣のようにロジックで考える前に、そのまま英語で物事を吸収できる。遊びやゲームなどを通じてぐんぐんと英語に馴染んでいく様⼦は、⾒ていて⾯⽩いほどです。そこから徐々に、算数や理科の習得へとつながっていきます。
⼩学校卒業までの間にどのように英語⼒が発達していくかは、絵を使った問いかけの例がわかりやすいと思います。⼊学時の⽣徒と 6 年⽣に同じ絵を⾒せます。例えば、池のなかの⿃の⾜に鉄条網がかかっていて、その後ろで数名の⼦どもたちがバスから⾒ている様⼦が描かれた絵に対し、⼊学時には「何⼈の⼦どもたちがいますか?」「これは何ですか?」「⿃はどこにいますか?」といった、答えのはっきりした問いに定型⽂で答えられればOKです。
6年⽣に対しては「どうして⼤⼈の⿃にはこのようなことが起こったと思いますか」と、質問を変えます。これには理科や社会で習得した環境の知識や、想像⼒を働かせる能⼒が必要です。英語イマージョン教育で複数の教科を英語で学んでいることによって、卒業時にはこうした複雑な問いかけにも⾃然と答えられるようになります。
── ⾼校ではどのような英語教育を実施されていますか?
江藤 英語の⽂を発信するうえでの型を使えるまで、しつこく仕込みます。
アメリカでは5歳からPersuasiveSpeechという型を学びますが、これはいわゆるPREP(Point-Reason-Example-Point)で、⼈を効果的に説得するひとつの型です。私が受け持っている⾼校2年⽣の例を挙げると、こうした英語の⽂章の構造と作法についてはしつこいくらいに教えています。例えば、⽇本語では段落の定義というのは⽐較的あいまいなのですが、英語の場合は、段落ごとに主題はひとつ、残りの⽂が理由や具体説明などの⽀持⽂となっています。そうした型を徹底的に教え込みます。
例えば、実際の定期試験で出したのは「What makes you laugh?(あなたはなぜ笑うのか)」というBig Questionに対し、⾃分なりの考えを書くという問題でした。授業のなかで「最近いつ笑ったの?」「誰といるときに笑ったの?」「何で笑ったの?」ということをブレストしながらトレーニングを⾏い、試験ではなぜ⼈は笑うのか、⾃分の主張をまとめられるようにする。欧⽶ではよくあるテスト形式ですね。機械的に英単語を習得するようなことを⼀切やらなくても、このような学習⽅法をとれば⽣徒は必死でテキストを読み込みますから、⾃然と⽂章構造や単語が頭に⼊ってくるのです。
── 江藤先⽣は、英語とコンピューターをどのように結びつけた教育を実践していますか?
江藤 コンピューターを使った ICT教育を実践するうえで重要なのは、⽬的を明確にし、環境に合わせた取り⼊れ⽅をすることです。どんなに優れた⼿法も、必ずしもすべての学校、すべての環境に適合するとは限らない。私は2018年 4⽉に本校に赴任しましたが、前任校といまとでは ICT教育の⼿法を変えています。どのように環境に合わせた⼿法を⾒つけ出すかというと、「なんのためにICTを使うのか」を起点にして、どんどんブレストしていくんです。この学校のどんな理念を実現するためにICTを取り⼊れればよいのかを考える。すると、⾃ずと各学校に合わせた ICTの使い⽅が⾒えてきます。
本校は、⾃ら問題を発⾒し解決していく学びの中で、特に⽣徒が⾃分の意⾒や考えを発信したり、彼らが発信したものを他の⽣徒と共有するときに活⽤したりするツールとしてコンピューターを援⽤しています。そのツールが、⽂章のみならず、写真や動画を使って⽣徒が発表できる場となっています。
── 江藤先⽣はご自⾝の教育法を「オーガニックラーニング」としてまとめ、教育系のセミナーやワークショップも数多く開催されています。教育についての理念を教えてください。
江藤 「オーガニックラーニング」とは、オーガニック農法になぞらえた教育法です。
オーガニック農法は、「⼟を育てる」ことを⼤切にしているといいます。また、化学薬品を多⽤して管理するようなことはせず、植物本来の⽣育⼒を⾼めていく。⽣徒に対しても、しなやかなマインドセットを育て、管理しすぎない⽅法をとりながら、⾃律的な学習⼒の育成に取り組んでいこうとしています。
例えば⽇本では教科書の副教材が発達しすぎていて、⽣徒は⾃分で考えずにいきなり答えだけを覚えこめば試験で点数が取れてしまう。しかし、私の授業では⾃分で考えなくては試験で解答できない仕組みにしています。⾯倒な学び、クリエイティブなアウトプット、対話、枠を超えて学外とつながることなど、⾃然にやってきたことが結果的に現任校のビジョンに⼀致したと⾔えます。
こうした⾃分なりの教育法に到達するまでの間は、葛藤を繰り返していました。特に、20年以上の教員⽣活のなかで5〜10⽬はずっと悶々と……。そのころ私が実施していたのは、ICTを取り⼊れた⼀⻫教育法。教師の指⽰を⽣徒が⼀⻫に聞いて授業が進んでいくという⽇本の教育現場では多い形です。反転授業も取り⼊れ、⼀定の成果を出せてはいましたが、⾃分のなかでは「クリエイティブっぽいことをしているだけで、本当の創造性を養うことはできていない」という問題意識がずっとありました。
── ところで江藤先⽣は⼆児のお⺟さんでもありますね。ご自⾝の経験もふまえ、親御さんたちにどのようなことを伝えたいですか?
