2021.06.30
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う外出自粛と移動制限の影響で、2020年はテレワークの導入が一気に進んだ。これまでオフィスのみで仕事をしていた人々も自宅で作業するようになるなど、働き方が大きく変化している。
ビジネスPCに求められる機能も変化してきた。Web会議の急増でカメラやマイクの性能の優先度が上がっている他、持ち運びやすさもより重要になっている。
しかし、これまでオフィスでの勤務を前提としていた企業の中には、どのようなPCがテレワークにふさわしいのか分からないというところもあるだろう。CPUやメモリといった基本的な構成だけでなく、オフィス外での利用や従業員の健康管理といった、これまで想定していなかった要素も含めたPC選定が必要になる。
今回は国内PC市場で高いシェアを誇る日本HPで、プロダクトマネージャーを務める宮澤彩さんに、テレワーク時代のビジネスPCに求められる機能について話を聞いた。
日本HPの宮澤彩さん
(パーソナルシステムズ事業本部
クライアントビジネス本部
モバイルビジネス部
プロダクトマネージャー)
「テレワークはコロナ禍で急に始まったわけではなく、働き方改革の中で、これまでも導入が促進されてきました」(宮澤さん)
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう以前から、テレワークはオフィスにとらわれない働き方として働き方改革の文脈の中でも注目されていた。コロナ禍でオフィスに出勤できない状況になったことで導入が急加速。感染症の流行は決して良いものではないが社会をよりよいものへと変化させるきっかけになったことも確かだ。
政府の緊急事態宣言などにより県をまたいだ移動やオフィスへの出社が制限される中で、出社日を減らす企業や出社を全面的に禁止する企業も登場。これまで、軽量なPCは取引先などに出向くことが多い営業職の人に配られていたが、今ではそれ以外の職種の人もPCを持ち運ぶようになった。
ビジネスPC選びでは持ち運びやすさがより重要になってくる。出社と在宅勤務の両方を使い分ける場合は自宅とオフィスの間でPCを持ち運ぶため、小型軽量モデルの方が適している。
持ち運びが増えたからこそ重宝する機能もある。例えばバッテリーの容量だ。いつでもPCを電源につなげるオフィスで仕事をしている間は気にする必要がなかったが、外出先で作業する場合にはなくてはならない要素になる。
また、情報セキュリティ面でもテレワークならではの視点が必要だという。PCを頻繁に社外に持ち出せば紛失や盗難の危険も出てくる。これは生体認証機能を持つPCを選ぶことで対策できる。指紋認証や顔認証を設定しておけば、万が一紛失してもログオンされにくくできる。
落とし物トラッカーを使う紛失対策も考えられる。あらかじめトラッカーを着けておけば電車やタクシーの車内にPCを置き忘れてしまった場合でも、スマートフォンなどから現在地を追跡できる場合がある。
冒頭にも挙げた通り、今となってはWeb会議ツールの利用も当たり前になっている。そこで重要になるのがカメラやマイクだ。相手とのコミュニケーションを円滑に進めるには、十分な性能のカメラとマイクが必要になる。
カメラにはプライバシーへの配慮も求められるという。自宅で作業する際には部屋の中や家族の様子が不用意に写ってしまう可能性があるため、近年はプライバシー対策としてカメラを物理的に隠すシャッターが搭載されたPCも登場している。
マイクは自宅だけでなく、オフィスでの利用も考慮したモデルがテレワークに適している。ユーザー1人の音を拾うだけでいい場面も多いが、オフィスでWeb会議を行う場合は同じ会議室にいる複数名が話をすることもある。360度全方向の音を拾えるマイクを搭載したPCであれば、1台で複数人の声をWeb会議に載せられて便利だ。
声を確実に相手に届ける一方で、不要な音が入らないような仕組みも必要だという。例えば子供やペットがいる家庭には、キーボードを押す音や紙の資料をめくる音の他にも、ドアの開閉音や子供の声、ペットの鳴き声など、オフィス以上にさまざまなノイズがある。これらを適切に遮断できれば、自分の声をより明瞭に届けられる。
家庭での使用を考えると、ノイズの他にもさまざまなリスクが想定できる。例えば、机で作業している際に子供に飲み物をこぼされたり、目を離した隙にPCを落とされたりと、オフィスではあまりないようなトラブルが家庭では起こりうる。そんな中でも安心してPCを使うためには、浸水や衝撃などに耐えられる堅牢性が必要だ。
感染症が流行している現在では、衛生面も考慮すべき点の一つだという。近頃は手指を消毒する機会が増えているが、スマートフォンやPCの中には消毒液をかけると部品が劣化してしまうものがある。消毒も可能なパーツを採用したPCであれば、定期的な拭き掃除で清潔に保てる。
これらの、テレワーク用PCに求められる機能を盛り込んでいるのが、日本HPのノートPC「HP Elite Dragonfly G2」(以下、Dragonfly G2)だ。
Dragonfly G2は、内蔵GPU「Iris Xe Graphics」搭載のインテル第11世代プロセッサと、最大16GBまでのメモリを載せた高性能モデルだ。オフィスソフトの動作はもちろん映像処理にも対応。ストレージにはSSDを採用しているうえ、外部ストレージをデータ転送速度の速いThunderbolt 4で接続できるため、PCの動作速度に悩まされずに作業できる。
ユーザーが快適にPCを使えるようにする工夫としては、他にも、モーションセンサーを活用した動作検知機能がある。Dragonfly G2は内蔵センサーでPCの向きや動きを検出。本体がカバンの中にあるのか、外にあるのか、取り出している最中なのかといった状態を察知し、必要に応じて自動的に起動モードに入ることで、起動時間を10秒ほど短縮できる。机の上で使っているのか、膝の上に置いて作業しているのかを判断し、底面の温度が上がりにくくなるようにファンをコントロールする機能もある。これにより膝上の場合は本体の温度が約5度下がるという。
これだけのスペックを持ちながら、大きさは持ち運びに便利な13型、最軽量構成の場合の重さは989gと小型軽量ボディーを実現。テレワーク用PCとして十分な性能と持ち運びやすさを兼ね備えたモデルといえる。
軽さに加えて通信機能も強力で、どこでも作業ができる環境がそろっている。Wi-Fi 6の高速通信に対応している他、4G LTE/5G通信対応のSIM搭載モデルも選択可能。5Gの通信エリアは現時点ではまだ広いとはいえないが、携帯キャリア各社は2021~23年度をめどに5G基地局を数万局規模まで増やすとしている。今のうちに5G対応端末に投資すれば数年後には外出先でも固定回線のような通信速度でネットワークに接続できるようになり、どこでも快適に作業できる環境が手に入るだろう。
セキュリティ面も万全だ。Dragonfly G2には「HP Sure Sense」や「HP Sure Click」「HP Tamper Lock」といった機能がある。HP Sure Senseはマルウェアやゼロデイ攻撃などからPCを守る機能。深層学習技術の活用で未知の攻撃にも対処できる。HP Sure Clickは、マルウェアが仕込まれたWebサイトやメールの添付ファイルなどを誤って開いても、ページやファイルを閉じれば感染がなかったことにできる機能。HP Tamper Lockは何者かによってPCカバーが開かれるといった物理攻撃を受けた際に、システムのシャットダウンや警告の表示、攻撃ログデータの取得などを行う機能だ。
Dragonfly G2はこれらの機能が最初から付いており、後付けでインストールする必要がない。
「これらの機能を後付けすると、ライセンスの管理やサブスクリプションの手続きが煩雑になります。Dragonfly G2は最初から十分なセキュリティ機能を搭載してこれらの課題を解決しています」(宮澤さん)
また、紛失対策のために落とし物トラッカー「Tile」の機能をPC本体に内蔵しているのも特徴的だ。スマートフォンとPC内のTileモジュールをBluetoothであらかじめ連携させておけば、接続が切れた場所を地図上で確認して探し出せる。PCがスリープ状態や電源オフであっても機能する。
Tileには、駅やタクシーに設置されたTileアクセスポイントや、別のTile搭載端末の近くを通った場合にも現在地を通知する機能がある。もし電車やタクシーの車内にDragonfly G2を置き忘れてしまってもスマートフォンなどから現在地を追跡できる。
顔認証や指紋認証によるログオンへの対応で、Dragonfly G2をどこかに置き忘れて、誰かに拾われた場合でも中身を見られるリスクを最小限に抑えるなど、何重にも対策を施している。
Web会議に使えるカメラとマイクにもこだわりがある。Dragonfly G2はHD(720×480ピクセル)のカメラと全方位マイクを内蔵。カメラには誤操作で意図せずカメラが写らないようにする「HP Sure Shutter」が付いている。専用キーをワンタッチするだけで強制的にシャッターが降り、不用意な映り込みを防ぐ。マイクには深層学習技術を活用したノイズキャンセリングで、家庭のさまざまな生活音を的確に除去して自分の声だけを伝える「AI Noise Reduction」を搭載。自宅でもオフィスでも力を発揮できる形だ。
堅牢性も十分に検証している。Dragonfly G2は12万時間以上に及ぶHP独自の品質テストをクリア。米国国防省の調達規格「MIL規格」に沿った振動や落下、粉じん、凍結など19項目に及ぶテストも耐え抜いている。子供やペットがいる家庭でも安心して使える設計だ。
衛生面も抜かりない。Dragonfly G2は家庭用のクリーナーシートでの拭き取りや消毒に1000回まで耐える筐体を採用。拭き掃除がしやすいよう、一時的に全ての操作を無効化する「HP Easy Clean」という機能も備えている。
このように、テレワークのあらゆる課題に対してDragonfly G2は解決策を用意しているが、パフォーマンスだけでなくデザインにも着目すべきものがある。
筐体カラーはシックな藍色。軽量マグネシウム合金が美しく光る。「デザインにもこだわった、愛着を持って使ってもらえるPCです」と宮澤さん。その美しさも、Dragonfly G2の魅力の1つといえる。
サステナビリティにもこだわりがある。キーボードに廃棄されたDVDを再利用するなど、部品の82%にはリサイクル素材を採用。製品の梱包材は木材と有機素材で作るなど人にも環境にも配慮した作りになっている。
数年にわたって使うPCだからこそこだわって選定したいもの。テレワーク用のPCにどんなものを選べばいいのか悩んでいる企業は、Dragonfly G2の導入を考えてみてはどうだろうか。
【本記事は2021年06月25日、ITmedia NEWS SPECIAL に掲載されたコンテンツを転載したものです】
海洋プラスティックを使用したノートPC
HP Elite Dragonfly G2
重さ989g、厚さ16.1mm、CNC削り出しのマグネシウムボディーの軽量ビジネスPC。多彩なセキュリティ機能に加え、のぞき見を防止する内蔵型プライバシースクリーン、物理シャッターを備えたカメラ、コラボレーションを促進する全方位マイクなど、ビジネスに必要な全てをエレガントなボディーに備えました。