江藤 特にお母さんの中には、⼦育てと仕事の両⽴で苦労されている⽅も多いと思いますが、私の場合は出産後の⽅がだんぜん時間の使い⽅の効率がよくなりました。というのも、時間があればあるだけ仕事のことを考えたり、教育法について⾃分なりに模索してしまったりするタイプなので、徹底的に効率化しないと⽣活が破綻すると思って(笑)。⻑男の出産時に徹底的に時間の断捨離をしたんです。
── 「時間の断捨離」とは、具体的にどのようなことですか?
後藤 私が⼀緒に進めてきた翻訳チームは全員が部活も研究も⾏っていて、すごく忙しい⼈ばかりでしたが、だからこそサポートし合ってこられたと思います。「私は今⽇ここまでやっておいたから、次はよろしくね」とパスが⾶んでも理解し合えたというか。⼀⽅で、研究はひとりで進めることにしました。もちろんチームでもいいですが、⼈数が増えれば増えるだけ予定を合わせるのが⼤変になるので、研究だけはひとりで取り組んでいます。ドライヤーで髪を乾かすのに5分、⻭磨きに2分といった具合に⾃分の⾏動にかかっている時間をすべて計り、無駄な時間を省いていったんです。仕事の時間も同様で、⼦どもを認可保育所に⼊れられなかったので、時間どおりに迎えに⾏くために⾃分の担当授業がない時間をいかに有効に使うかを徹底して考えました。すると、出産前は就業時間内に終えられずに持ち越してしまったりしていた仕事も、きっちりとその⽇のうちに終えられるようになったんです。
どうしても⾃分の⼿が回らない部分はアウトソースしています。⽔回りの掃除を業者に頼んだり、週3回の⼦どもの朝の送り迎えを保育科に通う⼤学⽣やシルバー⼈材センターの⽅にお願いしたり。「できないことはできない」と割り切った⽅がいいですね。
いまでは、とにかく考える時間を減らしたいという思いから、洋服も⾃分では選ばなくなりました。洋服を買うお店をひとつに絞るんです。3年くらい同じお店に通っているのですが、店員さんは私が持っている洋服から似合うデザインまですべて把握しているから、「江藤さんはいまニットを持っていないから、今⽇買っておきましょう」と決めてくれる。いわば、お店に私のビックデータがあって、⾃動でアウトプットされてくるものを私は買うだけ。悩む時間を短縮できるので、買い物がすごくラクになりました。
── ⽯川⼀郎学院⻑は親御さんに向けて「少しでもいいから⼦どもが話すことに⽿を傾ける時間を確保できるといい」とおっしゃっていました。江藤先⽣はどのようにされていますか。
江藤 私⾃⾝、「⼦どもとじっくり向き合いたい」という理想を持ってはいますが、⽇々の⽣活ではうまくいかないことのほうが多いです。家事や仕事をこなさねばならず余裕がないことの⽅が多いし、そのうえ⼦どもは⼤⼈の⾔うことをぜんぜん聞いてくれない(笑)。 特に私の息⼦たちは現在5歳と10歳とやんちゃ盛りなので、つい「ご飯を⾷べなさい!」などと怒ってしまい、時間が経ってから「もっとこう接すればよかった」と反省することしきり……。
そのうえで、まずは「⾃分には時間の余裕がない」と⾃覚することが⼤切ではないかと考えるようになりました。完璧でいようとするから⾃分が⾟くなってしまうので、まずは「⾃分は完璧ではない」と受け⼊れたうえで、⼦どもと向き合う時間を確保するといいのではないかなと。
私が実践しているのは、⻑男とふたりだけで旅⾏をしたり、次男だけつれて公園に⾏ったりと、それぞれに集中してじっくりと関わる時間をつくることです。ふたりきりになったときに、どれだけべったりしてあげられるかを⼤切にする。⽇々のやりとりのなかでは余裕を失うことが多々あるけれど、「ちゃんと向き合う時間も確保する」と割り切ることによって、⼦育ても仕事である教育も両⽅とも楽しめるようになりました。私にとって、よりよい教育を追求していくことは、⽣きがいでもあります。仕事でもプライベートでも教育に携わることができて、とても幸せです。
用語解説
「preparatory school」の略。進学の準備教育を⾏う、⾼度な教育内容の私⽴学校。英国ではパブリックスクールを⽬指す児童のための私⽴⼩学校、⽶国では有名⼤学進学のための寄宿制の私⽴中学・⾼等学校を指す。
⽶ミネソタ・ニューカントリースクールで開発された課題解決型学習法。学習とは知識の暗記のような受動的なものではなく、⾃ら問題を発⾒して解決していく能動的な能⼒であると定義した。
When、Where、Who、Whom、Why、What、How、How much と、物事を正確に伝える際に⽤いる8つの確認事項のこと。
未修得の⾔語を⾝につけるための、学習⽅法。⽬標とする⾔語環境で他教科も学び、その⾔語に浸りきった状態(イマージョン)での⾔語獲得を⽬指す教育⽅法。
⾃分を取り巻く環境に応じ、脳の神経回路が集中的につくられたり回路の組み替えが盛んに⾏われたりする、最も感性豊かな時期のこと。⼀般的には⾔語(0〜9)、運動能⼒(0〜4歳)、絶対⾳感(0〜4歳)、数学的能⼒(1〜4歳)といわれる。
(取材・⽂:吉⽥彩乃 撮影:野村恵⼦)